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鴻巣市で連結送水管のブースターポンプの非常電源は何時間もてばよいのか|埼玉県央広域の冷却水2時間と長時間形を鈴鹿市・四日市市・津市・大阪市・堺市と比べる

鴻巣市でブースターの非常電源は何時間もてばよいのかというタイトルと、ビルの地下の機械室に大きな発電機が据えられている写真

高さが70mを超えるビルの連結送水管には、上の階まで水を押し上げるブースターポンプ(加圧送水装置)が付いています。
国の規則は、このポンプの非常電源に2時間以上動かせる容量を求めていますが、冷却水や燃料をどう用意するかまでは書いていません。
鴻巣市・桶川市・北本市を受け持つ埼玉県央広域消防本部の審査基準は、自家発電設備の冷却水槽と起動用の蓄電池、長時間形の発電装置まで決めています。
国の規則から県央広域の基準へ順にたどり、鈴鹿市・四日市市・津市・大阪市・堺市と比べます。

鴻巣市の高層ビルで、発電機の更新の見積りに冷却水槽まで入っていました。
発電機だけ替えれば済むのではないのでしょうか。

その発電機が連結送水管のポンプも受け持っているなら、冷却水も2時間分が要ります。
発電機が止まらずに回り続けられるかまで見るのが県央広域の基準です。

2時間という数字は、どこで決まっているのですか。

出発点は国の消防法施行規則です。
そこから県央広域の審査基準へ、条文を借りている順にたどります。

この記事の結論
  • 国の規則は、連結送水管の加圧送水装置の非常電源に2時間以上作動できる容量を求め、残りは屋内消火栓設備の非常電源の規定を借りている
  • 埼玉県央広域は、冷却水が要る発電機には連結送水管なら2時間以上運転できる専用の冷却水槽を近くに設けるとしている
  • 連結送水管の非常電源には、定格負荷で連続10時間運転できる長時間形の自家発電装置が望ましいとしている(行政指導の▲)
  • 起動用の蓄電池は、専用で4,800AH・セル以上か、他の設備と共用ならキュービクル式にする
  • 鈴鹿市は県央広域と同じ文で、四日市市は起動用蓄電池を20キロワット時で区切り、大阪市はガスの発電機の予備燃料を2時間分にボンベ1本を足させる

▼

連結送水管のブースターポンプの非常電源について、国の規則は二時間以上の作動を求め、ポンプを二時間、冷却水も二時間分を専用の水槽で近くに、長時間形の発電装置があると望ましく、起動用の蓄電池は大きければ箱に収め、燃料と冷却水と起動電源まで続くか確かめることを示した図解

国の規則はブースターポンプの非常電源に何時間を求めているのか

高層ビルの立管と各階の放水口、下の機械室のブースターポンプと隣の発電機がつながっているイメージ
ブースターポンプが要るのは、高さ70mを超える建築物の連結送水管です。
そのポンプの非常電源について、規則は時間だけを書き換えて屋内消火栓設備の規定を借りています。
消防法施行規則 第31条第6号イ(抜粋)
高さ七十メートルを超える建築物にあつては、連結送水管を湿式とし、かつ、加圧送水装置を(略)設けること。
消防法施行規則 第31条第7号
非常電源は、その容量を連結送水管の加圧送水装置を有効に二時間以上作動できる容量とするほか、第十二条第一項第四号の規定の例により設けること。
時間だけが2時間に変わります。
借りている先の第12条第1項第4号は、非常電源を非常電源専用受電設備・自家発電設備・蓄電池設備・燃料電池設備のどれかとし、特定防火対象物で延べ面積1,000㎡以上のもの(小規模特定用途複合防火対象物を除く)は専用受電設備を使えないとしています。
同じ号のロ(イ)は、自家発電設備の容量を屋内消火栓設備が30分間以上作動できるものとしていて、連結送水管ではここが2時間に置き換わります。
ただ、規則が書いているのは「2時間動かせる容量」までで、発電機を2時間回すための冷却水や燃料をどう用意するかは書かれていません。
そこを各消防本部が審査基準で埋めているので、自分のビルの発電機がどの設備に電気を送っているかを、まず単線結線図で確かめます。

同じ発電機でも、屋内消火栓なら30分、連結送水管なら2時間なのですね。

はい、1台で両方に送っているなら長いほうに合わせて考えます。
結線図でポンプの回路がつながっているかを見ておきましょう。

埼玉県央広域は発電機の冷却水を何時間分用意させるのか

機械室の発電機のすぐ横に専用の冷却水槽が置かれ、二本の配管でつながっているイメージ
県央広域の審査基準は、自家発電設備の「構造及び性能」の中で冷却水に触れています。
連結送水管のときだけ時間が延びる書き方です。
埼玉県央広域消防本部「埼玉県央広域消防本部消防用設備等に関する審査基準」第4章 第23 非常電源 5 自家発電設備 ⑵キ
冷却水を必要とする原動機には、定格で1時間(連結送水管の加圧送水装置にあっては、2時間)以上連続して有効に運転できる容量を有する専用の冷却水槽を当該原動機の近くに設けること。
ただし、高架水槽、地下水槽等で他の用途の影響にかかわらず、有効に運転できる容量を十分確保できる場合は、この限りでない。なお、この場合、当該水槽に対する耐震装置並びに地震動等を十分考慮した配管接続及び貫通部の処理を行うこと。
冷却水も2時間分です。
水で冷やす方式の発電機には、ふつうは1時間、連結送水管のポンプに送るものは2時間以上運転できる専用の冷却水槽を、発電機の近くに置きます。
ただし書のとおり、高架水槽や地下水槽で他の用途に左右されずに必要な量を確保できるなら、専用の水槽は要りません。
その場合でも、水槽の耐震と、地震の揺れを考えた配管のつなぎ方・壁や床を貫く部分の処理は求められます。
同じ⑵ウは燃料槽を原動機の近くに置き、容量を「定格負荷で連続運転可能時間以上」としていて、この項目には印がありません。
発電機を替えるときは、本体だけでなく冷却水槽の容量と配管が2時間分に合っているかも見積りの範囲に入れます。

つまり、屋上の高架水槽を使っていても、量と揺れ対策が足りていればよいのですね。

そうです、ただ他の用途で水位が下がる水槽だと足りているとは言えません。
水槽の系統図で、発電機の分が別に確保されているかを見てください。

長時間形の自家発電装置が望ましいとはどういう意味なのか

機械室の大きな発電機の横に横置きの燃料タンクと壁掛けの小さな燃料タンクが並んでいるイメージ
冷却水の次の項目で、県央広域は連結送水管に使う発電機そのものの性能に触れています。
ここには行政指導の印が付いています。
埼玉県央広域消防本部「埼玉県央広域消防本部消防用設備等に関する審査基準」第4章 第23 非常電源 5 自家発電設備 ⑵ク
連結送水管の非常電源に用いる場合にあっては、長時間運転できる性能を有するものであること(定格負荷で連続10時間運転できるものとして、認定されている長時間形自家発電装置の設置が望ましいこと。)。▲
2時間より先を見た指導です。
本文は、連結送水管の非常電源に使う発電機を「長時間運転できる性能を有するもの」とし、かっこ書きで連続10時間運転できるとして認定された長時間形の設置が望ましいとしています。
末尾の▲は、県央広域の凡例で行政指導を表す印です。
国の規則が求めるのは2時間以上の容量なので、10時間形は法令の義務ではなく、理由までは書かれていませんが国の時間を超える上乗せの指導です。
新築や発電機の更新では、設計者に長時間形の認定品かどうかを確かめ、そうでなければ消防本部との協議でどう説明するかを事前に決めておきます。

望ましいという書き方なら、ふつうの発電機でも違反ではないのですね。

法令の2時間を満たしていれば義務違反ではありませんが、協議では理由を聞かれることがあります。
更新の計画段階で、機種の選び方を消防本部と相談しておくと安心です。

起動用の蓄電池はどんなときキュービクル式にするのか

発電機の横に鋼製のキュービクルがあり、扉の中に起動用の蓄電池が並んでいるイメージ
発電機を回し始めるには、セルモーターを動かす起動用の蓄電池が要ります。
県央広域は、この蓄電池の置き方を容量と共用の有無で分けています。
埼玉県央広域消防本部「埼玉県央広域消防本部消防用設備等に関する審査基準」第4章 第23 非常電源 5 自家発電設備 ⑵カ
起動用に蓄電池設備を用いる場合は、次によること。
(ア) 専用に用いるもので、その容量が4,800AH・セル以上の場合は、キュービクル式のものとすること。
(イ) 他の設備(変電設備の操作回路等)と共用しているものは、キュービクル式のものとすること。
(ウ) 別室に設けるものは、6⑴の例によること。
容量と共用で分かれます。
起動専用の蓄電池なら、容量が4,800AH・セル以上になったときにキュービクル式にします。
変電設備の操作回路などと共用している蓄電池は、容量にかかわらずキュービクル式です。
キュービクル式にせず別室に置くときは、同じ章の蓄電池設備の項目6⑴の置き方に従います。
この3項目には印がなく、行政指導の▲が付いた長時間形の項目とは扱いが違います。
発電機を更新するときは、起動用の蓄電池の容量と共用の有無を設備台帳で確かめます。

4,800AH・セルという単位は、どう計算すればよいのか分かりません。

蓄電池の銘板に容量とセル数が書かれているので、それを設計者に渡せば確かめてもらえます。
共用かどうかは結線図で分かります。

ほかの消防本部は冷却水や燃料をどう確保させているのか

建物の裏の屋外にガスボンベの置場と冷却水槽と防油堤の中の燃料タンクが並んでいるイメージ
同じ論点を、三重県の鈴鹿市・四日市市・津市と、大阪市・堺市の基準で見比べます。
東大阪市は非常電源の章を今回確認できていないため、表に入れていません。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第6章 非常電源 第4 自家発電設備 2(7)イ(イ)
気体の予備燃料を保有するガス専焼発電設備で、連結送水管(加圧送水装置を設けるものに限る。)の電源を供給するものにあっては、予備燃料の保有量を2時間以上連続して運転できる容量にボンベ1本(7立方メートル)を加えたものとすること。(略)
本部冷却水槽起動用蓄電池をキュービクル式にする目安連結送水管の上乗せ
埼玉県央広域1時間(連結送水管は2時間)以上専用で4,800AH・セル以上/共用長時間形(10時間)が望ましい▲
鈴鹿市1時間(連結送水管は2時間)以上専用で4,800AH・セル以上/共用長時間形(10時間)が望ましい▲
四日市市1時間(連結送水管は2時間)以上専用で20キロワット時以上/共用記載なし
堺市1時間(連結送水管は2時間)以上で任意に設定された時間以上専用で4,800Ah・セル以上/共用記載なし
津市規則で定める作動時間以上運転できる冷却方式5通り・2分の1以上減水で防災センター等へ警報この項目に記載なし燃料の自動補給は作動時間分を下回ったら作動
大阪市この項目に記載なしこの項目に記載なしガス専焼発電設備の予備燃料は2時間分+ボンベ1本(7立方メートル)
2時間の守らせ方が本部で違います。
鈴鹿市は県央広域と同じ文で、冷却水槽・起動用蓄電池・長時間形まで並び、長時間形だけに▲が付いています。
四日市市は冷却水槽が同じ1時間/2時間で、起動用蓄電池を20キロワット時以上で区切り、どちらにも下線(行政指導の印)はありません。
堺市は冷却水槽を「1時間(連結送水管は2時間)以上で任意に設定された時間」以上とし、津市は時間の数字を書かずに冷却方式5通りと減水警報、燃料の自動補給で作動時間を守らせます。
大阪市は気体燃料で動く常用防災兼用のガス専焼発電設備が連結送水管のポンプに送るとき、予備燃料を2時間分にボンベ1本を足した量とし、この項目に◆の印はありません。
表の記号は、県央広域と鈴鹿市の▲・四日市市の下線・大阪市の◆が各本部の行政指導の印で、津市の基準には記号がありません。

同じ2時間でも、冷却水で見る本部と燃料で見る本部があるのですね。

どの本部でも、発電機が2時間止まらないことを付属設備まで含めて見ています。
点検の報告書でも、冷却水と燃料の量を書き留めておきましょう。

よくある質問

Qブースターポンプの非常電源を蓄電池設備にしてもよいですか?
A規則は第12条第1項第4号の例によるとしているので、蓄電池設備や燃料電池設備も選べます。どれを選んでも2時間以上作動できる容量が要ります。
Qラジエーターで冷やす発電機にも冷却水槽は要りますか?
A県央広域の文は「冷却水を必要とする原動機」が対象です。津市はラジエター式なら通風の経路をふさがないこと、それ以外の方式なら冷却水槽などで作動時間を確保することと書き分けています。
Q燃料電池設備でも冷却水の決まりはありますか?
A県央広域と鈴鹿市は、燃料電池設備の項目にも定格で1時間(連結送水管の加圧送水装置は2時間)以上運転できる専用の冷却水槽を近くに設けると書いています。
Q行田市や羽生市でも同じ扱いになりますか?
A行田市消防本部と羽生市消防本部は消防用設備等の審査基準を公開していないため、今回は比べていません。国の規則の2時間は共通なので、付属設備の扱いは管轄の消防本部に確かめてください。

まとめ

✔高さ70mを超える建築物の連結送水管には加圧送水装置が付き、その非常電源は2時間以上作動できる容量にする
✔規則が書くのは容量までで、冷却水や燃料の用意は各消防本部の審査基準が決めている
✔埼玉県央広域は連結送水管に使う発電機に2時間以上運転できる専用の冷却水槽を求める
✔高架水槽や地下水槽で十分な量を確保できれば専用の水槽は不要だが、耐震と配管の処理は求められる
✔連続10時間運転できる長時間形の発電装置は望ましいとする行政指導(▲)である
✔起動用の蓄電池は専用で4,800AH・セル以上か共用ならキュービクル式にする
✔四日市市は蓄電池を20キロワット時で区切り、大阪市はガスの発電機の予備燃料を2時間分にボンベ1本を足させる

見積りの冷却水槽が2時間分に合っているか、設計者に確かめてみます!

発電機の更新は、冷却水と燃料と起動用の蓄電池まで一緒に見直すのが近道です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は埼玉県央広域消防本部・鈴鹿市消防本部・四日市市消防本部・津市消防本部・大阪市消防局・堺市消防局が公表している基準と、消防法施行規則に基づく一般的な解説です。各基準の文章と記号は原本の画像で確かめ、長い部分は(略)で省きました。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防本部で確認してください。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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