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鴻巣市で自然排煙口の窓は隣地から何cm離すのか|埼玉県央広域の25cmと回転窓の45度とシャッターの扱いを鈴鹿市・四日市市・津市と比べる

鴻巣市の自然排煙口の窓の前は隣地から何cm空けるのかを示したアイキャッチ

消防法の排煙設備は、排煙機で煙を引くものだけではありません。
外壁の高い位置に付けた窓から、煙をそのまま外へ逃がす自然排煙口も認められています。
鴻巣市・桶川市・北本市を受け持つ埼玉県央広域消防本部の審査基準は、この窓の前を隣地境界線から25cm以上空けるよう求めています。
国の規則から県央広域の基準まで順にたどり、鈴鹿市・四日市市・津市の扱いと比べます。

鴻巣市の店舗の地階を改装するのですが、排煙の窓が隣の建物とかなり近いんです。
窓の前はどれくらい空いていればよいのでしょうか。

県央広域の審査基準は、窓の前を隣地境界線から25cm以上空けるよう指導しています。
国の規則には距離の数字はありません。

窓の開き方によって、数えられる面積も変わると聞きました。

はい、回転窓やたおし窓は開く角度で面積を割り引きます。
シャッター付きの窓の扱いも含めて順に見ましょう。

この記事の結論
  • 消防法施行規則第30条は、直接外気に接する排煙口の面積の合計を防煙区画の床面積の50分の1以上と定めるが、窓の前の空間や開き方の数え方は書いていない
  • 埼玉県央広域は、自然排煙口の前の空間を隣地境界線や同じ敷地の他の建物から有効で25cm以上確保するよう行政指導している
  • 同じ論点で鈴鹿市の排煙設備の基準は50cm以上とし、四日市市・津市・大阪市・堺市の基準には距離の定めが見当たらない
  • 回転窓・内たおし窓・外たおし窓・ガラリは、開く角度が45度未満なら開口部面積に「角度÷45度」を掛けて数える(県央広域・鈴鹿市・四日市市)
  • 県央広域では内側か外側にシャッターがある窓は原則として排煙口と認められず、津市は突き出し窓を60度以上開くものに限っている

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国の規則の床面積の50分の1から数える部分と開く角度と窓の前の空間までを並べた自然排煙口の図解

消防法でいう自然排煙口とはどんな窓のことか

天井から垂れ壁が下がり外壁の高い位置に横長の窓が並ぶ部屋のイメージ
消防法の排煙設備が要るのは、地下街や劇場の舞台部、店舗などの地階・無窓階の大きな部分です(消防法施行令第28条第1項)。
その排煙口の決まりは、消防法施行規則第30条にまとめて書かれています。
消防法施行規則 第30条(抜粋)
一 排煙口は、次のイからホまでに定めるところによること。
(略)
ハ 天井又は壁(防煙壁の下端より上部であつて、床面からの高さが天井の高さの2分の1以上の部分に限る。)に設けること。
ニ 排煙用の風道に接続され、又は直接外気に接していること。
(略)
六 (略)
ロ 直接外気に接する排煙口から排煙する防煙区画にあつては、当該排煙口の面積の合計は、次の表の上欄に掲げる防煙区画の区分に応じ、同表の下欄に掲げる面積以上であること。
消火活動拠点 2平方メートル(特別避難階段の附室と非常用エレベーターの乗降ロビーを兼用するものにあつては、3平方メートル)
消火活動拠点以外の部分 当該防煙区画の床面積の50分の1となる面積
外気に面した窓も排煙口になります。
規則第30条第1号ニが「直接外気に接していること」でもよいとしているので、外壁の窓を排煙口として使えます。
県央広域の審査基準(第4章 第18 排煙設備 5⑼)は、この窓を自然排煙口と呼び、面積・距離・開き方を細かく決めています。
数えるのは、防煙壁の下端より上で、しかも床から天井高さの2分の1以上にある部分だけです(規則第30条第1号ハ、県央広域 第18-14図)。
窓の面積の合計は、消火活動拠点以外の部分なら防煙区画の床面積の50分の1以上が要るので、400㎡の区画なら8㎡になります。
明日やることは、排煙に使う窓を図面に拾い出し、天井高さの2分の1の線と防煙壁の下端の線を引いて、その上にある部分だけを測ることです。

窓の下のほうは、いくら大きくても数えないのですね。

はい、煙がたまる上のほうだけを数えます。
次は窓の前の空間の話です。

自然排煙口の窓の前は隣地からどれだけ空ければよいのか

隣り合う2棟の建物のすき間に面して高い位置に窓がある建物のイメージ
窓が外気に面していても、すぐ前に隣の建物の壁があれば煙はうまく抜けません。
県央広域の審査基準は、この前面の空間について距離を決めています。
埼玉県央広域消防本部消防用設備等に関する審査基準 第4章 第18 排煙設備 5⑼
エ 自然排煙口の前面で、直接外気に開放されている空間は、隣地境界線又は同一敷地内の他の建築物若しくは工作物より有効で25㎝以上確保するものとすること。▲
ただし、公園、広場、川等の空地又は水面などに面する部分を除く。
県央広域は25cm以上を求めています。
測る相手は隣地境界線だけでなく、同じ敷地の中の他の建物や工作物も含みます。
末尾の▲は、県央広域の基準の凡例で行政指導基準を表す印で、法令そのものの義務ではありません。
前が公園・広場・川などの空地や水面なら、この距離は求められません。
鈴鹿市は排煙設備の基準で同じ距離を50cm以上としていて、同じ▲の行政指導ですが数字は県央広域の2倍です。
明日やることは、窓の外面から隣地境界線までを実測し、配置図に寸法を書き込むことです。
消防本部自然排煙口の前面の空間印
埼玉県央広域(鴻巣市・桶川市・北本市)隣地境界線・同一敷地の他の建築物等から有効で25cm以上(第18 5⑼エ)。加圧防排煙設備の自然排煙口も25cm以上(第18の2)▲(行政指導)
鈴鹿市排煙設備は50cm以上(第18 4⑹イ)。加圧防排煙設備の自然排煙口は25cm以上(第18の2 4⑵)▲(行政指導)
四日市市距離の定めは見当たらない(第18 排煙設備)-
津市距離の定めは見当たらない(5-19 排煙設備)-
大阪市・堺市距離の定めは見当たらない(排煙設備の節)-

鈴鹿市では、同じ排煙設備でも数字が違うのですね。

はい、鈴鹿市は排煙設備が50cm、加圧防排煙設備が25cmです。
次は窓の開き方を見ます。

回転窓やたおし窓は開いた分をどう数えるのか

外壁の高い位置で横長の窓が3つ斜めに開いているイメージ
引き違い窓なら、開いたときに空く部分をそのまま数えられます。
斜めに開く窓は、開く角度が小さいと煙の通り道が狭くなります。
同審査基準 第4章 第18 5⑼
オ 防煙壁の下端より上部であって、床面からの高さが天井の高さの2分の1以上にある自然排煙口としての回転窓、内たおし窓、外たおし窓及びガラリについて、開口部面積(S)と有効開口面積(S0)の関係は、回転角度(α)に応じて、次の算定式により取り扱うこと。(第18-15図参照)
90°≧α≧45°のとき S0=S
45°>α≧0°のとき S0=α/45°×S
45度が分かれ目です。
45度以上開けば開口部面積をそのまま数え、45度未満なら「開口部面積×開いた角度÷45度」で割り引きます。
例えば開口部面積1.2㎡の内たおし窓が30度しか開かないなら、1.2×30÷45で0.8㎡です。
400㎡の区画で8㎡を確保するには、この窓が10枚要る計算になり、45度以上開く窓なら7枚で足ります。
鈴鹿市(第18-17図)と四日市市(第18 3⑶)も同じ式で、四日市市は欄外に昭和53年6月28日の消防予第115号を付記しています。
津市は回転窓の式を置かず、突き出し窓は60度以上開けば開口部面積をそのまま数え、60度未満なら数えないとしています(5-19 2⑷・第19-4図)。
明日やることは、窓メーカーの資料で最大の開き角度を確かめ、窓ごとに有効開口面積を出し直すことです。
消防本部斜めに開く窓の数え方
埼玉県央広域回転窓・内たおし窓・外たおし窓・ガラリ:45度以上は開口部面積のまま、45度未満は×角度÷45度(第18 5⑼オ)
鈴鹿市同じ式(第18 4⑹ウ・第18-17図)
四日市市同じ式(第18 3⑶・欄外に昭和53年 消防予第115号)
津市突き出し窓:60度以上なら開口部面積のまま、60度未満は数えない(5-19 2⑷)
大阪市・堺市排煙設備の節に定めは見当たらない

30度しか開かない窓だと、本部によって数え方がまったく変わりそうです。

そうなんです。
窓を選ぶ前に、管轄の角度の決まりを確かめてください。

障子や二重サッシやシャッターがある窓は排煙口になるのか

内側に障子のある開いた窓と外側をシャッターで閉じた窓が並び閉じた窓に禁止の印があるイメージ
窓そのものは基準に合っていても、内側や外側に別の建具があると話が変わります。
県央広域は、障子・二重サッシ・シャッターの扱いをそれぞれ書いています。
同審査基準 第4章 第18 5⑼
カ 自然排煙口の内側に障子又は二重サッシがある場合については、排煙操作上支障がないものであれば、排煙上有効なものとして取り扱うことができる。
キ 自然排煙口の内側又は外側にシャッター(手動、電動の作動方法を問わない。)がある場合は、原則として排煙口として認められないこと。
ただし、シャッターが閉鎖している状態で、防火対象物が利用されないことが明らかである場合は、この限りでない。
シャッター付きの窓は原則として数えません。
手動か電動かは問わず、窓の内側でも外側でも、シャッターがあれば原則として排煙口と認められません。
例外は、シャッターを閉めている間はその建物が利用されないことが明らかな場合だけです。
内側の障子や二重サッシは、排煙の操作に差し支えなければ有効な排煙口として扱えます。
今回比べた鈴鹿市・四日市市・津市・大阪市・堺市の排煙設備の基準には、シャッターや障子の項目は見当たりませんでした。
一方で津市は、開けたまま止められる扉(ストッパー付きドアチェック)や、床から窓の下端まで1.5m以下の窓も排煙口に含めてよいとし、数えるのは上の部分だけとしています(5-19 2⑶)。
明日やることは、排煙に使う窓の内外に防犯シャッターや雨戸が付いていないかを現地で確かめることです。

夜だけシャッターを閉める店舗は、閉めている間に人がいないかが分かれ目になりそうですね。

はい、閉店後の作業や夜間の在館がないかを先に整理しておきます。
最後に、たどる順番をまとめます。

自然排煙口を計画するとき明日からなにを確かめればよいのか

机の上に平面図と巻尺と分度器と高い窓のある建物の模型を並べたイメージ
自然排煙口の決まりは、国の規則と県央広域の基準を行き来して読むと一本の流れになります。
県央広域の基準は、規則第30条の各号を受けて細目を足す形で書かれています。
消防法施行令 第28条 第1項(抜粋)
排煙設備は、次に掲げる防火対象物又はその部分に設置するものとする。
一 別表第一(16の2)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が1,000平方メートル以上のもの
二 別表第一(1)項に掲げる防火対象物の舞台部で、床面積が500平方メートル以上のもの
三 別表第一(2)項、(4)項、(10)項及び(13)項に掲げる防火対象物の地階又は無窓階で、床面積が1,000平方メートル以上のもの
たどる順番は6つです。
  1. 消防法施行令第28条第1項:排煙設備が要る建物と部分を確かめる
  2. 消防法施行規則第30条第1号ニ:排煙口は風道につなぐか、直接外気に接していればよい
  3. 同号ハ:数えるのは防煙壁の下端より上で、床から天井高さの2分の1以上の部分
  4. 同条第6号ロ:面積の合計は防煙区画の床面積の50分の1以上(消火活動拠点は2㎡)
  5. 県央広域 第18 5⑼オ:回転窓・たおし窓・ガラリは45度未満なら角度で割り引く
  6. 県央広域 第18 5⑼エ・カ・キ:前面は隣地から25cm以上(▲)、障子・二重サッシは条件付きで可、シャッター付きは原則不可
県央広域の基準は、同じ防煙区画の中で排煙機による方式と自然排煙方式を併用しないことも求めています(第18 4⑸)。
鴻巣市・桶川市・北本市の建物なら、窓の寸法・開き角度・隣地までの距離・シャッターの有無を一覧にし、県央広域の予防課へ図面と一緒に持ち込むのが近道です。
明日やることは、排煙に使う窓ごとに「有効開口面積」と「隣地までの距離」の2列を表に足し、合計が床面積の50分の1を超えるかを確かめることです。

つまり、窓の大きさだけでなく、角度と前の空間とシャッターまで見て初めて足りるかが分かるのですね。

そのとおりです。
改装で窓を替えるときは、有効開口面積を必ず計算し直してください。

よくある質問

Q建築基準法の排煙設備の窓にもこの25cmは当てはまりますか?
A県央広域の25cmは、消防法施行令第28条・施行規則第30条の消防法の排煙設備について書かれた審査基準です。建築基準法の排煙設備は別の基準で審査されるので、そちらは建築確認の窓口で確かめてください。
Q窓の前が川や公園なら距離はいりませんか?
A県央広域の第18 5⑼エのただし書は、公園・広場・川等の空地又は水面などに面する部分を除くとしています。鈴鹿市の基準にも同じただし書があります。
Qガラリも角度で割り引くのですか?
Aはい。県央広域の第18 5⑼オは、回転窓・内たおし窓・外たおし窓と並べてガラリも同じ算定式の対象にしていて、第18-15図では羽根の角度を回転角度として示しています。
Q25cmに届かない既存の建物はどうなりますか?
A25cmは▲の行政指導基準で、県央広域の基準は行政指導への協力が任意であることを総則に書いています。既存の建物の扱いまでは書かれていないので、改修の計画があるときに予防課へ相談してください。

まとめ

✔消防法施行規則第30条第1号ニにより、直接外気に接する窓も排煙口になる
✔面積の合計は防煙区画の床面積の50分の1以上で、数えるのは防煙壁の下端より上かつ天井高さの2分の1以上の部分
✔埼玉県央広域は窓の前の空間を隣地境界線などから25cm以上確保するよう行政指導している
✔鈴鹿市の排煙設備は50cm以上で、四日市市・津市・大阪市・堺市には距離の定めが見当たらない
✔回転窓・たおし窓・ガラリは45度未満なら開口部面積に角度÷45度を掛けて数える
✔津市は突き出し窓を60度以上開くものに限って開口部面積のまま数える
✔県央広域ではシャッター付きの窓は原則として排煙口と認められないので、窓の内外の建具を現地で確かめる

まずは改装する地階の窓を全部測って、隣地までの距離も書き出してみます!

窓ごとに開き角度も添えておくと、予防課との相談が早く進みます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令 第28条(e-Gov法令検索)
  • 消防法施行規則 第29条・第30条(e-Gov法令検索)
  • 埼玉県央広域消防本部消防用設備等に関する審査基準 第1章 第2・第3、第4章 第18 排煙設備・第18の2 加圧防排煙設備(埼玉県央広域消防本部)
  • 鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準 第4章 第18 排煙設備・第18の2 加圧防排煙設備(鈴鹿市消防本部)
  • 四日市市消防同意事務審査基準 第18 排煙設備(四日市市消防本部)
  • 津市予防事務審査検査基準 5-19 排煙設備(津市消防本部)
  • 消防用設備等の設置に係る運用基準 第5章 第1節 排煙設備(大阪市消防局)・堺市消防同意・消防用設備等審査基準 排煙設備(堺市消防局)

※本記事は各消防本部が公表している審査基準・運用基準と、消防法施行令・施行規則に基づく一般的な解説です。「見当たらない」としたものは、各本部の排煙設備の節を読んだ範囲の結果です。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防本部で確認してください。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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