消防設備士免状には、消防法令に違反するたびに点数が加算され、一定の点数に達すると返納命令が下るという仕組みがあります。
この点数は、ひとりで起こした違反だけでなく、複数の消防設備士が一緒に違反したときにも科されます。
気になるのは、複数人が関わった違反行為のとき、点数は人数で分け合うのか、それとも全員に同じ点数がかかるのかという点です。
今回は共同違反行為の点数計上の仕組みと、他の消防設備士をそそのかした側も同じ扱いになる理由もあわせて解説します。
違反点数って、ひとりで違反したときの話ですよね。
いえ、複数人が関わったときの数え方も決まっているんです。
2人で違反したら、点数も半分ずつになるんですか。
いいえ、分け合いません。
仕組みを見ていきましょう。
- 消防設備士の違反点数は基礎点数+事故加点で算出され、過去3年以内の合計(措置点数)が20点で返納命令の対象になる
- 2以上の消防設備士による共同違反行為は、関わった全員に違反点数が満額で計上される(人数で割らない)
- 他の消防設備士をそそのかして違反行為を行わせた者も、共同違反行為を行った者として同じ扱いを受ける
- 2種類以上の免状を持つ場合、違反点数はすべての免状の種類等ごとに計上される
- 正当防衛・無過失など4つの事由に該当する場合は違反点数を計上しない
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目次
消防設備士免状の点数はどうやって返納命令のラインに積み上がるのか

消防設備士が消防法令に違反すると、その違反行為ごとに点数が算出されます。
免状の返納命令に直結する数字なので、まずはその積み上がり方を押さえておきます。
違反点数は基礎点数+事故加点で決まります。
基礎点数は違反行為の種類ごとに、事故加点は違反と因果関係のある人身事故・災害事故の程度に応じて加算されます。
つまり一回の違反ですぐに免状が無くなるわけではなく、過去3年分の点数を合計した「措置点数」が20点に達したときに返納命令の対象になる、という積み上げ式の仕組みです。
一発アウトではなく、3年分を積み上げていくんですね。
はい、過去3年分の合計で判断されます。
技術基準違反と点検基準違反はなぜ点数が二段階に分かれているのか

基礎点数は違反行為の種類ごとに決まっていますが、同じ種別の違反でも点数が変わる場合があります。
代表例が技術基準違反の工事・整備実施と、点検基準違反の点検実施です。
同じ「工事・整備」「点検」の違反でも、消防用設備等の機能・効用が著しく損なわれているかどうかで点数が2倍以上変わります。
点検結果報告書に事実と異なる記載をすること自体が独立した違反行為として点数化されている点は、試験結果報告書を作成・提出する消防設備士にとって見落としやすいところです。
点検結果をごまかす記載も、それ単体で違反になるんですね。
はい、報告書の記載内容そのものが問われます。
2以上の消防設備士が一緒に違反したとき点数はどう数えるのか

ここからが本題です。
ひとりで起こした違反であれば基礎点数と事故加点を合計するだけですが、2人以上の消防設備士が一緒に違反した場合はどう数えるのでしょうか。
共同で違反した場合、点数は人数で割られず、関わった全員にそれぞれ満額の違反点数が計上されます。
2人で違反したからといって、1人あたりの点数が半分になるわけではありません。全員がそれぞれ、ひとりで違反したのと同じ点数を科されます。
人数が増えるほど、割り引かれるどころか厳しくなるんですね。
はい、全員に満額というのがポイントです。
自分は手を下さず人にやらせただけでも共同違反行為になるのはなぜか

さらに運用基準は、直接手を下さなかった人についても踏み込んだ扱いを定めています。
自分では工事や点検を行わず、他の消防設備士に違反行為をそそのかしただけの立場であっても、実行者と同じ「共同違反行為を行った者」として扱われ、同じ違反点数が計上されます。
下請けや後輩の消防設備士に無理な指示を出す側にも、実行者と同じ点数がそのままかかる仕組みになっている、ということです。
指示しただけの立場でも、逃げ道にはならないんですね。
はい、そそのかした側も同じ扱いです。
免状の種類ごとの計上と、点数を計上しない4つの除外事由は何か

最後に、実務でつまずきやすい周辺ルールを押さえておきます。ひとつは複数の免状を持っている場合の扱いです。
甲種第一類と乙種第四類など複数の区分の免状を持っている場合、原則として違反点数はすべての免状の種類ごとに計上されます。
ただし講習を受け忘れた場合(消防設備士講習受講義務違反)だけは、その講習に関係する免状の種類にのみ点数が計上されるという例外があります。
この4つに該当すれば、そもそも違反点数は計上されません。
共同違反行為も、教唆も、免状ごとの計上も理由がよく分かりました。
はい、誰が指示したかまで見られている点が要注意です。
よくある質問
まとめ
共同違反行為の扱いがよく分かりました。
消防用設備等の点検・届出まで含めてお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条の7第2項、第13条の2第5項・第6項(免状の返納命令)
- 消防法第17条の12(誠実業務実施義務)、第17条の10(講習)、第17条の13(携帯義務)、第17条の14(着工届出義務)、第17条の5(無資格工事の禁止)
- 消防設備士免状の返納命令に関する運用について(平成12年3月24日消防予第67号)、同通知に定める「消防設備士免状の返納命令に関する運用基準」第3・第4・第6、別表第1・別表第2
※本記事は公表されている法令および消防庁通知に基づく一般的な解説です。個々の違反の該当性や点数の算定は所轄の都道府県が個別に判断します。実際の事案については免状を交付した都道府県知事にご確認ください。





