高速道路のサービスエリアや道の駅、フリートの営業所など、急速充電器を見かける場所が増えてきました。
充電器の型は年々複雑になっていて、複数の車を同時に充電できる機種や、ケーブル自体を液体で冷やす機種も出てきています。
火災予防条例(例)は、この機能の違いに応じて、自動的に止める条件を追加で求めています。
この記事では複数充電と液冷ケーブルという2つの機能に絞って、追加でかかる基準を条文から解説します。
うちの駐車場に急速充電器を入れる話が出ています。
基準は複雑なのでしょうか。
基本の項目は共通ですが、機種の機能によって項目が増えます。
機能によって、というのはどういうことですか。
複数の車を同時に充電できる機種と、そうでない機種で確認する項目が違うんです。
- 急速充電設備には漏電や制御異常を検知して止める基本の項目が機種を問わず共通で決まっている
- 複数のケーブルで同時に充電できる機種には、開閉器の異常を検知する項目が追加される
- 充電用ケーブル自体を液体で冷やす機種には、流量と温度を検知する項目が追加される
- 複数のケーブルがあっても同時に充電できない機種は追加項目の対象にならない
- 機種の仕様書を見て、どの項目まで当てはまるかを確認する必要がある
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目次
急速充電器の基準はなぜ項目ごとに分かれているのか

急速充電器は、単純な一本ケーブルの機種だけではありません。
複数の車を同時に充電できる機種や、ケーブル自体を液冷する機種も出てきています。
全出力20キロワット以下のものはそもそも急速充電設備に当たらないので、まず仕様書のこの欄を見ることになります。
当たるものについては、漏電や制御異常を検知して止める項目が機種を問わず共通で決まっています。
そのうえで、同時充電の機能や液冷ケーブルを持つ機種だけに、もう二つの項目が追加されます。
この記事では、その追加される二つの項目に絞って解説します。
基本の項目に加えて、追加の項目があるということですね。
そうです。
機種が複雑になるほど、確認する項目も増える仕組みです。
追加の項目はどんな急速充電器が対象になるのか

追加の二つの項目は、条文の書き出しに「あっては」という限定が付いています。
その限定に当たらない機種には、そもそも項目自体がかかりません。
ケーブルが複数本あるだけでは足りず、同時に充電できることが条件になっています。
第14号も同じ形で、充電用ケーブルを液体で冷やす機能を持つ機種だけを対象にしています。
どちらも「〜にあっては」という限定がついた号なので、当たらない機種にはこの二つはかかりません。
機能を持っていなければ、この二つは関係ないのですね。
条文がそう限っています。
機能の有無を仕様書で確認するのが先です。
液冷ケーブルと同時充電はどこまで自動停止を求めているのか

条文は、対象になったあとに何を検知して止めるのかまで書き分けています。
どちらも自動的に検知する構造としたうえで、異常を検知したら止めるという同じ形です。
第14号は液体の流量と温度、第15号は複数のケーブルの出力を切り替える開閉器の異常です。
第14号にはもう一つ、液体が漏れても内部基板に影響を与えない構造にすることという、検知に頼らない備えも書かれています。
つまり同時充電の機種は、複数のケーブルを切り替えるという仕組みそのものが新たな異常源になるという考え方です。
切り替える仕組みがあるから、そこも見るのですね。
そうです。
基本の項目にはないその機種だけの部分を見ています。
複数のケーブルがあれば必ず追加項目の対象になるのか

ここが見落としやすい場所です。
複数のケーブルを持つ機種でも、必ず第15号の対象になるとは限りません。
複数のケーブルを持っていても、内部の変圧の仕組みを共有していて一台ずつ順番にしか充電できない機種もあります。
その機種は複数のケーブルを持っていても、同時に充電する機能そのものを持たないので、第15号の対象になりません。
同じことは第14号にも当てはまり、本体の内部を液冷していても、充電用ケーブル自体を冷やしていなければ対象になりません。
見た目が似た機種どうしでも、この機能の有無で確認する項目が変わります。
見た目だけでは判断できないということですか。
ケーブルの本数だけでは決まりません。
機能そのものを仕様書で確かめる必要があります。
明日からどこを確認すればよいのか

条文の分かれ方が分かれば、現場で見る順番も決まります。
仕様書で機能を確認してから、現物の周囲を見るという二段になります。
複数ケーブルの同時充電機能と、充電用ケーブルの液冷機能の有無を、それぞれ確認します。
機能があれば、開閉器や流量・温度の検知の措置が実際に備わっているかをメーカーの資料で確認します。
そのうえで現物では、周囲に油ぼろなどの可燃物を放置していないか、換気と点検のための空間が確保されているかを見ます。
機種による違いを整理しておくと、点検のたびに仕様書を読み直す手間が減ります。
まず仕様書の機能を見ればよいのですね。
そこで機能が無ければ追加の号は当たりません。
周囲の可燃物と換気だけは機種を問わず見ておいてください。
よくある質問
まとめ
まず仕様書の機能の欄から確かめてきます!
同時充電と液冷ケーブルの有無で読む号が決まります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条
- 火災予防条例(例)について(昭和36年11月22日 自消甲予発第73号 消防庁長官通知)第11条の2第1項第14号・第15号
- 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第16条
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





