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液化石油ガスの契約はなぜ書面が交付されるのか|書かれる項目と交付されない場合の対応を解説

液化石油ガスの契約はなぜ書面が交付されるのかを解説するアイキャッチ画像

液化石油ガスの供給契約を結んだとき、ガス会社から分厚い書面を渡された経験はありませんか。
実はあの書面、液化石油ガス法第十四条によって交付が義務付けられているものです。
では、もしその書面をもらえなかったら、その場ですぐに法律違反になるのでしょうか。
本記事では液化石油ガス法第十四条を取り上げ、書面に書かれる項目と、交付されない場合にどうなるのかを解説します。

うちの建物でLPガスの契約をしたとき、たしかに分厚い書類を受け取りました。
正直、あまりしっかり見ていませんでした。

実は5つの記載事項が法律で決まっています。
順番に見ていきましょう。

もし今度、書面をもらえなかったらどうなるのか、少し不安になってきました。

実は交付されないことそのものには、すぐには罰則がありません。
その仕組みから見てみましょう。

この記事の結論
  • 液化石油ガス販売事業者は一般消費者等と販売契約を結んだとき、遅滞なく書面を交付しなければなりません
  • 書面にはガスの種類・引渡しの方法・供給設備等の管理方法など、法律で定められた事項を記載します。
  • 消費者が承諾すれば、紙の書面に代えて電子的な方法で提供することも認められています
  • 書面を交付しないこと自体には直接の罰則がなく、まず経済産業大臣等による是正命令が先に来ます。
  • ところがその命令に従わなければ、三十万円以下の罰金の対象になります

液化石油ガス法第十四条の書面交付義務と是正命令に従わない場合の罰則を示す図解

液化石油ガスの契約でなぜ書面を交付しなければならないのか

配送トラックとLPガスタンクを設置した住宅に赤い封印のある一枚の書面を添えたイラスト
液化石油ガスは配管でつながる都市ガスと違い、供給設備も消費設備も個々の住戸ごとに設置されます。
契約の中身が口約束だけでは、あとから食い違いが起きやすくなります。
液化石油ガス法第十四条第一項(要旨) 液化石油ガス販売事業者は、一般消費者等と液化石油ガスの販売契約を締結したときは、遅滞なく、次の事項を記載した書面を当該一般消費者等に交付しなければならない。(略)
液化石油ガス法は、契約の中身を書面に残すことをガス会社側の義務にしています。
消費者は供給設備を所有せず、点検や調査の担い手もガス会社まかせになりがちなので、誰が何をどこまでやるのかを最初に文書で確認できるようにする狙いがあります。
交付のタイミングは契約を結んだ直後で、後回しにすることは認められていません。
では、実際にどんな契約でこの義務が生じるのか、次で確認しましょう。

口約束だけだと、あとで言った言わないになりそうですもんね。
この書面はどんな契約でも渡されるんでしょうか。

実は契約を結んだ後の変更時にも同じ義務があります。
次はその範囲を見てみましょう。

書面が交付されるのはどの契約のどの相手なのか

LPガスタンクのある住宅と重なる二枚の書面を並べたイラスト
書面が必要になるのは、契約を結んだ最初の一回きりではありません。
条文を確認しましょう。
液化石油ガス法第十四条第一項(要旨) (略)当該交付した書面に記載した事項を変更したときは、当該変更した部分についても、同様とする
この義務の相手は「一般消費者等」、つまり液化石油ガスの供給を受ける契約者本人です。
そして交付が必要になる場面は、契約を結んだときだけでなく、記載事項を変更したときにも及びます。
供給設備の管理方法や調査の担当者が変わったのに書面を更新しないままにしておくと、消費者の手元にある情報が実態と食い違ったままになってしまいます。
この書面には具体的にどんな内容を書くことになっているのか、次で見ていきましょう。

担当が変わったときにも書面をもらえるのは安心ですね。
そもそも書面には何が書かれているんでしょうか。

実は5つの項目が条文に列挙されています。
一つずつ確認しましょう。

書面にはなにを書かなければならないのか

開いた書面を中心にLPガスタンクと配管ゲージと認定証を並べたイラスト
記載事項は条文に一号ずつ番号を振って列挙されています。
中身を確認しましょう。
液化石油ガス法第十四条第一項(要旨) 一 液化石油ガスの種類 二 液化石油ガスの引渡しの方法 三 供給設備及び消費設備の管理の方法 四 調査の方法及び周知の方法 五 当該一般消費者等について保安業務を行う認定を受けた者の氏名又は名称 六 前各号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項
法律が直接列挙しているのは、ガスの種類から認定業者の氏名までの5つの項目です。
このうち四号の調査・周知の方法五号の認定業者の氏名は、供給設備や消費設備を定期的に点検する保安業務の担い手を消費者に知らせる項目で、点検にだれが来るのかが分かる部分に当たります。
残る六号は、法律ではなく経済産業省令にゆだねられた追加の記載事項で、内容は省令の改正によって変わり得ます。
これだけ具体的な項目が並んでいるのに、渡されなかった場合はどうなるのでしょうか。

調査に来る会社の名前まで書かれているとは知りませんでした。
もしこれをもらえなかったら、罰則があるんですか。

実は思っているより一段階遠い仕組みになっています。
次はその落とし穴を見てみましょう。

書面をもらえなければすぐに法律違反になるのか

地面に置かれた丸めた書面と拡声器を掲げた官公庁の建物を並べたイラスト
書面を交付しない販売事業者に対して、法律はどう対応するのでしょうか。
条文を比べてみましょう。
液化石油ガス法第十四条第二項 経済産業大臣等は、その登録を受けた液化石油ガス販売事業者が前項の規定に違反した場合においては、当該液化石油ガス販売事業者に対し、同項の規定による書面を交付し、又は同項各号に掲げる事項を記載した書面を再交付すべきことを命ずることができる
液化石油ガス法第百条(要旨) 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。一 第十四条第二項の規定による命令に違反したとき。二 第十六条第一項又は第二項の規定に違反したとき。(略)
書面を交付しないこと自体には、直接の罰則がありません。
まず経済産業大臣等が交付・再交付を命じるという一段階が入り、その命令に従わなかった場合にはじめて三十万円以下の罰金の対象になります。
これに対して、貯蔵施設の技術基準を定める第十六条は、命令を待たずに違反そのものが直接罰則の対象になる仕組みで、同じ第百条の中でも構造が異なります。
「書面が来ないのはよくあること」と放置していると、是正命令が出た段階で一気に法的な緊張感が高まることになります。

すぐに罰則があるわけではないんですね。
でも命令が出てからでは遅い気がします。

契約時に書面を確認する習慣をつけるのが一番です。
次はやることを整理しましょう。

契約時になにを確認しておけばよいのか

虫眼鏡で書面を確認する場面とダイヤル式電話を並べたイラスト
制度の全体像が分かったところで、実務に落とし込みましょう。
最後に、紙以外での交付についても確認しておきます。
液化石油ガス法第十四条第三項(要旨) 液化石油ガス販売事業者は、前二項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、一般消費者等の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の方法により提供することができる。
契約時にはまず、書面(または承諾した場合の電子データ)が渡されたかどうかを確認してください。
特に調査・周知の方法認定業者の氏名の欄は、今後だれが点検に来るのかを示す部分なので、目を通したうえで保管しておきましょう。
電子データでの提供は消費者の承諾が前提であり、承諾していないのに一方的にメールだけで済まされている場合は注意が必要です。
書面が来ないときは、まず販売店に請求し、それでも改善されなければ登録行政庁(経済産業局等)に相談できます。

今度契約書を見直すときは、調査の担当者の欄を必ず確認します。

書面を保管しておくことが後々のトラブルを防ぎます。
次によくある質問をまとめます。

よくある質問

Q書面はいつ渡されますか?
A液化石油ガス法第十四条第一項により、販売契約を締結した後、遅滞なく交付することとされています。
Q書面の内容が変わったら、また渡してもらえますか?
Aはい。液化石油ガス法第十四条第一項により、記載事項に変更があった部分についても、同様に書面が交付されます
Q紙をもらえず、メールだけで済まされても問題ないですか?
A液化石油ガス法第十四条第三項により、消費者本人が承諾していれば電子的な提供でも交付とみなされます。承諾していないのに一方的に済まされている場合は確認が必要です。
Q書面をもらえないときはどこに相談すればよいですか?
Aまずは販売店に請求し、それでも改善されないときは登録行政庁に相談できます。行政は液化石油ガス法第十四条第二項により是正命令を出す権限を持っています。

まとめ

液化石油ガス販売事業者は一般消費者等と販売契約を結んだとき、遅滞なく書面を交付しなければなりません
記載事項に変更があった部分についても、同様に書面を交付する必要があります。
書面には、ガスの種類・引渡しの方法・供給設備等の管理方法・調査と周知の方法・認定業者の氏名という5つの項目を記載します
消費者の承諾があれば、紙に代えて電子的な方法で提供することも認められています。
書面を交付しないこと自体には直接の罰則がなく、まず経済産業大臣等の是正命令が先に来ます
その命令に従わなければ三十万円以下の罰金の対象になり、貯蔵施設の技術基準(第十六条)とは罰則の構造が異なります。
契約時には書面の有無と記載内容を確認し、来なければ販売店、それでも改善されなければ登録行政庁に相談してください

書面がなぜ渡されるのか、よく分かりました!
今度は記載事項をきちんと確認してみます。

契約書面のチェックが一番の備えになります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(昭和42年法律第149号)第14条・第16条・第100条

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の判断については登録行政庁または所轄の消防署にご確認ください

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