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イベント民泊はなぜ年1回から年数回に増えても旅館業に当たらないのか|頻度要件の改訂と消防予第2号の回答を解説

イベント民泊の家の玄関先、夕暮れに灯りがともる様子

イベント民泊は年1回までしか開けないと思い込んでいませんか。
平成29年に観光庁・厚生労働省のガイドラインが改訂され、頻度の目安は年数回程度に広がりました。
きっかけは、イベント開催時の宿泊施設不足が各地で深刻になっていたことでした。
実はこの改訂、消防法令上の扱いまで変わったのかどうかは、消防庁の回答が出るまで誰も確定できませんでした。

「年1回」って聞いていたのに、もう何度もイベントで家を貸してる自治体があるって本当ですか。

実は平成29年の事務連絡で「年数回程度」に改訂されたんです。

じゃあ消防法上の扱いも、回数が増えた分だけ重くなるんでしょうか。

消防予第2号の回答を、順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 平成28年の消防予第106号は、年1回(2~3日程度)のイベント開催時に限りイベント民泊を消防法施行令別表第1(5)項イに該当しないものとして扱うよう示しました。
  • 平成29年7月10日の事務連絡で、宿泊施設のニーズの高まりを踏まえガイドラインが改訂されました。
  • 頻度の目安は「年1回」から「年数回程度(2~3日程度)」に広がりました。
  • 消防法令上の扱いも同じでよいかという問いに、消防庁は平成30年消防予第2号で「差し支えない」と回答しました。
  • 回数が増えても、住宅用火災警報器の設置・維持と消火器の設置推奨という軽い扱いは変わりません。

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イベント民泊の年1回から年数回程度への頻度改訂と消防法令上の扱いが変わらないことを示す図解

イベント民泊はなぜ年1回という条件では足りなくなったのか

満室の宿泊施設の隣で一般家屋が旅行者を迎え入れる様子のイラスト
イベント民泊は、宿泊施設が足りない地域を自治体と自宅提供者が支える仕組みです。
まずは、頻度の目安が見直された理由を確認します。
(イベント民泊における防火安全対策の推進について 平成28年4月1日 消防予第106号)年1回のイベント開催時に自治体の要請等により自宅を旅行者に提供する行為(以下「イベント民泊」という。)について、今般、観光庁観光産業課及び厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部生活衛生課において「イベント民泊ガイドライン」がとりまとめられ(略)通知されましたので、お知らせします。
(イベント民泊ガイドラインの改訂について 平成29年7月10日 観光庁観光産業課・厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部生活衛生課 事務連絡)今般、大規模なイベントの開催時における宿泊施設のニーズが高まっていること等を踏まえ、イベント民泊をより有効に活用できるよう、ガイドラインを別添のとおり改訂しましたので(略)。
イベント民泊は、もともと年1回のイベント開催時だけを想定した仕組みでした。
きっかけは平成28年の消防予第106号で、消防法施行令別表第1(5)項イに該当しないものとして扱うと示されたことです。
その後、各地で宿泊施設のニーズの高まりが続き、年1回という頻度では地域の実情に対応しきれなくなりました。
そこで平成29年7月、観光庁と厚生労働省がガイドラインを改訂し、イベント民泊をより有効に活用できるようにしました。
次は、改訂後にどこまで対象が広がったのかを確認します。

年1回だけの制度だと思っていたので、改訂があったとは知りませんでした。

宿泊施設のニーズの高まりが改訂のきっかけです。
次は対象の広がりを見ていきましょう。

イベント民泊の対象はどこまで広がったのか

自治体庁舎とお祭り会場の旗と差し出される家のイラスト
対象になるのは、どんなイベントの、どんな自宅提供なのでしょうか。
ガイドラインが示す3つの要素を確認します。
(イベント民泊ガイドライン 平成28年4月1日 一部改訂 平成29年7月10日)イベント民泊とは、「i)年数回程度(1回当たり2~3日程度)のイベント開催時であって、ii)宿泊施設の不足が見込まれることにより、iii)開催地の自治体の要請等により自宅を提供するような公共性の高いもの」について、「旅館業」に該当しないものとして取り扱い(略)。
(同ガイドライン)事務連絡においては、イベントの日数について「2~3日程度」としていますが、これはあくまで目安であり、必ずしもイベント開催期間が3日以内でなければイベント民泊として認められないということではありません。
対象になるかどうかは、頻度・不足の見込み・自治体の要請という3つの要素で決まります。
年数回程度(1回当たり2~3日程度)という日数はあくまで目安で、超えたら即対象外になるわけではありません。
地域のお祭りや花火大会に限らず、国際会議や展示会など公共性が認められるイベントも対象に含まれます。
ただし自治体が主導し、宿泊施設の不足を補うという位置づけは変わりません。
次は、消防法令上の扱いが具体的に何が変わって何が変わらないのかを見ていきます。

2泊3日のお祭りだと思っていたら、4日目まで延びることもありそうです。

日数はあくまで目安です。
次は消防法令上の扱いを確認しましょう。

消防法令上の扱いは何が変わって何が変わらないのか

住宅用火災警報器と消火器が置かれた一般家屋の居間のイラスト
頻度の目安が広がっても、消防法令の扱いまで変わったのでしょうか。
消防庁への問いと回答を確認します。
問22 平成28年4月1日付消防予第106号にて、イベント民泊ガイドラインに基づき、イベント民泊の消防法令における用途の取扱いが示されており、「年1回(2~3日程度)のイベント開催時」における使用であれば令別表第1(5)項イに該当しない旨が示されている。しかしその後、観光庁及び厚生労働省から平成29年7月10日付事務連絡にて、イベント民泊ガイドラインの改訂が示され、その中で「年数回程度(2~3日程度)のイベント開催時」と改められているが、消防法令上の取扱いも同じように改めて運用してよいか。
答22 差し支えない。
消防庁は、頻度が年数回に増えても消防法令上の扱いを変えなくてよいと回答しました。
つまり、年数回程度(2~3日程度)のイベント開催時であれば、引き続き消防法施行令別表第1(5)項イに該当しないまま扱われます。
自動火災報知設備等が設置されていなければ、市町村の火災予防条例に基づく住宅用火災警報器の設置・維持と、消火器の設置が推奨される点も変わりません。
つまり回数が増えたからといって、旅館やホテル並みの設備が急に必要になるわけではないということです。
次は、この扱いの中で見落としやすい点を確認します。

回数が増えた分、自動火災報知設備まで必要になるのかと身構えていました。

いいえ、住宅用火災警報器と消火器の扱いのままです。
次は見落としやすい点を見ていきましょう。

イベント民泊の運用で見落としやすいのはどこか

注意喚起リーフレットの最終ページを指し示す人物と家屋のイラスト
扱いが変わらない分、かえって見落としやすい点があります。
注意喚起リーフレットの使い方を確認します。
(イベント民泊における防火安全対策の推進について 平成28年4月1日 消防予第106号)「民泊サービス」を提供する場合の注意喚起リーフレットの送付について(平成28年3月30日付け事務連絡)により送付したリーフレットを適宜活用するなどして、火災危険性に関する注意喚起を行うよう指導されたいこと。なお、当該リーフレット本体の最終ページに消防用設備等の設置等に係る記載があるが、イベント民泊は該当しないため留意されたいこと。
注意喚起リーフレットは活用してよいものの、最終ページの記載はそのまま当てはめてはいけません。
リーフレット最終ページには消防用設備等の設置等に関する記載がありますが、これはイベント民泊には該当しないと明記されています。
活用してよいのは、あくまで火災危険性に関する注意喚起の部分です。
古いリーフレットや資料を見比べて運用していると、この除外を見落としたまま重い基準を当てはめてしまいかねません。
次は、明日から確認すべき手順を整理します。

リーフレットの最後のページ、そのまま参考にしようとしていました。

そこだけはイベント民泊に当てはまりません。
次は確認の手順を整理しましょう。

明日から何を確認すればよいのか

自治体窓口でチェックリストを確認する人と消防署へ電話で相談する人のイラスト
最後に、開催前に確認しておきたい手順を整理します。
自宅提供者と自治体の両方の視点で見ていきます。
(消防法施行令別表第1)(5)項イ 旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの
まず、今回のイベント開催が年数回程度(2~3日程度)の範囲に収まっているかを自治体の担当部署と確認します。
宿泊者の入れ替わりがない態様かどうかも、日数の目安とあわせて確認しておきたい点です。
自動火災報知設備等が無い自宅では、住宅用火災警報器の設置・維持と消火器の設置を済ませておきます。
注意喚起リーフレットは火災危険性の部分だけを活用し、最終ページの消防用設備等の記載は使いません。
疑問が残る点は、開催前に所轄の消防署へ相談しておくと安心です。

自治体の担当部署に、まず日数の範囲から確認してみます。

所轄の消防署への相談も忘れずに。
よくある質問もあわせてご確認ください。

よくある質問

Qイベント民泊は今でも年1回までしか開けないのですか?
Aいいえ。平成29年7月10日付の事務連絡でガイドラインが改訂され、頻度の目安は年数回程度(2~3日程度)に広がりました。消防法令上の扱いも、消防予第2号の回答で変わらないことが確認されています。
Qイベントの開催期間が3日を超えたら対象外になりますか?
A必ずしもそうではありません。「2~3日程度」はあくまで目安で、宿泊者の入れ替わりがない態様であれば3日を超えても対象になり得ます。
Qイベント民泊の自宅には自動火災報知設備が必要ですか?
A必要ありません。自動火災報知設備等が設置されていない場合は、住宅用火災警報器の設置・維持と消火器の設置が求められるにとどまります。
Q「民泊サービス」リーフレットの最終ページに書かれた消防用設備等は、イベント民泊にも当てはまりますか?
A当てはまりません。消防予第106号は、リーフレット最終ページの消防用設備等の記載はイベント民泊には該当しないと明記しています。

まとめ

✔平成28年の消防予第106号は、年1回(2~3日程度)のイベント開催時に限りイベント民泊を消防法施行令別表第1(5)項イに該当しないものとして扱うよう示しました。
✔きっかけは、各地で続いた宿泊施設のニーズの高まりでした。
✔平成29年7月10日の事務連絡で、ガイドラインの頻度の目安は年数回程度(2~3日程度)に改訂されました。
✔「2~3日程度」はあくまで目安で、宿泊者の入れ替わりがない態様であれば3日を超えても対象になり得ます。
✔消防法令上の扱いも同じでよいかという問いに、消防庁は平成30年消防予第2号で「差し支えない」と回答しました。
✔回数が増えても住宅用火災警報器の設置・維持と消火器の設置推奨という扱いは変わりません。
✔「民泊サービス」リーフレット最終ページの消防用設備等の記載はイベント民泊には該当しない点に注意が必要です。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • イベント民泊における防火安全対策の推進について(平成28年4月1日 消防予第106号)
  • イベント民泊ガイドラインの改訂について(平成29年7月10日 観光庁観光産業課・厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部生活衛生課 事務連絡)
  • 住宅宿泊事業法等に係る執務資料の送付について(平成30年1月9日 消防予第2号)問22・答22
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)別表第1(5)項イ

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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