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ポンプの逃し配管は手動の弁でもよいのか|昭和の質疑で試験配管と耐圧検査とフート弁の扱いも解説

灰色の電動ポンプの吐出側の鋼管から分岐した配管が、水色の小さな水槽へつながる機械室の写真

屋内消火栓のポンプには、締切運転をしても水が熱くならないようにする「逃し配管」を設けることになっています。
この逃し配管は、手で開ける弁でもよいのでしょうか。
昭和50年の消防庁の通知には、逃し配管の意味をはじめ、試験用の配管、配管の耐圧検査、フート弁の点検について答えた質疑が残っています。
この記事では、その質疑を五つの論点に分け、現行の条文に照らして読みます。逃し配管を自動式とする理由と、配管まわりの確かめ方を順に見ていきます。

逃し配管って、弁を手で開けるものじゃないんですか。

いいえ、質疑では自動式とされたいと答えています。
ほかにも、試験配管や耐圧検査の質疑があります。

なるほど、順番に知りたいです。

では、質疑の答えと条文を見比べていきましょう。
数字は、当時の単位のまま引いています。

この記事の結論
  • 逃し配管は、水温が上昇したときに自動的に開く弁を持つ配管などをいうと答えています
  • 逃し配管も、規定圧力を超えないための措置も、自動式とされたいと答えています
  • 定格負荷運転の試験は、吐出側の放水管に揚程と揚水量を確認できる措置を講ずればよいと答えています
  • 配管の耐圧検査は、配管に水を満たし、締切圧力の1.5倍の圧力を加えて水洩れ等を見ると答えています
  • 吸水管の下端のフート弁は、手動で開閉操作できる構造か、引き上げられる構造にするよう答えています

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ポンプまわり配管の五つの質疑として、逃し配管は水温上昇を防ぐ、逃し配管も圧力対策も自動式、試験配管は放水管で測る、耐圧は締切圧力の一・五倍、フート弁は点検できる構造、を並べた図解

ポンプの逃し配管とは、どんな配管をいうのか

灰色の床の上で、灰色の電動ポンプの出口から橙色の細い管が分かれて水色の小さな水槽へ戻っているイメージ
消防法施行規則第12条第1項第7号ハは、ポンプを用いる加圧送水装置に、締切運転時における水温上昇防止のための逃し配管を設けるよう定めています。締切運転とは、放水せずに弁を閉じたままポンプを回している状態です。このとき水が動かないため、ポンプの中で羽根が水をかき回し続けて水温が上がってしまいます。ところが条文は、逃し配管の中身までは書いていません。そこで、逃し配管とはどのようなものをいうのかが問われました。
問(要旨) 屋内消火栓設備の加圧送水装置に設ける、締切運転時の水温上昇防止のための逃し配管とは、いかなるものか。
答(要旨) 消防法施行規則第12条第7号ハに規定する逃し配管とは、加圧送水装置のポンプの吐出側に、水温が上昇した場合に自動的に開く弁を有する配管で、吐出側の水が水源水槽に流れて循環するため、ポンプ内の水温が一定値以上に上昇しないもの、又は、加圧送水装置が起動した場合に少量の水を呼水槽等へ流すことにより水温上昇を防止するものをいう。
(昭和50年6月16日消防安第65号・各都道府県消防主管部長あての回答)
逃し配管は、水温上昇を自動的に防ぐ配管をいうと答えています。
答えは、逃し配管を二つの型で示しています。一つは、水温が上昇したときに自動的に開く弁を持ち、吐出側の水を水源水槽へ戻して循環させる型です。もう一つは、ポンプの起動時に少量の水を呼水槽等へ流す型です。
なお、答えは、逃し水量の具体的な数値については、述べていません。水量の確かめ方は、点検の要領などで別に確かめてください。

水を逃がして、ポンプの中を熱くしないんですね。

答えは、水温上昇を自動的に防ぐ配管です。
逃し水量の数値までは、述べていません。

逃し配管と圧力超過の措置は、手動でもよいのか

灰色の床の上で、灰色のポンプの橙色の出口管に、小さな灰色の弁の箱が取り付けられているイメージ
次は、この逃し配管を動かす方法です。規則第12条第1項第7号ハは、逃し配管を「設けること」と書くだけで、手で開けるのか、自動で開くのかは書いていません。同じ第7号のホには、ノズルの先端における放水圧力が0.7メガパスカルを超えないための措置も定められています。この二つを、手動式と自動式のどちらにするかが、続けて問われました。
問(要旨) 1 消防法施行規則第12条第7号ハにより、加圧送水装置には締切運転時における水温上昇防止のための逃し配管を設けることとされているが、自動式か手動式か、又はいずれでもよいか。2 同号による加圧送水装置に設ける規定圧力を超えないための措置は、自動式か手動式か、又はいずれでもよいか。
答(要旨) 1、2ともに、自動式とされたい。
(昭和50年6月16日消防安第65号・各都道府県消防主管部長あての回答)
逃し配管も、規定圧力を超えないための措置も、自動式とされたいと答えています。
答えは、どちらの問いにも、手動やどちらでもよいとは答えず、自動式と一言で示しています。
なお、答えは、自動式にする具体的な機器の名前や方式までは、述べていません。また、現行の条文は、放水圧力の上限を0.7メガパスカルと書いており、当時の単位とは読み替えて確かめる必要があります。

人が弁を開けるのを待たず、自動で働く形なんですね。

答えは、どちらも自動式です。
機器の名前や方式までは、述べていません。

定格負荷運転の試験用配管は、どう組めばよいのか

灰色の床に沿って橙色の配管が真っすぐ延び、途中に丸い圧力計の箱と小さな灰色の弁が付いているイメージ
三つ目は、ポンプの性能を確かめる試験用の配管です。規則第12条第1項第7号ハは、定格負荷運転時のポンプの性能を試験するための配管設備を設けるよう定めています。定格負荷運転とは、設計で決めた揚程と揚水量で運転することです。ただし、条文は、どのような配管設備とすればよいかまでは書いていません。そこで、例示を求める質疑と、配管設備の内容を尋ねる質疑が出されました。
問(要旨) 1 消防法施行規則第12条第7号ハにより、加圧送水装置に設ける定格負荷運転時のポンプの性能を試験するための配管設備を例示されたい。2 同じく、どのような配管設備とすればよいか。
答(要旨) 1 定格負荷運転時のポンプ性能試験は、設計から求められた揚程及び揚水量を、実際に放水することなく随時試験するためのものであり、ポンプの吐出側から水槽への放水管を設け、この放水管に揚程及び揚水量を確認できる措置を講ずればよい。図はその例示である(流量は次式から求められる。Q=K√(P1-P2)。Q:流量(揚水量)、P1:a部分の圧力計の読み、P2:b部分の圧力計の読み、K:係数)。 2 加圧送水装置のポンプの吐出側に止水弁と分岐管を、当該配管には圧力計及び流量計を設け、当該ポンプの吐出量を計測できるものとされたい。
(昭和50年6月16日消防安第65号・各都道府県消防主管部長あての回答)
吐出側から水槽への放水管に、揚程と揚水量を確認できる措置を講ずると答えています。
答えは、実際に外へ放水しなくても、水を水槽へ戻しながら、圧力計と流量計で吐出量を計測できるようにすればよいとしています。例示の図では、二つの圧力計の読みの差から流量を求める式も示されています。
なお、答えは、図の例示以外の配管設備が認められないとまでは、述べていません。また、係数の値や、圧力計の単位は当時のもので、そのまま現在の点検に使えるとは限りません。

外へ放水せず、水槽に戻して測るんですね。

答えは、放水管に揚程と揚水量を確認できる措置を講ずる、です。
係数などは、当時のものです。

配管の耐圧は、どのように検査するのか

灰色の床に置かれた小さな手押しポンプが、橙色の長い配管へ水を押し込んでいるイメージ
四つ目は、配管の耐圧の検査方法です。規則第12条第1項第6号リは、配管の耐圧力を、その配管に給水する加圧送水装置の締切圧力の1.5倍以上の水圧を加えた場合に、その水圧に耐えるものと定めています。ただし、条文は、その耐圧を実際にどのように確かめるのかまでは書いていません。そこで、検査の方法が問われました。
問(要旨) 消防法施行規則第12条第6号リの配管の耐圧力は、締切圧力の1.5倍以上の水圧に耐えるものであることとあるが、検査の方法は、どうするか。
答(要旨) 配管に水を満たし、加圧送水装置等により締切圧力の1.5倍の圧力を加え、水洩れ等が生じないかどうかを検査されたい。
(昭和50年6月16日消防安第65号・各都道府県消防主管部長あての回答)
配管に水を満たし、締切圧力の1.5倍の圧力を加えて水洩れ等を検査すると答えています。
答えは、条文の1.5倍という数字を、実際の検査に落とした形です。加える圧力は、締切圧力の1.5倍で、見る内容は、水洩れ等が生じないかどうかです。
なお、答えは、圧力を保持する時間については、述べていません。時間は、所轄の消防署の指導などで確かめてください。

1.5倍の圧力をかけて、漏れがないかを見るんですね。

答えは、締切圧力の1.5倍を加えて、水洩れ等を検査する、です。
保持時間までは、述べていません。

吸水管の下端のフート弁は、どう点検できるようにするのか

水色の水槽が床に沈み、灰色の管の下端に丸い濃灰色のかごが付き、橙色のひもが床の紺色のフックへつながっているイメージ
最後は、フート弁の点検です。規則第12条第1項第6号ハは、水源の水位がポンプより低い位置にあるときは、吸水管にフート弁を設けるとし、そのフート弁は、容易に点検を行うことができるものであることを求めています。フート弁は吸水管の下端に付く弁で、水の逆流を止める役目があります。下端は水の中にあるので、そのままでは点検しにくいはずです。そこで、吸水管の下端に設けた場合、この規定に適合するのかが問われました。
問(要旨) 消防法施行規則第12条第6号ハ(ハ)の「フート弁は、容易に点検を行うことができるものであること」と定められているが、吸水管の下端に設けられた場合、これに適合すると解してよいか。
答(要旨) フート弁を手動で開閉操作できる構造、又は、フート弁を引き上げることができる構造としなければならない。
(昭和50年6月16日消防安第65号・各都道府県消防主管部長あての回答)
吸水管の下端に設けただけでは足りず、手動で開閉できるか引き上げられる構造にするよう答えています。
答えは、「容易に点検を行うことができる」とは、手動で開閉操作できる構造か、引き上げることができる構造を指すとしています。
なお、答えは、引き上げの具体的な方法や、点検の頻度については、述べていません。

水の中に付けっぱなしでは、点検できませんもんね。

答えは、手動で開閉できるか、引き上げられる構造です。
引き上げの方法までは、述べていません。

よくある質問

Q逃し配管は、なぜ必要なのですか?
A規則第12条第1項第7号ハは、加圧送水装置に、締切運転時における水温上昇防止のための逃し配管を設けるよう定めています。放水せずにポンプを回すと、ポンプ内の水温が上がってしまうためです。
Q逃し配管は、手動の弁でもよいのですか?
A質疑の答えは、逃し配管について自動式とされたいとしています。個別の設備の扱いは、所轄の消防署に確かめてください。
Q配管の耐圧は、何倍の圧力で確かめますか?
A規則第12条第1項第6号リは、加圧送水装置の締切圧力の1.5倍以上の水圧に耐えるものと定めています。質疑の答えは、水を満たして1.5倍の圧力を加え、水洩れ等を検査するとしています。
Q質疑の回答は、今もそのまま使えますか?
A質疑の回答は昭和50年のものです。その後の改正で変わっている条文や運用があります。単位も当時のものです。現行の令、規則、告示と、所轄の消防署の運用に確かめてください。

まとめ

✔逃し配管は、水温上昇を自動的に防ぐ配管をいうとされた
✔逃し配管も、規定圧力を超えないための措置も、自動式とされたいとされた
✔定格負荷運転の試験は、放水管に揚程と揚水量を確認できる措置を講ずればよいとされた
✔配管の耐圧は、水を満たして締切圧力の1.5倍を加え、水洩れ等を検査するとされた
✔フート弁は、手動で開閉操作できるか、引き上げることができる構造にするとされた
✔質疑は昭和50年のもの。現行の条文と運用は、その後の改正で変わっている場合がある
✔自分の建物の設備の扱いは、所轄の消防署に確かめる

逃し配管も試験配管も、質疑で確かめ方まで示されていたんですね。
まずは、うちのポンプの逃し配管が自動式か見てみます!

進める前に、所轄の消防署へ確かめておくのが安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第12条第1項第6号ハ・リ、第7号ハ・ホ
  • 消防庁の通知・回答(昭和50年6月16日消防安第65号)

※本記事は公表されている法令および通知に基づく一般的な解説です。掲載した回答は発出当時のもので、条番号や言葉づかい、単位等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄の消防署にご確認ください。

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