マンションや雑居ビルの一室で開く認可外の保育施設にも、消防の目は届いています。
建物全体にすでに統括防火管理者がいるから安心、とは限りません。
消防庁は平成13年、認可外保育施設の防火安全指導を旧通知から更新するかたちで通知を出しました。
共同住宅等の一部に入る認可外保育施設は、建物とは別に施設として防火管理者を選ぶよう求められています。
うちのマンションの1階で小さな保育ルームを開いています。
マンション全体の管理組合が防火管理者を選んでいるので、うちは何もしなくてよいと思っていました。
その認可外保育施設、建物とは別に防火管理者が必要です。
建物全体の管理者がいても、施設ごとの選任は免除されません。
知りませんでした。
消防計画も別に作るということでしょうか。
はい、消防計画も施設として独自に用意します。
消防庁の通知に沿って、順番に確認しましょう。
- 昭和56年の旧通知が更新され、「認可外保育施設に対する防火安全の指導について」(平成13年4月17日 消防予第127号)が発出されました
- 認可外保育施設は消防法施行令別表第一(6)項ハに該当し、同用途に必要な防火安全上の基準を満たすよう指導されます
- 共同住宅等の一部に入居する場合は、建物全体の統括防火管理者とは別に、施設として独自に防火管理者を選任しなければなりません
- この施設独自の消防計画は、厚生労働省の指導監督基準がいう「非常災害に対する具体的計画」と「定期的な訓練」を兼ねられます
- 消防機関が民生主管部局に施設情報を提供する際は、消防法第4条第4項が定める守秘義務に配慮することとされています
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目次
認可外保育施設の防火安全指導はなぜ通知で更新されたのか

その旧通知が平成13年に廃止され、新しい通知に置き換わりました。
保育行政を担う厚生労働省が、旧「無認可保育施設に対する指導監督の実施について」(昭和56年通知)を廃止し、「認可外保育施設に対する指導監督の実施について」という新しい指導監督基準を示しました。
消防庁もこれに呼応し、昭和56年の消防予第165号を廃止して平成13年の消防予第127号に置き換えています。
つまりこの通知は、単独の火災事故を受けたものではなく、保育行政側の制度変更に消防側が足並みをそろえた通知という位置づけです。
うちの施設は認可外なので、消防とは関係が薄いと思っていました。
認可の有無にかかわらず、建物である以上は消防法令の対象です。
厚生労働省側の基準とあわせて確認しましょう。
どの保育施設が対象になるのか

用途としての扱いは、消防法施行令が定める区分に沿って決まります。
通知が出た平成13年当時、令別表第一の(6)項は今ほど区分が細かくなく、通知本文でも当時の区分に沿って説明されていました。
その後の政令改正で(6)項の中身が再編され、保育所を含む児童福祉施設等は現在のハに位置づけられています。
現行の基準を確認するときは、古い通知の言い回しではなく、現行の別表第一(6)項ハで調べるようにしてください。
保育所という言葉は児童福祉法の話だと思っていました。
消防法にも出てくるんですね。
はい、児童福祉法上の施設種別と、消防法上の用途区分は別のルートで決まります。
両方を確認する必要があります。
通知は何を求めているのか

このうち、建物側にとって特に重要なのが3つ目の防火管理の徹底です。
共同住宅やビルでは、複数のテナントが同じ人物を防火管理者として共同選任し、ひとつの消防計画で運用していることがよくあります。
しかし認可外保育施設が入居する場合、その部分だけは施設として独自に防火管理者を選び、独自の消防計画を作成・届出しなければなりません。
建物全体の消防計画とは別物として作りながら、内容としては建物全体の防火管理業務と食い違わないよう調整することが求められています。
情報提供に関する項目では、消防機関が民生主管部局へ施設情報を伝えるとき、現行の消防法第4条第4項が定める守秘義務に配慮するとされています。
同じ人が管理する建物なら、まとめて1つの消防計画でよいと思っていました。
認可外保育施設の部分だけは、そこだけ別に作る必要があります。
建物全体の計画との整合は取りますが、届出は別です。
実務で見落としやすいのはどこか

見落としやすいのは、建物全体にすでに防火管理の仕組みがあるときの思い込みです。
建物に統括防火管理者がいると、入居する認可外保育施設の側は「うちは建物側にお任せしている」と誤解しがちです。
しかし通知が求めているのは、統括防火管理者とは別に、施設ごとの防火管理者を選任することです。
特に雑居ビルの一室やマンションの一部屋を使って保育施設を営むケースほど、この独自選任が抜け落ちやすくなります。
建物側の管理体制を確認したうえで、それとは別に自施設の防火管理者・消防計画があるかを必ず確認してください。
建物の管理会社が防火管理をしっかりやっているので、うちは大丈夫だと思っていました。
建物側がしっかりしていても、施設側の選任は別に必要です。
両方そろって初めて要件を満たします。
明日からなにを確認すればよいのか

自施設が認可外保育施設にあたる場合、次の順番で確認してください。 特別な工事や設備投資をしなくても、その場で確認できることばかりです。
まず自施設が消防法施行令別表第一(6)項ハに該当する用途であることを確認します。
次に、建物全体の統括防火管理者の有無にかかわらず、施設として独自に防火管理者を選任し届出しているかを確認します。
そのうえで施設独自の消防計画を作成し、建物全体の消防計画と内容が食い違っていないか調整します。
最後に、この消防計画が厚生労働省の指導監督基準がいう非常災害計画・定期訓練を兼ねられることを、保育施設側の書類にも反映しておくと二度手間になりません。
届出と消防計画さえ整えれば、二度手間にはならないんですね。
はい、消防と厚生労働省両方の要件を1つの計画でカバーできます。
まずは自施設の用途区分から確認してください。
よくある質問
まとめ
建物任せにせず、施設としての届出があるか確認してみます。
用途区分・防火管理者・消防計画の3点を順に確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 認可外保育施設に対する防火安全の指導について(平成13年4月17日 消防予第127号 消防庁予防課長通知)
- 認可外保育施設に対する指導監督の実施について(平成13年3月29日 雇児発第177号 厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)
- 消防法施行令別表第一(6)項ハ
- 消防法第4条第4項・第8条の2第1項
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





