二酸化炭素消火設備の点検は、消防法の点検要領だけを見ていればよいわけではありません。
設置する量や方式によっては、別の法律の許可や資格者の立会いまで関わってきます。
容器弁の抽出点検や警報装置の標識の寸法など、点検要領が定める細かな決まりも見過ごされがちです。
この記事では、点検要領と関連法令をもとに、意外と知られていない5つの視点を整理します。
うちの二酸化炭素消火設備、点検では容器弁や警報装置を見るだけだと思っていました。
消防法以外にも関係する法律があるんですか。
貯蔵する量が多いと、高圧ガス保安法の許可も必要になることがあります。
順番に見ていきましょう。
容器弁や警報装置の標識にも、細かい決まりがあるんですね。
はい、点検要領が定める5つの視点を、今日はまとめてご説明します。
- 二酸化炭素の貯蔵量が高圧ガス300立方メートル(液化ガス3,000キログラム)以上になると、消防法とは別に高圧ガス保安法上の第一種貯蔵所の許可が必要になる。
- 容器弁の安全性点検は、型式ごとに製造年の古いものから順に抽出して行い、点検基準に定める年数内に全数の点検が完了するようにする。
- 低圧式の安全弁や圧力計の仕切弁を閉じる作業は、高圧ガス作業主任者の立会いのもとに行うことが望ましいとされている。
- 低圧式の自動冷凍機は、冷媒配管の覗き窓(リキッドアイ)に白い泡が1〜2分以上継続して見えないことを確認する。
- 警報装置の標識は、寸法縦270ミリメートル以上・横480ミリメートル以上、丸ゴシック体で文言まで定められている。
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目次
二酸化炭素の貯蔵所にはなぜ消防法と別の許可が必要になるのか

一定量を超えると、消防法施行規則だけでなく高圧ガス保安法にも関わってきます。
高圧ガス保安法は、容積300立方メートル以上の高圧ガスを貯蔵する施設を「第一種貯蔵所」として都道府県知事の許可の対象にしています。
液化ガスである二酸化炭素は、質量10キログラムを容積1立方メートルとみなして換算するため、300立方メートルは3,000キログラムに相当します。
この規模の貯蔵所には、事業所の境界を見やすく示す警戒標の掲示や、特定不活性ガスの貯槽であることが分かる識別の措置も求められます。
点検では、こうした消防法以外の表示や標識まで、適正に設けられているかを確認します。
容器がたくさんあるだけで、別の法律まで関係してくるんですか。
はい、300立方メートル(3,000キログラム)が境目です。
超えると都道府県の許可も必要になります。
容器弁の安全性点検はなぜ製造年の古いものから抽出するのか

点検要領は、型式ごとに一定の数を抽出して点検する方法を定めています。
点検基準が定める年数のうちに型式ごとの全数が点検を終えられるよう、抽出する本数を決めます。
抽出した容器弁等の判定は不良数が0のときに合格とし、不良が見つかった場合は抽出した容器弁等全数について不良項目を確認します。
点検項目は、外観・構造形状寸法・耐圧性能・気密性能・安全装置等作動・表示の6項目に分かれています。
製造年の古いものを優先するのは、経年劣化が進んでいる可能性の高い容器弁から確実に確かめるためです。
うちの容器弁、全部は点検していないと聞いて不安になりました。
型式ごとに古いものから抽出して、年数内に全数を点検する仕組みです。
抽出した中で不良が無ければ合格になります。
低圧式の安全弁はなぜ高圧ガス作業主任者の立会いが望ましいのか

圧力計や安全弁を点検するときには、現場での立会いについても留意事項があります。
低圧式の貯蔵容器は、高圧ガス保安法上の貯蔵所や製造所に該当する規模になりやすく、現場には高圧ガス作業主任者が選任されていることがあります。
安全装置、破壊板等に損傷や異物のつまりがないこと、警報装置が作動圧力の範囲内で作動することも、同じ点検の中で確かめます。
点検後は、安全弁や圧力計の仕切弁等を必ず「開」の状態に戻しておくことも留意事項に明記されています。
消防法の点検要領の中に、高圧ガス保安法の資格者が顔を出す場面がある点は見落としやすいところです。
作業主任者って、高圧ガス保安法の資格者のことですよね。
そうです。
立会いが望ましいとされているので、選任されている方がいれば声をかけておくと安心です。
低圧式はなぜ冷媒配管の覗き窓の泡まで確認するのか

点検要領は、冷凍機そのものの状態も細かく確認するよう定めています。
リキッドアイは冷媒配管に取り付けられた小さな覗き窓で、冷媒の流れを目で確かめるための部品です。
点検では、各種配管や本体に変形、損傷、著しい腐食、き裂、塗装のはく離、油漏れ等がないことも合わせて確認します。
冷凍機は架台等に確実に固定されていること、安全弁等の仕切弁等が「開」の位置にあることも判定方法に挙げられています。
目では見えにくい冷媒の状態を、覗き窓の泡という具体的な現象で判断する仕組みです。
冷凍機の中まで覗き窓で確認するなんて、知りませんでした。
泡が1〜2分以上続かないことが目安です。
冷媒の流れを目で確かめる工夫なんです。
警報装置の標識はどんな寸法と文言で決まっているのか

点検要領の図には、寸法や文言まで細かく示されています。
寸法は縦270ミリメートル以上・横480ミリメートル以上、生地は黄色、文字は黒色で、字体は丸ゴシック体と指定されています。
音響警報がサイレンやベルの場合は、文中の「放送を行います」を書き替えた、窒息の危険を伝える文言になります。
警報装置の外形点検では、こうした標識が必要な場所に設けられており、損傷や脱落、汚損がないことも確認します。
図まで決まっているのは、放出前に確実に危険を伝え、退避につなげるためです。
標識の字体まで決まっているとは思いませんでした。
丸ゴシック体で、1文字の大きさまで指定されています。
見やすさを優先した決まりです。
よくある質問
まとめ
二酸化炭素消火設備の点検、思っていたより関係する法令が広いんですね。
高圧ガス保安法との接点、しっかり確認します!
容器弁や警報装置の標識も、今日の内容を参考に確認してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条の3の3
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第19条、第31条の6
- 高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)第16条
- 一般高圧ガス保安規則(昭和41年通商産業省令第53号)第6条、第22条
- 消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第6 不活性ガス消火設備
- 消防用設備等の点検要領の一部改正について(平成26年3月31日消防予第138号)別添2
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。点検要領や関連法令は改正されることがあります。個別の判断は所轄消防署または専門機関にご確認ください。





