屋内消火栓の開閉弁は、床から手が届く低い位置に付けるものだと思われがちです。
しかし消防法施行規則第十二条第一項第一号は、天井に設ける道も認めています。
ただし天井に付けた瞬間、自動式にする義務や標示の方法まで芋づる式に変わります。
この記事では、開閉弁の位置と表示灯・標示のルールがどうつながっているのかを条文で確認します。
うちの開閉弁、低い位置に無くて天井に付いてるんですけど大丈夫でしょうか。
天井に付けること自体は認められていますよ。
ただし自動式という条件が一つ付きます。
条件って何ですか。
自動式にすることと、標示の方法が変わることです。
今日はその二つを確認しましょう。
- 屋内消火栓の開閉弁は床上一・五メートル以下の位置か天井のどちらかに設けられる
- ただし天井に設ける場合は、開閉弁を自動式にしなければならない
- 加圧送水装置の表示灯は号三ロ又はハ(イ)の赤色灯の点滅で代用できるときは省略できる
- 開閉弁を天井に設けると、通常のロの標示は使えず、床上一・五メートルの灯とホース降下装置上部の灯の二つに切り替わる
- 「消火栓」という文字表示そのものは、開閉弁がどちらの位置でも変わらず必要である
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目次
屋内消火栓の開閉弁はなぜ二つの設け方が認められているのか

まず条文がどんな書き方をしているかを確認します。
通常は床上一・五メートル以下の、人の手が届く高さに開閉弁を設けます。
ただし条文はこれと並べて天井という選択肢も認めており、設置場所の都合で低い位置に収まらない建物でも対応できるようになっています。
その代わり天井に付ける場合は、ただし書きにより自動式にすることが義務づけられます。
理由までは条文に書かれていませんが、天井は人の手が届かないため、火災時に手動で弁を開けられないことが背景にあると考えられます。
うちの開閉弁、天井に付いてるので低い位置のやつとは違う扱いなんですね。
はい、天井に付ける代わりに自動式にする義務が付いています。
次の章で標示の基本形を見てみましょう。
屋内消火栓箱にはどんな標示が求められているのか

まず通常の標示の中身を確認します。
イで「消火栓」という文字表示を消火栓箱そのものに義務づけ、ロで赤色の灯火を箱の上部に設けることを義務づけています。
灯火は取付け面から十五度以上の角度、十メートル離れた位置からでも見える明るさと向きが条件です。
この二つがそろって初めて、離れた場所からでも屋内消火栓の位置が分かる標示になります。
次の章では、この標示と表示灯の関係を確認します。
「消火栓」の表示と赤い灯り、うちにも両方付いています。
それが号三のイとロの基本形です。
次は表示灯が省略できる場合を見てみましょう。
加圧送水装置の表示灯はどんなときに省略できるのか

号二の条文を確認します。
通常は加圧送水装置が動いたことを示す表示灯を、消火栓箱の内部かすぐ近くに設けます。
ただし号三ロの赤色灯、または号三ハ(イ)の赤色灯を点滅させることで始動を示せるなら、この表示灯は省略できます。
つまり標示のための灯火と始動を示す表示灯を、一つの灯火にまとめてよいという扱いです。
点検では、表示灯が単独で見当たらない場合、標示の赤色灯が点滅式になっているかを必ず確認してください。
表示灯が見当たらないんですが、故障ですか。
標示の赤色灯が点滅式なら、それで表示灯を兼ねているので問題ありません。
次は天井設置のときの標示を見てみましょう。
開閉弁を天井に設けると標示はどう変わるのか

号三ハの条文を確認します。
通常のロ(消火栓箱上部の赤色灯)は、天井設置の場合は適用されません。
代わりに(イ)の床上一・五メートルの位置の赤色灯と、(ロ)のホースを降下させる装置上部の赤色灯という二つの灯火に置き換わります。
天井の開閉弁とホース降下装置は別の場所にあることが多いため、両方の位置を示す必要があるからだと考えられます。
ここで見落としやすいのは、切り替わるのはロだけで、イの「消火栓」という文字表示は天井設置でも変わらず必要という点です。
天井に付けると、標示の赤い灯りも全部変わるんですか。
変わるのはロの灯火だけです。
「消火栓」の文字表示はそのまま必要ですよ。
明日からなにを確認すればよいのか

号一の二の条文を確認します。
開閉弁や標示灯がすべて条文どおりでも、実際に放水する屋内消火栓・ホース・ノズル自体が消防庁長官の定める基準に適合していなければ意味がありません。
号一の二はこの器具の規格を、開閉弁の位置や標示とは別枠で義務づけています。
点検では、開閉弁の位置・自動式の有無・標示・表示灯に加えて、この器具の規格までを一つの流れとして確認してください。
四つの号がそれぞれ違う角度から屋内消火栓設備を支えていることが、ここまでで見えてきたはずです。
開閉弁だけじゃなくて、ホースやノズルの規格まで見るんですね。
次はよくある質問を見てみましょう。
よくある質問
まとめ
開閉弁の位置一つで、標示や表示灯まで変わることがよく分かりました!
さっそく自分の建物の開閉弁を確認してみます。
その開閉弁まわりの点検から、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第十二条第一項第一号(屋内消火栓の開閉弁の位置)
- 消防法施行規則第十二条第一項第二号(加圧送水装置の表示灯)
- 消防法施行規則第十二条第一項第三号(屋内消火栓設備の設置の標示)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。設備の設計・施工の詳細は所轄消防署や専門業者にご確認ください。





