屋外貯蔵所は、屋根のある建物の中ではなく屋外の敷地に危険物を置く貯蔵所です。
建物がない分、周囲との距離や空地の幅、標識や囲いの基準が細かく定められています。
とくに空地の幅は指定数量の倍数によって段階的に変わり、硫黄だけを容器に入れずに貯蔵するときは別の基準に切り替わります。
本記事では危険物の規制に関する政令第十六条を根拠に、屋外貯蔵所に求められる基準を整理します
資材置き場にドラム缶を並べているんですが、周りに柵を立てておけばそれで足りますか。
柵だけでは足りません。
屋外貯蔵所には位置・空地の幅・標識まで一式の基準があります。
硫黄だけはドラム缶に入れず、山積みで置いている業者も見たことがあります。
それは硫黄等の囲い方式という別の基準です。
条文の順番に見ていきましょう。
- 屋外貯蔵所の位置・空地の幅・標識・架台は危険物の規制に関する政令第十六条にまとめて定められています
- 空地の幅は指定数量の倍数に応じて三メートル以上から三十メートル以上まで段階的に広がります
- 硫黄等のみを貯蔵する場合や耐火構造の塀を設けた場合は、空地の幅を減らせることがあります
- 塊状の硫黄等を容器に入れずに貯蔵するときは、囲いの面積・高さ・排水溝など第二項の別基準に従います
- 高引火点危険物や蓄電池などは、危険物の性質に応じて総務省令でさらに別の特例が定められることがあります
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目次
屋外貯蔵所はどんな場所に設置できるのか

まずは政令の総論部分を確認します。
住宅や学校・病院、重要文化財、特別高圧架空電線などから決められた距離を保つ必要があり、この距離の考え方自体は製造所と共通です。
そのうえで屋外貯蔵所ならではの条件として、湿潤でなく排水のよい場所であることが求められます。危険物が雨水と一緒に流れ出したり、地面がぬかるんで容器の腐食を早めたりするのを防ぐためです。
さらに危険物を置く場所の周囲は、柵等で明確に区画しなければなりません。柵は次に見る空地の幅の起点にもなります。
保安距離は製造所と同じ考え方なんですね。
はい。
そのうえで排水のよさと柵による区画が屋外貯蔵所ならではの条件です。
空地の幅は指定数量の倍数でどう決まるのか

条文には指定数量の倍数に応じた表が置かれています。
区分と空地の幅 指定数量の倍数が十以下の屋外貯蔵所 三メートル以上/指定数量の倍数が十を超え二十以下の屋外貯蔵所 六メートル以上/指定数量の倍数が二十を超え五十以下の屋外貯蔵所 十メートル以上/指定数量の倍数が五十を超え二百以下の屋外貯蔵所 二十メートル以上/指定数量の倍数が二百を超える屋外貯蔵所 三十メートル以上
倍数が十以下なら三メートル以上ですが、二百を超えると三十メートル以上まで広がり、貯蔵量が増えるほど周囲との距離を大きく取る仕組みです。
ただし例外が二つあります。硫黄又は硫黄のみを含有するものだけを貯蔵する場合は空地の幅を減らせるほか、耐火構造の塀の設置など防火上有効な措置を講じた場合は、幅を減らすだけでなく空地そのものを保有しなくてよい場合もあります。
自分の屋外貯蔵所がどの区分に当たるかは、指定数量の倍数を計算したうえで表と照らし合わせて確認します。
塀を建てれば空地をゼロにできる場合もあるんですね。
耐火構造の塀など総務省令で定める措置が条件です。
自己判断せず消防署に相談しましょう。
標識・掲示板・架台にはどんな基準があるのか

標識は屋外貯蔵所であることそのものを示すもの、掲示板は防火に関し必要な事項を知らせるもので、それぞれ役割が異なります。
容器を棚状に積む架台を設ける場合は、その構造や設備についても総務省令で別途基準が定められています。架台を使うときの貯蔵高さの基準は本記事とは別の条文(規則第四十条の二の五)が定めているため、詳しくは関連記事もあわせてご確認ください。
標識・掲示板・架台のいずれも、遠目からでも屋外貯蔵所だと分かる状態を保つことが目的です。
標識と掲示板って同じものだと思っていました。
役割の違う2枚が必要です。
架台を使う場合は構造の基準も別にあります。
硫黄を容器なしで貯蔵するときの囲いにはどんな基準があるのか

ただしこの場合は、第一項とは別の基準が適用されます。
一つの囲いは百平方メートル以下、囲いを複数設ける場合も合算面積は千平方メートル以下までです。囲い同士の間隔も、第一項第四号の空地の幅の三分の一以上を確保しなければなりません。
囲いは不燃材料で造り硫黄等が漏れない構造とし、高さは一・五メートル以下に抑えます。風雨で硫黄が飛散したりあふれたりしないよう、シートを固着する装置も必要です。
さらに周囲には排水溝と分離槽を設け、雨水と一緒に流れ出した硫黄分を敷地の外へ出さない仕組みを備えます。
山積みだから何もいらないわけじゃなく、むしろ細かいんですね。
そのとおりです。
面積・高さ・排水設備まで一式そろえる必要があります。
危険物の種類によって基準がさらに緩和されることがあるのはなぜか

危険物の性質によっては、さらに別の特例が用意されています。
高引火点危険物のみを扱う場合、蓄電池により貯蔵される危険物のみを扱う場合、そして引火性固体や第一石油類・アルコール類を扱う場合の三通りで、それぞれ根拠となる項が異なります。
どの特例も具体的な数字は条文に書かれておらず、総務省令、つまり危険物の規制に関する規則にゆだねられています。同じ「屋外貯蔵所」でも、貯蔵している危険物の性質次第で適用される特例が変わる仕組みです。
自分の屋外貯蔵所がどの特例に当たるかは、貯蔵する危険物の品目を確認したうえで、所轄消防署または設備業者に相談すると確実です。
危険物の種類によって見るべき条文がまるごと変わるんですね。
はい。
貯蔵する危険物の品目から確認するのが近道です。
よくある質問
まとめ
空地の幅の考え方、数字の根拠まで分かってすっきりしました!
屋外貯蔵所の空地や囲いの点検・見直しでお悩みでしたら、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第九条第一項第一号・第十六条
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





