政令第10条第3項の屋内貯蔵所は、建築物の一部を使って設けることができます。
では一つの建物に二つ以上つくれるのか、上の階が簡易耐火構造でもよいのか。
平成元年の執務資料には、この形態についての問いが四つ並んでいます。
この記事では建築物の一部に設ける屋内貯蔵所の条件を消防庁の執務資料に沿って整理します。
一つの建物に、屋内貯蔵所を二つ設けることはできないのでしょうか。
条件付きで可能です。
回答は同一の階において、隣接しないで設ける場合はお見込みのとおりとしています。
2階が簡易耐火構造の建物の1階では、どうでしょうか。
そちらはできません。
開口部のない耐火構造の床で区画されていても設置できないと回答されています。
この記事でまとめて解説します!
- 政令第10条第3項の屋内貯蔵所は同一の階において、隣接しないで設ける場合は1の建築物に2以上設置できる
- 建築物のうち当該屋内貯蔵所の用に供する部分以外の部分の用途は問わない
- 1階が耐火構造で2階が簡易耐火構造である建築物の1階には設置できない
- 政令第10条第3項第5号に規定する出入口は屋外に面していなくてもよい
- 昭和39年建設省告示第1675号第2の1のへに適合する壁は厚さ70ミリメートル以上の鉄筋コンクリート造と同等以上の強度を有する構造の壁に該当する
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目次
同一の階で隣接しなければ1棟に2以上設けられる

平成元年7月4日付け消防危第64号は、各都道府県の消防主管部長あてに送付された執務資料です。
危険物の規制に関する政令第10条第3項に関する項目として、四つの問いが並んでいます。
一つめは令第10条第3項に規定する技術上の基準を満たした屋内貯蔵所を1の建築物に2以上設置することは可能かというものです。
条件が二つ付いています。
一つめが同一の階において、二つめが隣接しないで設けることです。
階をまたいで上下に配置することは想定されていません。
また同じ階であっても、隣り合わせに二つ並べることはできないという整理です。
離して設けます。
同じ階で隣接しなければ、設けられるのですね。
条件付きで可能です。
配置の案を、平面図で確かめてください。
屋内貯蔵所以外の部分の用途は問われない

二つめの問いは、同じ建物の残りの部分についてです。
危険物を置く部屋の隣が何であってもよいのか、という点が問われました。
回答はお見込みのとおりです。
用途は問われません。
事務室でも、一般の倉庫でも、別の作業場でもよいということになります。
その代わり、政令第10条第3項が求める区画の要件を満たすことが前提になります。
壁や床の構造で切り離されているからこそ、隣の用途を問わないという組み立てです。
区画が前提です。
残りの部分の用途は、問われないのですね。
区画の要件を満たすことが前提です。
壁や床の仕様を、図面で確認しておきましょう。
2階が簡易耐火構造の建築物の1階には設置できない

三つめの問いが、この執務資料でいちばん結論の重い部分です。
建物全体の構造が問われました。
回答は設置できないです。
照会は、1階と2階が開口部のない耐火構造の床で区画されていることをわざわざ添えていました。
それでも認められていません。
区画されていれば上の階の構造は関係ない、とはならないということです。
建築物全体が耐火構造であることが求められる、という理解になります。
建物全体で見られます。
区画していても、認められない場合があるのですね。
建物全体の構造で判断されます。
既存の建物に設けるなら、構造から確かめてください。
出入口は屋外に面していなくてもよい

四つめは出入口の位置についてです。
政令第10条第3項第5号は出入口の構造を定めていますが、その向きまでは定めていません。
回答はお見込みのとおりです。
建物の内部の廊下に面していても差し支えないということになります。
建築物の一部に設ける形態である以上、外に直接面していない部屋も当然にありうるからです。
ただし出入口そのものの構造については、基準どおりの防火戸が必要です。
向きは問われませんが、性能は問われます。
向きは問われません。
出入口は、廊下に面していてもよいのですね。
向きまでは定められていません。
戸の仕様は、条文どおりに満たしてください。
厚さ70ミリメートル以上と同等の壁には告示適合の壁が含まれる

もう一つ、壁の構造についての回答を見ておきます。
平成2年10月31日付け消防危第105号の項目です。
回答はお見込みのとおりです。
条文には厚さ70ミリメートル以上の鉄筋コンクリート造という具体的な数値が置かれ、そのあとにこれと同等以上の強度を有する構造という受け皿があります。
建設省告示の基準に適合する壁が、その受け皿にあたると確認されました。
数値そのものを満たさなくても、別の基準を満たすことで通る道があるということです。
受け皿があります。
同等以上の壁も認められるのですね。
告示に適合する壁が該当します。
採用する仕様の根拠を、資料に残しておきましょう。
よくある質問
まとめ
- 政令第10条第3項の技術上の基準を満たした屋内貯蔵所は1の建築物に2以上設置できる場合がある
- その条件は同一の階において隣接しないで設けることである
- 建築物のうち当該屋内貯蔵所の用に供する部分以外の部分の用途は問わない
- 1階が耐火構造で2階が簡易耐火構造である建築物の1階には設置できない
- 1階と2階とが開口部のない耐火構造の床で区画されている場合であっても設置できない
- 政令第10条第3項第5号に規定する出入口は屋外に面していなくてもよい
- 厚さ70ミリメートル以上の鉄筋コンクリート造と同等以上の強度を有する構造には告示適合の壁も含まれる
- 可燃性の蒸気を屋根上に排出する設備は改正前の蒸気を屋根上に放出する設備と同一のものである
区画していても、上の階の造りで決まってしまうのですね。
すっきりしました。
そのとおりです。
建築物の一部に貯蔵所を設ける計画も、所轄消防署との事前協議からお手伝いします。
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第10条 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第16条の2の2・第28条の55・第28条の56 e-Gov法令検索
- 危険物規制事務に関する執務資料(給油取扱所を除く)の送付について(平成元年7月4日付け消防危第64号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)
- 危険物規制事務に関する執務資料の送付について(平成2年10月31日付け消防危第105号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




