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屋内給油取扱所はなぜ建物の一階に壁のない部分が必要なのか|一方だけで足りる場合に増える措置も解説

屋内給油取扱所の開放側で巻き尺とチェックリストを持ち空地を確認する担当者の写真

屋内給油取扱所は、建物の中にガソリンスタンドを収めるという特殊な形をしています。
だからこそ、通風と避難のために建物の一階のどこかに壁を設けない部分が求められます。
その空地には間口や奥行、表示の大きさまで細かい基準があり、条件を満たせば一方だけで済ませる代わりに設備が増える仕組みもあります。
この記事では、屋内給油取扱所の空地の基準と、一方開放にしたときに追加で必要になる措置を順番に整理します。

うちは屋内型なんですが、建物の壁をどこまで設けていいのか分かっていません。

原則は一階の二方に壁を設けられません。

一方だけでも認められると聞いたのですが、それでいいんでしょうか。

その代わり追加の措置が必要になります。

この記事の結論
  • 屋内給油取扱所は、建物の一階の二方を壁のない空地に面させることが原則です。
  • この空地は間口六メートル以上、奥行は作業場の奥行以上を確保しなければなりません。
  • 空地には範囲の表示に加え、地盤面に黄色で「駐停車禁止」と表示する義務があります。
  • 総務省令で定める措置を講じれば、一階の一方だけで足りますが、代わりにタンク注入口の位置制限や蒸気回収設備などが増えます。
  • 判断に迷う場合は、点検業者や所轄消防署に確認してください。

屋内給油取扱所の一階二方が壁のない空地に面する原則と一方開放時に増える設備の対比をまとめた図解

屋内給油取扱所はなぜ建物の一階に壁のない部分が必要なのか

屋内給油取扱所の一階の二方に壁がなく給油空地と外気に面しているイメージ
まずは屋内給油取扱所の建物に求められる基本の形を確認します。
建物の中にスタンドを収めるからこそ生まれる特有の規制です。
危険物の規制に関する政令第十七条第二項第九号 建築物の屋内給油取扱所の用に供する部分の一階の二方については、自動車等の出入する側又は通風及び避難のための総務省令で定める空地に面するとともに、壁を設けないこと。ただし、総務省令で定める措置を講じた屋内給油取扱所にあつては、当該建築物の屋内給油取扱所の用に供する部分の一階の一方について、自動車等の出入する側に面するとともに、壁を設けないことをもつて足りる。
屋内給油取扱所は、建物の一階の二方を壁のない状態にすることが原則です。
壁のない側は、自動車等が出入りする側か、通風及び避難のための空地のどちらかに面していなければなりません。
建物の中に危険物を取り扱う空間があるため、可燃性蒸気がこもらず、火災時にも逃げられるようにする趣旨です。
ただし書きにより、条件を満たせば一方だけで足りる例外もあります。
次の項目で、その空地そのものに求められる基準を確認します。

二方も壁を作れないと、店内のレイアウトが難しそうです。

蒸気を逃がし避難できるための構造です。

二方を壁なしにする場合その空地はどんな基準を満たすのか

屋内給油取扱所の空地に間口六メートル以上の破線と地盤面の駐停車禁止の黄色い表示があるイメージ
続いて、二方開放の要件を満たす空地そのものの基準を確認します。
場所・寸法・表示の三点です。
危険物の規制に関する規則第二十五条の八 令第十七条第二項第九号の総務省令で定める空地は、次のとおりとする。一 当該空地は、給油空地、注油空地並びに第二十五条の四第一項第三号及び第四号の用途に供する部分以外の給油取扱所の敷地内の屋外の場所に保有すること。二 当該空地は、間口が六メートル以上、奥行が建築物の第二十五条の四第一項第一号の用途に供する部分の奥行以上であり、かつ、避難上及び通風上有効な空地であること。三 当該空地は、その範囲を表示するとともに、その地盤面に「駐停車禁止」の文字を表示すること。この場合において、表示の色は黄色とするとともに、文字の表示の大きさは、縦一メートル以上、横五メートル以上とすること。
空地は給油空地・注油空地・点検整備や洗浄の作業場以外の屋外の場所に確保しなければなりません。
第二号により、間口は六メートル以上、奥行は作業場の奥行以上という寸法が求められます。
第三号により、範囲の表示に加えて地盤面に黄色で「駐停車禁止」の文字を表示しなければなりません。
文字の大きさは縦一メートル以上、横五メートル以上と具体的に決まっています。
給油空地と兼用することはできず、独立した空地として確保する必要があります。

駐停車禁止の表示ってそんなに大きく書くんですね。

はい、縦一メートル横五メートル以上が必要です。

一方だけで済ませる場合になぜ追加の措置が必要になるのか

屋内給油取扱所の専用タンクの注入口が避難口から離れた位置に設けられ蒸気回収の配管が伸びているイメージ
一方だけで足りる特例を使うには、代わりに満たすべき措置があります。
その中からタンクの注入口と蒸気回収の基準を確認します。
危険物の規制に関する規則第二十五条の九 令第十七条第二項第九号ただし書の総務省令で定める措置は、次のとおりとする。(略)二 専用タンクの注入口及び第二十五条第二号に掲げるタンクの注入口は、前号イの事務所等の出入口の付近その他避難上支障のある場所に設けないこと。三 通気管の先端が建築物の屋内給油取扱所の用に供する部分に設けられる専用タンクで、引火点が四十度未満の危険物を取り扱うものには、移動貯蔵タンクから危険物を注入するときに放出される可燃性の蒸気を回収する設備を設けること。
一方開放にする場合は、避難口だけでなくタンクの注入口の位置まで制限を受けます。
第二号により、専用タンク等の注入口は事務所等の出入口の付近など避難上支障のある場所には設けられません。
第三号により、引火点四十度未満の危険物を扱う専用タンクの通気管が屋内にあるときは、可燃性蒸気を回収する設備が必要です。
二方開放であればこれらの措置は求められません。
一方開放は建物のレイアウトの自由度が上がる代わりに、配管や設備の設計にも制約が加わります。

一方だけでいいなら楽だと思ってましたが、条件は多いんですね。

そのぶん設備側で安全を補う設計になります。

警報設備と衝突防止装置はどこまで見落としやすいのか

屋内給油取扱所のポンプ室内部に警報設備があり固定給油設備の手前に衝突防止の車止めが設置されているイメージ
一方開放で見落としやすい二つの措置を確認します。
どちらも設置場所を限定して考えがちな点です。
危険物の規制に関する規則第二十五条の九 (略)四 建築物の第二十五条の四第一項第三号の用途に供する部分で床又は壁で区画されたもの及びポンプ室の内部には、可燃性の蒸気を検知する警報設備を設けること。五 固定給油設備及び固定注油設備には、自動車等の衝突を防止するための措置を講ずること。
可燃性蒸気の警報設備は、点検整備作業場だけでなくポンプ室の内部にも必要です。
点検整備作業場の設置ばかりに気を取られ、ポンプ室内部の警報設備を見落とすと基準を満たせません。
第五号により、固定給油設備・固定注油設備には自動車等の衝突を防止する措置も別途必要です。
二方開放の空地基準を満たしているからといって、これらの措置を省略できるわけではありません。
一方開放を選ぶ際は、五つの措置すべてがそろっているかを一つずつ確認することが欠かせません。

ポンプ室にまで警報設備が要るとは思っていませんでした。

はい、区画された作業場と共通の扱いです。

明日からなにを確認すればよいのか

担当者が屋内給油取扱所の図面とチェックリストを見比べながら空地と設備を確認している様子
最後に、実際の建物で確認すべき手順を整理します。
二方開放か一方開放かで、見るべき点が変わります。
危険物の規制に関する政令第十七条第二項 給油取扱所のうち建築物内に設置するものその他これに類するもので総務省令で定めるもの(以下「屋内給油取扱所」という。)の位置、構造及び設備の技術上の基準は、前項第一号から第六号まで、第七号本文、第九号から第十六号まで及び第十九号から第二十三号までの規定の例によるほか、次のとおりとする。
屋内給油取扱所は、通常の給油取扱所の基準に加えて屋内特有の基準も同時に満たす必要があります。
まず図面で建物の一階が二方開放か一方開放かを確認してください。
二方開放なら空地の間口・奥行・表示を、一方開放ならタンク注入口の位置と蒸気回収・警報設備・衝突防止装置を点検します。
どちらの形式でも、通常の給油取扱所に求められる基準は別途満たしたままです。
判断に迷う項目があれば、図面の段階で所轄消防署に確認しておくと手戻りを防げます。

まず二方か一方かを図面で確認すればいいんですね。

はい、それが確認の出発点になります。

よくある質問

Q二方開放の空地は給油空地と兼ねてもよいですか?
A規則第二十五条の八第一号により、給油空地・注油空地・点検整備や洗浄の作業場以外の屋外の場所に確保しなければならず、兼ねることはできません。
Q「駐停車禁止」の表示は看板でもよいですか?
A規則第二十五条の八第三号が求めているのは地盤面への表示です。範囲の表示とあわせて、地盤面に黄色で文字を表示する必要があります。
Q一方開放にすれば必ず建築コストは下がりますか?
A一概には言えません。壁を増やせる代わりに蒸気回収設備・警報設備・衝突防止装置などの追加費用がかかるため、敷地条件ごとに比較する必要があります。
Q警報設備はポンプ室以外にも必要ですか?
A規則第二十五条の九第四号により、床又は壁で区画された点検整備作業場にも同様に必要です。ポンプ室と作業場の両方を確認してください。

まとめ

屋内給油取扱所は、政令第十七条第二項第九号により一階の二方を壁のない空地に面させることが原則です
その空地は間口六メートル以上、奥行は作業場の奥行以上を確保します
地盤面には黄色で「駐停車禁止」と、縦一メートル以上横五メートル以上の大きさで表示しなければなりません
一方開放にする場合は、専用タンクの注入口を避難上支障のある場所に設けられません
引火点四十度未満の危険物を扱う専用タンクには、可燃性蒸気を回収する設備が必要になります
可燃性蒸気の警報設備は、点検整備作業場だけでなくポンプ室内部にも必要です
判断に迷う場合は、点検業者や所轄消防署に確認してください

二方開放と一方開放の違いがよく分かりました。
まずは自分の建物がどちらか確認します。

その次は空地の寸法と表示の確認をお願いします。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第十七条第二項(屋内給油取扱所の基準)
  • 危険物の規制に関する規則第二十五条の八・第二十五条の九(屋内給油取扱所の空地・一方のみが開放されている場合に講ずる措置)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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