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圧縮水素充填設備設置給油取扱所はなぜ専用タンクの地下埋設が原則なのか|簡易タンクを設置できる例外条件を解説

作業服姿の担当者が水素充填スタンドで簡易タンクの固定金具を点検している写真

水素を燃料とする自動車向けの給油取扱所にも、危険物としてタンクの基準が細かく定められています。
中でもタンクの置き方は、一般的なガソリンスタンドとはまったく違う発想で決められています。
原則は地盤面下への埋設ですが、条件を満たせば地上に簡易タンクを置く例外も用意されています。
この原則と例外の境目を、根拠となる条文から順に確認していきます

水素スタンドのタンクって、地面の下に埋まっているものだと思っていたんですが、地上に置く方法もあるんですか。

実は条件を満たせば地上に簡易タンクを置くことも認められています

どんな条件なら認められるんですか。

都市計画法の地域区分が関わってきます。
順番に条文を見ていきましょう。

この記事の結論
  • 危険物の規制に関する規則第二十七条の五は、圧縮水素充填設備設置給油取扱所のタンクの基準を定めています
  • 原則はタンクを地盤面下に埋没して設ける専用タンク等に限られます
  • 都市計画法の防火地域及び準防火地域以外の地域に限り、地上に簡易タンクを設置できます
  • 簡易タンクの構造は危険物の規制に関する政令第十四条の簡易貯蔵タンクの基準に従います
  • 簡易タンクを設ける場合は障壁や延焼防止など追加の安全措置も必要です

原則は地下埋設例外は防火地域外のみ構造基準と障壁も必須という圧縮水素充填設備設置給油取扱所のタンクの基準の流れを示した図解

圧縮水素充填設備設置給油取扱所はなぜタンクを地盤面下に埋めるのが原則なのか

水素充填スタンドのキャノピーの地下に断面で円筒形のタンクが埋設されているイメージ
水素を燃料とする自動車向けの給油取扱所にも、危険物としてタンクの基準があります。
このタンクの置き方には、一般的な給油取扱所とは異なる独自のルールがあります。
危険物の規制に関する規則第二十七条の五第三項 圧縮水素充塡設備設置給油取扱所には、固定給油設備若しくは固定注油設備に接続する専用タンク、危険物から水素を製造するための改質装置に接続する原料タンク又は容量一万リットル(メチルシクロヘキサンから水素を製造するための改質装置に接続する場合には、三万リットル)以下の第二十五条に規定するタンク(以下この条において「専用タンク等」という。)を地盤面下に埋没して設ける場合を除き、危険物を取り扱うタンクを設けてはならない。
圧縮水素充填設備設置給油取扱所のタンクは、原則として地盤面下に埋めなければなりません
条文が認めているのは、固定給油設備や固定注油設備に接続する専用タンク等を地下に埋没して設ける場合だけです。
専用タンク等には、水素を製造する改質装置に接続する原料タンクや、一万リットル以下のタンクも含まれます。
メチルシクロヘキサンから水素を製造する改質装置に接続する場合は、上限が三万リットルまで広がります。
つまり原則の世界では、地上にタンクを置くという選択肢そのものが存在しません。

うちで検討している水素スタンドも、タンクは必ず地下に埋めないといけないんでしょうか。

原則は地盤面下への埋没です。
ただし例外もあるので次に見てみましょう。

どんな地域でどんな条件なら地上に簡易タンクを置けるのか

都市部の建物が並ぶ地域で禁止マークの付いた地上タンクと開けた郊外で許可マークの付いた三個の簡易タンクを対比したイメージ
先ほどの原則には、ただし書きによる例外があります。
地上に簡易タンクを置けるかどうかは、給油取扱所が立地する地域によって決まります。
同項ただし書 ただし、都市計画法第八条第一項第五号の防火地域及び準防火地域以外の地域においては、地盤面上に固定給油設備に接続する容量六百リットル以下の簡易タンクを、その取り扱う同一品質の危険物ごとに一個ずつ三個まで設けることができる。
簡易タンクを地上に置けるのは、都市計画法の防火地域と準防火地域の外だけです
容量は六百リットル以下に限られ、これを超えるタンクは対象になりません。
数も無制限ではなく、同一品質の危険物ごとに一個ずつ、三個までという上限があります。
接続できるのは固定給油設備だけで、固定注油設備への接続は条文に含まれていません。
立地する地域を最初に確認しないと、この例外そのものが使えるかどうかが決まりません。

うちの敷地は準防火地域の外なので、簡易タンクを置けそうです。

地域の条件を満たしていれば設置は可能です
次は簡易タンクの構造を見てみましょう。

簡易タンクの構造や設備はどう決まるのか

地盤に固定金具で固定され頭部に通気管が立つ簡易タンクのイメージ
地域の条件を満たしても、簡易タンクなら何でもよいわけではありません。
構造や設備は、別の政令の基準がそのまま持ち込まれています。
同条第四項第二号 簡易タンクの構造及び設備は、令第十四条第四号及び第六号から第八号までに掲げる簡易タンク貯蔵所の簡易貯蔵タンクの構造及び設備の例によるものであること。
危険物の規制に関する政令第十四条第四号 簡易貯蔵タンクは、容易に移動しないように地盤面、架台等に固定するとともに、屋外に設置する場合にあつては当該タンクの周囲に一メートル以上の幅の空地を保有し、専用室内に設置する場合にあつては当該タンクと専用室の壁との間に〇・五メートル以上の間隔を保つこと。
同条第六号 簡易貯蔵タンクは、厚さ三・二ミリメートル以上の鋼板で気密に造るとともに、七十キロパスカルの圧力で十分間行う水圧試験において、漏れ、又は変形しないものであること。
簡易タンクの構造基準は、簡易タンク貯蔵所の簡易貯蔵タンクと同じ条文が準用されています
タンクは地盤面や架台に固定し、周囲に一メートル以上の空地を確保しなければなりません。
厚さ三・二ミリメートル以上の鋼板で気密に造り、七十キロパスカルの水圧試験に耐える必要があります。
このほか外面のさびどめ塗装や通気管の設置も、令第十四条第七号・第八号として求められます。
準用されていない号もあるため、条文は号を一つずつ照らし合わせて確認する必要があります。

簡易タンク貯蔵所の基準がそのまま使われるんですね。

号を指定して準用されている形です。
次は見落としやすい落とし穴を見てみましょう。

簡易タンクを設けるとき実務で見落としやすいのはどこか

簡易タンクと水素スタンド設備の間に立つ厚いコンクリート製の障壁のイメージ
簡易タンクは地域の条件と構造基準を満たすだけでは終わりません。
周辺の設備との関係でも、追加の安全措置が求められています。
同条第六項第四号 固定給油設備(懸垂式のものを除く。)、固定注油設備(懸垂式のものを除く。)及び簡易タンクには、自動車等の衝突を防止するための措置を講ずること。
同項第五号 簡易タンクを設ける場合には、圧縮水素スタンドの設備から火災が発生した場合に当該タンクへの延焼を防止するための措置を講ずること。
簡易タンクは自動車の衝突対策と、水素設備からの延焼防止対策の両方が必要です
同項第一号では、改質装置や貯槽と給油空地等・簡易タンク・専用タンク等の注入口との間に障壁を設けることも求められています。
これらは簡易タンク単体の話ではなく、圧縮水素スタンドの各設備との位置関係すべてに関わってきます。
令第十四条の準用は号が限定されているため、専用室内への設置という選択肢は前提にされていません
図面上でタンクの位置だけを決めて、障壁や衝突防止措置を後回しにすると許可審査で指摘されます。

タンクを置く場所さえ決めればいいと思っていましたが、周りの設備との関係も見るんですね。

障壁と延焼防止措置もあわせて必要です。
最後に確認の手順を見ておきましょう。

明日から圧縮水素充填設備設置給油取扱所のなにを確認すればよいのか

クリップボードを手に簡易タンクを確認する担当者のイメージ
圧縮水素充填設備設置給油取扱所のタンクの基準は、原則と例外がはっきり分かれています。
自社の計画がどちらに当たるのかを、順番に確認していきましょう。
危険物の規制に関する規則第二十七条の五第一項 令第十七条第三項第五号に掲げる給油取扱所(水素を充塡するための設備は、圧縮水素を充塡するための設備に限る。以下「圧縮水素充塡設備設置給油取扱所」という。)に係る令第十七条第三項の規定による同条第一項に掲げる基準の特例は、第二十七条の三第三項から第五項までの規定の例によるほか、この条の定めるところによる。
まず自社の敷地が都市計画法の防火地域・準防火地域に当たるかどうかを確認しましょう
地域外であれば、容量六百リットル以下・三個までという数量の条件を図面で満たせるか照らし合わせます。
簡易タンクを置く場合は、令第十四条の構造基準と、障壁・衝突防止・延焼防止の各措置を一つずつ確認してください。
専用タンク等を地下に埋設する原則の形で計画するなら、地域の制限を気にする必要はありません。
判断に迷う場合は、変更許可の申請前に所轄消防署へ相談するのが確実です。

うちは防火地域の外なので、簡易タンクの条件を一つずつ確認してみます。

その順番で十分です。
次によくある質問を見てみましょう。

よくある質問

Q圧縮水素充填設備設置給油取扱所では、専用タンクを地上に置くことはできますか?
Aできません。専用タンク等は地盤面下に埋没して設けることが原則で、地上に置けるのは条件を満たした簡易タンクだけです。
Q簡易タンクは防火地域や準防火地域でも設置できますか?
Aできません。設置できるのは都市計画法の防火地域及び準防火地域以外の地域に限られます。
Q簡易タンクの容量や設置できる個数に上限はありますか?
Aあります。容量は六百リットル以下、個数は同一品質の危険物ごとに一個ずつ三個までです。
Q簡易タンクの構造基準は、給油取扱所独自のものですか?
Aいいえ。危険物の規制に関する政令第十四条の簡易貯蔵タンクの基準がそのまま準用されています。

まとめ

危険物の規制に関する規則第二十七条の五は、圧縮水素充填設備設置給油取扱所のタンクの基準を定めています
原則はタンクを地盤面下に埋没して設ける専用タンク等に限られます
都市計画法の防火地域及び準防火地域以外の地域に限り、地上に簡易タンクを設置できます
簡易タンクの容量は六百リットル以下、個数は同一品質ごとに三個までです
簡易タンクの構造は危険物の規制に関する政令第十四条の簡易貯蔵タンクの基準に従います
設置には障壁・衝突防止・延焼防止などの追加の安全措置も必要です
迷ったときは変更許可の申請前に所轄消防署へ相談することが確実です

タンクの置き方が原則と例外のどちらに当たるか整理できました

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する規則第二十七条の五
  • 危険物の規制に関する政令第十四条
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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