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パッケージ型消火設備の安全装置はなぜ設置後30年で詳しい点検が必要なのか|容器弁との違いと抜取り方式の条件を解説

パッケージ型消火設備の安全装置と容器弁を点検するアイキャッチ画像

パッケージ型消火設備には、蓄圧式の消火薬剤貯蔵容器と、そこに取り付けられた安全装置や容器弁があります。
これらには外観を見るだけの点検とは別に、設置から長い年数が経ったときだけ行う詳しい点検が定められています。
対象になるのは安全装置と容器弁で、点検する項目も使える方法も条件によって変わります。
この記事では、30年という節目で何を確認するのかを、告示の条文から確認していきます。

うちのパッケージ型消火設備、安全装置や容器弁まで点検する必要があるなんて知りませんでした。

実は設置から30年が近づくと詳しい点検が必要になるんです。

30年経ったら中身を全部分解して調べるということですか。

いえ、条件を満たせば抜取り方式という方法も認められています。

この記事の結論
  • 蓄圧式消火薬剤貯蔵容器等の機器点検では安全装置と容器弁それぞれに外形の点検と長期の点検が定められています
  • 外形の点検で異常が見つかったときは、その点検の直後に速やかに詳しい点検を行います
  • 異常が無いときは、設置後又は前回の安全性の点検後30年を経過するまでの間に詳しい点検を行えば足ります
  • 30年ルールの範囲内であれば、抜取り方式で耐圧性能や気密性能を確認することが認められます
  • 安全装置は耐圧性能・気密性能・安全装置の作動を含む項目、容器弁は作動の確認を除いた項目が対象です

蓄圧式消火薬剤貯蔵容器等の点検基準をまとめた図解

蓄圧式消火薬剤貯蔵容器等の機器点検はなぜ6つの部位に分かれているのか

パッケージ型消火設備の蓄圧式消火薬剤貯蔵容器を点検するイメージ
機器点検は、パッケージという設備全体だけでなく中の部品ごとに確認する項目が分かれています。
とくに蓄圧式の消火薬剤貯蔵容器等は、確認する部位が細かく指定されています。
パッケージ型消火設備の点検の基準(昭和50年消防庁告示第14号別表第28) 1 機器点検(抜粋) (2) 蓄圧式消火薬剤貯蔵容器等 ア 消火薬剤貯蔵容器 イ 安全装置(容器弁に設けられたものに限る。) ウ 消火薬剤 エ 容器弁 オ バルブ類 カ 指示圧力計
蓄圧式消火薬剤貯蔵容器等の機器点検は、貯蔵容器・安全装置・消火薬剤・容器弁・バルブ類・指示圧力計の6つの部位に分けて確認する仕組みです
このうち安全装置と容器弁の2つだけは、外観の確認に加えてもう一段階、詳しい点検が定められています。
安全装置と容器弁はいずれも容器の内部に圧力がかかる部品であり、経年による劣化が事故に直結しやすい箇所だからです。
次の章では、まず安全装置の詳しい点検がどのような条件で必要になるのかを見ていきます。

6つも部位があるなんて、点検って全部同じ確認をするものだと思ってました。

いえ、部位ごとに確認する深さが違うんです。

安全装置はなぜ設置後30年で詳しい点検が必要なのか

パッケージ型消火設備の安全装置を点検するイメージ
安全装置は、容器の中の圧力を逃がすための部品です。
外観に異常が無くても、長い年数が経てば性能が変わってくる可能性があります。
パッケージ型消火設備の点検の基準(昭和50年消防庁告示第14号別表第28) イ 安全装置(容器弁に設けられたものに限る。) (イ) 安全性 安全装置の外形の点検において安全装置に異常が認められたものにあっては当該点検後速やかに、その他のものにあっては設置後又は安全装置の安全性の点検の実施後30年を経過するまでの間に、次の事項について実施すること。
安全装置の点検は、まず外観を確認し、その結果によって次に行う点検の時期が変わる仕組みです
外観の点検で異常が認められた場合は、その点検の直後に速やかに詳しい点検へ進みます。
異常が認められなかった場合は、設置後又は前回の安全性の点検実施後30年を経過するまでの間に詳しい点検を行えば足ります。
詳しい点検の中身は、外観・構造や形状や寸法・耐圧性能・気密性能・安全装置の作動・表示という複数の項目に及びます。
次の章では、この安全装置と対になる容器弁の点検で何が変わるのかを見ていきます。

異常が無くても30年経ったら点検が必要になるんですね。

はい、経年劣化そのものを確認する点検です。

容器弁の30年点検は安全装置と何が違うのか

パッケージ型消火設備の容器弁を点検するイメージ
容器弁は、消火薬剤を貯蔵容器から送り出すための弁です。
安全装置と同じ30年ルールが定められていますが、確認する項目には違いがあります。
パッケージ型消火設備の点検の基準(昭和50年消防庁告示第14号別表第28) エ 容器弁 (イ) 安全性 容器弁の外形の点検において容器弁に異常が認められたものにあっては当該点検後速やかに、その他のものにあっては設置後又は容器弁の安全性の点検の実施後30年を経過するまでの間に、次の事項について実施すること。
容器弁の30年点検も、安全装置とまったく同じ条件分岐で定められています
外観の点検で異常が認められれば当該点検後速やかに、認められなければ30年を経過するまでの間に詳しい点検を行います。
ただし項目の中身は同じではありません。容器弁には安全装置の作動の確認が無く、外観・構造や形状や寸法・耐圧性能・気密性能・表示の項目にとどまります。
安全装置は圧力を逃がす機能そのものを確かめるのに対し、容器弁は主に耐圧性能と気密性能が確認の中心です。
次の章では、この条件分岐を取り違えるとどのような見落としが生まれるのかを見ていきます。

容器弁は安全装置と同じ点検をすればいいわけじゃないんですね。

はい、項目の中身が少し違います

「外形点検での異常発見」と「30年の定期点検」を混同するとなぜ危ないのか

外観だけの確認と性能点検の違いを比べるイメージ
ここが実務でいちばん見落としやすいところです。
外観に異常が無いことと、性能に問題が無いことは同じではありません。
パッケージ型消火設備の点検の基準(昭和50年消防庁告示第14号別表第28) この場合において、設置後又は安全装置の安全性の点検の実施後30年を経過するまでの間に実施する場合(安全装置の外形の点検において安全装置に異常が認められたものについて当該点検後速やかに実施する場合を除く。)にあっては、抜取り方式により耐圧性能、気密性能及び安全装置の作動に係る点検を行うことができる
抜取り方式が使えるのは、あくまで30年ルールの範囲内で点検する場合だけです
外観の点検で異常が見つかったものについては、抜取り方式は使えません
異常が見つかった安全装置や容器弁は、その個体そのものを速やかに全数点検する必要があります。
「まだ30年経っていないから点検しなくてよい」という理解も誤りで、外観の点検で異常が出た時点でルールは切り替わります
次の章では、30年のカウントがいつから始まるのかを見ていきます。

30年経っていなければ、抜取りでもなんでも自由に選べるんですか。

いえ、異常が出た時点で扱いが変わります

30年のカウントはいつから始まり何を記録しておけばよいか

点検結果を記録し次の点検時期を管理するイメージ
30年という期限には、起点になる日が2つあります。
この起点をどう記録しておくかが、次の点検を見落とさないための鍵になります。
パッケージ型消火設備の点検の基準(昭和50年消防庁告示第14号別表第28) その他のものにあっては設置後又は安全装置(容器弁)の安全性の点検の実施後30年を経過するまでの間に、次の事項について実施すること。
30年のカウントは「設置した日」と「前回の安全性の点検を実施した日」のどちらか新しいほうから始まります
つまり一度詳しい点検を実施すれば、その日を起点にまた30年のカウントが始まるということです。
これを追跡するには、設置年月日と直近の安全性点検の実施日を維持台帳にはっきり記録しておく必要があります。
記録が無いまま年数だけの感覚で管理すると、次の点検時期を見誤るリスクがあります。
安全装置と容器弁のそれぞれについて、起点になる日付を分けて管理しておくと安心です。

点検した日がそのまま次の起点になるんですね。

はい、日付を台帳に残しておきましょう

よくある質問

Q蓄圧式消火薬剤貯蔵容器等の安全装置と容器弁は、それぞれ何年ごとに詳しい点検を行うのですか?
A外観の点検で異常が無ければ、設置後又は前回の安全性の点検実施後30年を経過するまでの間に耐圧性能などの点検を行うことが、昭和50年消防庁告示第14号別表第28で定められています。
Q外観の点検で安全装置や容器弁に異常が見つかった場合はどうすればよいですか?
A30年という期限にかかわらず、当該点検後速やかに耐圧性能や気密性能などの詳しい点検を実施する必要があります。
Q抜取り方式はどんなときでも使えるのですか?
Aいいえ。設置後又は前回の点検後30年を経過するまでの間に実施する場合に限り、抜取り方式による点検が認められます。外観の点検で異常が見つかったものは対象になりません。
Q安全装置と容器弁で点検する項目に違いはありますか?
Aはい。安全装置は耐圧性能・気密性能・安全装置の作動・表示の項目、容器弁は作動の確認を除いた耐圧性能・気密性能・表示の項目が対象です。

まとめ

蓄圧式消火薬剤貯蔵容器等の機器点検は安全装置と容器弁それぞれに外形の点検と長期の点検が定められています
外形の点検で異常が見つかったときはその点検の直後に速やかに詳しい点検を行います
異常が無ければ設置後又は前回の安全性の点検後30年を経過するまでの間に詳しい点検を行えば足ります
30年ルールの範囲内であれば抜取り方式で耐圧性能や気密性能を確認することが認められます
安全装置は耐圧性能・気密性能・安全装置の作動・表示の項目が対象です
容器弁は作動の確認を除く耐圧性能・気密性能・表示の項目が対象です
これらは昭和50年消防庁告示第14号別表第28に定められた基準です

安全装置と容器弁の30年ルール、これでうちも管理できそうです!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第28

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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