災害後の復旧工事で使った塗料やシンナーを、翌朝も使うからと作業場へ残していませんか。
ふたを閉めた容器でも、保管場所や施錠、持込量を決めずに置けば、夜間の火災や漏えいへ対応できません。
油性塗料やシンナーは製品ごとに危険物の区分や数量を確認し、火気と人の出入りから離して管理します。
必要最小限だけ持ち込み終業時は不燃性の保管庫へ収納して施錠します。
余ったシンナーを、
作業場へ置いて帰っています。
作業場へ残しません。
指定した保管庫へ戻します。
少ししか残ってなくても、
あかんのですか。
量だけで決めません。
区分と保管方法を確認します。
- 塗料やシンナーは作業場へ置いたまま帰らない
- 製品ごとの危険物区分と数量を確認する
- 現場への持込量は必要最小限にする
- 終業時は不燃性保管庫へ収納して施錠する
- 残量と異常と施錠を記録し防火管理者へ引き継ぐ
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目次
災害復旧工事の塗料やシンナーを現場へ置いたまま帰ってよいのか

塗料やシンナーは作業場へ置いたまま帰らず定めた保管場所へ戻します。
東京消防庁の「工事中の防火管理」は、危険物品等を定められた不燃性の保管庫等に収納し、施錠して管理するよう示しています。
油性塗料やシンナーには消防法上の危険物に該当する製品があります。名称だけで一律に決めず、安全データシートや容器表示で品名と危険物区分を確認し、在庫量と当日の持込量を分けて管理します。
復旧を急ぐ現場ほど担当者が交代し、容器の置き忘れやふたの閉め忘れが起きやすくなります。作業終了を「人が帰った時刻」ではなく、容器を回収し保管庫を施錠した時刻として扱ってください。
ふたを閉めただけでは、
終業にならないんですね。
はい。
収納と施錠まで確認します。
どの危険物品と保管場所を確認するのか

製品名ではなく容器表示と安全データシートで危険物区分を確認します。
油性塗料、シンナー、接着剤、洗浄剤など、復旧工事で持ち込む液体を一覧にします。
- 製品名、危険物の品名、安全データシート
- 持込量、使用量、残量、未開封の在庫量
- 作業場所、一時保管場所、不燃性保管庫
- 火気や火花を発する作業、喫煙場所、充電機器
- 漏えい時の立入制限、換気、回収、通報の担当
総務省消防庁は身近な危険物の例に油性塗料を挙げています。大阪市消防局も、シンナーなどの引火性液体は商品名から危険物と分かりにくい場合があるため、製造元等へ確認するよう案内しています。水性という表示だけで対象外と決めないでください。
指定数量以上、指定数量未満、さらに少量の扱いは数量と自治体条例で変わります。複数製品を同じ場所へ置くときは、品名ごとの数量と倍数をまとめて確認し、所轄消防署へ相談します。
商品名だけでなく、
表示と数量を見るんですね。
はい。
使う前に一覧へ記録します。
持込量と保管庫と施錠をどう管理するのか

一日の作業量から必要最小限の持込量を決めます。
「念のため多めに持ち込む」と、作業区画の保管量が増え、終業時の回収漏れも起きやすくなります。
- 製品名、危険物区分、持込予定量を事前に届ける
- 防火管理者と工事施工責任者が使用場所と期間を確認する
- 作業場へは当日使う必要最小限だけを小出しにする
- 使用中は火気と火花を離し必要な換気を行う
- 休憩時と終業時に容器のふたと漏れを確認する
- 残量を不燃性保管庫へ戻して施錠する
- 残量、異常、施錠、確認者、時刻を記録する
東京消防庁の既存防火対象物向け作成例は、危険物品等を常時保管せず、保管する場合は施錠し、使用時は必要量を小出しにする管理例を示しています。持込みから返却までを一つの手順にします。
工事会社だけで完結させず、防火管理者と工事施工責任者の承認経路を決めます。夜間に警備員へ引き継ぐ場合も、保管庫の場所と異常時の連絡先を共有してください。
使う量だけを、
作業場へ出すんですね。
はい。
残りは施錠して管理します。
少量なら作業場へ残してよいと思うと何を見落とすのか

少量という言葉は保管場所と火気管理を省略する理由になりません。
指定数量未満でも、市町村条例による貯蔵や取扱いの基準を確認する必要があります。
- 容器のふたが緩み可燃性蒸気が滞留する
- 漏れた液体が電動工具や充電器の近くへ広がる
- 複数製品の数量が集まり合算管理を見落とす
- 空容器と思った缶に残液や蒸気が残る
- 夜間に放置され異常を発見する人がいなくなる
消防庁の防火管理講習基準は、工事部分へ持ち込まれる塗料や接着剤等の種類、特性、保安対策と、指定数量未満の危険物に対する市町村条例の基準を理解させるよう示しています。少量と無管理は別の話です。
空缶や使用済みウエスも、残液や蒸気を含む可能性があります。新品の在庫と同じ棚へ戻さず、処理方法を決めた場所へ分け、翌朝まで無人になる状態を作らないようにします。
少しでも、
置き場所は決めるんですね。
はい。
保管と施錠は省けません。
明日から危険物品の終業点検をどう進めるのか

持込表と残量表と施錠確認を一枚の終業点検表へまとめます。
「片付けました」という口頭報告だけでは、残った製品と確認者を追えません。
- 使用予定の製品と危険物区分と数量を一覧にする
- 不燃性保管庫と作業中の一時置場を図面へ示す
- 防火管理者と工事施工責任者の承認方法を決める
- 作業終了時に容器のふた、漏れ、残量を確認する
- 空容器、使用済みウエス、残液を決めた方法で分ける
- 保管庫へ収納して施錠し確認者と時刻を記録する
- 異常と未回収品を警備員と翌日の責任者へ引き継ぐ
工事工程が変われば製品と持込量も変わります。消防計画や作業打合せの危険物品一覧を更新し、予定外の製品を無承認で持ち込ませないようにします。
内閣府の事業継続ガイドラインは、事業継続と併せて二次災害の防止を求めています。復旧速度だけを優先せず、終業後に火災危険を残さないことを毎日の完了条件にしてください。
残量と施錠時刻まで、
記録して引き継ぎます。
それなら夜間も、
危険物品を管理できます。
よくある質問
まとめ
早期復旧を急いでも、塗料やシンナーの管理を作業員の経験だけへ任せてはいけません。製品一覧、保管庫、承認経路、終業点検を一組にします。
必要量だけ持ち込み使用後は収納施錠して記録するという順番を、BCPと工事中の消防計画へ組み込んでください。
必要量と保管庫を、
先に決めます!
収納と施錠の記録まで続けましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第8条および第9条の4
- e-Gov法令検索 消防法施行規則第3条
- 総務省消防庁 危険物とは
- 東京消防庁 工事中の防火管理
- 東京消防庁 既存防火対象物の工事中の消防計画作成例
- 総務省消防庁 防火管理に関する講習の実施細目
- 大阪市消防局 消防法上の危険物の規制について
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。危険物の区分や数量と必要な届出や保管基準は製品と自治体条例と工事内容により異なります。安全データシートを確認し、個別の貯蔵・取扱い・消防計画は所轄消防署、製造元、専門家へご確認ください。





