パッケージ型消火設備の設置工事が完了すると、試験結果報告書を作成して消防長や消防署長へ届け出ます。
この報告書には、建物の用途や構造だけでなく、消火薬剤の量や放射時間といった実測値まで書き込む欄が並んでいます。
Ⅰ型とⅡ型で基準となる数値が違うため、記載例を読むとその建物がどちらの型で設計されているかも見えてきます。
今回はパッケージ型消火設備の試験結果報告書に実際にどんな数値が書き込まれるのか、基準とどう違うのかを解説します。
パッケージ型消火設備の報告書にも、屋内消火栓みたいに実測値が入るんですか。
はい、放射時間や消火薬剤量まで具体的な数値が並びます。
うちのパッケージ型消火設備がⅠ型とⅡ型のどちらなのか、報告書を見れば分かるんですね。
はい、消火薬剤の種類と量を見れば判別できます。
- パッケージ型消火設備の試験結果報告書は別記様式第30で作成する
- 消火薬剤の種類と貯蔵量はⅠ型・Ⅱ型ごとに告示の表で定められている
- 記載例の消火薬剤は第三種浸潤剤等入り水80リットルでⅡ型の基準と一致する
- 放射時間の基準はⅡ型1分30秒以上、記載例の実測値は98秒
- ホースの長さはⅡ型20メートル以上の基準に対し記載例は25メートル
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目次
パッケージ型消火設備の試験結果報告書にはどんな書類が使われるのか

どんな様式に何を書くかは、設備ごとに消防庁長官が定めています。
様式の名前は別記様式第30で、用途・構造・階数・延べ面積のほか、機器の認定番号や製造者、設置個数を書く欄が上段に並びます。
記載例では用途は(5)項イのホテル、構造はA(特定主要構造部を耐火構造とし内装制限したもの)、延べ面積2,100平方メートル、地上2階地下1階、設置個数3台という設定になっています。
つまりこの1枚は、機器そのものの性能だけでなく、どんな建物のどんな場所に置かれているかまで示す書類だということです。
建物の用途や構造まで報告書に書かれているんですね。
はい、機器の設置個数まで欄が分かれているんです。
消火薬剤の量はなぜⅡ型で違ってくるのか

消火薬剤の種類と量は、この型ごとに表で決められています。
告示の表では、第三種浸潤剤等入り水はⅡ型の欄にしか数値が無く、貯蔵量は80リットル以上と定められています。
記載例の消火薬剤量は80リットル(26.67リットル×3本)で、この告示の基準とちょうど一致します。
消火薬剤の種類を見るだけで、その建物のパッケージ型消火設備がⅡ型で設計されていると分かる場合があるということです。
薬剤の種類そのものでⅠ型かⅡ型か分かることもあるんですね。
はい、貯蔵量の欄と見比べれば判別できます。
放射時間98秒はⅡ型の基準に対してどれくらい余裕があるのか

放射時間には型ごとに下限の基準があり、記載例の実測値と見比べると余裕の度合いが分かります。
記載例の総合作動試験の実測値は98秒で、基準を8秒上回っています。
消火薬剤量80リットルを98秒で放射しきる計算になるため、毎分に直すとおよそ49リットル毎分となり、告示が定める放射率の基準(第三種浸潤剤等入り水は16リットル毎分以上)の3倍以上の速さで出ている計算です。
基準は「これより短くてはいけない」という下限のラインで、実測値はそこから実際にどれだけ余裕があるかを示す数値だということです。
放射時間は長ければ長いほどよいものだと思っていました。
基準は下限のラインなので、上回っていれば合格です。
ホースの長さはなぜⅡ型でも25メートルまで伸ばしているのか

記載例のホースは、Ⅱ型の基準だけを見ていると気づきにくい長さになっています。
記載例の消火薬剤量はⅡ型の基準と一致していましたが、ホースの長さは25メートルで、Ⅱ型の基準を上回りⅠ型と同じ長さのホースが選ばれています。
記載例ではホースリールではなくホース架に丸印が付けられており、収納方法によって実際に伸ばせる長さが変わってくることがうかがえます。
基準は型ごとの下限にすぎず、実際にどこまで届かせたいかに応じて基準より長いホースを選ぶ余地があるということです。
薬剤量はⅡ型なのに、ホースだけⅠ型並みということもあるんですね。
はい、項目ごとに別の基準を満たせばよいので起こり得ます。
試験結果報告書はどうやって消防検査に引き継がれるのか

設置届出書とあわせて提出したあと、消防検査の場面で改めて活用されます。
記載例に書かれた消火薬剤量・放射時間・ホースの長さは、記入して提出すれば終わりではなく、検査の際に実際の設備と突き合わせて確認される対象になります。
基準を満たしているかどうかだけでなく、実際の数値まで報告書に残しておくことが、検査をスムーズに進める材料になるということです。
報告書に書いた数値が、検査のときにも見られているんですね。
はい、設計図書との照合材料になっています。
よくある質問
まとめ
基準と実測値の見分け方がよく分かりました。
試験結果報告書の作成までお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第31条の3(消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査)
- 消防用設備等試験結果報告書の様式を定める件(平成元年12月1日消防庁告示第4号、最終改正 令和2年4月1日消防庁告示第2号)別記様式第30
- パッケージ型消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成16年消防庁告示第12号)第五・第六・第七
- 消防庁「消防用設備等の試験基準に係る運用について」(平成14年9月30日消防予第283号)記3(1)ア
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





