浸水後の消防ポンプ室で、呼水槽の中に泥や細かな砂が沈んでいた。
汚れた水を抜いて水道水を入れれば再使用できるのか、ポンプまで点検すべきか迷う場面です。
結論からいえば、水だけを入れ替えて復旧扱いにせず、加圧送水装置の使用可否を保留し、呼水系統とポンプを専門点検につなげます。
水を入れ替えたら動かしてええですか。
その場で運転しないでください。
呼水槽だけ見れば足りますか。
配管とポンプまで一続きで見ます。
- 呼水槽の泥は水の入替えだけで復旧と判断しません
- 最初に加圧送水装置の使用可否を保留して代替措置を決めます
- 槽内・自動給水装置・減水警報・呼水配管・ポンプを一連で確認します
- 泥を流し込まず発見状態と浸水範囲を記録して専門業者へ渡します
- 清掃と点検と作動確認が終わってから復旧扱いにします
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目次
浸水後に呼水槽へ泥が入っていたら水を入れ替えて使えるのか

呼水槽へ泥が入っていたら、水を入れ替えただけで加圧送水装置を再使用しません。
細かな砂や異物が呼水配管や弁へ移動している可能性を、外観だけでは除けないためです。
消防庁告示の加圧送水装置の基準では、呼水装置を呼水槽、溢水用排水管、排水管、呼水管、減水警報装置の発信部、自動給水装置などで構成します。
槽内の水だけでなく、つながる配管と機器も確認対象です。
最初に泥の深さ、浸水線、濁り、異物、呼水槽のふたの状態、発見時刻を記録します。
排水や給水を始める前の全景と近接写真を残してください。
火災が起きている場合は、設備の観察より避難と119番通報が先です。
非常時に使用できる消防用設備等が限られることを関係者へ共有し、消防隊へ情報を渡します。
平常時の復旧では、施設担当者がポンプを試運転して様子を見るのではなく、消防設備業者へ連絡します。
泥を設備内部へ吸い込ませない順序で調査と清掃を進めます。
泥を見つけた状態が大事なんですね。
触る前に記録しておきます。
どの呼水槽と加圧送水装置を確認対象にするのか

確認対象は呼水槽の内側だけではありません。
呼水槽、自動給水装置、減水警報、溢水用排水管、排水管、呼水管、弁、ポンプを一つの系統として整理します。
- 呼水槽内の泥、砂、油膜、浮遊物
- ふた、槽本体、架台の変形や腐食
- 自動給水装置の弁と給水状態
- 減水警報装置の発信部と表示
- 溢水用排水管と排水管の詰まり
- 呼水管の逆止弁と止水弁
- ポンプや制御盤への浸水範囲
系統図へ浸水線と泥の到達箇所を書き込むと、調査範囲と復旧条件を共有しやすくなります。
同じポンプ室に複数の消防ポンプがある場合は、どの呼水槽がどのポンプへつながるかを確認します。
一つの槽の異常をほかの系統へ取り違えないようにしてください。
呼水槽より低い位置にある機器は、槽からの泥だけでなく床面からの浸水も受けます。
ポンプ、電動機、制御盤、配線の浸水痕も別に記録します。
水源や吸込側に泥が入った可能性があるときは、呼水系統だけの問題ではありません。
水源から放水口まで点検範囲を広げる必要性を専門業者と整理します。
系統図と浸水線を重ねます。
泥の経路を追いやすくなります。
泥の発見から専門点検と復旧確認までどう進めるのか

安全確保、記録、使用可否の保留、代替措置、専門点検、清掃、作動確認、復旧の順で進めます。
- 漏電や転倒などポンプ室の危険を確認する
- 泥、浸水線、濁り、機器番号を記録する
- 加圧送水装置の使用可否を保留して表示する
- 代替する消防用設備等と監視体制を決める
- 専門業者が呼水系統とポンプを点検する
- 適切な方法で槽内と必要箇所を清掃する
- 給水、警報、ポンプの作動を確認して記録する
泥をそのまま排水口へ流すと、排水管を詰まらせたり、汚れの広がりを分からなくしたりします。
回収方法と排水方法を専門業者と決めてから着手してください。
使用可否を保留している間は、関係者が誤って運転しないよう表示と引継ぎを行います。
防火管理者、設備担当者、警備担当者で同じ状態を共有します。
専門点検では、槽内だけでなく自動給水、減水警報、配管、弁、ポンプへの異物移動を確認します。
必要な清掃や部品交換の範囲は設備の構造と浸水状況で判断します。
代替措置は施設ごとに異なります。
使用できるほかの消防用設備等、巡回、火気管理、消防署への相談を組み合わせ、復旧までの防火安全を確保します。
先に水を抜いたらあかんのですね。
発見状態が調査の手掛かりです。
水だけ入れ替えれば復旧したと思うと何を見落とすのか

上澄みが透明になっても、槽の底、弁の周辺、細い配管に泥が残ることがあります。
見た目の透明さと設備が正常に機能することは別です。
- 槽底の沈殿物を残したまま給水する
- 呼水管や弁へ移動した異物を見ない
- 自動給水装置の作動だけで判断する
- 減水警報装置の発信部を確認しない
- 溢水用排水管や排水管の詰まりを見ない
- ポンプや制御盤の浸水痕を見落とす
- 代替措置を解除してから不具合に気づく
呼水槽に水があることと、火災時にポンプが確実に機能することは同じではありません。
自動給水で水位が戻っても、減水警報が正常とは限りません。
給水と警報を別々の確認項目として記録します。
排水管の止水弁や呼水管の逆止弁には、向きや開閉状態の確認が必要です。
施設担当者の自己判断で弁を操作し続けないでください。
清掃後に再び濁りが出る場合は、別の経路から泥が入っている可能性があります。
水源側や配管側の調査を含めて原因を切り分けることが必要です。
透明な水でも安心できないんですね。
機能確認までが復旧です。
明日から呼水槽の浸水へどう備えるのか

浸水してから呼水槽とポンプの対応関係を探すと、使用可否の判断や代替措置が遅れます。
平常時に系統、機器番号、浸水想定、連絡先、代替措置を一枚へ整理します。
- 呼水槽と消防ポンプの対応を台帳へ記録する
- ポンプ室の浸水想定と機器の高さを重ねる
- 発見時に撮る全景と近接写真を決める
- 使用可否の保留表示と立入管理用品を備える
- 代替する消防用設備等と巡回方法を決める
- 専門業者と所轄消防署の連絡先を更新する
- 訓練後に連絡と復旧解除の手順を見直す
法定点検の記録と災害後のBCP記録をつなぐと、平常時との差と復旧条件を説明しやすくなります。
消防法第十七条は消防用設備等の設置と維持を、同法第十七条の三の三は点検と報告を定めています。
点検結果を使用可否と復旧判断へ反映することがBCPの実務です。
訓練では加圧送水装置が使えない想定も入れ、代替措置を開始できるか確かめます。
夜間や少人数時に誰が異常を共有するかも決めてください。
内閣府の事業継続ガイドラインが示す重要業務と経営資源の整理に、消防用設備等の使用可否を加えます。
担当者が替わっても同じ条件で復旧解除できる記録を残しましょう。
使えない想定も訓練に入れます。
代替措置を迷わず開始できます。
よくある質問
まとめ
呼水系統まで記録します!
機能が戻るところまで復旧確認します。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第十七条・第十七条の三の三
- e-Gov法令検索 消防法施行令第十一条
- e-Gov法令検索 消防法施行規則第十二条
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検基準・点検要領・点検票
- 総務省消防庁 加圧送水装置の基準
- 総務省消防庁 屋内消火栓設備点検票
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。呼水槽に泥、砂、油膜、異物、濁りを見つけた場合は、施設担当者が排水、給水、弁操作、試運転を行わず、防火管理者、設備担当者、消防設備業者へ連絡してください。火災、煙、漏電などの危険がある場合は設備確認より避難と119番通報を優先してください。個別の点検、代替措置、施設利用、復旧判断は、設備の仕様と施設の運用状況に応じて所轄消防署や専門家へご確認ください。





