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連動型警報機能付感知器はなぜ特定小規模施設用に限られるのか|通常の自動火災報知設備に使うための4つの条件を解説

連動型警報機能付感知器はなぜ特定小規模施設用に限られるのか

火災を感知すると別の部屋の感知器まで一斉に鳴ってくれる「連動型警報機能付感知器」は、住宅用防災警報器としてホームセンターでも手に入ります。
この手軽さから、店舗や事務所ビルの自動火災報知設備にもそのまま流用できないかと考える方は少なくありません。
しかし国は平成20年、性能の条件を満たさない連動型警報機能付感知器を特定小規模施設用自動火災報知設備以外には使えないよう規則で線引きしました。
防火管理者は、自分の建物に付けようとしている感知器がこの線引きのどちら側にあるのかを見極めておく必要があります。

量販店で売っている連動型の警報器のほうが安いので、自動火災報知設備の感知器として使えないか検討しています。
これって普通に使ってもいいものなんでしょうか。

実は連動型警報機能付感知器には、特定小規模施設用自動火災報知設備以外では使えないという制限がかかっているんです。
今日は、その線引きがどこにあるのかを一緒に確認していきましょう。

うちは特定小規模施設ではなく、普通の雑居ビルのテナントなんですが、それでも関係ありますか。

はい、建物の種類にかかわらず、この感知器を使う以上は必ず関わってくる規定です。
まずは、なぜこの制限が設けられたのかから見ていきましょう。

この記事の結論
  • 連動型警報機能付感知器は、次の4つの条件のどれか一つでも満たさなければ、特定小規模施設用自動火災報知設備以外の自動火災報知設備に使うことができません
  • 1つ目は、火災信号を発信する端子以外から電力を受けている感知器(電池式を除く)が電力停止時に信号を発信できることです
  • 2つ目は、電池式の感知器が電池電圧が下限値になったとき受信機へ自動的に知らせられることです
  • 3つ目・4つ目は、感知器等規格省令が定める滴下試験・腐食試験に合格していることです
  • この線引きは平成20年12月26日付け消防予第344号による省令改正で設けられ、現在の消防法施行規則第23条第4項第7号の6に引き継がれています

連動型警報機能付感知器を特定小規模施設用自動火災報知設備に限る四つの条件の図解

連動型警報機能付感知器はなぜ使える範囲が制限されたのか

住宅の天井に設置された連動型警報機能付感知器ともう一つの警報器を結ぶ無線信号
住宅用の連動型警報機能付感知器は、火災を感知すると他の感知器にも信号を送り、一斉に警報を鳴らせる手軽な機器として広まりました。
一方でこの手軽さゆえに、性能の裏付けが乏しいまま一般の建物にも流用されることへの懸念が浮かび上がりました。
「消防法施行規則等の一部を改正する省令等の公布について」(平成20年12月26日付け消防予第344号 消防庁予防課長) 連動型警報機能付感知器のうち次のいずれかに該当するものは、特定小規模施設用自動火災報知設備以外の自動火災報知設備に用いることができないこととしたこと。(規則第23条第4項第7号の6関係)
きっかけは、住宅用グレードの感知器が無制限に流用されることへの歯止めです。
連動型警報機能付感知器は、火災を感知すると他の感知器にも信号を送り合って警報を鳴らす仕組みで、住宅用防災警報器としても広く普及しています。
一般的な自動火災報知設備は受信機が感知器の状態を集中管理しますが、住宅用グレードの機器の中には電源停止や電池切れを受信機に伝える仕組みを持たないものもあります。
そこで国は平成20年12月26日付け消防予第344号による省令改正で、一定の性能を満たさない連動型警報機能付感知器の使い道を特定小規模施設用自動火災報知設備に限定しました。
この特定小規模施設用自動火災報知設備自体も、同じ平成20年の改正で新設された小規模施設向けの代替制度です。

うちは特定小規模施設には当たらない普通の飲食店ビルなんですが、それでも安い連動型の感知器を使いたくなるんです。

気持ちは分かりますが、条件を満たさない連動型警報機能付感知器は特定小規模施設用自動火災報知設備以外には使えません。
次は、この感知器がそもそもどんな機器なのかを確認しましょう。

連動型警報機能付感知器とはどんな感知器のことか

連動型警報機能付感知器の本体から他の感知器へ信号を送る仕組み
まず、この「連動型警報機能付感知器」という言葉自体が、感知器の規格を定める省令の中でどう定義されているかを確認します。
定義を知ると、なぜ通常の感知器と区別して扱われるのかが見えてきます。
火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第17号)第2条第19号の6 連動型警報機能付感知器 警報機能付感知器で、火災の発生を感知した場合に火災信号を他の感知器に発信する機能及び他の感知器からの火災信号を受信した場合に火災警報を発する機能を有するものをいう。
連動型警報機能付感知器は「感知器自身が警報を鳴らす」感知器です。
一般的な自動火災報知設備の感知器は、火災を感知しても信号を受信機に送るだけで、感知器自身が警報を鳴らすことはありません。
これに対し連動型警報機能付感知器は、感知器どうしが直接信号をやり取りし、感知器自身が音で警報を発する点が最大の違いです。
住宅用防災警報器の多くはこの仕組みを使っており、寝室と階段に置いた警報器が一斉に鳴るのはこの機能によるものです。
この手軽さが、一般の建物にもそのまま使いたくなる理由でもあります。

感知器自身が鳴るなら、受信機なんて要らないくらい便利に思えます。
なぜそれだけではダメなんでしょうか。

便利さの裏返しで、受信機側で電源や電池の状態を確認できない機器が混じっているのが問題なんです。
次は、どんな性能を満たせば使ってよいのか、具体的な条件を見ていきましょう。

どんな連動型警報機能付感知器なら通常の自動火災報知設備にも使えるのか

商業ビルの受信機と電池残量を示す連動型警報機能付感知器
規則は「次のいずれかに該当するもの」を使えないと定めているので、裏を返せば4つの条件を全てクリアした連動型警報機能付感知器であれば通常の自動火災報知設備にも使えます。
通知が挙げる4つの条件を確認しましょう。
「消防法施行規則等の一部を改正する省令等の公布について」(平成20年12月26日付け消防予第344号 消防庁予防課長) 連動型警報機能付感知器のうち次のいずれかに該当するものは、特定小規模施設用自動火災報知設備以外の自動火災報知設備に用いることができないこととしたこと。(規則第23条第4項第7号の6関係) (ア) 火災信号を発信する端子以外から電力を供給されるもので、当該電力が停止した場合に、その旨の信号を発信することができないもの (イ) 電源に電池を用いるもので、電池の電圧が感知器を有効に作動できる電圧の下限値となったとき、その旨を受信機に自動的に発信することができないもの (ウ) 感知器等規格省令第21条の2に規定する滴下試験を行わなかったもの(防水型のものを除く。) (エ) 感知器等規格省令第22条第1項各号の腐食試験を行わなかったもの
言い換えれば、停電時も電池切れ時も必ず受信機へ知らせられる感知器だけが、通常の自動火災報知設備にも使えます。
1つ目と2つ目の条件は、電源が止まっても電池が切れても、その旨を受信機が把握できることを求めています。
3つ目と4つ目の条件は、感知器等規格省令が定める滴下試験・腐食試験という耐久性の試験に合格していることを求めています。
4つとも満たしていれば禁止の対象にならないため、通常の自動火災報知設備の感知器としても使うことができます。
逆に言えば、量販店で手に入る住宅用の連動型警報機能付感知器がこの4条件をすべて満たしているとは限らないため、購入前の確認が欠かせません。

うちで検討している製品が、この4つの条件を満たしているかはどこで確認すればいいんでしょうか。

メーカーのカタログや取扱説明書に、この規格への適合が明記されているはずです。
次は、この規定でうっかり見落としやすいポイントを整理します。

実務で見落としやすいのはどこか

条文の改正前後の連動型警報機能付感知器の書類を見比べる様子
この規定は「該当するものは使えない」という禁止の書き方なので、条文を読み違えやすい落とし穴があります。
あわせて、当時の通知と現在の条文の間にも小さな違いがあります。
消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第23条第4項第7号の6 連動型警報機能付感知器で、次のいずれかに該当するものは、特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成20年総務省令第156号)第2条第2号に規定する特定小規模施設用自動火災報知設備以外の自動火災報知設備に用いることができない。 イ 火災信号を発信する端子以外から電力を供給されるもの(電源に電池を用いるものを除く。)で、電力の供給が停止した場合、その旨の信号を発信することができないもの
読み違えやすいのは「該当したら使えない」という否定形の裏返しの理屈です。
条文は条件を満たさない機器を締め出す書き方であって、条件を満たす機器を積極的に許可する書き方ではありません。
「4つの条件を満たしていれば使える」と考えるほうが分かりやすいですが、条文どおりに読むと発想が逆になる点に注意が必要です。
また平成20年の通知にあった1つ目の条件には、現在の条文で「電源に電池を用いるものを除く。」という一文が加わっています。
これは電池式の場合の扱いを2つ目の条件に整理し直すための言葉の手当てで、求められる性能そのものが変わったわけではありません。

条件を満たしていないと使えない、条件を満たしていれば使える…頭の中で何度も引っくり返してしまいます。

否定形の条文はどうしても読みにくいので、無理に条文の言い回しのまま覚えなくて大丈夫です。
最後に、明日から確認する手順を順番に整理しましょう。

明日から何を確認すればよいのか

天井の連動型警報機能付感知器と点検チェックリストのクリップボード
ここまでの内容を、実際に確認する順番に整理します。
新しく感知器を選ぶときも、既に設置されている感知器を点検するときも同じ手順で確認できます。
火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第17号)第21条の2(滴下試験) 感知器(防水型のもの等を除く。)は、通電状態において、当該感知器の基板面に清水を五立方センチメートル毎分の割合で滴下する試験を行った場合、機能に異常を生じないものでなければならない
まず、使おうとしている感知器が特定小規模施設用自動火災報知設備の専用品か、4条件をクリアした汎用品かを確認します。
専用品であれば、特定小規模施設用自動火災報知設備以外の建物には使えません
汎用品として使いたい場合は、カタログや型式番号から滴下試験・腐食試験への適合と電池切れ通知の機能を確認します。
既に設置されている感知器についても、型式や仕様書を取り寄せて同じ4条件を満たしているか確認しておくと安心です。
自分で判断がつかないときは、感知器の製造者や所轄消防に確認するのが確実です。

型式番号だけでは分からない場合、どこに問い合わせればいいでしょうか。

メーカーのカスタマーサポートか、設置を担当した業者に確認するのが早いです。
最後によくある質問をまとめておきます。

よくある質問

Q連動型警報機能付感知器とはどんな感知器ですか?
A火災を感知すると他の感知器にも信号を送り、受信した感知器も警報を鳴らす機能を持つ感知器のことです。住宅用防災警報器としても広く使われています。
Q特定小規模施設用自動火災報知設備以外の建物には絶対に使えないのですか?
Aいいえ。停電時・電池切れ時の受信機への通知機能、滴下試験、腐食試験という4つの条件を全て満たしていれば、通常の自動火災報知設備にも使うことができます。
Q滴下試験・腐食試験とはどんな試験ですか?
A滴下試験は感知器の基板に水を滴下しても機能に異常が出ないかを確認する試験、腐食試験は温度や薬剤に対する耐久性を確認する試験で、いずれも感知器等規格省令が定めています。
Qこの制限はいつから設けられたのですか?
A平成20年12月26日付け消防予第344号による省令改正で新設され、現在の消防法施行規則第23条第4項第7号の6に引き継がれています。

まとめ

連動型警報機能付感知器は火災を感知すると他の感知器にも信号を送り、受信した感知器も警報を鳴らす感知器です。
一般的な自動火災報知設備の感知器と違い、感知器自身が警報を鳴らす点が特徴です。
この感知器は原則として、特定小規模施設用自動火災報知設備以外の自動火災報知設備には使えません
例外は停電時・電池切れ時の受信機への通知機能、滴下試験、腐食試験という4つの条件を全て満たす場合です。
この線引きは平成20年12月26日付け消防予第344号による省令改正で新設されました。
条文は禁止の書き方なので、4条件を満たした感知器だけが通常の建物にも使えると読み替えると分かりやすくなります。
感知器を選ぶときも点検するときも、カタログや型式番号で4条件への適合を確認しておく必要があります。

量販店の連動型警報器をそのまま流用せず、4条件への適合をカタログで確認してから使います!

判断に迷ったときは、㈱防災屋でもご相談を承っております

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 「消防法施行規則等の一部を改正する省令等の公布について」(平成20年12月26日付け消防予第344号 消防庁予防課長)
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第23条第4項第7号の6
  • 火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第17号)第2条第19号の5・第19号の6、第21条の2、第22条第1項

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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