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特定小規模施設用自動火災報知設備はなぜ火事の階数を声で知らせるようになったのか|新型感知器と中継器工事の資格を解説

夜の雑居ビルの外観写真

「特小自火報」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
雑居ビルや小規模な共同住宅に設置される、配線工事が要らない自動火災報知設備のことです。
令和6年、この設備の感知器と関連する省令が改正され、火災が起きた場所を声で知らせる新しい感知器が加わりました。
この記事では、新型感知器が何を伝え、中継器の工事に誰が必要になるのかを消防庁の通知にそって解説します

うちのビルにも自火報がありますが、去年「特小自火報」に更新したら業者さんが新しい感知器を勧めてきました。
ふつうの感知器と何が違うんでしょうか。

新しい感知器は、火事が起きた場所を音声で知らせる機能を持っています。
令和6年7月の消防庁通知が、この新しい感知器と工事のルールをまとめました。

音声で場所まで教えてくれるんですね。
工事のときに気をつけることはありますか。

はい、中継器を新しく設ける工事には資格が必要になりました。
今日はその中身を一緒に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 令和6年、感知器省令等の改正で火事が起きた場所を音声で知らせる新型感知器が特小自火報に加わった
  • 新型感知器の警報は「警報音+火災である旨+発生した階または階段」を組み合わせた音声で知らせる
  • 警戒区域の拡大にともない中継器を新設するケースが増え、その工事・整備は第4類甲種消防設備士の資格を持つ人が行う必要がある
  • 複合用途の防火対象物では設置義務が生じた部分にだけ設置すればよいとされている
  • 対象になるかどうかは消防法施行令第21条が定める自動火災報知設備の設置義務の範囲で判断する

新型感知器が火災の発生場所を音声で知らせる仕組みを示す図解

特定小規模施設用自動火災報知設備はなぜ新しい感知器が必要になったのか

音声で発生場所を知らせる新型感知器のイメージイラスト
特小自火報は、無線式で配線工事が要らない自動火災報知設備として運用されてきました。
令和6年、この設備にかかわる3つの規格・省令が改正され、通知でその運用が整理されました。
火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令及び特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令の一部を改正する省令等の運用上の留意事項について(通知) 特定小規模施設用自動火災報知設備(以下「特小自火報」という。)については(略)今般、火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令(略)、特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(略)及び特定小規模施設用自動火災報知設備の設置及び維持に関する技術上の基準(略)がそれぞれ改正されたことを踏まえ、下記のとおり運用上の留意事項をとりまとめましたので通知します。(令和6年7月23日 消防予第363号)
ねらいは、火事の発生場所をより早く正確に伝えることです
これまでの特小自火報も警報音で火災を知らせていましたが、どの階・どの場所で火事が起きたかまでは伝えられませんでした。
そこで連動型警報機能付感知器という新しいタイプの感知器が加わり、警報音に加えて場所を知らせる音声が組み合わされることになりました。
背景には、無線式の設備が増えたことで警戒区域をまたいで信号を伝える必要が出てきたという事情もあります。

音だけだと、どこで火事が起きたのか分からないですもんね。

はい、その課題を解決するために新型感知器が加わりました。
次は、どんな建物のどの部分が対象になるのかを見ていきましょう。

どんな建物のどの部分が対象になるのか

特定小規模施設用自動火災報知設備が設置される建物のイメージイラスト
特小自火報はどんな建物にも置けるわけではありません。
自動火災報知設備の設置義務がある部分のうち、一定の条件を満たす小規模な部分に限って設置が認められています。
前各号に掲げる防火対象物以外の別表第一に掲げる防火対象物のうち、同表(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が避難階以外の階に存する防火対象物で、当該避難階以外の階から避難階又は地上に直通する階段が二(略)以上設けられていないもの(消防法施行令第21条第1項第7号) 別表第一(二)項イからハまで、(三)項及び(十六)項イに掲げる防火対象物(略)の地階又は無窓階(略)で、床面積が百平方メートル(略)以上のもの(消防法施行令第21条第1項第10号)
つまり対象になるのは、階段が1つしかない小規模な雑居ビルや、飲食店・キャバレー等が入る建物の地階・無窓階など、自動火災報知設備を設置しなければならない部分のうち規模が小さいところです。
警戒区域が2以上になる建物、または延べ面積が300平方メートル未満の建物であれば、通常の自動火災報知設備に代えて特小自火報を選べます。
逆に言えば、設置義務そのものが無い部分にまで特小自火報を置く必要はありません。

うちは階段が1つしかない小さいビルなので、対象になりそうです。

そうですね。
次は、通知が新型感知器と中継器の工事に何を求めているのかを見ていきましょう。

通知は新型感知器と中継器の工事に何を求めているのか

中継器の工事を行う消防設備士のイメージイラスト
求められていることは大きく2つです。
「音声の中身」と「工事をする人の資格」です。
改正後の感知器省令第8条第18号ハに規定する火災の発生した警戒区域を特定できる連動型警報機能付感知器(以下「新感知器」という。)の火災警報は、次のように、警報音並びに火災である旨及び火災の発生場所を周知する音声を組み合わせたものであり、火災の発生場所に関するメッセージとしては、火災を感知した階又は階段とすることで足りるものであること。(略)また、日本語を母国語としない人に配慮したメッセージを日本語のメッセージの後に付加することも可能とするが、メッセージはできる限り短くすること。例:「ピー、ピー、ピー。3階で火事です。Fire、Fire.」(令和6年7月23日 消防予第363号)
今回の改正により特小自火報が設置可能な警戒区域数が拡大されることに伴い、無線通信確保のため中継器を設置するケースが考えられるが、中継器を設ける特小自火報の工事及び整備については、第4類の甲種消防設備士の資格を有する者が行うことが必要であること。また、工事の際は、設置場所において、電波の受信状況をよく確認すること。(令和6年7月23日 消防予第363号)
新しい感知器の音声は、「ピー、ピー、ピー」という警報音のあとに、火事であることと発生した階や階段を伝える構成です。
場所の案内は「3階で火事です」のように、感知した階または階段までで足り、部屋番号までは求められていません。
外国語のメッセージを付け加えることもできますが、日本語のあとに続け、できる限り短くすることとされています。
また、警戒区域が広がったことで中継器を新たに設ける工事が出てきますが、この工事と整備は第4類甲種消防設備士の資格を持つ人でなければ行えません。

無線だから誰が工事してもいいと思っていました。
資格が要るんですね。

中継器を新設する工事は、資格を持つ人に頼んでください。
次は、実務で見落としやすいところを確認しましょう。

実務で見落としやすいのはどこか

複合用途の防火対象物における設置義務の範囲を示すイメージイラスト
見落としやすいのは、複合用途の建物での設置範囲です。
「建物全体に付けなければならない」と思い込んでしまうケースが目立ちます。
下記例1から例3に掲げる防火対象物の場合、令第9条の適用により、令第21条第1項第1号及び第10号に定める部分に自火報の設置が必要となるが、今回の改正により当該部分に特小自火報の設置が可能となるが、この場合において、設置義務が生じた部分のみ設置すれば足りるものである。(令和6年7月23日 消防予第363号)
複合用途の防火対象物では、設置義務が生じた部分だけに設置すればよいとされています。
飲食店部分は義務があっても、隣接する事務所部分には義務が無い、といった建物ごとの違いが起きやすいところです。
逆に、通知は義務のない用途にも連動できる感知器を設置することが望ましいともしており、効果を高めたいなら義務の範囲を超えて設置する選択肢もあります。
もう一つの落とし穴は、外国語メッセージを長く作り込みすぎることです。できる限り短くという条件を忘れると、避難のための音声が長すぎて聞き取りにくくなります。

うちのテナントは飲食店と事務所が混ざっているので、どこまで義務なのか確認しないといけないですね。

はい、テナントごとの用途で確認するのが確実です。
次は、明日からなにを確認すればよいかをまとめます。

明日からなにを確認すればよいのか

点検チェックリストと専門業者への連絡を示すイメージイラスト
最後に、防火管理者として確認しておきたい手順を整理します。
自分の建物が対象かどうかから順番に見ていきましょう。
特小自火報の感知器の設置場所 居室及び床面積が二平方メートル以上の収納室 倉庫、機械室その他これらに類する室 階段及び傾斜路、廊下及び通路並びにエレベーターの昇降路、リネンシュート及びパイプダクトその他これらに類するもの(略)※垂直距離7.5mにつき、1個の個数を、火災を有効に感知するように設けること(小規模特定用途複合防火対象物を除く。)。(令和6年7月23日 消防予第363号 別添1)
まず、自分の建物が消防法施行令第21条の設置義務の範囲に入るかどうかを確認します。
入るなら、既存の感知器が新型の連動型警報機能付感知器に対応しているか、更新の時期に合わせて業者に確認しましょう。
中継器を新しく設ける工事が発生する場合は、第4類甲種消防設備士の資格を持つ業者に依頼してください。
複合用途の建物では、テナントごとの用途を洗い出して、どの部分に設置義務があるかを消防署や設備業者と一緒に確認しておくと安心です。

まずは施行令第21条の範囲に入るかどうかから確認してみます。

それが確実です。
次はよくある質問を確認していきましょう。

よくある質問

Q新型感知器はどんな建物にも設置できますか?
A特小自火報自体が、消防法施行令第21条の設置義務がある部分のうち、警戒区域が2以上または延べ面積300平方メートル未満などの小規模な部分に限って選べる設備です。どんな建物にも自由に置けるわけではありません。
Q音声メッセージは部屋番号まで知らせてくれますか?
Aいいえ。通知が示す基準では、火災を感知した階または階段までを伝えれば足りるとされています。部屋番号までの案内は求められていません。
Q中継器の工事は誰に頼めばよいですか?
A第4類甲種消防設備士の資格を持つ人に依頼してください。工事の際は設置場所での電波の受信状況もあわせて確認してもらいましょう。
Q複合用途の建物では建物全体に設置しなければなりませんか?
Aいいえ。設置義務が生じた部分にのみ設置すれば足りるとされています。ただし、義務のない部分にも連動できる感知器を設けることが望ましいともされています。

まとめ

令和6年、感知器省令等の改正で火事の発生場所を音声で知らせる新型感知器が特小自火報に加わった
対象になるのは、施行令第21条が定める自動火災報知設備の設置義務がある部分のうち警戒区域が2以上または延べ面積300平方メートル未満などの小規模な部分
新型感知器の音声は「警報音+火災である旨+感知した階または階段」を組み合わせたもの
外国語メッセージは日本語の後に付加でき、できる限り短くすることとされている
警戒区域の拡大にともない中継器を新設する場合、工事・整備は第4類甲種消防設備士の資格を持つ人が行う必要がある
複合用途の防火対象物では設置義務が生じた部分にだけ設置すればよい
迷ったら消防法施行令第21条の範囲と、テナントごとの用途を消防署・設備業者と確認するのが確実

音声で場所まで知らせてくれる仕組みと、工事に必要な資格まで分かって安心しました。

よかったです。
中継器の工事や設置範囲でお困りのことがあれば、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令及び特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令の一部を改正する省令等の運用上の留意事項について(通知)(令和6年7月23日 消防予第363号)
  • 火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令第8条第18号(連動型警報機能付感知器の構造及び機能)
  • 消防法施行令第9条・第21条第1項第1号・第7号・第10号(自動火災報知設備の設置義務)

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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「特小自火報」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。 雑居ビルや小規模な共同住宅に設置される、配線工事が要らない自動火災報知設備のことです。 令和6年、この設備の感知器と関連する省令が改正され、火災が起きた場所を声で知...