道路の上にまたがるように建てられたビルを見たことはありませんか。
これは「立体道路制度」という仕組みを使った建て方で、都市部の再開発などで年々増えています。
このとき現場で必ず出てくるのが、消防用設備等をどこまで設置すればよいのかという範囲の疑問です。
令和8年8月、消防庁はこの疑問に具体的な答えを示す執務資料を発出しました。
うちのビルは道路の上に建っているみたいで。
消防設備はどこまで要るのか分からないんです。
それは「立体道路制度」を使った建物かもしれませんね。
まずは道路と建物の構造を確認しましょう。
道路と一体になっているかどうかで
設置範囲が変わるって本当ですか。
本当です。
令和8年の執務資料が具体的な基準を示しています。
- 立体道路制度で建てられた建物は、道路と一体構造か分離構造かで消防用設備等の設置範囲が変わります。
- 92号通知がいう「建物と一体をなす構造」とは、立体的区域の道路と建物が一体的な構造となった「道路一体建物」を指します。
- 一体構造の車道・歩道部分には、消防用設備等の設置が必要です。
- 分離構造の道路部分は原則不要ですが、延焼のおそれがある場合は設置が望ましいとされています。
- この整理は令和8年8月3日付消防予第359号の執務資料で示されました。
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目次
立体道路の建物はなぜ消防用設備の範囲が問題になったのか

建物と道路が同じ場所に重なるため、消防用設備等をどこまで設置すればよいのかという疑問が現場から寄せられていました。
まず押さえておきたいのは、判断のカギが「一体構造か分離構造か」という建物の作り方にある、という点です。
次の章で、この一体構造の意味から確認していきます。
なんで今ごろこんな資料が出たんですか。
前から決まってたことじゃないんですか。
解釈自体は前からあったんですが、
立体道路制度の建物が増えて確認の必要が高まったんですよ。
どんな建物が道路一体建物に当たるのか

この言葉が具体的に何を指すのか、今回の執務資料ではっきりと確認されました。
道路一体建物とは、道路の上や下の空間を建物と共有し、構造そのものが一体化しているものを指します。
逆に、道路のそばに建っているだけで構造的にはつながっていない建物は、この一体構造には当たりません。
自分の建物がどちらに当たるかは、建築確認申請時の図面や道路管理者との協議記録で確認できます。
一体構造かどうかって、
見た目だけじゃ分からなさそうですね。
そうなんです。
構造として道路と一体かで判断するので、図面の確認が欠かせません。
一体構造と分離構造で設置範囲はどう変わるのか

執務資料は、防火対象物全体に設置義務がある消防用設備等について、4つの部分に分けて整理しています。
⑴道路一体建物の車両の交通の用に供される道路 ⑵道路一体建物の車両の交通の用に供される道路以外の道路(略) ⑶建物と分離構造をなしている車両の交通の用に供される道路 ⑷建物と分離構造をなしている車両の交通の用に供される道路以外の道路(略)
- 一体構造の車道部分:設置が必要
- 一体構造のそれ以外の道路部分(歩道など):設置が必要
- 分離構造の車道部分:原則設置不要
- 分離構造のそれ以外の道路部分:原則設置不要
この線引きが、立体道路制度の建物では最初に確認すべきポイントになります。
じゃあ分離構造の道路は
気にしなくていいってことですか。
原則はそうですが、
次の章で説明する例外も見落とせません。
分離構造だから設置不要と思い込むとどこで見落とすのか

執務資料はそれだけで終わらせず、ただし書きを添えています。
道路部分の火災が建物側へ延焼するおそれがあるかどうかは、道路と建物の距離や構造によって個別に変わります。
義務が無いことだけを根拠に検討自体を止めてしまうと、実際に延焼のおそれがある構造を見落とすことになりかねません。
設置を求めることが「望ましい」という表現なので、最終的な判断は個々の防火対象物の状況に応じて所轄消防署と相談することになります。
望ましいって言われても、
結局どうすればいいのか迷います。
まずは延焼のおそれがあるかどうかを、
所轄の消防署に相談してみましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

次に、道路部分が一体構造か分離構造かを整理し、一体構造の部分については消防用設備等の設置範囲に含めて点検・維持管理の対象にします。
分離構造の部分については、火災が建物側へ延焼するおそれがないかを所轄消防署に相談し、必要に応じて任意設置も検討してください。
判断に迷う場合は自己判断で済ませず、所轄消防署への確認を優先しましょう。
うちの建物も一度、図面を見直してみます。
一体構造かどうか確認してみますね。
それが一番確実です。
迷ったら所轄消防署にも相談してみてください。
よくある質問
まとめ
道路と一体か分離かで、
ここまで扱いが変わるとは知りませんでした。
迷ったときはお気軽にどうぞ。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防予第359号「消防用設備等に係る執務資料の送付について(通知)」(令和8年8月3日・消防庁予防課長)
- 消防予第92号「消防法施行令の一部を改正する政令及び消防法施行規則の一部を改正する省令の運用について(通知)」(平成2年7月10日・消防庁予防課長)
- 消防法施行令第13条・第21条・第29条
- 道路法第47条の18
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





