漏電火災警報器の受信機には、どれだけの漏れ電流で鳴らすかを決める検出漏洩電流設定値があります。
点検では、この設定値が適正かどうかも確かめます。
この記事では、点検要領が示す設定値の目安と、誤報のときの考え方を整理します。
設定値は、小さくすれば安全側なのではないですか。
点検要領は、設定値が適正で、誤報のおそれがない値かを見ると書いています。
順番に見ていきましょう。
目安になる数字は、点検要領に書かれているのですか。
警戒電路とB種接地線で、おおむねの範囲が書かれています。
ただし、範囲に入れば十分とは書いていません。
- 設定値は、機器点検の感度調整装置の項目で確かめます。
- 警戒電路はおおむね100mAから400mA、B種接地線はおおむね400mAから800mAです。
- 範囲の中でも、負荷電流・使用電線・電線こう長を考慮して適正に定めます。
- 誤報のときは、不十分な調査のまま過大値に設定しないことが求められています。
- 設定値の根拠は、施行規則第24条の3第4号の誤報が生じない適正な値です。
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目次
検出漏洩電流設定値は点検のどこで確かめるのか

感度調整装置という名前の項目で、点検方法は「漏洩電流設定値を確認する」です。
1 機器点検 受信機 感度調整装置
(点検方法)漏洩電流設定値を確認する。
(判定方法)ア 設定値が適正であること。イ 誤報のおそれのない値となっていること。
設定値が適正であることと、誤報のおそれのない値となっていることです。
感度を高くすれば安全とは考えず、誤報が起きない値であることも求められています。 設定値が誤報のない適正な値であるべきことは、施行規則にも書かれています。
条文の考え方は、音響装置の設置基準の記事でまとめています。
設定値の確認は、総合点検でも行うのですか。
設定値の項目は、機器点検に書かれています。
総合点検には、作動電流を測る作動範囲の項目があります。
設定値の目安は何mAから何mAなのか

1 機器点検 受信機 感度調整装置 ※(ア)
設定値は、警戒電路に設けられている場合は、おおむね100mAから400mA、B種接地線に設けられている場合は、おおむね400mAから800mAの範囲内で、警戒電路の負荷電流、使用電線、電線こう長等を考慮し、適正に定められていること。
| 変流器を設ける場所 | 設定値の目安(点検要領) |
|---|---|
| 警戒電路 | おおむね100mAから400mA |
| B種接地線 | おおむね400mAから800mA |
この違いの理由は、点検要領には書かれていません。
変流器をどこに取り付けるかは、施行規則第24条の3第2号が「屋外の電路」または「B種接地線」と定めています。
目安は、おおむねと書いてあるのですか。
はい、おおむねと書かれています。
範囲を外れたときの扱いは、この項目からは分かりません。
範囲の中に入っていれば適正といえるのか

点検要領は、範囲内で適正に定められていることを求めています。 考慮するものとして、警戒電路の負荷電流、使用電線、電線こう長が挙げられています。
つまり、建物ごとの電路の状態を見て決める、という考え方です。
施行規則第24条の3第4号も、誤報が生じないよう「警戒電路の状態に応ずる」適正な値とすると定めています。
検出漏洩電流設定値は、誤報が生じないように当該建築物の警戒電路の状態に応ずる適正な値とすること。
数値の求め方や計算式も示されていないため、範囲内なら自動的に適正とは言えません。
範囲の中のどの値にすればよいか、決まっているのですか。
点検要領は、範囲の中のどの値かまでは書いていません。
電路の状態を考慮して決めます。
誤報のときは設定値を大きくしてよいのか

点検要領は、この場面に注意書きを置いています。
1 機器点検 受信機 感度調整装置 ※(イ)
誤報等のため設定値を変更する場合には、不十分な調査のまま過大値に設定しないように保守担当者から実情をよく聞いて適正値を決めること。
不十分な調査のまま過大値にしないこと、保守担当者から実情をよく聞くことの二つが書かれています。
調査の具体的な手順までは、点検要領には書かれていません。 設定値を大きくしすぎると、本当の漏電で鳴らないおそれが出ます。
これは当記事の読み取りで、点検要領に理由の説明はありません。
誤報が出たら、すぐ設定値を上げてもよいですか。
点検要領は、不十分な調査のまま過大値にしないよう求めています。
まず実情を聞くことが先です。
設定値を変えると総合点検の見方はどうなるのか

2 総合点検 作動範囲
正常に作動し、すべての作動電流値は、公称作動電流値(作動電流設定値)に対して+10%、-60%の範囲であること。
設定値が変われば、基準となる数値も変わります。
詳しい測り方は、作動範囲試験の記事をご覧ください。 当記事の計算例です。
設定値が100mAなら、+10%で110mA、-60%で40mAなので、40mAから110mAの範囲です。
設定値が400mAなら、160mAから440mAの範囲になります。 設定値を変更したあとに、作動範囲の試験をやり直すかどうかは、点検要領には書かれていません。
音響装置の音圧の見方は、音圧の補正の記事にまとめています。
設定値が違えば、合格になる作動電流も違うのですか。
点検要領は、設定値に対して+10%、-60%と書いています。
基準は設定値ごとに変わります。
よくある質問
まとめ
設定値を変える前に、現場の実情をよく聞いておきましょう!
設定値は、電路の状態に合わせて決めます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年6月11日 消防予第172号)別添 第12 漏電火災警報器
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第24条の3・第31条の6
※本記事は公表されている法令および消防庁の点検要領に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





