漏電火災警報器の総合点検では、音響装置が鳴るかどうかだけでなく、どれだけの大きさで鳴るかも測ります。
工場のように機械の音が絶えない場所では、ブザーが止まっていても騒音計の針が振れています。
この記事では、点検要領が示す暗騒音の補正表の読み方と計算例を整理します。
騒音計で読んだ数字が、そのまま点検の結果ではないのですか。
住宅地域以外では、周囲の音が読み値に上乗せされることがあります。
点検要領は、そのときの補正のしかたを決めています。
補正をすると、数字は上がるのですか、下がるのですか。
表の補正値は、すべてゼロ以下です。
読み値を上げる補正はありません。
- 総合点検では、音響装置の前面1mで騒音計(A特性)を使い、音圧が70dB以上であることを確かめます。
- 住宅地域以外では、暗騒音でブザーが鳴らなくても針が振れることがあり、そのときは補正します。
- 補正は、ブザーが鳴っているときと鳴っていないときの指示の差を出して、表の補正値を当てはめます。
- 表の補正値は、差が3dBなら−3、4〜5dBなら−2、6〜9dBなら−1、10dB以上なら補正なしです。
- 点検要領の例では、鳴らないとき72dB・鳴ったとき76dBで差4dB、補正−2をして74dBになります。
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目次
漏電火災警報器の音圧は点検のどこで何を確かめるのか

点検では、その決まりを機器点検と総合点検の二段階で確かめます。
音響装置は、次のイ及びロに定めるところにより設けること。
イ 音響装置は、防災センター等に設けること。
ロ 音響装置の音圧及び音色は、他の警報音又は騒音と明らかに区別して聞き取ることができること。
点検方法:試験装置を操作し確認する。
判定方法:音圧及び音色が他の機械等の音等と区別して聞き取れること。
※漏電火災警報器の作動と連動して電流の遮断を行う装置のない場合は、なるべく通常の操業状態で鳴動させ、他の音等との区別を確認すること。
ここには数値がなく、耳で区別できるかが判定の中心です。
数値で確かめるのが、次の総合点検です。
(2) 音響装置の取り付けられた位置の中心から前面1m離れた位置で、騒音計(A特性)を用いて規定の音圧が得られるかどうかを確認する。
判定方法:音圧は、70dB以上であること。
この測り方は、作動電流を測る試験の欄に並んで書かれています。
作動電流の測り方と許容範囲は、作動範囲試験の記事でまとめています。
音響装置の音圧は、いつも数値で確かめるのですか。
数値で確かめるのは、総合点検です。
機器点検は、区別して聞き取れるかどうかを見ます。
暗騒音があるとなぜ音圧を補正するのか

点検要領は、この暗騒音が読み値に影響する場面を書いています。
※住宅地域以外では、暗騒音が多くブザーが鳴動しなくとも騒音計の指針が振れている場合もある。このようなときには次の補正を行うこと。
そのまま鳴らして測ると、ブザーの音に暗騒音が上乗せされた値を読むことになると読めます。
補正は、その上乗せ分を差し引く考え方です。 この注意書きは、住宅地域以外について書かれています。
工場や倉庫、機械室のある建物が、まず思い浮かぶ場面です。
警報音を区別して聞き取れるかという基準の考え方は、音響装置の設置基準の記事をご覧ください。
住宅地域では、補正は書かれていないのですか。
補正の注意書きは、住宅地域以外の場面として書かれています。
住宅地域での扱いは、点検要領に書かれていません。
暗騒音の補正表はどう読めばよいのか

点検要領の表を、当記事の表にまとめ直しました。
対象の音があるときとないときの指示の差が3のとき補正値−3、4〜5のとき−2、6〜9のとき−1、10以上のとき0。
| ブザーが鳴るときとないときの指示の差 | 補正値 |
|---|---|
| 3dB | −3dB |
| 4dB〜5dB | −2dB |
| 6dB〜9dB | −1dB |
| 10dB以上 | 0dB(補正なし) |
差が10dB以上あれば、暗騒音の影響が小さいとして補正なしになります。
この解釈は表の並びからの読み取りで、点検要領に理由の説明は書かれていません。
表の補正値は、読み値に足すのですか、引くのですか。
点検要領の例は、読み値から2を引いて74としています。
表の補正値は負の数なので、加えても同じ結果です。
ブザーが鳴らないとき72dBだったら実際に何dBと判定するのか

手順を分けて追ってみましょう。
例えばブザーの鳴らないときに72dBを指示し、鳴ったときには76dBであったならば、76−72=4dBが表の上段(指示の差)であるから、下段の補正値と計算して(76−2=74)補正した値は74dBとなる。
①ブザーを止めて、暗騒音の指示を読む(72dB)。
②ブザーを鳴らして、指示を読む(76dB)。
③差の4dBを表に当てて補正値−2を出し、76から2を引く(74dB)。
74dBは、判定基準の70dB以上を満たします。 補正が結果を左右する例を、当記事で作ってみます。
点検要領には載っていない計算例です。
ブザーが鳴らないとき69dB、鳴ったとき72dBなら、差は3dBで補正値は−3です。
72−3=69dBとなり、補正すると70dBに届かないことになります。
暗騒音を読まずに、鳴らしたときだけ測ってはいけませんか。
補正表は、鳴るときとないときの二つの指示の差で引きます。
暗騒音が多い場所では、止めた状態の読みも取ります。
補正表に載っていない場合や70dBに届かない場合はどうなるのか

点検要領にも、その場合の扱いは書かれていません。 差が3dB未満のときの補正値は、点検要領から読み取れません。
暗騒音が大きすぎて測れないと感じたら、消防設備士や所轄消防署に確認するのが安全です。
判定の根拠は、施行規則第31条の6に基づく点検の方法として、消防庁長官が定めたものです。 補正後の値が70dBに届かない場合について、点検要領は対処を書いていません。
判定は「70dB以上であること」なので、届かなければ基準を満たさないと読めます。
機器点検で区別して聞き取れるかを見る趣旨も、あわせて意識しておきましょう。
補正後に70dBに届かなかったら、どうしたらよいですか。
点検要領は対処を書いていないため、消防設備士へご相談ください。
音響装置の調整や交換が必要になることもあります。
よくある質問
まとめ
音圧の測定は、ブザーが鳴らないときの読みも忘れずに取ります!
補正は、指示の差を出すだけです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年6月11日 消防予第172号)別添 第12 漏電火災警報器
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第24条の3・第31条の6
※本記事は公表されている法令および消防庁の点検要領に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





