大きな地震のあと、避難所や職場で避けて通れないのがトイレの問題です。
では、震災時のトイレ対策は、国のどんな通知でどのように求められたのでしょうか。
平成9年3月28日に消防庁が都道府県へ出した通知は、地域防災計画の見直しの際にトイレ対策の充実を求めています。
この記事では、通知の内容と、事業所が確認したい点を整理します。
大きな地震のとき、トイレをどうするかは、うちでは決まっていません。
消防庁は、平成9年に震災時のトイレ対策の通知を出しています。
まずは通知の中身から見ていきましょう。
その通知は、事業所にも関係のある話なのですか。
通知には、連携する相手として民間企業も挙げられています。
くわしく見ていきます。
- 平成9年3月28日の消防災第29号・消防震第14号は、震災時のトイレ対策の充実を各都道府県に求めた通知です。
- 消防庁の調査研究委員会がまとめた報告書を送り、地域防災計画の見直しの際に参考にするよう求めています。
- 留意事項の1つ目は、関係部局との連携による総合的で具体的な対策の推進です。
- 応急対策では、自治体間の広域応援体制と、避難所施設管理者・住民・自主防災組織・民間企業・ボランティア等との連携強化を求めています。
- 通知は都道府県への呼びかけで、事業所に義務を課す文言は書かれていません。
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目次
震災時のトイレ対策はなぜ消防庁から通知されたのか

冒頭の経緯を原文で確認します。
冒頭には、地域防災計画の見直しについて、平成7年に通知や会議で示してきたと書かれています。
そのうえで、トイレ対策はこれまで十分な検討が行われてこなかったとして、消防庁の調査研究委員会が具体的に検討したと書かれています。
その調査研究報告書を送るので、見直しの際に参考にして充実を図るよう求めています。
特定の災害名や事故名は通知の文面に書かれておらず、経緯として読めるのは、この調査研究と地域防災計画の見直しの流れです。
トイレの通知が出たのは、何か大きな被害があったからなのですか。
通知の文面には、特定の災害名は書かれていません。
書かれている範囲だけで読みましょう。
通知は誰に何を求めているのか

地域防災計画は、災害対策基本法が都道府県と市町村に作るよう定めています。
通知は「貴団体におかれては」と都道府県に呼びかけ、貴管下市町村に対しても指導するよう求めています。
見直しの対象は地域防災計画で、災害対策基本法は、都道府県と市町村の防災会議に毎年の検討と必要な修正を求めています。
つまり、トイレ対策は自治体が地域防災計画の中で扱う事項で、事業所に直接届く文面ではありません。
ただし、次の項で見るとおり、連携の相手には避難所施設管理者や民間企業が挙げられています。
この通知は、うちのような事業所に向けたものなのですか。
宛先は都道府県で、事業所への義務を課す文言は書かれていません。
ただし、連携の相手として民間企業が挙げられています。
通知は震災時のトイレ対策について何を求めているのか

原文を順に確認します。
1項目目は、関係部局と連携して総合的かつ具体的に震災時のトイレ対策を進めることです。
2項目目は、応急対策のために自治体間の広域応援体制を整えることと、避難所施設管理者・住民・自主防災組織・民間企業・ボランティア等との連携を強めることです。
3項目目は、対策の検討に、高齢者や障害者等への配慮事項を盛り込むことです。
いずれも「図られたいこと」「盛り込まれたい」という書き方で、自治体に対応を促す項目です。
「広域応援」とは、具体的にどんなことをするのですか。
通知は、トイレの応急対策で地方公共団体間の応援体制を整えるよう書いています。
具体的な中身までは、通知には書かれていません。
通知だけを読んで見落としやすいのはどこか

見落としやすい点を、順に整理します。 通知は方針を示す短い文書で、トイレの数や設備の基準は書かれていません。
具体的な検討の成果は、通知に添えて送られた調査研究報告書にまとめられていると読めます。
ただし、報告書の中身は今回の通知の文面に含まれていないので、通知だけでは対策の数値や設備は分かりません。
また、通知の「災害弱者」は当時の言い方で、現行の災害対策基本法は、高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者を「要配慮者」と定めています。
現在は、内閣府(防災担当)が「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(令和6年12月改定)を公表しており、災害用トイレの必要数算定シートも示されています。
古い通知なので、今は使えないのではないですか。
この通知は、地域防災計画の見直しに関するものです。
数や設備は、現行の内閣府のガイドラインで確認しましょう。
事業所は明日から何を確認すればよいのか

事業所として備えるなら、次の3点を確認します。 確認したいのは、市町村の計画・避難所の指定・内閣府の資料の3点です。
1点目は、事業所のある市町村の地域防災計画に、トイレ対策がどう書かれているかです。作成や修正をしたときは要旨を公表することが、災害対策基本法第42条に定められています。
2点目は、事業所が避難所などを管理する立場にあたるかどうかです。通知は連携の相手に避難所施設管理者を挙げているので、あたる場合は市町村と連携の内容を確認します。
3点目は、内閣府が公表しているトイレの確保・管理ガイドラインと必要数算定シートを確認することです。
通知が連携の相手に民間企業を挙げている点も、あわせて押さえておきます。
まず何から確認すればよいのでしょうか。
まず、市町村の地域防災計画の公表資料を探しましょう。
トイレの記載があるか確認します。
よくある質問
まとめ
地域防災計画の公表資料の確認から始めます!
災害時の備えも、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 震災時のトイレ対策について(平成9年3月28日 消防災第29号・消防震第14号 消防庁防災課長・消防庁震災対策指導室長)
- 災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第40条・第42条
- 避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン(令和6年12月改定 内閣府(防災担当))
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





