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堺市で売場1000平方メートル以上の店舗には何が上乗せされるのか|避難通路とバルコニー

堺市で売場1000平方メートル以上の店舗には何が上乗せされるのかを解説する記事のアイキャッチ

百貨店やスーパー、ホームセンターなどの物品販売店舗は、消防法では政令別表第1(4)項の用途に当たります。
堺市消防局の審査基準には、売場の広い店を対象にした物品販売店舗等に係る指導指針があります。
指針には、避難通路の色分けや3階以上の売場のバルコニーなど、国の基準にない上乗せが並んでいます。
この記事では、指針がどの条文や基準とつながっているのかを順にたどり、大阪市・東大阪市の基準とも比べます。

堺市で売場の広い店舗の出店を考えています。
国の基準のほかに気をつけることはありますか。

堺市には物品販売店舗だけを対象にした指導指針があります。
売場の避難通路は条例でも決まっています。

条例と指針の両方を見るのですか。

はい、条例は義務、指針の★は堺市消防局の指導です。
まず対象になるかどうかから読んでいきましょう。

この記事の結論
  • 堺市の審査基準の第2章 第2節 第4に、物品販売店舗等に係る指導指針があります
  • 対象は物品販売店舗等の床面積の合計が1000平方メートル以上の店で、スプリンクラー設備の基準がかからず売場が1階だけの店などは外れます
  • 売場の避難通路は堺市火災予防条例第78条の義務で、補助避難通路は売場300平方メートル以上から求められます
  • 指針は★で、主要避難通路の色分け、扉やシャッターの床の表示、3階以上の売場のバルコニーを求めています
  • 設備でも、非常警報は放送設備、避難器具はすべり台や救助袋など、★の上乗せがあります

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消防法施行令第十二条と堺市火災予防条例第七十八条と物品販売店舗等の指導指針と消防法施行令第二十四条第二項が重なって堺市の物品販売店舗にかかる基準になることを示す図解

堺市の物品販売店舗等の指導指針はどんな店に当てはまるのか

平らな屋根の二階建ての大きな店舗と、ガラス張りの入口の前に広がる駐車場を示したイラスト
堺市消防局の「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版)は、第2章 第2節に建物の種類ごとの指導指針をまとめています。
その第4が、物品販売店舗等に係る指導指針です。
対象になる店は、次のように定められています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第2章 第2節 第4 物品販売店舗等に係る指導指針 2 適用範囲 この指針に基づき指導する防火対象物は、物品販売店舗等(政令別表第1(4)項に掲げる防火対象物及び同表(16)項イに掲げる防火対象物に存する同表(4)項に掲げる防火対象物の用途に供する部分をいう。以下同じ。)で、床面積の合計(政令別表第1(16)項イに掲げる防火対象物にあっては、当該物品販売店舗等の用途に供する部分の床面積の合計をいう。)が1,000㎡以上のものとする。ただし、政令第12条の規定が適用されない物品販売店舗等で、次のいずれかに該当する場合を除く。
(1) 売場、その他不特定多数のものが利用する部分(以下「売場等」という。)が1階にのみ存するもの
(2) 3階以上の階に売場等が存しない物品販売店舗等で、かつ売場等の部分の床面積の合計が1,000㎡未満のもの
ただし書の「政令第12条」は、スプリンクラー設備の設置基準です。
物品販売店舗の場合、国の施行令第12条は次のような規模でスプリンクラー設備を求めています。
消防法施行令 第十二条第一項第四号 別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項及び(九)項イに掲げる防火対象物(前号に掲げるものを除く。)のうち、平屋建以外の防火対象物で、総務省令で定める部分以外の部分の床面積の合計が、同表(四)項及び(六)項イ(1)から(3)までに掲げる防火対象物にあつては三千平方メートル以上、その他の防火対象物にあつては六千平方メートル以上のもの
このほか第12条は、11階以上の建物(第3号)や、地階・無窓階・4階以上10階以下の階で床面積1000平方メートル以上の階(第11号ロ)なども対象にしています。
指針の適用範囲を、順に整理すると次のとおりです。
  1. まず、建物が政令別表第1(4)項か、複合用途の(16)項イの中の(4)項の部分かを確かめます。
  2. 物品販売店舗等の床面積の合計が1000平方メートル以上かを見ます。複合用途なら物品販売店舗等の部分だけを合計します。
  3. 次に、施行令第12条でスプリンクラー設備が必要な店かを確かめます。必要な店は、それだけで指針の対象です。
  4. スプリンクラー設備が要らない店は、売場が1階だけか、3階以上に売場がなく売場の合計が1000平方メートル未満なら対象から外れます。
架空の店で当てはめると、次のようになります。
どの店も、地階や無窓階はない前提です。
架空の店施行令第12条売場のある階と面積指針の対象か
平屋のスーパー(延べ1500平方メートル)かからない(平屋)1階だけ対象外(ただし書の(1))
2階建ての家電店(延べ1800平方メートル)かからない1・2階で合計1600平方メートル対象
2階建ての店(延べ1200平方メートル)かからない1・2階で合計800平方メートル、残りは倉庫と事務所対象外(ただし書の(2))
スプリンクラー設備が必要な4階建ての店かかる1階だけ対象(ただし書は使えない)
施行令第12条には「総務省令で定める部分」を除く計算もあるので、実際の判定は所轄の消防署に確かめてください。
なお、堺市の審査基準は、条例第33条の喫煙等の禁止場所の扱いでも、同じ形の線引きを使っています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第5章 火災予防条例審査基準 第33条 第2-33-1表 3階以上の階に売場が存しない百貨店等で売場面積の合計が1,000㎡未満のものについては指定場所の対象から除外する。
指針の項目の末尾には、印が付いています。
審査基準の総則は、印の意味を次のように説明しています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第1章 総則 4 凡例 (1) 無印 : 法令基準及びその解釈
(2) ◆ : 指導基準のうち、消防庁の通知等を参考に定めたもの
(3) ★ : 指導基準のうち、堺市消防局として防火安全性の向上を図ることを目的として定めたもの
同じ総則は、指導事項は関係者に義務を課すものではなく、任意の協力で実現するものとも書いています。
一方で、このあと見る条例第78条の避難通路は条例そのものの義務です。
指針は、この条例の上に★の指導を重ねる作りになっています。

売場が2階まででも、合計が1000平方メートルを超えると対象なのですね。

はい、倉庫や事務所を除いた売場等の面積がポイントです。
図面で売場の範囲を色分けしておきましょう。

売場の避難通路は火災予防条例(例)と堺市で何が違うのか

低い棚が並ぶ広い売場の中を、床を緑色に塗った一本の広い通路が奥の出口の扉までまっすぐ通っている様子を示したイラスト
売場の避難通路は、指針より先に堺市火災予防条例第78条で決まっています。
条文は次のとおりです。
堺市火災予防条例 第78条(百貨店等の避難通路等)第1項・第2項 百貨店等の階のうち、当該階における売場又は展示場の床面積が150平方メートル以上の階の売場又は展示場には、屋外へ通ずる全ての避難口及び階段に直通する有効幅員1.2メートル(売場又は展示場の床面積が300平方メートル以上のものにあっては、1.6メートル)以上の主要避難通路を確保し、かつ、歩行距離が20メートルを超えることなく、その一に達するよう避難上有効に保有しなければならない。
2 百貨店等の階のうち、当該階における売場又は展示場の床面積が300平方メートル以上の売場又は展示場には、前項の主要避難通路のほか、これに通ずる有効幅員1.2メートル(売場又は展示場の床面積が3,000平方メートル以上のものにあっては、1.6メートル)以上の補助避難通路を避難上有効に保有しなければならない。ただし、売場又は展示場の形態、避難口その他の避難施設の配置等により、前項の主要避難通路のみによっても避難上支障がないと認めた場合においては、この限りでない。
消防庁は、市町村が条例を作るときのひな形として火災予防条例(例)を示しています。
その第38条は、次のような書き方です。
火災予防条例(例)(昭和36年11月22日 自消甲予発第73号)第38条(百貨店等の避難通路等)第1項・第2項 百貨店等の階のうち当該階における売場又は展示場の床面積が150平方メートル以上の階の売場又は展示場には、屋外へ通ずる避難口又は階段に直通する幅1.2メートル(売場又は展示場の床面積が300平方メートル以上のものにあつては1.6メートル)以上の主要避難通路を1以上保有しなければならない。
2 百貨店等の階のうち当該階における売場又は展示場の床面積が600平方メートル以上の売場又は展示場には、前項の主要避難通路のほか、有効幅員1.2メートル以上の補助避難通路を保有しなければならない。
2つを並べると、堺市の条例のほうが対象も中身も広いことが分かります。
項目火災予防条例(例)第38条堺市火災予防条例第78条
主要避難通路が要る階売場・展示場150平方メートル以上同じ(150平方メートル以上)
主要避難通路の幅1.2メートル以上(300平方メートル以上は1.6メートル)有効幅員で同じ数値
主要避難通路の行き先屋外へ通ずる避難口又は階段に直通するものを1以上全ての避難口及び階段に直通
歩行距離定めなし20メートルを超えずに主要避難通路に達する
補助避難通路が要る売場600平方メートル以上(1.2メートル以上)300平方メートル以上(1.2メートル以上、3000平方メートル以上は1.6メートル以上)
条例の解説及び運用は、「売場又は展示場」を商品を陳列している部分とし、事務室・荷捌き室・商品倉庫・従業員休憩所などは入らないとしています。
また、一つの階に複数のテナントがあるときは、店舗ごとの売場の床面積で判断します。
全国のひな形の読み方は、売場の避難通路の幅の記事で解説しています。 堺市の指針は、この条例の避難通路を計画の段階で指導するとしたうえで、次の項目を重ねています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第2章 第2節 第4 物品販売店舗等に係る指導指針 5 避難対策(2)避難経路 柱書・オ・カ・キ 条例第78条で定める避難通路については、あらかじめ指導するものとし、次によること。
オ 主要避難通路(バックルーム等に設けられた避難通路を含む。)は、他の部分と次の(ア)又は(イ)のいずれかに掲げる方法により、色別等区分すること。★
(ア) 床仕上げ材料等により通路部分と他の部分を色別する。ただし、商品陳列台(固定式のものに限る。)により明示できる部分にあっては、この限りでない。
(イ) 通路部分をテープ等により線で明示する。
カ 主要避難通路の上部には、建基政令第126条の5による非常用の照明装置を設置すること。★
キ 屋内から直接地上へ通ずる避難口に自動ドアを設ける場合にあっては、自動火災報知設備の作動と連動して開放(パニックオープン)することができるものであること。★
指針の避難通路の読み方を、順に整理すると次のとおりです。
  1. まず条例第78条で、階ごとの売場の面積から主要避難通路と補助避難通路の幅を決めます(義務)。
  2. 指針5(2)ア〜ウで、主要避難通路を売場の中の幹線にし、ループ状か棒状に配置します(無印)。
  3. 防火シャッターで主要避難通路が分断されるときは、くぐり戸を通路の近くに設け、シャッターの両側に補助避難通路を取ります(エ★)。
  4. 主要避難通路は床の色分けかテープの線で区分し、上部に建築基準法施行令第126条の5の非常用の照明装置を付けます(オ・カ★)。
  5. 屋外への避難口の自動ドアは、自動火災報知設備と連動して開くものにします(キ★)。

棚のレイアウトを変えるたびに、通路の色分けも見直しが要りますね。

はい、条例の幅と20メートルの歩行距離も変わります。
レイアウト変更の前に図面で確かめましょう。

扉やシャッターの床にはどんな表示が求められるのか

売場の通路で半分まで降りた灰色の防火シャッターの真下の床に白い点線が引かれ、隣の防火戸の前の床に扉の開く範囲を示す四分円が描かれた様子のイラスト
指針は、扉やシャッターの表示を別記の色別表示基準に任せています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第2章 第2節 第4 物品販売店舗等に係る指導指針 9 その他(1) 避難口に設けられた扉、防火戸、防火シャッター等は、別に定める物品販売店舗等における色別表示基準(別記参照)に基づき表示すること。★
別記は、表示する部分と表示のしかたを次のように定めています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第2章 第2節 第4 物品販売店舗等に係る指導指針 別記 物品販売店舗等における色別表示基準 2 表示方法 (1) 前1.(1)及び(2)に掲げる部分
ア 表示は、緑色の地に避難口であることを示す別図第1のシンボルを塗装すること。
イ 表示面がガラスの場合にあっては、ガラス部分以外を緑色で表示すること。(別図第2)
(2) 前1.(3)及び(4)に掲げる部分
ア 扉又はくぐり戸の設置されている床面には、当該扉等の回転半径以上の部分について、次のいずれかにより表示すること。(別図第3)
イ シャッターが降下する床面には、該当シャッターの幅以上の点線又は実線で表示すること。(別図第4)
表示する部分と表示のしかたを、表にまとめると次のとおりです。
表示する部分(別記1)表示のしかた(別記2)別図
屋内階段・屋外階段・特別避難階段の扉の避難方向に面する部分緑色の地に避難口のシンボル。ガラスの扉はガラス以外を緑色第1・第2
避難通路の防火戸(くぐり戸があればその部分)の避難方向に面する部分同じ第1・第2
避難口の扉・防火戸・くぐり戸の閉鎖範囲床に扉の回転半径以上の範囲を、全面塗装・色違いのタイル・点線か実線などで示す第3
防火シャッターの閉鎖位置床にシャッターの幅以上の点線か実線第4
別図第1の備考は、シンボルを白地に緑色で描き、寸法の基準になるaを110ミリメートル以上として扉の大きさに合わせるとしています。
また、扉の上に避難口誘導灯があるときや、防火戸に蓄光式誘導標識があるときは、扉の面の表示は要りません(別記1(1)・(2)のかっこ書)。
床の閉鎖範囲の表示は、誘導灯があっても別に必要です。 表示を読む順番を整理すると、次のとおりです。
  1. 指針4(2)が、扉とシャッターの床に閉鎖範囲を示して空間を確保するよう求めます(無印)。
  2. 指針9(1)が、その表示を別記の色別表示基準に従わせます(★)。
  3. 別記1で表示する部分を、別記2で表示のしかたを確かめます。
  4. 寸法や形は、別図第1〜第4で確かめます。
指針8(6)も、消防用設備等の操作に必要なスペースを床に示して確保するよう★で求めています。
商品の仮置きで、シャッターの下や消火栓の前がふさがるのを防ぐためです。

床の線があれば、商品を置いてはいけない場所がすぐ分かりますね。

はい、シャッターの下に商品があると閉まりません。
線の上には何も置かないよう周知しましょう。

3階以上に売場がある店にはなぜバルコニーが求められるのか

三階建ての店舗の三階に手すりの高い開放されたバルコニーがあり、そこから布製の救助袋が地上まで斜めに降りている様子のイラスト
3階以上に売場がある店には、指針が避難上有効なバルコニーを求めています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第2章 第2節 第4 物品販売店舗等に係る指導指針 5 避難対策(3)避難施設 ウ バルコニー 3階以上の階に売場等が存するものにあっては、当該階に避難上有効なバルコニーを次に掲げるとおり設置すること。★
(ア) 直通階段から最遠となる部分等にできる限り配置し、かつ、当該階の各部分と容易に連絡されていること。
(イ) バルコニーは、道又は道に通じる幅員1m以上の通路に面し、かつ、当該バルコニーから地上に通ずる階段又は避難器具等が設けられていること。
(ウ) バルコニーは、奥行き1m以上、長さ4m以上とすること。
(オ) バルコニーの周囲には、高さが1.1m以上の手すり等を設けること。
このほか、床は耐火構造(エ)、十分に外気に開放(カ)、バルコニーから2メートル以内の壁の開口部には防火設備(キ)と続きます。
数値をまとめると、次のとおりです。
項目指針5(3)ウの数値
バルコニーが面する通路道か、道に通じる幅員1メートル以上の通路
大きさ奥行き1メートル以上・長さ4メートル以上
手すり高さ1.1メートル以上
防火設備が要る開口部バルコニーの各部分から2メートル以内の壁の開口部
屋内からの出入口防火戸で、幅75センチメートル以上・高さ1.8メートル以上・下端の床からの高さ15センチメートル以下
このバルコニーは、指針のほかの項目からも参照されています。
指針の中のつながりを順にたどると、次のとおりです。
  1. 階段の項目5(3)ア(ア)は、階段を排煙上・防煙上有効なものにするよう求め、ただし書で「5.(3).ウのバルコニー等」があれば緩めるとしています。
  2. バルコニーの項目5(3)ウが、3階以上の売場の階にバルコニーを求めます(★)。
  3. バルコニーの出入口の防火戸に鍵をかけるときは、5(3)イ(イ)の避難口の解錠の決まりに準じる(ウ(ク))とされています。
  4. 避難器具の項目8(4)イは、避難器具を5(3)ウのバルコニーか、売場と不燃区画された室に設けるよう求めます(★)。
避難器具の項目は、次のとおりです。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第2章 第2節 第4 物品販売店舗等に係る指導指針 8 消防用設備等の充実、強化(4)避難器具 政令第25条及び条例第69条の規定によるほか、次によること。★
ア 各階の使用形態、居室等の配置、実質的な使用者の人数等使用実態を考慮して設置すること。
イ 前5.(3).ウのバルコニー又は売場等と不燃区画された室に設置すること。
ウ すべり台、救助袋等避難者が安全、確実に避難できるものを設けること。
条例第69条は、堺市が6階以上の階などに避難器具を上乗せしている条文です。
中身は堺市の6階以上の避難器具の記事で解説しています。

3階に売場があるだけで、バルコニーまで要るのですか。

★の指導なので設計の段階での相談が大切です。
既存の建物なら、代わりの方法も消防署と話しましょう。

消防用設備や工事の段取りにはどんな上乗せがあるのか

店舗の壁に赤い消火栓箱と天井のスピーカーがあり、隣の毛布やカーテンの棚の上の天井に小さなドーム型のセンサーが付いている様子のイラスト
指針8は、消防用設備等にも上乗せを置いています。
まず非常警報設備です。
国の施行令第24条第2項は、次のように定めています。
消防法施行令 第二十四条第二項(抜粋) 非常ベル、自動式サイレン又は放送設備は、次に掲げる防火対象物(次項の適用を受けるものを除く。)に設置するものとする。ただし、これらの防火対象物に自動火災報知設備が第二十一条に定める技術上の基準に従い、又は当該技術上の基準の例により設置されているときは、当該設備の有効範囲内の部分については、この限りでない。
二 前号に掲げる防火対象物以外の別表第一(一)項から(十七)項までに掲げる防火対象物で、収容人員が五十人以上のもの又は地階及び無窓階の収容人員が二十人以上のもの
国の基準では、第2項の対象なら非常ベル・自動式サイレン・放送設備のどれかを選べます。
堺市の指針は、この選択肢を放送設備に絞るよう求めています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第2章 第2節 第4 物品販売店舗等に係る指導指針 8 消防用設備等の充実、強化(1)・(3) (1) 屋内消火栓設備の操作の容易化
政令第11条第1項又は条例第65条第1項の規定により設置する場合は、易操作性1号消火栓(政令第11条第3項第1号及び省令第12条第1項第7号ヘただし書の規定に適合するもの。)又は2号消火栓(政令第11条第3項第2号イ又は同号ロの規定に適合するもの。)を設置すること。★
(3) 非常警報設備
政令第24条第2項の規定により非常警報設備を設置する場合は、放送設備を設置すること。★
なお、(4)項の店で収容人員が300人以上なら、国の施行令第24条第3項第4号で、もともと非常ベルか自動式サイレンに加えて放送設備が要ります。
屋内消火栓設備は、国の基準なら従来型の1号消火栓も選べますが、指針は一人でも扱いやすい易操作性1号か2号を求めています。
大阪市の易操作性1号消火栓の扱いは、大阪市の易操作性1号消火栓の記事で解説しています。 放火対策では、カーテン・衣類・寝具などの売場に、感知器のほか放火監視センサーを付けるよう◆で求めています(指針3(2)イ)。
基準は、平成17年4月11日 消防予第72号「放火監視センサーを用いた放火監視機器に係る技術上のガイドラインの策定について」に合うものとされています。
センサーの仕組みは、放火監視センサーのガイドラインの記事で解説しています。 工事の段取りについても、無印で次の2つが書かれています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第2章 第2節 第4 物品販売店舗等に係る指導指針 9 その他(2)・(3) (2) 消防用設備等の設置に係る工事については、テナント等別途工事の場合であっても、本指針に基づき工事を行うこと。
(3) 商品等の搬入は、法第17条の3の2の規定による検査を受けた後に行うこと。
消防法第17条の3の2は、消防用設備等を設置したときの届出と消防の検査の条文です。
オープン日から逆算して、検査日を先に押さえるのが安全です。 大阪市の運用基準(45の公開ファイル)と東大阪市の運用基準(6の公開ファイル)も確認しました。
どちらにも、物品販売店舗に限った指導指針は見当たりませんでした。
ただし、大阪市・東大阪市の火災予防条例の避難通路の条文は、今回は原文を確かめていません。

テナント工事でも指針どおり、というのは見落としそうです。

はい、内装業者にも指針を共有しておきましょう。
工事が終わってからの手直しを防げます。

よくある質問

Q売場が1階だけの平屋のスーパーでも、指針の対象になりますか?
Aスプリンクラー設備の基準(施行令第12条)がかからず、売場等が1階だけなら対象から外れます。ただし、無窓階などで第12条がかかる場合は対象になります。
Q補助避難通路は、売場が300平方メートル以上なら必ず要りますか?
A堺市火災予防条例第78条第2項には、売場の形態や避難口の配置などで主要避難通路だけでも避難上支障がないと認めた場合は要らないというただし書があります。図面を持って所轄の消防署に相談してください。
Q扉の上に避難口誘導灯があれば、緑色の表示は要りませんか?
A扉の面の表示は誘導灯や蓄光式誘導標識があれば不要です。ただし、床の閉鎖範囲やシャッターの閉鎖位置の表示は別に必要です。
Q大阪市や東大阪市にも、物品販売店舗の指導指針はありますか?
A今回確認した大阪市と東大阪市の公開資料には、物品販売店舗に限った指導指針は見当たりませんでした。条例の避難通路の規定は市ごとに確かめてください。

まとめ

✔堺市の審査基準の第2章 第2節 第4に、物品販売店舗等に係る指導指針があります
✔対象は物品販売店舗等の床面積の合計が1000平方メートル以上の店です
✔スプリンクラー設備の基準がかからない店は、売場が1階だけか、3階以上に売場がなく売場が1000平方メートル未満なら外れます
✔売場の避難通路は堺市火災予防条例第78条の義務で、ひな形より補助避難通路の対象が広く、20メートルの歩行距離もあります
✔指針は★で、通路の色分け、扉とシャッターの床の表示、3階以上の売場のバルコニーを求めています
✔非常警報は放送設備、避難器具はすべり台や救助袋など、設備にも★の上乗せがあります
✔運用基準や審査基準は改正されることがあるので、計画の段階で管轄の消防署・消防局に確かめましょう

売場の図面に、通路の幅と色分けとシャッターの線を書き込みます。
そのうえでバルコニーの要否を消防署に相談します!

売場の範囲が決まれば、条例と指針のどこがかかるかも見通せます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および各市の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準や審査基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。個々の店舗が指針の対象になるか、どの設備が必要かの判断は、所轄消防署にご確認ください。

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