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里親支援センターは消防法令上どの用途になるのか|相談中心か一時預かり中心かで分かれる判定基準を解説

里親支援センターの相談室を写した落ち着いた雰囲気の室内イメージ

児童福祉法が改正され、令和6年4月1日から里親支援センターが新しい児童福祉施設として加わりました。
建物を新設・転用するとき、消防法令上どの用途になるのか迷う担当者も多いはずです。
消防庁はこの制度改正を受けて、防火対象物の用途区分の考え方を通知でまとめました。
この記事では里親支援センターの業務内容と、消防法令上の用途がどう決まるのかを解説します。

建物の一部を里親支援センターに使う予定なんですが、消防法令上はどんな扱いになるんでしょうか。

業務の中身によって、扱いが変わります。
相談が中心か、子どもを預かる機能があるかで見ていきましょう。

名前だけでは判断できないということですか。

はい。
児童福祉法の改正にあわせて、消防庁が判定の考え方を通知で示しています。

この記事の結論
  • 令和4年法律第66号による児童福祉法の改正で、令和6年4月1日から里親支援センターが児童福祉法上の児童福祉施設に加わりました
  • 消防庁は消防予第162号(令和6年4月1日)で、消防法令上の取扱いの考え方を通知しました
  • 相談業務が中心なら(15)項、乳幼児等を一時的に預かる機能が中心なら(6)項ハ(3)相当として扱うことが想定されます
  • 判定の決め手になるのは名称ではなく施設の利用実態です
  • 改正で新設された他の事業も同じ考え方で用途を判断します

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里親支援センターは相談中心か一時預かり中心かで消防法令上の用途が分かれることを示す図解

里親支援センターはなぜ消防法令上の扱いが整理されたのか

法律の本に追加の印が付き新しい建物ブロックが加わるイメージ
児童福祉法の改正で、里親支援センターという新しい施設類型が生まれました。
消防庁はこれを受けて、消防法令上の扱いを整理する通知を発出しています。
消防予第162号(令和6年4月1日) 児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)により児童福祉法(昭和22年法律第164号)が改正され、令和6年4月1日から施行されることとなりました。当該改正法により、新たに里親支援センター(改正後の児童福祉法第44条の3第1項に規定するものをいう。)が児童福祉法第7条に規定する児童福祉施設に追加される等の改正が行われたことを踏まえ、里親支援センター等の消防法令上の取扱いを下記のとおりとりまとめましたので、執務上の参考としてください。
新しい施設類型が生まれると、消防法令上どの用途に当てはまるかが現場の疑問になります。
これまで里親を支える業務は市区町村や民間の機関がそれぞれ担っていましたが、令和6年4月1日の改正でその機能を担う施設として法律上に位置づけられました。
新設された施設は、消防法施行令別表第一のどの項に当てはまるのかが定まっていないと、確認申請や消防用設備の検討が進められません。
そこで消防庁は施行と同じ日付で消防予第162号を発出し、判定の考え方を全国の消防機関に示しました。
通達は事故のあとに出るものが多いですが、今回は制度創設にあわせた実務整理として出された点が特徴です。

里親支援センターという施設ができたのは知っていましたが、消防法令の扱いまでは意識していませんでした。

施行と同じ日に、消防庁から取扱いの通知が出ています。
順番に見ていきましょう。

里親支援センターとはどんな施設なのか

里親支援センターの建物と吹き出し、家のアイコンのイメージ
判定を考える前に、里親支援センターがどんな業務を行う施設なのかを押さえておきます。
通知は施設の目的を次のように説明しています。
消防予第162号(令和6年4月1日) 里親支援センターは、里親支援事業(※)を行うほか、里親及び里親に養育される児童並びに里親になろうとする者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とされている。
里親支援センターの業務は、相談対応から子どもを預かる場面まで幅があります。
児童福祉法第11条第1項第2号トが定める里親支援事業には、里親制度の普及啓発、里親への相談・情報提供・研修、里親と児童の交流の場の提供、里親の選定と調整、養育に関する計画の作成までが含まれます。
これらはいずれも相談・調整が中心の業務です。
一方で施設によっては、里親への委託を待つ間などに子どもを一時的に預かる機能をあわせ持つ場合もあります。
この業務の幅の広さこそが、用途判定を一律に決められない理由になっています。

相談だけでなく、子どもを預かることもある施設なんですね。

はい、業務の幅が広いことが、今回の整理につながっています。

消防法令上の用途はどう判定されるのか

案内標識が相談窓口とゆりかごの二方向に分かれるイメージ
通知は、業務の中身に応じて2つの用途のどちらかで扱うことが想定されると示しています。
まずはその考え方そのものを確認します。
消防予第162号(令和6年4月1日) 令別表第一に掲げる防火対象物の用途の判定に当たっては、主な業務として里親等への相談業務である場合には、令別表第一(15)項として取り扱うことが想定され、主な業務として一時的に児童を預かる機能を有する場合には(略)令別表第一(6)項ハ(3)に掲げる防火対象物の用途と同等の火災危険性が認められるときには、当該防火対象物の用途として取り扱うことが想定されるところであり、施設の利用実態を鑑みて適切にその用途を判断すること。
消防法施行令別表第一(15)項 前各項に該当しない事業場
消防法施行令別表第一(6)項ハ(3) 助産施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童養護施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター、児童福祉法第6条の3第7項に規定する一時預かり事業又は同条第9項に規定する家庭的保育事業を行う施設その他これらに類するものとして総務省令で定めるもの
用途は名称ではなく、主にどんな業務を行っているかで決まります。
里親への相談・情報提供・研修が中心であれば、前各項に該当しない事業場として(15)項の扱いが想定されます。
反対に子どもを一時的に預かる機能が中心であれば、保育所や乳児院などと並ぶ(6)項ハ(3)相当の用途として扱われることが想定されます。
どちらに当たるとしても、これは通知が示す想定であり、最終的な判断は施設の実態を踏まえて行われます。
建物の消防用設備や防火管理体制は、この判定結果によって変わってきます。

うちは相談対応がほとんどなんですが、それなら(15)項になりそうですね。

一時預かりの機能が無ければ、その方向で判断されることが想定されます。

同じ里親支援センターでも判定が分かれるのはなぜか

同じ形の建物に吹き出しとゆりかごの異なるアイコンが付くイメージ
ここが今回の通知でいちばん見落としやすいところです。
名称が同じでも、施設ごとに判定結果が違うことがあります。
消防予第162号(令和6年4月1日) 今般の改正により、改正後の児童福祉法第6条の3に新たに複数の事業が規定されることとなったが、当該事業を行う施設の令別表第一に掲げる防火対象物の用途の判定に当たっては、1と同様に、各消防本部において、同表に規定されている用途から、施設の利用実態を鑑みて適切にその用途を判断すること。
用途を最終的に判断するのは各消防本部であり、全国一律の答えがあるわけではありません。
同じ「里親支援センター」という名称でも、A施設は相談窓口が中心で(15)項、B施設は一時預かりの実態があり(6)項ハ(3)相当、という判定の違いが起こり得ます。
相談業務と一時預かりをどちらも行っている施設では、どちらが「主な業務」かを整理して説明できるようにしておく必要があります。
通知はこの考え方を、里親支援センターだけでなく児童福祉法第6条の3で新たに規定された他の事業にも同じように適用するよう求めています。
つまり施設名や制度の新しさに頼らず、実際の業務実態を説明できる資料を整えておくことが実務上の備えになります。

同じ名前の施設なのに、建物ごとに扱いが違うことがあるんですね。

はい。
施設の実態を説明できることが大切です。

開設や転用の前になにを確認すればよいのか

チェックリストから消防署の建物へ矢印が伸びるイメージ
最後に、開設や既存建物の転用を検討する段階で確認しておきたいことをまとめます。
通知が繰り返し求めているのは、施設の実態に基づく個別の判断です。
消防予第162号(令和6年4月1日) 施設の利用実態を鑑みて適切にその用途を判断すること。
まず自施設の主な業務を、相談中心か一時預かり中心かで整理することから始めます。
新築で開設する場合は、計画段階で所轄消防本部に業務内容を説明し、想定される用途区分を確認しておきます。
既存の建物を転用する場合は、判定結果によって用途変更の手続きや、必要な消防用設備等の基準が変わることがあるため、着工前の相談が欠かせません。
相談業務と一時預かりの両方を行う予定なら、どちらが主な業務になるかを資料でも説明できるように整理しておきます。
新しい施設類型だからこそ、自己判断で進めずに早い段階で確認することが遠回りを防ぎます。

まずはうちの業務がどちらに近いかを整理して、消防本部に相談してみます。

着工前の相談が、いちばんの近道です。

よくある質問

Q里親支援センターは必ず(6)項ハ(3)として扱われるのですか?
Aいいえ。主な業務が相談中心であれば(15)項として扱われることが想定されており、一律に(6)項ハ(3)になるわけではありません。
Q用途の判定は誰が行うのですか?
A各消防本部が、施設の利用実態を踏まえて個別に判断します。あらかじめ相談しておくことが大切です。
Q児童福祉法第6条の3で新設された他の事業も同じ考え方ですか?
Aはい。消防庁の通知は、改正で新たに規定された複数の事業についても同じ考え方で用途を判断するよう示しています。
Q既存の建物を里親支援センターに転用する場合、注意点はありますか?
A用途の判定結果によっては用途変更に伴う手続きや、消防用設備等の基準が変わることがあります。早めに所轄消防本部へ相談してください。

まとめ

✔令和4年法律第66号による児童福祉法改正で、里親支援センターが児童福祉法第7条の児童福祉施設に加わりました
✔消防庁は消防予第162号(令和6年4月1日)で消防法令上の取扱いを通知しました
✔里親支援事業は普及啓発や相談、里親と児童の交流の場の提供、里親の選定・調整、養育計画の作成まで幅広い業務を含みます
✔相談業務が中心なら(15)項、乳幼児等の一時預かり機能が中心なら(6)項ハ(3)相当として扱うことが想定されます
✔判定の決め手は名称ではなく施設の利用実態です
✔改正で新設された他の事業も同じ考え方で用途を判断します
✔開設や転用の前に、所轄消防本部へ早めに相談することが欠かせません

業務の中身で用途が決まるとよく分かりました。
早速、消防本部に相談してみます。

用途の判定に迷ったら、いつでもご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防予第162号「児童福祉法の一部を改正する法律の施行に伴う児童福祉施設に係る消防法令上の取扱いについて(通知)」(令和6年4月1日 消防庁予防課長)
  • 児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)
  • 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第6条の3第7項・第11条第1項第2号ト・第44条の3第1項
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)別表第一(15)項・(6)項ハ(3)

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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