建物の敷地が二つの区域や地域にまたがっているとき、どちらの規定が適用されるのでしょうか。
また、行政が許可を出すときに付けられる条件や、建築に関する書類を見たいと請求されたときの扱いも気になるところです。
今回は建築基準法第91条、第92条の2、第93条の2を中心に、敷地が区域などの内外にまたがる場合の適用、許可の条件、書類の閲覧、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
建物の敷地が二つの区域にまたがっていると、どちらの規定が適用されるのですか。
建築基準法第91条に、敷地の過半の属する区域などの規定を適用するという定めがあります。
まず条文から確認します。
建築の許可に条件が付くことや、書類を見せてもらえることにも、決まりがあるのですか。
第92条の2に許可の条件、第93条の2に書類の閲覧の規定があります。
順番に見ていきましょう。
- 敷地が区域、地域又は地区の内外にわたる場合は、その建築物又は敷地の全部について、敷地の過半の属する区域、地域又は地区内の規定を適用します(第91条)。
- この規定では、防火地域及び準防火地域は地域から除かれ、第22条第1項の市街地の区域や高度地区も除かれています(同条)。
- この法律の規定による許可には、交通上、安全上、防火上又は衛生上支障がないものとするための条件その他必要な条件を付することができます(第92条の2)。
- その条件は、許可を受けた者に不当な義務を課するものであってはなりません(同条)。
- 特定行政庁は、国土交通省令で定める書類について、閲覧の請求があった場合には閲覧させなければなりません(第93条の2)。
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目次
敷地が区域や地域や地区の内外にまたがるとどの規定が適用されるのか

対象になるのは、この法律の規定による建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する禁止又は制限を受ける区域、地域又は地区です。
敷地の過半がどちらに属するかで決まり、その側の規定が建築物と敷地の全部に適用される形です。
過半をどのような数値で測るのかは、この条文には書かれていません。
敷地が二つにまたがったら、両方の規定が重なるのではないのですか。
この条文が対象にする規定は、過半の属する側のものを全部に適用すると書かれています。
第91条の適用から外れる規定や区域や地域や地区はどれか

第91条でいう「この法律の規定」からは、第52条、第53条、第54条から第56条の2まで、第57条の2、第57条の3、第67条第1項及び第2項並びに別表第3の規定が除かれています
区域からは第22条第1項の市街地の区域が、地域からは防火地域及び準防火地域が、地区からは高度地区が、それぞれ除かれています。
除かれた規定や区域などは、過半の属する側の規定を全部に適用するというこの条の扱いの対象になりません。
どの規定でどう扱うかは、それぞれの条文で確認する必要があります。
第91条があれば、容積率や建蔽率もこの過半で決まるのですか。
第52条と第53条は、第91条の対象から除かれています。
別の条文で確認します。
この法律の規定による許可にはどんな条件を付けられるのか

条件の目的として、「交通上、安全上、防火上又は衛生上支障がない」ようにすることが書かれています。
条件を付けられるのは、この法律の規定による許可です。
どの許可にどのような条件を付けるのかは、この条文には書かれていません。
許可を受けるときに、行政から条件を付けられることがあるのですか。
第92条の2は、許可に必要な条件を付することができると書いています。
許可の条件はどこまで付けてよいのか

条件には限度があり、不当な義務を課するものは認められません。
何が「不当」にあたるかの基準は、この条文には書かれていません。
条件は、行政がいくらでも付けられるのですか。
後段は、許可を受けた者に不当な義務を課する条件であってはならないと書いています。
建築の処分に関する書類はどんな場合に閲覧できるのか

閲覧の対象になるのは、処分や報告に係る建築物や敷地の所有者、管理者、占有者又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがないものとして、国土交通省令で定めるものです。
どの書類が対象か、どのように請求するかは、国土交通省令に任されていて、この条文には書かれていません。
ここまでの内容を、場面ごとに整理します。
分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 場面 | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 敷地がまたがるとき | 敷地の過半の属する区域、地域又は地区内の建築物に関する規定を全部に適用する(第91条) | 過半で決まります |
| 第91条の適用外 | 第52条、第53条などの規定や、防火地域及び準防火地域、高度地区などは除かれる(同条) | 除かれます |
| 許可の条件 | 交通上、安全上、防火上又は衛生上支障がないものとするための条件その他必要な条件を付することができる(第92条の2) | 条件を付けられます |
| 条件の限度 | 許可を受けた者に不当な義務を課するものであってはならない(同条) | 不当な義務は課せません |
| 書類の閲覧 | 国土交通省令で定める書類は、請求があれば閲覧させなければならない(第93条の2) | 閲覧させなければならない義務です |
この規定は、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
また、過半の測り方や「不当」の基準、閲覧できる書類の範囲は、第91条から第93条の2までの条文には書かれていません。
敷地が複数の区域にまたがる建物や、許可を受けた建物では、建築の側の扱いを頭に入れておくと安心です。
明日から、次の点を確認してください。
- 建物の敷地が複数の区域や地域にまたがっているかを、都市計画の窓口で確かめる。
- 防火地域や準防火地域は第91条の対象から除かれているので、別の規定を建築の窓口で確かめる。
- 許可を受けた建物は、許可に付いた条件の内容を書面で保管しておく。
- 過去の確認や報告の書類を見たいときは、特定行政庁の窓口で閲覧の対象になるかを確かめる。
- 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
整理はできました。
現場では、何から確かめればよいですか。
まず敷地がまたがっていないかを都市計画の窓口で確認しましょう。
消防の基準は、所轄消防署に別に確かめます。
よくある質問
まとめ
敷地がまたがるときの適用と、許可の条件や書類の閲覧がよく分かりました。
まず、敷地の区域を確認します!
建築の規定と消防の基準は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第九十一条・第九十二条の二・第九十三条の二(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。敷地の扱いや許可の条件は建物ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





