建物が建つ区域に地区計画が定められていると、市町村の条例で、建物の構造に防火上の制限がかかることがあります。
その制限が及ぶ区域と及ばない区域にまたがって建つ建物も、現実にはあります。
建築基準法第68条の2は、そうした場合の扱いを、条例に定めさせています。
決め手になるのは、どの地区整備計画の区域か、制限の中身、そして区域の内外にまたがるかどうかです。
今回は建築基準法第68条の2第4項と施行令第136条の2の5が定める、地区計画等の条例による防火上の構造制限と、区域の内外にまたがる建築物の扱いについて、条文の中身と、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
地区計画があると、建物の構造にも制限がかかるのですか。
防火に関する制限もあるのでしょうか。
市町村の条例で、防火上の制限が定められることがあります。
まず、条文から見ていきましょう。
制限がかかる区域とかからない区域に、またがる建物はどうなりますか。
両方の基準が混ざりそうで、心配です。
第4項が、その扱いを条例に定めさせています。
第65条の例との関係を、順に確認しますね。
- 建築基準法第68条の2第1項は、市町村が地区整備計画等の定められた区域内で、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項で地区計画等の内容として定められたものを、条例で制限として定めることができると定めています。
- 施行令第136条の2の5第1項第十三号は、建築物の構造に関する防火上必要な制限を、特定建築物地区整備計画と防災街区整備地区整備計画の区域について定めています。
- 防災街区整備地区整備計画の区域では、耐火建築物等又は準耐火建築物等とするか、それ以外の建築物は屋根を不燃材料で造り、木造なら外壁及び軒裏の延焼のおそれのある部分を防火構造とすることが、制限の内容とされています。
- 特定建築物地区整備計画の区域では、耐火建築物等又は準耐火建築物等であることに加えて、特定地区防災施設に接する建築物の境界線からの高さ5メートル未満の範囲に空隙のない壁などを設けることが、制限の内容とされています。
- 第68条の2第4項は、条例に、第65条の規定の例により、区域の内外にわたる建築物についての適用に関する措置を定めるものとしています。
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目次
地区計画等の条例はなぜ建築物の構造の防火上の制限まで定められるのか

その中に、構造も含まれています。
まず、条文を確認しましょう。
定められるのは、地区計画等の内容として定められたものに限られます。
事項の中に、建築物の構造が入っています。
条例の具体的な内容は、市町村ごとに違います。 制限の程度を定める第2項も、確認しておきましょう。
ここでいう政令の基準の一つが、施行令第136条の2の5です。
条例は、政令の基準の枠の中でしか制限を定められません。
次の章では、防火上の制限の枠を見ていきます。
条例でも、政令の基準の枠があるのですね。
防火の制限は、どんな枠なのでしょうか。
施行令第136条の2の5が、号ごとに枠を定めています。
構造の防火上の制限は、第十三号です。
防災街区整備地区整備計画の区域で条例が求める構造はなぜ二通りに分かれるのか

そのロが、防災街区整備地区整備計画の区域の部分です。
条文で確認しましょう。
防災街区整備地区整備計画の区域内に存する建築物に関して、(1)に掲げる構造としなければならないとされるものであること又は耐火建築物等及び準耐火建築物等以外の建築物については(2)及び(3)に掲げる構造としなければならないとされるものであること。
(1)耐火建築物等又は準耐火建築物等であること。
(2)その屋根が不燃材料で造られ、又はふかれたものであること。
(3)当該建築物が木造建築物である場合にあつては、その外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分が防火構造であること。
一つ目は、耐火建築物等又は準耐火建築物等とする型です。
二つ目は、耐火建築物等及び準耐火建築物等以外の建築物に、屋根と外壁及び軒裏の基準を求める型です。
屋根は、不燃材料で造るか、ふくことが求められます。
木造の場合は、外壁及び軒裏の延焼のおそれのある部分を、防火構造とすることが求められます。 二通りの違いを、表にまとめます。
| 項目 | 一つ目の型 | 二つ目の型 |
|---|---|---|
| 対象 | 区域内に存する建築物 | 耐火建築物等及び準耐火建築物等以外の建築物 |
| 求める構造 | 耐火建築物等又は準耐火建築物等 | 屋根を不燃材料で造り、又はふく |
| 外壁と軒裏 | 耐火建築物等又は準耐火建築物等の基準による | 木造なら延焼のおそれのある部分を防火構造にする |
木造でも、屋根と外壁を整えれば足りる型があるのですね。
特定建築物地区整備計画では、どうなりますか。
特定建築物地区整備計画は、別の枠です。
特定地区防災施設との関係を、見ていきましょう。
特定建築物地区整備計画の区域で条例が特定地区防災施設に接する低い部分に壁を求めるのはなぜか

条文を、確認しておきましょう。
(1)耐火建築物等(法第五十三条第三項第一号イに規定する耐火建築物等をいう。ロにおいて同じ。)又は準耐火建築物等(同号ロに規定する準耐火建築物等をいう。ロにおいて同じ。)であること。
(2)その敷地が特定地区防災施設に接する建築物(特定地区防災施設に係る間口率の最低限度を超える部分を除く。)の当該特定地区防災施設の当該敷地との境界線からの高さ(次項において「特定地区防災施設からの高さ」という。)が五メートル未満の範囲は、空隙のない壁が設けられていることその他の防火上有効な構造であること。
(1)と(2)の両方を満たす制限であることが求められています。
(2)の高さは、地上からでなく、特定地区防災施設の敷地との境界線からの高さです。
空隙のない壁が例示されていますが、防火上有効な構造であれば足りる書き方です。
理由までは書かれていませんが、(2)は特定地区防災施設に接する低い部分の防火に着目した基準です。 範囲の計算例を示します。
階高が3メートルの建築物で、境界線と地盤面の高さが同じだと仮定します。
高さ5メートル未満の範囲は、境界線から測って、1階の全部と、2階の下から2メートル分です。
数値は、読み方の例です。 特定地区防災施設という語の意味は、施行令に定められています。
間口率の最低限度を定める第十二号を、確認しておきましょう。
間口率の最低限度は、十分の七以上十分の九以下の範囲内の数値とされています。
間口率の算定は、施行令第136条の2の4でも扱われています。 第6項は、これらの制限を一体として定めることを求めています。
これらは、一つずつでなく、全てを定めることが求められています。
該当する区域かどうかは、市区町村の窓口で確認が欠かせません。
特定地区防災施設に接する建物は、低い部分の壁が大事なのですね。
区域の内外にまたがる建物は、どうなりますか。
その扱いを、第4項が定めています。
第65条との関係を確認していきましょう。
制限を受ける区域の内外にまたがる建築物はなぜ第65条の例で扱われるのか

条文を、確認しておきましょう。
措置を定める場所は、法律でなく、条例です。
考え方の手本が、第65条の規定です。
第65条を、確認しておきましょう。
(同条第二項)建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、その全部について防火地域内の建築物に関する規定を適用する。ただし、建築物が防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。
この考え方の手本が、第68条の2第4項の例によりという言い方です。
例により定める措置の中身は、条例ごとに確認が欠かせません。
手本の考え方の違いを、表にまとめます。
| 項目 | 第65条第1項 | 第65条第2項 | 第68条の2第4項 |
|---|---|---|---|
| またがるもの | 防火地域又は準防火地域と、指定のない区域 | 防火地域と準防火地域 | 制限を受ける区域の内外 |
| 原則 | その全部に、防火地域又は準防火地域内の規定を適用 | その全部に、防火地域内の規定を適用 | 第65条の規定の例により、措置を条例に定める |
| 例外の材料 | 地域外で防火壁で区画された部分 | 防火地域外で防火壁で区画された部分 | 条例の定めによる |
手本の第65条の考え方を、条例が受け継ぐのですね。
許可で適用が外れることはありますか。
施行令第136条の2の5第12項に、適用除外の定めがあります。
防火管理者の確認と、あわせて見ていきましょう。
地区計画等の区域にある建物で防火管理者はなにを確かめておくとよいのか

条文を、確認しておきましょう。
防火上の制限が定められた建築物では、位置、構造、用途等の特殊性により支障がないと認められることが、許可の前提です。
建築基準法の話は、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
ただし、増築や改修のときには、関係する場面があります。
判断に迷うときは、市区町村の窓口への相談も欠かせません。
明日から次の点を確認してください。
- 建物のある場所が、地区計画等の区域かどうかを、市区町村の窓口で確認して記録する。
- 区域内なら、条例に建築物の構造の防火上の制限があるかを、条文で照らし合わせておく。
- 建物が区域の内外にまたがる場合は、条例に定められた適用の措置を、窓口で確認する。
- 増築や改修を考えるときは、条例の制限と許可の有無を、工事の前に市町村へ事前に相談する。
- 消防用設備等の判断は、所轄消防署へ相談する。
構造の制限の話と消防の話を混同しないように、それぞれの窓口へ確かめておきましょう。
区域かどうかと、条例の制限の中身を、まず確認します。
またがる場合の措置も、窓口で聞いてみます。
状況が分かれば、増築のときの相談も早くなります。
相談は、建築の窓口と消防の両方の窓口にしておくと安心です。
よくある質問
まとめ
区域かどうかと、条例の制限の中身を、確認しておく必要があるんですね。
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適用の措置が分かれば、増築や改修の相談も進めやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第六十五条・第六十八条の二・同法施行令第百三十六条の二の五・密集市街地整備法第三十二条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。地区計画等の条例の内容や区域は市町村ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





