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敷地が地区計画等の条例の区域の内外にまたがると容積率や建蔽率の限度はどう決まるのか|建築基準法第68条の8を解説

低層の住宅地と中層の集合住宅の境に建つ建物の写真

地区計画等の区域では、条例で容積率や建蔽率の最高限度が定められることがあります。
ところが、建築物の敷地は、その条例の制限を受ける区域の境目をまたぐことがあります。
そのとき、条例の最高限度は敷地のどの部分に当てはまり、敷地全体の限度はどう決まるのでしょうか。
建築基準法第68条の8は、条例で定めた最高限度を区域内にある部分の限度とみなして、面積による按分などの規定を適用すると定めています。
今回は建築基準法第68条の8が定める、敷地が地区計画等の条例による制限を受ける区域の内外にわたる場合の措置について、条文の中身と、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。

敷地が条例の区域の境目にかかっていたら、限度はどうなりますか。
条例の数字を、そのまま敷地全体に当てはめるわけではないのですね。

区域内の部分と区域外の部分を分けて考えます。
まず、条文の書き出しから見ていきましょう。

それは、建築基準法のどの条文に書かれているのですか。
面積按分の条文とは別ですか。

建築基準法第68条の8に書かれています。
面積按分は第52条第7項と第53条第2項で、この条文がそこへつなげます。

この記事の結論
  • 第68条の8は、第68条の2第1項の条例で容積率や建蔽率の最高限度が定められた場合に、敷地が制限を受ける区域の内外にわたるときの扱いを定めています。
  • 条例で定めた最高限度は、区域内にある部分の限度とみなされます。
  • そのうえで、容積率は第52条第7項など、建蔽率は第53条第2項などの規定を適用することになります。
  • 対象は、容積率の最高限度又は建蔽率の最高限度が条例で定められた場合です。
  • 区域外の部分について、この条文は限度を置き換えていないため、区域内と区域外を分けて読む必要があります。

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条例で定めた最高限度を区域内にある部分の限度とみなし部分ごとの限度を面積で合計して敷地全体の限度を求めることを示す図解

条例で容積率や建蔽率の最高限度が定められた区域の内外に敷地がまたがるとなぜ区域内にある部分の限度とみなすのか

計画図の板と区域の境目にまたがる低層の建物の模型のイラスト
第68条の8は、条例で定めた最高限度を、区域内にある部分の限度とみなすという原則を定めています。
まず、条文の前半を確認しましょう。
(建築基準法第六十八条の八)第六十八条の二第一項の規定に基づく条例で建築物の容積率の最高限度又は建築物の建蔽率の最高限度が定められた場合において、建築物の敷地が当該条例による制限を受ける区域の内外にわたるときは、当該条例で定められた建築物の容積率の最高限度又は建築物の建蔽率の最高限度を、それぞれ当該建築物の当該条例による制限を受ける区域内にある部分に係る第五十二条第一項及び第二項の規定による建築物の容積率の限度又は第五十三条第一項の規定による建築物の建蔽率の限度とみなして、
第68条の8は、条例で容積率や建蔽率の最高限度が定められ、敷地がその条例による制限を受ける区域の内外にわたるときに、その最高限度を区域内にある部分の限度とみなすとする条文です
みなす相手は、容積率については第52条第1項及び第2項による限度、建蔽率については第53条第1項による限度です。
これらは、用途地域などに応じて決まる、もともとの容積率と建蔽率の限度を定めた規定です。
区域内にある部分については、条例で定められた最高限度が、そのもともとの限度の代わりに使われます。
条文は「みなして」と書いており、条例の数字を敷地全体にそのまま当てはめるとは書いていません。
区域の外にある部分については、この条文は何も置き換えていません。

条例の最高限度は、区域内にある部分の限度になるのですね。
そのあとは、どうなりますか。

みなしたあとに、面積で按分する規定を当てはめます。
次の見出しで、条文の後半を見ていきます。

みなした限度はなぜ第52条第7項と第53条第2項の面積による按分に使われるのか

一つの敷地が境界線で二つに分かれた図のイラスト
条文の後半には、適用する規定が並んでいます。
まず、後半の部分を確認しましょう。
(建築基準法第六十八条の八)第五十二条第七項、第十四項及び第十五項又は第五十三条第二項及び第四項から第六項までの規定を適用する。
条文の後半は、第52条第7項、第14項及び第15項、又は第53条第2項及び第4項から第6項までの規定を適用すると定めています
容積率のほうの中心になるのは、第52条第7項です。
建築物の敷地が容積率に関する制限を受ける地域、地区又は区域の二以上にわたる場合の規定です。
条文の言い方は次のとおりです。
(建築基準法第五十二条第七項)建築物の敷地が第一項及び第二項の規定による建築物の容積率に関する制限を受ける地域、地区又は区域の二以上にわたる場合においては、当該建築物の容積率は、第一項及び第二項の規定による当該各地域、地区又は区域内の建築物の容積率の限度にその敷地の当該地域、地区又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下でなければならない。
建蔽率のほうの中心になるのは、第53条第2項です。
建蔽率に関する制限を受ける地域又は区域の二以上にわたる場合の規定で、同じ考え方が書かれています。
(建築基準法第五十三条第二項)建築物の敷地が前項の規定による建築物の建蔽率に関する制限を受ける地域又は区域の二以上にわたる場合においては、当該建築物の建蔽率は、同項の規定による当該各地域又は区域内の建築物の建蔽率の限度にその敷地の当該地域又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下でなければならない。
区域内にある部分の限度が条例の最高限度とみなされるため、それに面積の割合を乗じた値と、区域外にある部分の限度に面積の割合を乗じた値を合計して、敷地全体の限度を出す形になります
第52条第7項は、各地域、地区又は区域内の限度に、敷地のその部分の面積が敷地面積に占める割合を乗じて得たものの合計以下と定めています。
第53条第2項も、建蔽率について同じ形です。
按分の詳しい考え方は、第52条第7項を解説した記事で扱っています。

面積の割合で、部分ごとの限度を合計するのですね。
ほかにも適用される規定はありますか。

許可による例外の規定も挙げられています。
次の見出しで、許可の規定を確認します。

みなした限度はなぜ特定行政庁の許可による例外の規定にも引き継がれるのか

大きさの違う二つの土地と高さの違う建物の模型のイラスト
条文の後半には、按分のほかに、許可の規定も挙がっています。
容積率のほうの許可の規定を、確認しておきましょう。
(建築基準法第五十二条第十四項)次の各号のいずれかに該当する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの容積率は、第一項から第九項までの規定にかかわらず、その許可の範囲内において、これらの規定による限度を超えるものとすることができる。(略)
(建築基準法第五十二条第十五項)第四十四条第二項の規定は、第十項、第十一項又は前項の規定による許可をする場合に準用する。
第52条第14項は、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可した建築物の容積率を、その許可の範囲内で、通常の限度を超えられるものとする規定です
条文が挙げている建築物は、機械室などの床面積の割合が著しく大きい場合の敷地内の建築物、周囲に広い空地を有する建築物、エネルギー消費性能の向上のための外壁の工事などを行う建築物で構造上やむを得ないものとして国土交通省令で定めるもの、の三つです。
第15項は、第44条第2項の規定を準用すると定めており、第44条第2項には建築審査会の同意を得なければならないと書かれています。
建蔽率のほうにも、第53条第4項から第6項までに、壁面線などに関する許可の規定と、適用しない建築物の規定があります。
第68条の8は、これらの規定を適用する場面でも、区域内にある部分の限度として条例の最高限度を出発点にすると定めています。
許可の可否や範囲は、個別の事情で特定行政庁が判断するため、条文だけでは決まりません。

許可の規定でも、条例の限度が出発点になるのですね。
この条文は、どんな条例が対象ですか。

容積率か建蔽率の最高限度を定めた条例が対象です。
次の見出しで、対象の範囲を見ていきます。

この措置はなぜ条例で容積率か建蔽率の最高限度が定められた場合に限られるのか

計画図の板と境界にまたがる建物の模型のイラスト
第68条の8の対象は、条文の冒頭で絞られています。
条例の根拠になる条文と、あわせて確認しましょう。
(建築基準法第六十八条の八)第六十八条の二第一項の規定に基づく条例で建築物の容積率の最高限度又は建築物の建蔽率の最高限度が定められた場合において、(略)
(建築基準法第六十八条の二第一項)市町村は、地区計画等の区域(地区整備計画、特定建築物地区整備計画、防災街区整備地区整備計画、歴史的風致維持向上地区整備計画、沿道地区整備計画又は集落地区整備計画(以下「地区整備計画等」という。)が定められている区域に限る。)内において、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項で当該地区計画等の内容として定められたものを、条例で、これらに関する制限として定めることができる。
第68条の8が働くのは、第68条の2第1項の規定に基づく条例で、建築物の容積率の最高限度又は建蔽率の最高限度が定められた場合に限られます
第68条の2第1項は、市町村が地区計画等の区域内で、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項を条例で制限として定めることができるとする規定です。
条例で定められる事項は容積率や建蔽率の最高限度だけではなく、敷地面積の最低限度や防火上必要な構造の制限などもあります。
ほかの制限が区域の内外にわたる場合は、第68条の2の別の項にそれぞれの措置が置かれています。
防火上必要な構造の制限については、区域の内外にわたる建築物の扱いを第68条の2第4項が定めており、別の記事で解説しています。

容積率と建蔽率の最高限度だけが対象なのですね。
全体を、整理したいです。

一覧の表で、比べてみましょう。
あわせて防火管理者の確認事項も見ておきます。

第68条の8はなぜ区域内の部分と区域外の部分を分けて読む必要があるのか

市役所と書類とチェックリストのイラスト
第68条の8を、項目ごとに整理します。
分けて読むと、混乱しにくくなります。
項目条文の書き方押さえる点
対象の条例第68条の2第1項の規定に基づく条例で、建築物の容積率の最高限度又は建蔽率の最高限度が定められた場合対象は容積率か建蔽率の最高限度です
対象の敷地建築物の敷地が当該条例による制限を受ける区域の内外にわたるとき区域の内外にまたがる敷地です
みなし条例で定められた最高限度を、区域内にある部分に係る限度とみなす区域外の部分は置き換えません
容積率の適用規定第52条第7項、第14項及び第15項面積按分と許可の規定です
建蔽率の適用規定第53条第2項及び第4項から第6項まで面積按分と許可などの規定です
第68条の8は、条例で定めた最高限度を区域内にある部分の限度とみなしたうえで、容積率と建蔽率それぞれの按分や許可の規定を適用するための、つなぎの条文です
その前の第68条の2から第68条の7までは、区域の中での特例や制限を定めるものが中心です。
この条文は、区域の境目にまたがる敷地で、それらの制限をどう組み合わせるかを定めています。
敷地が区域にまたがる建物は、容積率と建蔽率の限度が、区域内と区域外の両方から決まります。 これらは建築基準法の容積率と建蔽率の話で、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
ただし、増築や用途変更の話が出たときには、関係する場面があります。
判断に迷うときは、市区町村の窓口への相談も欠かせません。
明日から次の点を確認してください。
  • 建物の敷地が、地区計画等の条例による制限を受ける区域の内外にまたがっていないかを、市区町村の窓口で確認する。
  • 条例で、容積率や建蔽率の最高限度が定められているかを照会しておく。
  • 区域内の部分と区域外の部分の面積を、敷地図で確かめておく。
  • 増築などで規模や用途が変わることで、消防用設備等の基準が変わる場合があるため、所轄消防署へ事前に相談する。
  • 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築基準法の特例や措置は、消防法令の基準を緩めるものではありません。
建築の話と消防の話を混同しないように、それぞれの窓口へ確かめておきましょう。

敷地が区域にまたがっているかを、まず確認します。
増築の話が出たら、両方の窓口に相談します。

状況が分かれば、あとの相談も早くなります。
相談は、建築の窓口と消防の両方の窓口にしておくと安心です。

よくある質問

Q第68条の8は、どんな場合の規定ですか?
A条例で容積率や建蔽率の最高限度が定められ、敷地がその条例による制限を受ける区域の内外にわたる場合の規定です。
Q条例の最高限度は、敷地全体に当てはまるのですか?
A敷地全体ではなく、区域内にある部分の限度とみなされます。区域外の部分について、この条文は限度を置き換えていません。
Q敷地全体の限度は、どう決まりますか?
A容積率は第52条第7項、建蔽率は第53条第2項の規定により、各部分の限度に面積の割合を乗じて合計する形で決まります。
Q許可による例外の規定も関係しますか?
A条文は、第52条第14項及び第15項と第53条第4項から第6項までも適用すると定めています。許可の可否は個別に判断されます。

まとめ

✔第68条の8は、条例で容積率や建蔽率の最高限度が定められ、敷地が制限を受ける区域の内外にわたるときの扱いを定めた条文です。
✔条例で定めた最高限度は、区域内にある部分の限度とみなされます。
✔そのうえで、容積率は第52条第7項など、建蔽率は第53条第2項などの規定を適用します。
✔按分の規定では、部分ごとの限度に面積の割合を乗じて合計します。
✔許可の規定も適用の対象で、可否は個別に判断されます。
✔対象は、第68条の2第1項の条例で容積率か建蔽率の最高限度が定められた場合の措置に限られます。
✔これらは建築基準法の話であって、消防法令の基準を緩めるものではありません。防火管理者は、敷地が区域にまたがるかを確認して記録します。

敷地が区域にまたがっているかを、確認しておく必要があるんですね。
この記事の内容を管理者にも共有します!

敷地と区域の関係が分かれば、増築や入居の相談も進めやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第六十八条の八・第五十二条・第五十三条・第六十八条の二(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。区域の計画と条例の制限の内容は地区計画と条例ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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