ボイラーや発電機は、床にただ置いてあるだけのように見えます。
けれども揺れて倒れたり配管が抜けたりしないようにする決まりが、消防法令の側にあります。
条文を開くと、そこには十の号が並びただし書きまで置かれています。
この記事では火を使う設備を振動や衝撃からどう守るのかを条文から解説します。
機械を床に固定しているかと立入検査で聞かれました。
そこまで法令に書いてあるのでしょうか。
書いてあります。
令第5条第1項第7号を受けた省令の一条にまとまっています。
うちのボイラーは条文に名前が出ていませんでした。
それなら関係ないということでしょうか。
そこが落とし穴です。
はじめの二つの号は名前を出さずに全部を拾っています。
- 振動や衝撃に対する構造の基準は消防法施行令第5条第1項第7号を受けた省令第12条にあります。
- 求められているのは転倒と落下と破損とき裂を生じないことと接続部が緩まないことです。
- 号は十あり第1号と第2号は設備の名前を出さずにすべてを受けています。
- 燃料の配管の接続はねじ接続とフランジ接続と溶接等とされています。
- 内燃機関を原動力とする発電設備には三つの号が同時にかかります。
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目次
振動や衝撃に対する構造とは何を求めているのか

まず入口の条文を見てください。
転倒と落下と破損とき裂という四つを生じないこと、そしてもう一つが配線や配管等の接続部が容易に緩まないことです。
最後の一つは倒れるかどうかの話ではなく、つなぎ目が抜けて燃料や電気が漏れることを防ぐための項目です。
柱書きには建築設備を除くという括弧書きが置かれており、建築基準法の建築設備に当たるものはこの条から外れます。
実際に義務を課すのは市町村の火災予防条例なので、条番号や表現は自治体ごとに違うことがあります。
倒れないことだけの話ではないのですね。
はい、つなぎ目が並んで書かれています。
倒れない機械でも配管が抜ければ意味がないからです。
どの設備にどの号がかかるのか

名前を出す号と、出さない号に分かれています。
第1号は設備の名前をひとつも出さず、対象火気設備等のすべてに向かって転倒や落下やき裂を防げと求めています。
第2号は名前ではなく燃料で括り、気体燃料又は液体燃料を使うものの配管の接続方法を定めています。
そして第3号から第10号までの八つが、はじめて設備の名前を出します。
省令第3条は対象火気設備等を21種類あげていますが、第12条で名指しされているのは八種類だけです。
| 号 | どの設備を指しているか | 求められること |
|---|---|---|
| 第1号 | 対象火気設備等のすべて | 地震その他の振動又は衝撃により容易に転倒し、落下し、破損し、又はき裂を生じないこと |
| 第2号 | 気体燃料又は液体燃料を使用するもの | 配管の接続をねじ接続、フランジ接続、溶接等とすること |
| 第3号 | 燃料電池発電設備、変電設備、内燃機関を原動力とする発電設備、舞台装置等の電気設備 | 変圧器、コンデンサーその他の機器及び配線を堅固に床、壁、支柱等に固定すること |
| 第4号 | 燃料電池発電設備、内燃機関を原動力とする発電設備 | 発電機、燃料タンクその他の機器を堅固に床、壁、支柱等に固定すること |
| 第5号 | ヒートポンプ冷暖房機 | 内燃機関に防振のための措置が講じられたものとすること |
| 第6号 | 放電加工機 | 工具電極を確実に取り付け、異常な放電を防止すること |
| 第7号 | 内燃機関を原動力とする発電設備 | 防振のための措置が講じられた床上又は台上に設けること |
| 第8号 | 蓄電池設備(開放形鉛蓄電池を用いたものに限る) | 電槽を耐酸性の床上又は台上に転倒しないように設けること |
| 第9号 | 舞台装置等の電気設備 | 電灯及び配線を著しく動揺し、又は脱落しないように取り付けること |
| 第10号 | 急速充電設備 | 堅固に床、壁、支柱等に固定すること |
名前が出ているのは電気や発電の設備ばかりですね。
そのとおりです。
炉やボイラーは第1号と第2号の側で受けているとお考えください。
燃料の配管はどうつなげばよいのか

つなぎ方が名指しで並べられ、そのうえで例外がひとつだけ開かれています。
本文が挙げるのはねじ接続とフランジ接続と溶接等で、いずれも工具や熱を使って締めたり溶かしたりする接続です。
差し込むだけの接続が認められるのはただし書きの場合に限られ、その条件は二つ重なっています。
一つは金属管と金属管以外の管をつなぐ場合であること、もう一つはその接続部分をホースバンド等で締め付ける場合であることです。
第12条には十の号が並んでいますが、ただし書きが置かれているのはこの第2号だけです。
つまりゴムホースを差し込むなら締め付け金具まで要るのですね。
条文はそう読めます。
点検のときは締め付け金具が入っているかを見てください。
一つの設備にかかる号は一つだけなのか

ところが第12条の号は互いに重なり合っています。
内燃機関を原動力とする発電設備は第3号と第4号と第7号の三つに名前が出ており、機器と配線の固定と、発電機や燃料タンクの固定と、防振の台の三つを同時に求められます。
燃料電池発電設備は第3号と第4号の二つ、舞台装置等の電気設備は第3号と第9号の二つに名前が出ます。
どの号も同じ設備の違う部分を見ているので、一つを満たしても他が免除されるわけではありません。
名前の出ていない炉やボイラーも、第1号と第2号の側で受けているので対象から外れません。
発電機を見つけて安心していました。
台のほうまで見ていませんでした。
よくあることです。
名前が出てくる号を最後まで拾い切ってください。
明日からなにを確認すればよいのか

機械の型番ではなく、設備の種類から入ってください。
はじめにその機械が省令第3条の21種類のどれに当たるかを確かめ、機械の四隅が床や壁や支柱に留められているかを見ます。
次に気体燃料や液体燃料を使うものなら配管をたどり、つなぎ目がねじやフランジや溶接になっているか、差し込みなら締め付け金具が入っているかを見ます。
そのうえで設備の名前が出てくる号を第3号から第10号まで拾い、発電設備があるなら機器の固定だけで満足せず防振の台まで見てください。
確認した結果は消防計画の火気管理の欄に残しておくと、担当者が代わっても同じ順番で点検できます。
まず四隅とつなぎ目を見ればよいのですね。
そこから始めれば十分です。
今日のうちに点検表の項目に足してしまってください。
よくある質問
まとめ
さっそく機械の足元を見てきます!
倒れないことと抜けないことの二つが揃ってはじめて条文を満たします。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条・第5条の2
- 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第2条・第3条・第12条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





