消防署から改修命令や使用禁止命令の書類が届いたとき、内容に納得できなければどう動けばよいのでしょうか。
裁判に訴える前に、行政不服審査法にもとづく審査請求という手続きがあります。
ところが消防法は、この審査請求ができる期間を一般の行政処分よりずっと短く定めています。
命令を受け取った日をいつと数えるかで、争える期間が変わってきます。
消防署から改修命令の書類が届いたんですが、内容に納得できません。
もう争う方法はないんでしょうか。
いいえ、審査請求という手続きが用意されています。
ただし期限がとても短いので急ぎましょう。
期限が短いというのは、具体的にどれくらいなんでしょうか。
詳しく知りたいです。
消防法には専用の条文があり、わずか30日しかありません。
順番に条文を確認していきましょう。
- 消防の命令に不服があるときは審査請求という手続きで争えます(消防法第5条の4)。
- 審査請求の対象になるのは改修命令・使用禁止命令・物件の措置命令の3つです。
- 審査請求の期間はわずか30日で、一般の行政処分の期間より大幅に短いものです。
- 起算日は命令を受け取った日の翌日から数えます。
- 審査請求と取消訴訟は自由選択主義により、どちらを先に選んでもかまいません。
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目次
消防の命令に納得できないときまず何をすればよいのか

まずは条文がどんな手続きを用意しているか確認しましょう。
行政不服審査法にもとづき、命令を出した行政庁などに対して審査請求を申し立てる方法が用意されています。
消防法第五条の四は、この審査請求ができる期間について特別な定めを置いています。
一般の行政処分より大幅に短い期間なので、命令を受け取ったらすぐに確認する必要があります。
まずはどの命令が審査請求の対象になるのかを次で見ていきましょう。
審査請求なんて、これまで名前も聞いたことがありませんでした。
誰でも使える手続きなんでしょうか。
はい、命令を受けた関係者なら誰でも使える手続きです。
次はどの命令が対象になるかを見ていきましょう。
審査請求の対象になる命令はどれか

それぞれどんな命令なのか条文で確認します。
第五条第一項は建物そのものに対する改修・移転・除去などの措置命令、第五条の二第一項は建物の使用の禁止・停止・制限を命じる命令です。
第五条の三第一項は、放置された危険な物件そのものに対して消防吏員が所有者らへ措置を命じる規定です。
自分の建物が受けた命令がこのどれに当たるかで、争う際の主張の組み立て方も変わってきます。
どの命令であっても、審査請求ができる期間の考え方は次で見るとおり共通です。
うちに来たのは使用禁止命令なので、第五条の二にあたるんですね。
命令の種類ごとに条文が分かれているとは知りませんでした。
そのとおりです。
次はいよいよ肝心の期間の長さを見ていきましょう。
審査請求の期間はなぜ30日という短さになっているのか

根拠になっている条文を並べて見比べましょう。
行政不服審査法第十八条第一項本文は、審査請求の期間を原則「知った日の翌日から起算して三月」と定めています。
ところが消防法第五条の四は、消防の命令に限ってこの期間を三十日に短縮する特例を置いています。
火災予防にかかわる命令を早期に確定させ、防火対象物を速やかに安全な状態にするための定めと考えられます。
「あとで争えばいい」と後回しにしていると、あっという間に期限が過ぎてしまいます。
三月のはずが三十日になるなんて、こんなに短縮されるとは知りませんでした。
うっかり見落としそうです。
だからこそ日付の数え方が重要になります。
次は見落としやすい落とし穴を見ていきましょう。
審査請求をすれば取消訴訟の期限も延びるのか

条文を見比べてみましょう。
行政事件訴訟法第八条第一項本文は、審査請求ができる処分であっても直ちに取消訴訟を提起できる自由選択主義を採っています。
つまり消防の命令に対しては、審査請求と取消訴訟のどちらを先に選んでもよく、両方をあわせて検討することもできます。
ただし消防法第六条第一項が定める取消訴訟の期限も命令を受けた日から30日とされており、審査請求の期間とは別に進行します。
審査請求だけを申し立てて安心していると、取消訴訟のほうの期限を見落としかねません。
審査請求をしていれば裁判のほうは待ってもらえると思っていました。
両方の期限を別々に見ないといけないんですね。
そのとおりです。
最後に明日から確認しておきたいことをまとめますね。
明日からなにを確認すればよいのか

どこに申し立てるかも合わせて押さえておきましょう。
起算日は受け取った日の翌日なので、封筒や配達記録に残る受領日をそのまま控えておくと安心です。
審査請求をどこに対して行うかは、条文上は上級行政庁がなければ処分庁自身が原則ですが、条例で審査庁が別に定められている自治体もあります。
命令書には審査請求ができる旨や請求先の教示が記載されているはずなので、まずそこを確認してください。
30日というカレンダー上の期限を手帳に書き込み、迷ったら期限が来る前に相談することが大切です。
まずは受け取った日付を控えて、命令書の教示を確認します。
手帳に30日の期限も書き込んでおきます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
迷ったときは期限が来る前にお声がけください。
よくある質問
まとめ
審査請求という手段があることと、期限がとても短いことがよく分かりました。
命令を受け取ったらまず日付を確認します。
消防の命令や立入検査に関する疑問も遠慮なくお尋ねください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第五条・第五条の二・第五条の三・第五条の四
- 行政不服審査法第四条・第十八条
- 行政事件訴訟法第八条
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





