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消防設備士の再講習の受講料はなぜ都道府県ではなく講習機関に入るのか|指定講習機関という仕組みと消防設備士試験の手数料との違いを解説

消防設備士の再講習と指定講習機関の手数料の仕組みを解説する記事のアイキャッチ画像

消防設備士の再講習を受けたとき、受講料の振込先が県庁ではなく聞き慣れない団体名だったという経験はないでしょうか。
実はこれは間違いではなく、法律がそう定めている仕組みです。
消防法第17条の11が定める指定講習機関という制度がその正体です。
この記事では再講習の実施主体と手数料の帰属がどう分かれているのかを解説します。

先日、消防設備士の再講習の振込用紙を見せてもらったら、県庁じゃなく知らない団体名の口座でした。
これって間違ってないんでしょうか。

実は間違いではなく、総務大臣が指定した指定講習機関という団体の口座なんです。
今日はその仕組みを整理してご説明しますね。

手数料までその団体に直接入るということですか。
県の収入にならないのは意外でした。

はい、条文にそう書かれています。
試験の手数料の仕組みとも違うので、あわせて確認していきましょう。

この記事の結論
  • 消防設備士は都道府県知事(総務大臣が指定する市町村長その他の機関を含む)が行う再講習を受けなければなりません(消防法第17条の10)。
  • 総務大臣が指定する市町村長以外の機関を指定講習機関といいます(消防法第17条の11第1項)。
  • 指定講習機関の講習を受ける者は、政令で定める額の手数料を当該指定講習機関へ直接納めなければなりません。
  • 納められた手数料は指定講習機関自身の収入になります(同条第2項)。
  • 一方、消防設備士試験の手数料は都道府県の条例次第で指定試験機関に納めさせることが「できる」という任意の仕組みで、講習とは建てつけが異なります。

消防設備士の再講習の手数料が指定講習機関へ直接納められ収入になる仕組みを示した図解

消防設備士の再講習はだれが実施するのか

都道府県庁舎の建物と再講習の会場となる建物を書類でつなぐ様子
消防設備士には免状を取ったあとも、実務の質を保つための再講習を受け続ける義務があります。
その実施主体は条文でどう定められているのか確認しましょう。
消防法第十七条の十 消防設備士は、総務省令で定めるところにより、都道府県知事(総務大臣が指定する市町村長その他の機関を含む。)が行う工事整備対象設備等の工事又は整備に関する講習を受けなければならない。
再講習の実施主体は都道府県知事が原則です。
ただし条文には総務大臣が指定する市町村長その他の機関という文言も含まれており、都道府県知事以外が担うことも想定されています。
つまり「その他の機関」の中に、これから見ていく指定講習機関が含まれる仕組みです。
受講者から見れば、窓口が県庁の場合も、指定された別の機関の場合もあり得るということになります。
まずはこの3者(都道府県知事・市町村長・その他の機関)が講習を行いうる立場にあることを押さえておきましょう。

再講習って、いつも同じところが開いているものだと思っていました。
都道府県庁以外もやっていいんですね。

条文上は市町村長やその他の機関も担えるとされています。
次はその「その他の機関」の中身を見ていきましょう。

指定講習機関とはどんな機関を指すのか

民間の講習機関の建物へ総務大臣の指定を示す書類が渡される様子
条文の中に「指定講習機関」という言葉が出てきますが、これは誰でも名乗れる呼び方ではありません。
どんな機関がこの立場になれるのか確認します。
消防法第十七条の十一第一項 前条の規定により総務大臣が指定する機関で市町村長以外のもの(以下この条において「指定講習機関」という。)が行う工事整備対象設備等の工事又は整備に関する講習を受けようとする者は、政令で定めるところにより、実費を勘案して政令で定める額の手数料を当該指定講習機関に納めなければならない。
指定講習機関とは総務大臣が指定した市町村長以外の機関です。
条文は前条(第17条の10)の「その他の機関」のうち、市町村長を除いたものを指定講習機関と呼ぶと定義しています。
つまり指定講習機関は都道府県でも市町村でもない、総務大臣から指定を受けた別の組織だということになります。
受講者からすれば、講習の窓口がこの指定講習機関になっているケースが実際には多くなります。
名前だけを見て公的な機関だと決めつけず、まずは指定講習機関という枠組みそのものを理解しておきましょう。

市町村長は含まれなくて、それ以外の機関ってことなんですね。
だんだん整理できてきました。

そのとおりです。
次はいよいよ手数料の行き先を見ていきましょう。

手数料はどこに納めて誰の収入になるのか

受講者が財布から手数料を講習機関の窓口へ直接手渡す様子
再講習を受けるには手数料がかかりますが、その納め先と使い道は条文にはっきり書かれています。
順番に見ていきましょう。
消防法第十七条の十一第二項 前項の規定により指定講習機関に納められた手数料は、当該指定講習機関の収入とする。
手数料は都道府県ではなく指定講習機関に直接納めます。
第1項が「当該指定講習機関に納めなければならない」と定め、第2項が「当該指定講習機関の収入とする」と重ねて定めています。
つまり受講者が支払ったお金は県の歳入を経由せず、そのまま指定講習機関の運営費用になる仕組みです。
振込先の名義が県庁でなく講習機関そのものになっているのは、この条文どおりの正しい姿だということになります。
領収書を確認するときも、発行元が指定講習機関になっていれば問題ありません。

県の収入にならないなら、県は再講習に一切関わっていないってことですか。
ちょっと不安になります。

実施の権限自体は都道府県知事に残ったままで、事務を任せているだけです。
手数料の流れだけが指定講習機関に直結している形です。

試験の手数料の仕組みとどこが違うのか

天秤の左右に講習の手数料と試験の手数料の書類を乗せて対比する様子
同じ消防設備士の制度でも、試験の手数料は少し違う建てつけになっています。
条文の第3項を見比べてみましょう。
消防法第十七条の十一第三項 都道府県は、地方自治法第二百二十七条の規定に基づき消防設備士試験に係る手数料を徴収する場合においては、第十七条の九第一項の規定による指定を受けた者(以下この項において「指定試験機関」という。)が行う消防設備士試験を受けようとする者に、条例で定めるところにより、当該手数料を当該指定試験機関へ納めさせ、その収入とすることができる。
試験の手数料は都道府県の条例次第という任意の仕組みです。
講習の手数料は第1項・第2項で「納めなければならない」「収入とする」と直接定められているのに対し、試験の手数料は都道府県が条例で定めれば指定試験機関へ納めさせることが「できる」という書きぶりにとどまります。
つまり試験の手数料を指定試験機関の収入にするかどうかは、都道府県ごとの条例の定め方によって変わり得るということです。
同じ「指定を受けた民間の機関」でも、講習と試験とでは法律が手数料の帰属を決める強さが違います。
似た制度に見えても条文の建てつけが違う点は、混同しないよう注意しましょう。

同じような仕組みだと思っていましたが、条文の強さが違うんですね。
混同しないよう気をつけます。

講習は法律で直接定まっていて、試験は条例次第という違いです。
最後に実務で確認することをまとめますね。

明日からなにを確認すればよいのか

受講案内を確認しながら財布を持つ消防設備士の様子
制度の仕組みが分かったところで、実務で確認しておきたい点を整理します。
受講案内を受け取ったときに見るべきポイントです。
消防法第十七条の十一第一項(抜粋) 指定講習機関が行う工事整備対象設備等の工事又は整備に関する講習を受けようとする者は、政令で定めるところにより、実費を勘案して政令で定める額の手数料を当該指定講習機関に納めなければならない。
受講案内の振込先が指定講習機関になっているかを確認しましょう。
振込先や領収書の発行元が都道府県庁ではなく指定講習機関の名義になっていれば、条文どおりの正しい手続きです。
逆に見覚えのない名義に不安を感じたら、その団体が総務大臣の指定を受けた指定講習機関かどうかを講習の実施要項で確かめてください。
試験の手数料とは仕組みが異なるため、混同して問い合わせ先を間違えないようにすることも大切です。
明日以降、再講習の案内を受け取ったら、この納付先の確認を忘れずに行いましょう。

振込先を見て、指定講習機関の名義かどうかを確認すればいいんですね。
次に案内が来たらチェックしてみます。

それで大丈夫です。
試験の案内と混同しないようにだけ気をつけてください。

よくある質問

Q再講習の手数料を都道府県庁に払っても間違いではないのですか?
A講習の実施主体が指定講習機関である場合は、その指定講習機関へ直接納めるのが条文どおりの手続きです。都道府県庁ではなく受講案内に記載された納付先を確認してください。
Q指定講習機関はどこの都道府県でも同じ団体が担当しているのですか?
A条文には具体的な団体名は書かれておらず、総務大臣の指定によって定まります。受講する講習の実施要項で確認する必要があります。
Q手数料が指定講習機関の収入になるなら、金額は機関が自由に決められるのですか?
A自由には決められません。手数料の額は実費を勘案して政令で定める額とされており、指定講習機関が任意に設定できるものではありません。
Q試験の手数料も同じように指定試験機関の収入になるのですか?
A講習とは条文の建てつけが異なります。試験の手数料は都道府県が条例で定めた場合に限り指定試験機関へ納めさせ収入とすることができるという任意の仕組みです。

まとめ

消防設備士は都道府県知事(総務大臣が指定する市町村長その他の機関を含む)が行う再講習を受けなければなりません(消防法第17条の10)。
総務大臣が指定する市町村長以外の機関を指定講習機関といいます(消防法第17条の11第1項)。
指定講習機関の講習を受ける者は、政令で定める額の手数料を当該指定講習機関へ直接納めなければなりません。
納められた手数料は指定講習機関自身の収入になります(同条第2項)。
手数料の額は指定講習機関が自由に決めるのではなく、実費を勘案して政令で定める額とされています。
一方、消防設備士試験の手数料は都道府県の条例次第で指定試験機関に納めさせることが「できる」という任意の仕組みです。
受講案内を受け取ったら、振込先や領収書の発行元が指定講習機関の名義になっているかを確認しましょう。

再講習の手数料が指定講習機関に直接入る理由がよく分かりました。
次に案内が来たら振込先をきちんと確認します。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第十七条の十・第十七条の十一
  • 消防法第十七条の九(消防設備士試験の指定試験機関に関する規定)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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