地震の揺れで消火器が倒れたり安全栓が外れたりして、粉末が誤って放射されることがあります。
火災が見当たらない場合でも、元の消火器をそのまま戻すと、次の初期消火に使える状態か判断できません。
大切なのは、粉末の清掃と同時に、消火器がない時間をつくらないことです。
この記事では、地震後の誤放射を想定し、初動、代替配置、復旧確認の順に整理します。
火事ではないのに粉末が出てしまいました。
まず片付ければよいですか。
清掃の前に、火災・けが・避難経路を確認します。
同時に代替の消火器を考えましょう。
少ししか出ていない場合も同じですか。
圧力計が緑なら使えそうに見えます。
見た目だけでは残量や機能を決められません。
復旧の判断は整備事業者に任せるのが安全です。

目次
誤放射の直後に最優先で守ることはなにか

火災がないと確認できた場合でも、粉末で視界が落ちた場所や通路は一時的に近づかないようにします。
最初の判断は片付けではなく、人が安全に通れる状態かどうかです。
避難口や階段の前に粉末が広がっているときは、通行を別経路に切り替えます。
粉末消火器は放射時間が短く、東京消防庁も複数本での初期消火を案内しています。
誤放射で一本を失ったと考え、残る本数と設置場所を早めに数えます。
粉末が出たら、使った消火器と同じ扱いにするのですね。
初期消火の穴を先に埋めます。
清掃だけで終わらせないことが大切です。
粉末が飛散した場所はどのように安全を確保するのか

東京消防庁は、粉末が狭い部屋に広がると消火活動や避難の障害になる場合があると案内しています。
飛散範囲を小さく保つほど、復旧後の確認も進めやすくなります。
清掃に入る人は、粉末を吸い込んだり目や皮膚に付けたりしないよう、換気と保護具を整えます。
目に入った、または多量に吸い込んで異常を感じる場合は、医療機関に相談します。
電気機器や精密機器の近くは、自己判断で水をかけず、機器の管理者や清掃事業者にも確認します。
粉末を急いで掃き出すだけでは足りないのですね。
避難の妨げをなくす順番が先です。
体調の変化も記録に残しましょう。
代替の消火器はどのように配置するのか

建物の消防用設備等は定期点検と報告の対象であり、消火器具には消防庁の点検基準と点検票が用意されています。
代替配置は「あるものを動かす」より「必要な場所を欠かさない」で考えます。
予備の消火器がある場合は、元の設置位置を基準に、通行の妨げにならず、誰でも取り出せる場所へ仮置きします。
予備がない場合は、販売店や整備事業者へ連絡し、到着までの対応を防火管理者と共有します。
法令上の設置状況や建物ごとの事情は異なるため、恒久的な移設や台数変更は所轄消防署にも確認します。
別の階から借りると、そちらが不足するおそれがありますね。
だからこそ、仮配置の地図を残します。
次の交代者にも状態を渡せます。
誤放射した消火器はそのまま戻してよいのか

消火器は圧力を用いる機器であり、消防庁も腐食や損傷があるものは操作せず、専門の処理を依頼するよう案内しています。
安全栓、レバー、ホース、容器の状態を触って確かめるのではなく、整備につなげます。
使用した器具と同様に、誤放射した器具には「使用不可」などの表示を付け、元の位置に戻さないようにします。
住宅用消火器は薬剤の詰め替えができない構造と案内されているため、交換方法は製品表示と販売店に確認します。
業務用でも、復旧可否や再充填は型式・状態によって異なるため、点検資格者または整備事業者へ委ねます。
圧力計が見えるからといって、復旧とはいえないのですね。
元へ戻す判断を急がないことです。
代替配置を保ったまま確認を進めます。
業務を再開する前になにを記録するのか

地震直後は担当者が入れ替わりやすく、粉末の清掃済み範囲や仮配置が伝わらないと、同じ確認を繰り返します。
記録は次の担当者に初期消火の状態を渡すための道具です。
誤放射した日時、場所、火災の有無、体調不良の有無、仮配置した消火器、整備依頼先を一枚にまとめます。
清掃を外部に依頼した場合は、対象範囲と機器への影響確認の予定も残します。
復旧後は、防火管理者が元の配置図と照合し、必要に応じて所轄消防署や点検事業者へ確認します。
清掃の完了と設備の復旧は、別々に確認するのですね。
二つの完了を分けて残します。
BCPの見直しにも使える記録になります。
よくある質問
まとめ
誤放射でも、復旧の順番が見えてきました。
初動・代替・整備を分けて管理しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
※本記事は公表されている消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





