高層の建物が広い空地を取って建っているのを見ると、なぜここだけ高く建てられるのかが気になります。
建築基準法には、敷地内に広い空地を設けた建築物について、容積率や高さの限度を超えることを認める仕組みがあります。
ただし、誰でも受けられるわけではなく、条件と許可が決まっています。
今回は建築基準法第59条の2が定める敷地内に広い空地を有する建築物の容積率等の特例について、空地の割合や敷地面積の規模などの条件を、防火管理者が押さえておきたい点とあわせて解説します。
空地を広く取った建物は、容積率や高さの限度を超えて建てられると聞きました。
どんな条件があるのでしょうか。
建築基準法第59条の2に、その特例が定められています。
空地と敷地面積の規模、そして特定行政庁の許可が条件です。
許可を受ければ、どこまででも超えられるのでしょうか。
防火の面で確かめたい点も気になります。
条文を順に確認します。
防火管理の面で確かめたい点もお伝えします。
- 第59条の2は、敷地内に政令で定める空地を有する建築物について、許可を受けたときに容積率や高さの限度を超えられると定めています。
- 空地は、建蔽率の最高限度に応じた割合が施行令第136条で決まっていて、建蔽率の最高限度が定められていない場合は十分の二以上です。
- 敷地面積は、地域ごとに政令で定める規模以上であることが要件です。
- 許可をするのは特定行政庁で、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないことが要件です。
- 超えられるのは許可の範囲内だけで、消防法令の基準が緩むわけではありません。
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目次
敷地内に広い空地を有する建築物は容積率や高さの限度をどう超えられるのか

条文は、空地と敷地面積の要件、そして特定行政庁の許可を組み合わせています。
超えることができる限度は、第52条第1項から第9項まで(容積率)、第55条第1項(低層住居専用地域等の高さの限度)、第56条(道路斜線制限など)、第57条の2第6項の規定によるものです。
条件は三つです。
一つ目は、敷地内に政令で定める空地を有すること、二つ目は、敷地面積が政令で定める規模以上であること、三つ目は特定行政庁の許可を受けていることです。
まず、一つ目の空地の割合が政令でどう決まっているかを、次の節で確認します。
空地と敷地面積は政令で決まっているんですね。
空地はどれくらい必要なのでしょうか。
施行令第136条に、空地の面積の敷地面積に対する割合が定められています。
次に、その中身を見ましょう。
空地の面積は敷地面積に対してどれだけ必要なのか

建蔽率の最高限度が定められていない場合の割合も、同じ項に書かれています。
(同項の表 抜粋)十分の五以下の場合 一から法第五十三条の規定による建蔽率の最高限度を減じた数値に十分の一・五を加えた数値
十分の五を超え、十分の五・五以下の場合 十分の六・五
十分の五・五を超える場合 一から法第五十三条の規定による建蔽率の最高限度を減じた数値に十分の二を加えた数値
建蔽率の最高限度が十分の五以下の場合は、一から建蔽率の最高限度を減じた数値に十分の一・五を加えた数値以上です。
十分の五を超え十分の五・五以下の場合は十分の六・五以上、十分の五・五を超える場合は、一から建蔽率の最高限度を減じた数値に十分の二を加えた数値以上です。
たとえば建蔽率の最高限度が十分の六なら、十分の五・五を超える場合にあたるので、一から十分の六を減じた数値に十分の二を加えて、十分の六以上の割合が必要になります。
建蔽率の最高限度が定められていない場合は、十分の二以上です。
また、第2項は、各部分の高さのみを第55条第1項又は第56条の限度を超えるものとする建築物について、この割合をそれぞれ一段小さい数値に読み替えると定めています。
建蔽率の最高限度によって、必要な空地の割合が変わるんですね。
敷地の広さにも決まりがあるのでしょうか。
施行令第136条第3項に、敷地面積の規模が定められています。
地域ごとに数値が違うので、次に見ましょう。
敷地面積は地域ごとにどれだけの規模が必要なのか

ただし書で、特定行政庁が規則で別に定められる範囲も書かれています。
ただし、特定行政庁は、街区の形状、宅地の規模その他土地の状況により同欄に掲げる数値によることが不適当であると認める場合においては、規則で、同表(は)欄に掲げる数値の範囲内で、その規模を別に定めることができる。
(同項の表 抜粋)第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域 三、〇〇〇 一、〇〇〇以上三、〇〇〇未満
近隣商業地域又は商業地域 一、〇〇〇 五〇〇以上一、〇〇〇未満
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域は3,000平方メートル、近隣商業地域又は商業地域は1,000平方メートルです。
第一種中高層住居専用地域から工業専用地域までの各地域と、用途地域の指定のない区域は、表では2,000平方メートルとされています。
ただし、特定行政庁は、土地の状況により表の数値が不適当と認める場合に、規則で表の(は)欄の範囲内で別の規模を定めることができます。
たとえば第一種低層住居専用地域等では、1,000平方メートル以上3,000平方メートル未満の範囲で別に定められます。
自分の敷地に適用される規模は、特定行政庁の規則を確認する必要があります。
敷地面積の規模は、地域ごとに数値が違うんですね。
許可はだれが、どんな基準でするのでしょうか。
許可をするのは特定行政庁です。
要件と手続を、次に見ましょう。
特定行政庁はどんな要件で許可をするのか

第2項は、許可の手続を、第44条第2項の準用で定めています。
(同条第二項)第四十四条第二項の規定は、前項の規定による許可をする場合に準用する。
(同法第四十四条第二項)特定行政庁は、前項第四号の規定による許可をする場合においては、あらかじめ、建築審査会の同意を得なければならない。
条文の要件は、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないことと、建蔽率、容積率及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることです。
第2項は、第44条第2項の規定を準用していて、第44条第2項は特定行政庁が許可をする場合の建築審査会の同意を求める規定です。
防火上支障がないかどうかは、許可の要件の一つとして特定行政庁が判断することになります。
許可の判断基準の詳細や手続の運用は、特定行政庁ごとに異なる場合があります。
許可には防火上の要件も入っているんですね。
防火管理者は、この特例でなにを確かめるとよいでしょうか。
超えられるのは許可の範囲内だけです。
次に、確かめておきたい点を見ましょう。
総合設計の許可を受けた建物について防火管理者はなにを確かめておくとよいのか

許可があることと、消防法令の基準が変わることは、別の話です。
条文が挙げている限度は、第52条第1項から第9項まで、第55条第1項、第56条、第57条の2第6項の規定によるものです。
許可の範囲を超える部分まで認められるわけではないので、許可の内容を把握しておくことが大切です。
消防用設備等の設置基準など、消防法令の判断は、消防法令の条文で確かめる必要があります。
明日から次の点を確認してください。
- 建物が総合設計の許可を受けているかを、許可書や建築士への確認で把握する。
- 許可の内容と許可の範囲を、許可書の写しなどで確認する。
- 図面で、敷地内の空地の位置を確認して記録する。
- 増築や用途変更などで敷地の使い方を変えるときは、許可の範囲に収まるかを建築士や特定行政庁に相談する。
- 消防用設備等の判断は、所轄消防署へ相談する。
許可の話と消防の話を混同しないように、それぞれの窓口へ確かめておきましょう。
許可の話と消防の話は、分けて確かめるんですね。
許可書と図面で、空地の位置を確認します。
許可の範囲と空地の位置を確認して、防火管理の記録に残しましょう。
相談は、特定行政庁と消防の両方の窓口にしておくと安心です。
よくある質問
まとめ
許可の範囲内で限度を超えられるという仕組みなんですね。
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許可の範囲が分かれば、図面の読み方も変わってきます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第五十九条の二・第四十四条(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第百三十六条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。許可の判断基準や運用は特定行政庁ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





