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倉庫や自動車車庫はなぜ三階以上になると耐火建築物になるのか|建築基準法第27条第2項が定める面積によらない基準を解説

倉庫や自動車車庫は三階以上になると耐火建築物になる

倉庫や自動車車庫は、建築基準法第27条により耐火性能を求められる特殊建築物です。
ところがこの条文には基準の重さが違う2つの規定が並んでいて、混同すると計画が手戻りします。
一方は建物全体の床面積で耐火建築物か準耐火建築物かを選べる規定、もう一方は三階以上の部分があるだけで問答無用に耐火建築物を求める規定です。
三階以上の階や部分が絡むと、面積の余地なく耐火建築物にしなければならない場合があります。

倉庫と車庫、うちの計画では両方とも延べ面積の基準までは確認したんです。
それで十分ですよね。

それだけでは足りないかもしれません。
建築基準法第27条第2項には、延べ面積とは別に三階以上の部分だけで判定する規定があります。

延べ面積の基準とは別に、もうひとつ基準があるということですか。
知りませんでした。

はい、しかも耐火建築物一択で準耐火建築物という逃げ道がありません。
倉庫と車庫、それぞれの規定を条文から確認していきましょう。

この記事の結論
  • 建築基準法第27条第2項は、三階以上の階や部分があるだけで耐火建築物を義務づける規定です。同条第3項の「耐火建築物又は準耐火建築物」という選択肢はありません。
  • 倉庫は三階以上の部分の床面積の合計が200平方メートル以上になると対象になります。
  • 自動車車庫等は三階以上の階に少しでも該当用途があれば、面積を問わず対象になります。
  • これは建物全体の床面積で判定する第3項(倉庫1,500平方メートル・車庫150平方メートル)とは別の基準です。
  • 延べ面積の基準だけを確認して安心すると、三階以上に該当用途があることを見落とすおそれがあります。

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倉庫と自動車車庫の三階以上に課される耐火建築物の基準を示した図解

倉庫や自動車車庫の耐火建築物基準はなぜ二段構えになっているのか

倉庫の建物と自動車車庫の建物
建築基準法第27条は、特殊建築物の構造を規制する条文です。
倉庫と自動車車庫(別表第一(五)項・(六)項)は、この条文の第2項と第3項の両方から規制を受けます。
(建築基準法第27条第2項柱書)次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、耐火建築物としなければならない。
(同項第一号)別表第一(い)欄(五)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する三階以上の部分の床面積の合計が同表(は)欄(五)項に該当するもの
(同項第二号)別表第一(ろ)欄(六)項に掲げる階を同表(い)欄(六)項に掲げる用途に供するもの
第2項は「耐火建築物としなければならない」と言い切る規定です。
同条第3項にある「耐火建築物又は準耐火建築物」のような選択肢はありません。
つまり第2項に該当した時点で、準耐火建築物では計画できなくなります。
どちらの項も倉庫・車庫を対象にしますが、判定のものさしが根本的に違います。

同じ建物なのに、条文の項が違うだけで基準がこんなに変わるんですね。
どちらが優先されるんですか。

優先というより、両方とも独立して満たす必要があります。
まずは第2項がどんな建物に効いてくるかを見ていきましょう。

倉庫はなぜ三階以上の部分だけで面積を判定するのか

上層階だけ色が違う倉庫の建物と物差し
倉庫(別表第一(五)項)は、第2項第一号の対象になるかどうかを面積で確認します。
ただし数える範囲が、建物全体ではなく一部分に限られています。
(建築基準法別表第一(は)欄の柱書。抜粋)(い)欄の用途に供する部分((一)項の場合にあつては客席、(二)項及び(四)項の場合にあつては二階、(五)項の場合にあつては三階以上の部分に限り、(略)の床面積の合計
(同表(は)欄(五)項)二百平方メートル以上
数える範囲は三階以上の部分だけです。
一階・二階が倉庫としてどれだけ広くても、この号の判定には算入されません。
三階以上の倉庫部分の床面積を合計して200平方メートルに達すると、その建物は耐火建築物にしなければなりません。
延べ面積が1,500平方メートル未満でも、三階以上に一定の広さの倉庫があれば第2項が先に効いてきます。

延べ面積は1,000平方メートルくらいなので、まだ余裕があると思っていました。
三階だけで見るとどうなんでしょう。

延べ面積とは別に、三階以上の倉庫部分だけを図面から拾い出して合計してください。
そこが200平方メートルを超えていないか確認しましょう。

自動車車庫はなぜ面積を問わず三階以上ならすべて対象になるのか

上層階に車が停まる建物と面積を問わないことを示す物差し
自動車車庫等(別表第一(六)項)は、倉庫よりもさらに厳しい判定になります。
第2項第二号には、面積の数字が一切出てきません。
(建築基準法別表第一(ろ)欄(六)項)三階以上の階
(建築基準法第27条第2項第二号)別表第一(ろ)欄(六)項に掲げる階を同表(い)欄(六)項に掲げる用途に供するもの
この号が問うのは三階以上の階を自動車車庫等の用途に使っているかどうかだけです。
面積の基準が書かれていないので、三階以上の階にほんの一区画でも自動車車庫等の用途があれば該当します。
自動車修理工場も別表第一(六)項の用途なので、同じ扱いを受けます。
第3項第一号にある150平方メートルという床面積の基準は、この第2項第二号にはそもそも存在しません。

三階の隅に来客用の駐車スペースを少しだけ作る予定なんですが、それでも対象になるんですか。
面積はごくわずかなんです。

残念ながら対象になります。
第2項第二号には面積の下限が無いため、三階以上での自動車車庫用途は広さに関係なく耐火建築物が必要です。

実務で見落としやすいのはどこか

低い建物と上層階のある建物を比べて虫眼鏡で確認する様子
落とし穴は、延べ面積の基準だけをチェックして安心してしまうことです。
第2項と第3項は別々に判定しなければなりません。
(建築基準法第27条第3項柱書・第一号。抜粋)次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、耐火建築物又は準耐火建築物(略)としなければならない。別表第一(い)欄(五)項又は(六)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が同表(に)欄の当該各項に該当するもの
第3項は建物全体の床面積が倉庫1,500平方メートル・車庫150平方メートルに達したときの規定で、選べるのは耐火建築物か準耐火建築物です。
この第3項だけを見て「延べ面積はまだ基準未満だから大丈夫」と判断すると、三階以上の部分に着目する第2項を見落とします。
車庫の延べ面積が150平方メートル未満でも、三階の一部を車庫にした時点で第2項第二号は成立します。
第2項が成立すると、第3項側で認められる準耐火建築物という選択肢そのものが使えなくなります。

準耐火建築物でいけると思って予算を組んでいたので、これは大きな見落としでした。
設計の早い段階で気づけてよかったです。

延べ面積の基準と三階以上の基準は、必ず両方を別々に確認してください。
片方だけで判断すると準耐火建築物のつもりが認められないことがあります。

明日からなにを確認すればよいのか

チェックリストを持つクリップボードと建物と図面
計画の初期段階で、次の順番に確認しておくと手戻りを防げます。
延べ面積と階別の面積、両方を図面から拾い出すのがポイントです。
  • 倉庫・自動車車庫等(別表第一(五)項・(六)項)の用途が計画に含まれるか確認する
  • 三階以上の各階に、それぞれの用途がどれだけあるか階別に床面積を拾い出す
  • 倉庫は三階以上の部分の合計が200平方メートル以上か確認する(第2項第一号)
  • 自動車車庫等は三階以上の階に用途が少しでもあるか確認する(第2項第二号、面積は問わない)
  • 第2項に該当しない場合も、建物全体の床面積で第3項の基準(倉庫1,500平方メートル・車庫150平方メートル)を別途確認する
三階以上の階を使う計画がある場合は、延べ面積の計算より先に第2項の該当性を確認しておくと安全です。
第2項に該当すれば、その時点で耐火建築物を前提に構造計画を組み立てることになります。

階別の面積を先に確認する、という順番が大事なんですね。
次の打ち合わせで図面を見直してみます。

はい、延べ面積の基準だけで判断せず、階別の面積も必ず確認してください。
迷ったら設計担当者や確認申請の窓口に早めに相談しましょう。

よくある質問

Q二階までしかない倉庫や車庫は第2項の対象になるのか?
A対象になりません。第2項第一号・第二号はいずれも三階以上の部分や階が条件です。二階までの建物は第2項の対象外ですが、延べ面積が第3項の基準(倉庫1,500平方メートル・車庫150平方メートル)に達していないかは別途確認が必要です。
Q倉庫の200平方メートルは各階ごとに判定するのか?
Aいいえ。条文は「三階以上の部分の床面積の合計」としており、三階・四階・五階といった複数の階にまたがる倉庫部分をすべて合算して200平方メートルと比べます。各階ごとに個別判定するわけではありません。
Q第2項に該当すると準耐火建築物は選べなくなるのか?
Aはい。第2項は「耐火建築物としなければならない」とだけ定めており、第3項のような「又は準耐火建築物」という選択肢を含んでいません。第2項に該当した部分は準耐火建築物では計画できません。
Q立体駐車場のように機械式で三階以上に車を格納する設備も対象か?
A別表第一(い)欄(六)項の「自動車車庫」の用途に供する部分であれば、機械式か自走式かを問わず第2項第二号の対象です。三階以上の階に格納設備がある場合は、個別の建築主事または指定確認検査機関への確認をお勧めします。

まとめ

✔建築基準法第27条には、倉庫・自動車車庫等について第2項と第3項という重さの違う規定が並んでいます。
✔第2項は「耐火建築物としなければならない」と言い切る規定で、準耐火建築物という選択肢がありません。
✔倉庫は三階以上の部分の床面積の合計が200平方メートル以上で第2項に該当します。
✔自動車車庫等は三階以上の階に用途があれば面積を問わず第2項に該当します。
✔建物全体の床面積で判定する第3項(倉庫1,500平方メートル・車庫150平方メートル)とは別の基準として扱う必要があります。
✔延べ面積の基準だけを確認して安心すると、三階以上の該当用途を見落とすおそれがあります。
✔計画の初期段階で、延べ面積と階別の面積の両方を図面から拾い出して確認しておくことが大切です。

延べ面積だけでなく階別の基準まで確認する必要があるとよく分かりました。
ありがとうございました。

こちらこそご相談ありがとうございます。
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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法(昭和25年法律第201号)第27条第2項・第3項・別表第一

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の建物への適用や特定行政庁の運用は異なる場合があります。個別の判断は建築主事または指定確認検査機関にご確認ください。

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