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避難上有効な開口部とはどれくらいの大きさの窓なのか|寸法の基準と満たすべき3つの条件を解説

避難上有効な開口部の寸法と条件を解説する記事のアイキャッチ

建物の壁にあいたただの窓が、消防法令の判定を左右することがあります。
消防法施行規則には避難上有効な開口部という言葉があり、大きさまで数字で決められているためです。
この開口部が無い壁で区切られていると、その区切られた部分だけを取り出して階段の数を数えることになります。
確かめる入口は直径1メートルの円がその窓に入るかどうかでした。

うちのビルは階段が一本しかありませんが、廊下の途中に大きな窓があります。
この窓は何かの役に立つのでしょうか。

大きさによっては役に立ちます。
条文が避難上有効な開口部と呼んでいるものに当たるかどうかを見ます。

ただの窓に基準があるとは思いませんでした。

寸法も下端の高さも省令に書かれています。
測れば自分で当たりを付けられる話です。

この記事の結論
  • 避難上有効な開口部は消防法施行規則第4条の2の2が大きさまで定めた開口部です
  • 大きさは直径1メートル以上の円が内接することか、幅75センチメートル以上かつ高さ1.2メートル以上のどちらかです
  • 大きさのほかに床から下端まで15センチメートル以内であることを含む三つの条件が付きます
  • この開口部が無い壁で区切られた部分はその部分だけで直通階段の数を数えます
  • 効いてくるのは防火対象物点検と自動火災報知設備と消防機関の検査と消防設備士等による点検と避難器具の5つの場面です

避難上有効な開口部といえる窓の条件を四つの段階で示した図解

避難上有効な開口部とはどれくらいの大きさの窓なのか

建物の壁にあいた大きな窓の前に立てかけた丸い輪と それを見る人
言葉の中身は省令に置かれています。
まず大きさの基準から押さえます。
消防法施行規則第4条の2の2第1項(避難上有効な開口部)
令第四条の二の二第二号及び令第二十五条第一項第五号の総務省令で定める避難上有効な開口部は、直径一メートル以上の円が内接することができる開口部又はその幅及び高さがそれぞれ七十五センチメートル以上及び一・二メートル以上の開口部とする。
大きさの基準は二通りあります
一つめは直径1メートル以上の円が内接することができる開口部で、丸い輪を当ててすっぽり入るかどうかという見方になります。
二つめは幅が75センチメートル以上で、かつ高さが1.2メートル以上の開口部です。
どちらか一方を満たせばよく、両方を求めているわけではありません。
自分の建物で確かめるときは、窓枠の内側の幅と高さをメジャーで測って、この二つのどちらかに当てはまるかを見てください。

丸で見るのと幅と高さで見るのとで、答えが違うことはありませんか。

横長の窓では起こり得ます。
条文は又はでつないでいるので、どちらかで満たせば足ります。

この開口部があるかどうかはどこで効いてくるのか

階段が一本だけ通る建物の断面と 点検票を持って立つ人
窓そのものに義務が生じるわけではありません。
効いてくるのは階の数え方のほうです。
消防法施行令第4条の2の2第二号(火災の予防上必要な事項等について点検を要する防火対象物)
前号に掲げるもののほか、別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が避難階以外の階(一階及び二階を除くものとし、総務省令で定める避難上有効な開口部を有しない壁で区画されている部分が存する場合にあつては、その区画された部分とする。以下この号、第二十一条第一項第七号、第三十五条第一項第四号及び第三十六条第二項第三号において「避難階以外の階」という。)に存する防火対象物で、当該避難階以外の階から避難階又は地上に直通する階段(略)が二(当該階段が屋外に設けられ、又は総務省令で定める避難上有効な構造を有する場合にあつては、一)以上設けられていないもの
階をひとまとまりとして見るかどうかが変わります
この開口部が無い壁で区画されている部分があるときは、その区画された部分を一つの階とみなして、そこから避難階または地上へ直通する階段が二つあるかを数えます。
逆にいえば、区画する壁にこの開口部があれば階を割らずに数えられるということです。
この読み方は防火対象物点検の対象を決める第4条の2の2第二号だけでなく、条文が名指ししている自動火災報知設備の令第21条第1項第7号、消防機関の検査の令第35条第1項第4号、消防設備士等に点検をさせなければならない防火対象物の令第36条第2項第3号にもそのまま及びます。
さらに施行規則第4条の2の2第1項は避難器具の令第25条第1項第5号も名指ししているので、効いてくる場面は合わせて5つです。

窓の話だと思っていたら、階段の数え方の話だったのですね。

そのとおりです。
壁で仕切ったフロアほど、区画された部分ごとの判定になりやすいと考えてください。

大きさのほかに満たすべき条件はなにか

床から立ち上がる低い壁とその上の窓 立てかけた折りたたみ定規
寸法を満たしただけでは終わりません。
同じ条の第2項が条件を並べています。
消防法施行規則第4条の2の2第2項(避難上有効な開口部)
前項の開口部は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 床面から開口部の下端までの高さは、十五センチメートル以内であること。
二 開口部は、格子その他の容易に避難することを妨げる構造を有しないものであること。
三 開口部は、開口のため常時良好な状態に維持されているものであること。
またぎ越さずに通れることを求めています
第一号は床から開口部の下端までの高さを15センチメートル以内と定めていて、腰高の窓はこの時点で外れます。
第二号の格子その他の容易に避難することを妨げる構造には、後から取り付けた面格子のようなものが当てはまります。
第三号の常時良好な状態は、寸法や造りではなく日々の使い方を見る条件です。
図面で寸法を確かめたあと、現場でこの三つを一つずつ見るという順番にしておくと取りこぼしがありません。

つまり大きくても床から高い位置にあれば駄目ということですね。

条文の読み方としてはそうなります。
まず下端の高さを測ってから寸法の話に進むほうが早いくらいです。

実務で見落としやすいのはどこか

格子でふさがれた窓となにもさえぎらない窓を並べた二枚の壁
条文には似た言葉がもう一つあります。
開口部と構造は別のものとして書き分けられています。
消防法施行規則第4条の2の3(避難上有効な構造を有する場合)
令第四条の二の二第二号、令第二十一条第一項第七号、令第三十五条第一項第四号及び令第三十六条第二項第三号の総務省令で定める避難上有効な構造を有する場合は、建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百二十三条及び第百二十四条に規定する避難階段(屋内に設けるもので消防庁長官が定める部分を有するものに限る。)又は特別避難階段である場合とする。
開口部の話と階段の構造の話は別物です
避難上有効な構造のほうは階段そのものの造りを指していて、屋内の避難階段または特別避難階段であるときに階段が一つでも足りるという緩和に使われます。
一方の避難上有効な開口部は、階をどこで割って数えるかを決める窓の話です。
もう一つ落としやすいのが第三号で、寸法も造りも合っている窓の前に段ボールや什器を積み上げれば、開口のため常時良好な状態とはいえなくなります。
図面が変わっていなくても現場で条件を外すことがあるので、日常の見回りの項目に窓の前の置き方を入れておいてください。

防犯のために面格子を付けたいという相談が現場から出ています。
これは止めたほうがよいのでしょうか。

その窓を頼りに判定しているなら影響します。
付ける前に所轄消防署へ相談してください。

明日からなにを確かめればよいのか

窓の前に積んだ段ボールを台車で運び出す様子と点検票を持つ人
やることは測ることと片づけることの二つです。
避難器具の側にも同じ言葉が置かれています。
消防法施行令第25条第1項第五号(避難器具に関する基準)
前各号に掲げるもののほか、別表第一に掲げる防火対象物の三階(略)以上の階のうち、当該階(当該階に総務省令で定める避難上有効な開口部を有しない壁で区画されている部分が存する場合にあつては、その区画された部分)から避難階又は地上に直通する階段が二以上設けられていない階で、収容人員が十人以上のもの
手を動かす順番は決まっています
はじめに階ごとの平面図を出して、フロアを分断している壁がどこにあるかを線で引いてください。
次にその壁に窓や開口があるなら、床から下端までの高さと開口の幅と高さを実際に測ります。
そのうえで格子の有無と、窓の前に物が置かれていないかを現場で見ます。
測った値と写真を残しておけば、防火対象物点検でも避難器具の要否の検討でも同じ資料を使えるので、維持台帳に綴じておくことをおすすめします。

まず平面図に壁の線を引くところからやってみます。

そこまで出せば判定はほとんど終わります。
最後の一歩は所轄消防署と突き合わせてください。

よくある質問

Q床から下端まで50センチメートルある腰高の窓でも認められますか?
A消防法施行規則第4条の2の2第2項第一号が床面から開口部の下端までの高さを15センチメートル以内と定めているので、その数字を超える窓はこの条件を満たしません。開口そのものの寸法が足りていても同じです。
Q開かない固定の窓でも避難上有効な開口部になりますか?
A条文は同項第三号で開口のため常時良好な状態に維持されていることを求めています。個々の窓がこれに当たるかどうかは建物ごとの判断になるので、所轄消防署にご確認ください。
Q屋外階段があれば階段が一つでも点検の対象から外れますか?
A消防法施行令第4条の2の2第二号は、階段が屋外に設けられている場合または避難上有効な構造を有する場合にはで足りると括弧書きで定めています。ただし同条第一号の収容人員300人以上に当たれば、階段の数にかかわらず対象です。
Q避難上有効な開口部と避難上有効な構造は同じものですか?
A別のものです。開口部は消防法施行規則第4条の2の2が定める窓の寸法と条件で、構造は同規則第4条の2の3が定める避難階段または特別避難階段のことを指しています。

まとめ

避難上有効な開口部の中身は消防法施行規則第4条の2の2に書かれています
直径1メートルの円が内接するか幅と高さで満たすかの二通りです
幅と高さで見るときは75センチメートル以上と1.2メートル以上です
下端の高さは床から15センチメートル以内でなければなりません
格子その他避難を妨げる構造があってはいけません
窓の前に物を積めば常時良好な状態から外れます
効いてくるのは点検と設備と検査を含む5つの場面です

窓の下端の高さから測ればよいと分かって助かりました。
今週のうちに全フロアを回ります。

測った値は写真と一緒に残しておいてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法第8条の2の2第1項(昭和23年法律第186号)
  • 消防法施行令第4条の2の2(火災の予防上必要な事項等について点検を要する防火対象物)(昭和36年政令第37号)
  • 消防法施行令第21条第1項第七号(自動火災報知設備に関する基準)
  • 消防法施行令第25条第1項第五号(避難器具に関する基準)
  • 消防法施行令第35条第1項第四号(消防機関の検査を受けなければならない防火対象物等)
  • 消防法施行令第36条第2項第三号(消防用設備等又は特殊消防用設備等について点検を要しない防火対象物等)
  • 消防法施行規則第4条の2の2(避難上有効な開口部)(昭和36年自治省令第6号)
  • 消防法施行規則第4条の2の3(避難上有効な構造を有する場合)
  • 建築基準法施行令第123条・第124条(昭和25年政令第338号)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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