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スプリンクラー設備に種別の異なるヘッドを混在させてよいのか|検知流量定数の表と区画を分ける条件を解説

スプリンクラーのヘッドを混ぜたら検知流量定数はどうなるかのアイキャッチ画像

同じ階の配管系にスプリンクラーヘッドの種別を混ぜて使うと、流水検知装置の設定を誤りやすくなります。
令和7年7月の改正で有効散水半径二・八のヘッドが加わり、この問題は今まさに現場で起きています。
標準型・側壁型・小区画型ヘッドや補助散水栓を組み合わせるときは、検知流量定数の表に沿って選ぶ必要があります。
この記事では平成8年の通知が定めた組み合わせごとの検知流量定数と、区画を分ける条件を解説します

うちの建物、増築のたびにスプリンクラーヘッドの種類が違うものを足しています。
このままで大丈夫でしょうか。

種別の異なるヘッドを混ぜるときは、流水検知装置の検知流量定数を組み合わせに合わせて選ぶ必要があります。
まずはどんな組み合わせがあるか確認しましょう。

標準型と側壁型と補助散水栓が混在している階もあるんですが、これも対象になりますか。

はい、その組み合わせも表に載っています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 令和7年の改正で加わった有効散水半径二・八のヘッドを既存のヘッドと組み合わせる場合も、平成8年の通知が示す考え方が使えます
  • 検知流量定数は50・60・50・60併用の三区分に分かれ、組み合わせごとに表で決まります
  • 種別の異なるヘッドは同じ区画に設けないことが原則ですが、感度種別と放水量が同じなら混在できます
  • 水源水量やポンプ吐出量は、最大となる種別の規定で算出します
  • 末端試験弁は、検知流量定数に見合う試験用放水口があれば足ります

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種別の異なるヘッドを混在させる場合の検知流量定数と混在禁止区画と末端試験弁の確認手順を示す図解

なぜ種別の異なるヘッドの混在ルールが今また問われているのか

標準型ヘッドの列に有効散水半径二・八の新しいヘッドが既存のヘッドと並んで加わる様子を示すイラスト
種別の異なるスプリンクラーヘッドを組み合わせて使う場面は、以前から現場にありました。
そこへ令和7年の改正が、新しい種別のヘッドを持ち込みました。
閉鎖型スプリンクラーヘッドの技術上の規格を定める省令及び消防法施行規則の一部を改正する省令等に係る運用について(令和7年7月30日 消防予第331号 消防庁予防課長)|今般の改正により、有効散水半径が2.8mのスプリンクラーヘッドが規定されたが、種別の異なるスプリンクラーヘッドを設ける場合にあっては、「スプリンクラー設備の設置及び維持に関する技術上の基準に係る運用について(通知)」(平成8年6月11日付け消防予第115号)記5「種別の異なるヘッドを用いるスプリンクラー設備について」を参考とされたい。
令和7年の改正は、平成8年の古い通知に新しい意味を持たせた改正です。
改正前の標準型ヘッドは感度種別二種・有効散水半径二・三に相当するものが基準の中心でしたが、改正後は有効散水半径二・六以上を高感度型ヘッドとして扱う枠組みが広がり、二・八のヘッドもこの枠に加わりました。
消防庁はこの改正にあわせて新しい考え方を一から示すのではなく、平成8年の通知をそのまま参考にするよう案内しています。
つまり新しいヘッドを足す現場ほど、30年前の通知を読み直す必要が出てきたということです。

うちも去年、天井の高い部分に高感度型ヘッドを増設しました。
あの通知が関係しているんですね。

はい、有効散水半径が広いヘッドを足すときほど、既存のヘッドとの組み合わせ方が問題になります。
次は対象になる組み合わせを見てみましょう。

どんな組み合わせがこのルールの対象になるのか

標準型ヘッド側壁型ヘッド小区画型ヘッド補助散水栓の4種類が同じ配管系に組み合わさる様子を示すイラスト
このルールが対象にしているのは、同じ階の配管系に放水量の異なるヘッドや補助散水栓が混ざる場合です。
まずは対象になる部材を確認しておきましょう。
消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第13条の2第2項|令第12条第2項第2号イの表の火災を早期に感知し、かつ、広範囲に散水することができるスプリンクラーヘッドとして総務省令で定めるものは、閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち標準型ヘッドで感度種別が一種であり、かつ、有効散水半径が二・六以上であるもの(以下「高感度型ヘッド」という。)とする。
対象になるのは、標準型ヘッド・側壁型ヘッド・小区画型ヘッド・補助散水栓です。
標準型ヘッドは感度種別と有効散水半径の組み合わせで区分され、令和7年の改正で有効散水半径二・八のものも高感度型ヘッドに加わりました。
側壁型ヘッドと小区画型ヘッドは、廊下や宿泊室等の部分に設けられる別区分のヘッドで、補助散水栓は屋内消火栓設備に代わって設けられる散水器具です。
これらのうち性能の異なる組み合わせが同じ階の配管系に混ざると、このルールの対象になります。

うちは1階に標準型と補助散水栓、2階に側壁型と小区画型が入っています。
どちらも対象になりますか。

はい、階ごとに組み合わせが違っても、それぞれの階で同じルールを見ます。
次は具体的な数字の表を確認しましょう。

検知流量定数はどの組み合わせでどう変わるのか

流水検知装置の検知流量定数が組み合わせごとに50と60と50・60併用に分かれることを示すイラスト
検知流量定数は、流水検知装置がどれだけの流量を検知して作動するかを決める数値です。
組み合わせを誤ると、必要な流量で作動しない機器を選んでしまうおそれがあります。
スプリンクラー設備の設置及び維持に関する技術上の基準に係る運用について(平成8年6月11日付け消防予第115号)記5(1)|同一階の配管系に放水量の異なるスプリンクラーヘッド又は補助散水栓が設けられる場合の流水検知装置の検知流量定数については、次の表によること。
同一階の配管系の組み合わせ506050・60併用
標準型ヘッド(小区画型ヘッドを除く。)及び補助散水栓○○
側壁型ヘッド及び補助散水栓○○
標準型ヘッド(小区画型ヘッドを除く。)及び小区画型ヘッド○○
側壁型ヘッド及び小区画型ヘッド○○
小区画型ヘッド及び補助散水栓○
表の見方は単純で、組み合わせの行にある○の列が選べる検知流量定数です。
たとえば標準型ヘッドと補助散水栓の組み合わせなら60か50・60併用のどちらかを選べます。
小区画型ヘッドと補助散水栓の組み合わせだけは50・60併用しか選べません。
表にない組み合わせを勝手に当てはめると、検知流量定数が合わず設備が正しく作動しない原因になります。

小区画型ヘッドと補助散水栓の組み合わせだけ選択肢が少ないんですね。

はい、この組み合わせは50・60併用しか選べません。
設計図書の検知流量定数を見て確認してください。

種別の異なるヘッドを混ぜてはいけない区画とはどこか

同じ区画内に放水量の異なるヘッドを設けてはいけないことと例外条件を示すイラスト
検知流量定数の表で組み合わせが決まっても、それだけでは足りません。
種別の異なるヘッドをどこに設けてよいかにも別のルールがあります。
スプリンクラー設備の設置及び維持に関する技術上の基準に係る運用について(平成8年6月11日付け消防予第115号)記5(3)|種別の異なるスプリンクラーヘッド(放水量、感度の種別等)は、同一階の同一区画(防火区画されている部分、たれ壁で区切られた部分等であって、当該部分における火災発生時において当該部分に設置されているスプリンクラーヘッドが同時に作動すると想定される部分をいう。)内に設けないこと。ただし、感度の種別と放水量が同じスプリンクラーヘッドにあっては、この限りでない。
同|記5(2)|一のスプリンクラー設備に異なる種別のスプリンクラーヘッドが使用される場合の水源水量、ポンプの吐出量等にあっては、その値が最大となる種別のスプリンクラーヘッドに係る規定により算出すること。
種別の異なるヘッドは、同じ区画の中に混ぜて設けないことが原則です。
ここでいう区画とは、防火区画やたれ壁で区切られていて、火災が起きたときに同時に作動すると想定される範囲のことです。
ただし感度種別と放水量が同じヘッドであれば、種別が違っても同じ区画に設けてかまいません。
また水源水量やポンプ吐出量は、複数の種別が混ざっていても一番数値が大きくなる種別の規定で計算します。

感度種別と放水量が同じなら、見た目の種別が違っても混ぜていいんですか。

はい、その場合だけ例外として認められています。
迷ったら設計図書の仕様欄を確認してください。

種別の異なるヘッドがある建物は明日から何を確認すればよいのか

配管系統図と検知流量定数と末端試験弁を確認する手順を示すイラスト
種別の異なるヘッドが入っている建物では、点検のときに確認する順番を決めておくと迷いません。
末端試験弁の扱いについても、通知が簡略化のルールを示しています。
スプリンクラー設備の設置及び維持に関する技術上の基準に係る運用について(平成8年6月11日付け消防予第115号)記5(4)|同一階の配管系に放水量の異なるスプリンクラーヘッド又は補助散水栓が設けられる場合の当該配管の末端に設ける末端試験弁は、当該流水検知装置の検知流量定数に相当する放水性能を有するオリフィス等の試験用放水口を設ければ足りるものであること。
末端試験弁は、専用の弁を別に用意しなくても、検知流量定数に見合う試験用放水口で足ります。
点検のときは、次の順番で確認すると迷いません。
  • 配管系統図で、同じ階にどのヘッドの種別が混ざっているかを洗い出す
  • 流水検知装置の銘板や仕様書で検知流量定数が組み合わせに合っているかを確認する
  • 種別の異なるヘッドが同じ区画に設けられていないか、感度種別と放水量が同じ例外に当たるかを図面で確認する
  • 末端試験弁が検知流量定数に相当する試験用放水口になっているかを確認する
この順番で確認すれば、種別の異なるヘッドが混ざっていても見落としを防げます。
特に増改築で新しい高感度型ヘッドを足したときは、既存の検知流量定数が合っているかを必ず見直してください。
分からない点があれば、設計図書を作成した業者か所轄消防署に確認するのが確実です。

確認する順番が分かりました、さっそく系統図を見てみます。

配管系統図・検知流量定数・区画・末端試験弁の順番で見ていくとよいです。
不明な点があれば教えてください。

よくある質問

Q有効散水半径二・八のヘッドは高感度型ヘッドとして扱われるのですか?
Aはい。消防法施行規則第13条の2第2項は、感度種別が一種で有効散水半径が二・六以上であるものを高感度型ヘッドと定めており、二・八のヘッドもこの区分に含まれます。
Q検知流量定数の表にない組み合わせは、どう扱えばよいのですか?
A平成8年の通知が示す表は標準型・側壁型・小区画型ヘッドと補助散水栓の組み合わせに限られています。表にない組み合わせを設計するときは、所轄消防署や設計者に個別に確認してください。
Q種別の異なるヘッドを同じ区画に設けてよい例外はどんな場合ですか?
A感度の種別と放水量が同じスプリンクラーヘッドであれば、種別(標準型・側壁型・小区画型など)が違っても同じ区画に設けることができます。
Q末端試験弁は種別ごとに別々に用意する必要がありますか?
Aいいえ。末端試験弁は、当該流水検知装置の検知流量定数に相当する放水性能を有するオリフィス等の試験用放水口を設ければ足りるとされています。

まとめ

✔令和7年の改正で有効散水半径二・八のヘッドが加わり、既存のヘッドと組み合わせる場面が増えています
✔対象になるのは標準型ヘッド・側壁型ヘッド・小区画型ヘッド・補助散水栓の組み合わせです
✔検知流量定数は50・60・50・60併用の三区分に分かれ、組み合わせごとに表で決まります
✔種別の異なるヘッドは同一区画に設けないことが原則です
✔感度種別と放水量が同じヘッドであれば、同じ区画に混在させられます
✔水源水量やポンプ吐出量は最大となる種別の規定で算出します
✔末端試験弁は、検知流量定数に見合う試験用放水口があれば足ります

種別の異なるスプリンクラーヘッドの組み合わせ方がよく分かりました。

スプリンクラー設備の混在ルールは見落としやすい分野です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 閉鎖型スプリンクラーヘッドの技術上の規格を定める省令及び消防法施行規則の一部を改正する省令等に係る運用について(令和7年7月30日 消防予第331号 消防庁予防課長)
  • スプリンクラー設備の設置及び維持に関する技術上の基準に係る運用について(平成8年6月11日付け消防予第115号)記5「種別の異なるヘッドを用いるスプリンクラー設備について」
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第13条の2第2項(高感度型ヘッドの定義)

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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