事務所の島ごとに立てるパーティションや、会議室を分ける可動間仕切りは、天井まで届かないことがよくあります。
このとき、間仕切りの向こう側にもスプリンクラーヘッドを増やす必要があるかは、国の消防法施行規則のスプリンクラーヘッドの条文に間仕切りという言葉が出てこないため、自治体の運用で答え方が違います。
この記事では、吹田市消防本部の「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第3節 スプリンクラー設備の問14(間仕切り壁等部分のヘッドの配置)と問4(メッシュ状のカーテン)を読み、大阪市・豊中市・堺市の基準とも比べます。
吹田市の事務所で、天井まで届かないパーティションを立てます。
仕切った向こう側にも、スプリンクラーヘッドを増やすのですか?
吹田市の質疑応答集は、原則として間仕切り等の上部にヘッドを設置するとしています。
ただし、図で示した2つの寸法を満たせば例外になります。
寸法で決まるのですね。
はい、上の空き600mm以上と水平1,000mm以下の2つです。
順に見ていきましょう。
- 消防法施行規則第13条の2第4項第1号は、はり等・ダクト等とヘッドの周りの空間を定めていますが、間仕切りという言葉はありません
- 吹田市の質疑応答集の答14は、原則として間仕切り等の上部にヘッドを設置するとしています
- ただし、上部に600mm以上の空きがあり、ヘッドから間仕切りまでの水平距離が1,000mm以下なら、散水障害はないものとしています
- 答4は、メッシュ状のカーテンも散水障害となり、問14と同様の扱いとし、性能基準を満たすメディカルカーテン等を除いています
- 大阪市と豊中市は間仕切りの上部とヘッドの間に垂直60cm以上の形で、水平距離の条件は書かれていません
▼

目次
吹田市の質疑応答集は間仕切りのそばのヘッドをどう答えているのか

答14 原則として間仕切り等の上部にヘッドを設置すること。
ただし、下記図のとおり、上部に600mm 以上の空きがあり、ヘッド部から間仕切り壁等までの水平距離が1,000mm 以下(散水角度約60 度)であれば、当該間仕切りによる散水障害はないものとする。
| 条件 | 答14の数値 | 図での測り方 |
|---|---|---|
| 上部の空き | 600mm以上 | 天井面から間仕切りの上端まで |
| 水平距離 | 1,000mm以下 | ヘッドの真下の線から間仕切りまで |
| 散水角度 | 約60度 | ヘッドの真下の線と散水の線の間の角度 |
天井まで届かない間仕切りなら、条件しだいでヘッドを増やさなくてよいのですね。
はい、600mmと1,000mmの両方を満たすことが前提です。
片方だけでは、ただし書きに当たりません。
国の基準では間仕切りとヘッドの関係は決まっているのか

イ スプリンクラーヘッドは、当該ヘッドの取付け面から〇・四メートル以上突き出したはり等によつて区画された部分ごとに設けること。ただし、当該はり等の相互間の中心距離が一・八メートル以下である場合にあつては、この限りでない。
ホ スプリンクラーヘッドのデフレクターから下方〇・四五メートル(易燃性の可燃物を収納する部分に設けられるスプリンクラーヘッドにあつては、〇・九メートル)以内で、かつ、水平方向〇・三メートル以内には、何も設けられ、又は置かれていないこと。
| 定め | 国の規則 | 吹田市の答14 |
|---|---|---|
| 何を見るか | はり等(取付け面から下がるもの) | 間仕切り等(床から立つもの) |
| 原則 | 0.4m以上のはり等で区画された部分ごとにヘッド | 間仕切り等の上部にヘッド |
| 例外 | はり等の中心距離が1.8m以下 | 上部の空き600mm以上かつ水平1,000mm以下 |
| 周りの空間 | デフレクターから下方0.45m・水平0.3m以内に何も置かない | ― |
国の規則には、間仕切りの決まりがないのですか。
条文にははり等とダクト等しか出てきません。
間仕切りは、市の答で確かめることになります。
600mmと1,000mmは自分の図面でどう確かめるのか

- 天井伏図で、間仕切りの位置と、いちばん近いヘッドの位置を重ねる
- 間仕切りの上端が天井面から何mm下がっているか(上部の空き)を断面図で測り、600mm以上かを見る
- ヘッドの真下の線から間仕切りまでの水平距離を測り、1,000mm以下かを見る
- 両方を満たせば、その間仕切りによる散水障害はないものとされる(答14 ただし書き)
- どちらかを満たさなければ、原則どおり間仕切り等の上部にヘッドを設置する
答4 散水障害となるため、問14 と同様の扱いとすること。
ただし、メディカルカーテン等で、性能基準を満たしている場合はこの限りでない。
性能試験の図書を着工届出書に添付すること。
メッシュのカーテンも、間仕切りと同じように測るのですね。
はい、答4は問14と同様の扱いと書いています。
性能基準を満たすものだけが例外です。
大阪市・豊中市・堺市では間仕切りの扱いがどう違うのか

a 天井面から0.5m以上離して設けるカーテン
b ヘッドのデフレクターから下方0.5m以上が網目状であり、当該網目部分の単位面積あたりの開口率が70%以上であるカーテン
| 市 | 間仕切りの上部 | 水平距離 | 記号 |
|---|---|---|---|
| 吹田市 | 上部に600mm以上の空き(答14) | ヘッドから1,000mm以下 | 質疑応答集のため記号なし |
| 大阪市 | ヘッドとの間に垂直60cm以上 | 書かれていない | ◆ |
| 豊中市 | ヘッドとの間に垂直60cm以上 | 書かれていない | 記号なし(凡例なし) |
| 堺市 | カーテンは天井面から0.5m以上離す等(簡易間仕切の項は見当たらない) | 書かれていない | ★ |
吹田市だけ、水平の距離にも上限があるのですね。
はい、間仕切りがヘッドから1,000mmより遠いと、吹田市ではただし書きに当たりません。
他市の感覚で図面を描くと食い違います。
間仕切りを後から立てるときは何に気をつけるのか

| 確かめる点 | 答14・答4での見方 |
|---|---|
| 間仕切りの高さ | 天井面から600mm以上下がっているか |
| 間仕切りの位置 | いちばん近いヘッドから水平1,000mm以下か |
| 天井まで届く間仕切り | 上部の空きがないので、原則どおり上部(区切った両側)にヘッドが要ると読める |
| メッシュ状のカーテン | 問14と同様の扱い。性能基準を満たすメディカルカーテン等は例外で、性能試験の図書を着工届出書に添付 |
間仕切りを決めてから、ヘッドが足りないと分かると困りますね。
はい、レイアウト図と天井伏図を重ねるだけで、多くは事前に分かります。
迷ったら寸法を測って相談するのが近道です。
よくある質問
まとめ
間仕切りとヘッドの位置は、高さと水平距離の2つを図面で測るで確かめます!
レイアウトを決める前に確かめれば、ヘッドを後から増やす工事を避けられます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 吹田市消防本部「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第3節 スプリンクラー設備 問4・答4、問14・答14 https://www.city.suita.osaka.jp/anzen/1017917/1017954/1044807.html
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3節 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 第9 1 (2) https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 豊中市消防局「消防用設備等の設置に関する運用基準」第3節 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 第9 1 (2) https://www.city.toyonaka.osaka.jp/kurashi/bosai/toyonakafiredept/todokede/setubiunnyoukijun.html
- 堺市消防局「消防設備・消防用設備等審査基準」第4 スプリンクラー設備 Ⅱ 2 (4)カ(ウ) https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 消防法施行規則 第13条の2第4項第1号(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336M50000008006
※本記事は公表されている法令および吹田市・大阪市・豊中市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたものです。答14の図の測り方の読み方、約60度と寸法の関係の計算、答4と答14のつなぎ方、4市の対比は、資料を読んだうえでの整理であり、各市が明記しているものではありません。「書かれていない」「見当たらない」という説明は、各市の公開資料を確認した範囲でのものです。運用基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認してください。個別の建物の扱いは、所轄の消防署にご確認ください。






