機械室や倉庫、事務所の天井裏をのぞくと、空調のダクトや何本もの配管、ケーブルラックが天井の下を走っています。
これらが天井のスプリンクラーヘッドの散水をさえぎるとき、ダクト等の下にもヘッドを足す必要があるかは、国の消防法施行規則が「幅又は奥行が1.2メートルを超えるもの」と決めています。ただ、どこを幅として測るかは、自治体の運用で答え方が違います。
この記事では、吹田市消防本部の「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第3節 スプリンクラー設備の問20(ダクト、配管、ケーブルラック及び棚等)を読み、大阪市・豊中市・堺市の基準とも比べます。
吹田市の建物で、天井の下に空調のダクトと配管がたくさん通っています。
ダクトの下にもスプリンクラーヘッドを付けるのですか?
国の規則は、幅又は奥行が1.2メートルを超えるダクト等の下面にもヘッドとしています。
吹田市の質疑応答集は、その幅の測り方を答えています。
幅の測り方で、答えが変わるのですね。
はい、長さは見ない・並んだ配管は合わせた幅・開口率80%がポイントです。
順に見ていきましょう。
- 消防法施行規則第13条の2第4項第1号ロは、幅又は奥行が1.2メートルを超えるダクト等の下面にもヘッドを求めています
- 吹田市の質疑応答集の答20は、ダクトと配管を幅のみ(長さは対象外)で見て、断面の長辺が1.2mを超えれば散水障害としています
- 複数の配管が隣接して幅が1.2mを超えれば散水障害、ただし80%以上の開口率があれば散水障害にならないとしています
- 1.2m以下なら下部のヘッドは不要ですが、散水障害とならないようにすることを求めています
- 堺市は1.2m以下でも障害のおそれがあれば下面にヘッド、大阪市・豊中市は不燃のダクト等の上部のヘッドを省ける特例を置いています
▼

目次
吹田市の質疑応答集はダクトや配管の幅をどう測ると答えているのか

答20 ・ダクト及び配管:幅のみ(長さは対象外)で規制し、断面図の長辺部分が1.2mを超えれば散水障害になる。
※断面図の長辺部分が1.2m以下の場合、下部にはヘッドは不要であるが、散水障害とならないようにすること。
・複数の配管が隣接し、幅が1.2m超えれば散水障害になる。ただし80%以上の開口率を有す場合は、散水障害にならない。
・ケーブルラック及び棚:幅又は奥行が1.2mを超えていれば散水障害になる。
| 対象 | 答20で測るところ | 散水障害になる場合 |
|---|---|---|
| ダクト・配管 | 幅のみ(長さは対象外)。断面図の長辺 | 断面の長辺が1.2mを超える |
| 隣接する複数の配管 | 並んだ配管全体の幅 | 幅が1.2mを超える(開口率80%以上なら除く) |
| ケーブルラック・棚 | 幅又は奥行 | どちらかが1.2mを超える |
ダクトが10m続いていても、長さでは決まらないのですね。
はい、答20は幅のみ(長さは対象外)と書いています。
断面図の長い辺が1.2mを超えるかどうかで見ます。
国の基準ではダクト等の下面のヘッドはどう決まっているのか

ロ 給排気用ダクト、棚等(以下「ダクト等」という。)でその幅又は奥行が一・二メートルを超えるものがある場合には、当該ダクト等の下面にもスプリンクラーヘッドを設けること。
| 定め | 国の規則(第13条の2第4項第1号ロ) | 吹田市の答20 |
|---|---|---|
| 対象 | 給排気用ダクト、棚等 | ダクト・配管・ケーブルラック・棚 |
| 測るところ | 幅又は奥行 | ダクト・配管は幅のみ(断面の長辺)、ラック・棚は幅又は奥行 |
| 並んだ配管 | 書かれていない | 隣接して幅1.2m超なら散水障害(開口率80%以上は除く) |
| 1.2m以下 | 書かれていない | 下部のヘッドは不要だが、散水障害とならないようにする |
国の規則は、配管が何本も並んだときのことは書いていないのですか。
条文はダクト等の幅又は奥行だけです。
並んだ配管の数え方は、市の答で確かめることになります。
並んだ配管や1.2m以下のダクトは自分の図面でどう確かめるのか

- 天井伏図で、ヘッドの位置と、天井の下を走るダクト・配管・ケーブルラック・棚を重ねる
- ダクトと単独の配管は、断面図で長辺の寸法を読む(走っている方向の長さは見ない)
- 配管が隣り合って並ぶところは、並んだ全体の幅を測り、1.2mを超えるかを見る
- 全体の幅が1.2mを超えても、配管の間のすき間が80%以上の開口率なら散水障害にならない(答20)
- ケーブルラックと棚は、幅か奥行のどちらかが1.2mを超えるかを見る
- 1.2mを超えて散水障害になるものは、国の規則のとおりその下面にもヘッドを設ける
1.2m以下なら何もしなくてよい、というわけではないのですね。
はい、下にヘッドは不要でも、真下に水が届く配置が条件です。
ダクトのすぐ横にヘッドが来ると、陰になりやすいので注意です。
大阪市・豊中市・堺市ではダクト等の扱いがどう違うのか

- 特例基準10は、対象を「規則第13条の2第4項第1号ロの規定により、その下面にヘッドを設けなければならないとされるダクト等」としている
- 国の規則の第1号ロで、幅又は奥行が1.2メートルを超えるダクト等かを判断する
- 当たるダクト等のうち、取り付ける床又は壁が不燃材料で、ダクト等も不燃材料(ダクトは被覆材料を含む)で上部に可燃物が置かれていないものなら、その上部にヘッドを設けないことができる
| 市 | 1.2m以下のダクト等 | 並んだ配管・開口率 | ほかの定め |
|---|---|---|---|
| 吹田市 | 下部のヘッドは不要。散水障害とならないようにする(答20) | 隣接して幅1.2m超なら障害。開口率80%以上なら除く | ― |
| 堺市 | 感熱・散水の障害のおそれがあれば下面にもヘッド(★) | 書かれていない(飾り天井は開放70%以上・0.6m以上) | 防護板・感熱開放継手(★) |
| 大阪市 | 書かれていない | 書かれていない | 感熱開放継手(◆)・上部のヘッドを省く特例10 |
| 豊中市 | 書かれていない | 書かれていない | 上部のヘッドを省く特例10(大阪市と同文) |
同じ大阪府内でも、細いダクトの扱いが逆の書き方なのですね。
はい、吹田市は真下に水が届けばよい、堺市は障害のおそれがあればヘッドを足すという書き方です。
他市の感覚で図面を描くと食い違います。
設備の更新や棚を入れるときは何に気をつけるのか

| 確かめる点 | 答20での見方 |
|---|---|
| 新しいダクトの断面 | 長辺が1.2mを超えるか(長さは見ない) |
| 配管の増設 | 隣の配管と合わせた幅が1.2mを超えるか。超えるなら開口率80%以上か |
| ケーブルラックの増設 | 幅又は奥行が1.2mを超えるか |
| 棚の入れ替え | 幅又は奥行が1.2mを超えるか |
| 1.2m以下のもの | 両側のヘッドの散水が真下まで届くか |
配管を1本足すだけでも、ヘッドの話になるのですね。
はい、天井伏図に新しいダクトや配管を書き込んで測るだけで、多くは事前に分かります。
迷ったら寸法を持って相談するのが近道です。
よくある質問
まとめ
ダクトや配管は、断面の長辺と並んだ幅を図面で測るで確かめます!
設備を決める前に確かめれば、ヘッドを後から増やす工事を避けられます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 吹田市消防本部「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第3節 スプリンクラー設備 問20・答20 https://www.city.suita.osaka.jp/anzen/1017917/1017954/1044807.html
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3節 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 第9 1 (8)、第14 特例基準 10 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 豊中市消防局「消防用設備等の設置に関する運用基準」閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 第14 特例基準 10 https://www.city.toyonaka.osaka.jp/kurashi/bosai/toyonakafiredept/todokede/setubiunnyoukijun.html
- 堺市消防局「消防設備・消防用設備等審査基準」第4 スプリンクラー設備 Ⅱ 2 (4)ク(ア)〜(エ) https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 消防法施行規則 第13条の2第4項第1号ロ(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336M50000008006
※本記事は公表されている法令および吹田市・大阪市・豊中市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたものです。答20の図の読み方(開口率の意味、細いダクトの真下への散水)、国の規則と答20の対比、特例10のたどり方、4市の対比は、資料を読んだうえでの整理であり、各市が明記しているものではありません。「書かれていない」「見当たらない」という説明は、各市の公開資料を確認した範囲でのものです。運用基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認してください。個別の建物の扱いは、所轄の消防署にご確認ください。






