居酒屋や和食店の収容人員は、客席の形によって数え方が変わります。
国の消防法施行規則は、固定式のいす席は席の数か長いすの正面幅で、それ以外の客席は床面積を3㎡で割って数えると決めています。
ところが掘りごたつ席や移動式のいすがどちらに入るのかは、規則には書かれていません。
鈴鹿市の審査基準は掘りごたつ席を長いすと同じく幅で割ると書き、他の本部とは書き方が分かれています。
鈴鹿市で掘りごたつ席の多い居酒屋を開く予定で、収容人員を計算しています。
座布団の数で数えるのか、床面積で割るのかが分かりません。
鈴鹿市の審査基準は、掘りごたつ席を長いす式のいす席と同じように扱うと書いています。
国の規則から順にたどってみましょう。
テーブル席のいすは動かせるのですが、これも席の数で数えるのですか。
鈴鹿市は移動式のいすの客席を床面積で割る「その他の部分」として扱います。
津市だけは書き方が違うので、あとで比べます。
- 消防法施行規則第1条の3の表は、(3)項の客席を固定式のいす席と「その他の部分」(床面積÷3㎡)に分けて数える
- 鈴鹿市は移動式のいす席がある客席を「その他の部分」とし、床面積を3㎡で割る
- 鈴鹿市は掘りごたつ席を長いす式のいす席と同じに扱い、座布団の部分も含めた正面幅を0.5mで割る
- 埼玉県央広域・堺市・津市は掘りごたつを固定式のいす席に含めると書き、四日市市の基準には掘りごたつの記載がない
- 津市は飲食店の客席で、面積で割った人数と席数の大きい方をとると書いている
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目次
飲食店の客席は国の規則で何人と数えるのか

飲食店は消防法施行令別表第一の(3)項で、遊技場以外の「その他のもの」の欄が当てはまります。
令別表第一(二)項及び(三)項に掲げる防火対象物 その他のもの
次に掲げる数を合算して算定する。
一 従業者の数
二 客席の部分ごとに次のイ及びロによつて算定した数の合計数
イ 固定式のいす席を設ける部分については、当該部分にあるいす席の数に対応する数。この場合において、長いす式のいす席にあつては、当該いす席の正面幅を〇・五メートルで除して得た数(一未満のはしたの数は切り捨てるものとする。)とする。
ロ その他の部分については、当該部分の床面積を三平方メートルで除して得た数
固定式のいす席は席の数で、長いすなら正面幅を0.5mで割った数(端数は切り捨て)で数えます。
それ以外の客席はその他の部分として、床面積を3㎡で割ります。
この数に従業者の数を足したものが収容人員で、(3)項では30人以上で防火管理者の選任(消防法施行令第1条の2第3項)、50人以上(地階・無窓階は20人以上)で非常ベル等(同令第24条第2項)の要否に関わります。
ただ、掘りごたつや動かせるいすがどちらに入るのかは表に書かれていないので、各消防本部の審査基準で確かめることになります。
席の形しだいで、30人を超えるかどうかが変わることもあるのですね。
はい、だから客席の種類を図面で分けておくことが大切です。
次は鈴鹿市の書き方を見ていきましょう。
移動式のいすが並ぶテーブル席は何人と数えるのか

鈴鹿市の基準は▲を行政指導、●を法令に指導を加えたものとしていて、この項目は無印でした。
カ ⑶項に掲げる防火対象物において、移動式のいす席がある客席部分は、省令第1条の3の表の2号ロに規定する「その他の部分」として取り扱い、当該部分の床面積を3㎡で除して得た数(1未満のはしたの数は切り捨てる。)とする。この場合において、当該部分が3㎡に満たないときは、収容人員は当該部分につき1人として算定する。
たとえば移動式のいすを10脚置いたテーブル席の部分が20㎡なら、20÷3=6.66…の端数を切り捨てて6人です。
3㎡に満たない小さな客席の部分は、切り捨てて0人にせず1人と数えると書かれています。
国の解釈でも、固定されていない移動式のいすは固定式のいすに準じて数えることはできないとされています(昭和48年 消防予第140号・消防安第42号の遊技場についての回答)。
明日やることは、図面のテーブル席に「移動式」と書き込み、その部分の床面積を測っておくことです。
席の数ではなく、その部分の広さで決まるのですね。
そうです、いすを増やしても床面積が同じなら人数は変わりません。
次は掘りごたつ席です。
掘りごたつ席は何人と数えるのか

こちらも無印で、規則の表の「長いす式のいす席」に当てはめる読み方です。
キ ⑶項に掲げる防火対象物において、床座形式のうち、掘りごたつ席の部分は、省令第1条の3の表の2号イに規定する「長いす式のいす席」と同様に取り扱い、当該客席の部分(畳・板の間を問わず床に座る形式の掘りごたつ席であって、長いす席のほか、座布団等により客席として認識されるすべての部分)の正面幅を0.5mで除して得た数(1未満のはしたの数は切り捨てる。)とする。
たどり方は次の3段です。
- キ:掘りごたつ席は、規則の表の2号イの「長いす式のいす席」と同じに扱う
- 規則の表 2号イ:長いす式のいす席は、正面幅を0.5mで割り、1未満は切り捨てる
- 鈴鹿市 2⑵:長いすの正面幅は1つ1つの長いすごとに割って切り捨て、合計してから割らない
座布団が3枚しか置かれていなくても、座布団等で客席と分かる部分の全部の幅で割るので、座布団の枚数では決まりません。
明日やることは、掘りごたつごとに座る側の幅を図面に書き入れ、1卓ずつ割って切り捨てることです。
つまり、座布団の数ではなく座れる幅で決まるのですね。
そうです、1卓ずつ割ってから足すのを忘れないでください。
次は座敷と長いすです。
座敷や長いすはどう数えるのか

長いすの割り方も、本部ごとに同じ考え方が並んでいます。
2⑷ 「長いす式のいす席」の正面幅を0.4m又は0.5mで除す場合は、1つ1つの長いすについて除算し、そのつど端数の切り捨てを行うものとし、正面幅の合計について一括してその除算を行うものではないこと。
3⑵カ 「その他の部分」の具体例としては、次に掲げる部分が該当するものであること。
(略)(オ) 待合、料理店、飲食店等の座敷の部分(昭和37年7月7日自消丙予発第70号)
鈴鹿市は「待合、料理店、飲食店等の和式の部分」、堺市は「料理店・料亭等の和室」を「その他の部分」の例に挙げています。
18㎡の座敷なら18÷3=6人です。
長いすは、県央広域の図にある飲食店の例のとおり、1.2mの長いすは1脚2人、3.0mなら6人と1脚ずつ割ってから足します。
鈴鹿市・津市・四日市市・堺市も、合計してから割らず1つずつ切り捨てると書いています。
座敷を掘りごたつに改装したら、数え方が変わるのですか。
鈴鹿市なら床面積から座る幅へ数え方が変わります。
改装の図面で人数を計算し直しましょう。
ほかの市では飲食店の客席をどう数えるのか

いずれの項目も、記号や下線のない書き方でした。
| 消防本部 | 移動式のいす席 | 掘りごたつ | 座敷・和室 | その他 |
|---|---|---|---|---|
| 鈴鹿市 | 「その他の部分」として床面積÷3㎡(3㎡未満は1人) | 長いす式と同じに扱い、座布団等の部分も含めた正面幅÷0.5m | 和式の部分は「その他の部分」 | 長いすは1脚ずつ割る |
| 埼玉県央広域 | (3)項の項目には記載なし((1)項では移動いすの客席を「その他の部分」としている) | 「固定式のいす席」に含める(ソファーと並べて記載) | 座敷の部分は「その他の部分」 | 長いすは1脚ずつ割る |
| 堺市 | (3)項の項目には記載なし((1)項では非固定式のいす席を「その他の部分」としている) | 「固定式のいす席」として扱う | 料理店・料亭等の和室は「その他の部分」 | 長いすは1脚ずつ割る |
| 津市 | 記載なし | 「固定式のいす席」に含む | 記載なし | 飲食店の客席等は面積で割った人数と席数で数えた人数の大きい方 |
| 四日市市 | 非固定式のいす席は「その他の部分」 | 記載なし | 寄席の和風さじき等は「その他の部分」 | (3)項ロは(2)項イの方法による |
県央広域・堺市・津市は掘りごたつを固定式のいす席に入れると書きますが、座布団の数で数えるのか幅で割るのかまでは書いていません。
津市は「飲食店の客席等」について、面積で割った人数と席数で数えた人数の大きい方をとると書いています。
前の例の20㎡・移動式のいす10脚なら、面積では6人でも席数は10人なので、津市の書き方では10人になります。
大阪市と東大阪市は公開されている運用基準に収容人員の章がないため、表に入れていません。
同じ店でも、市によって収容人員が違ってくるのですね。
はい、まず建物のある市の審査基準を開いて確かめましょう。
迷う席は図面を持って所轄の消防署に相談すると確実です。
よくある質問
まとめ
まずは図面に掘りごたつの座る幅を書き込んでみます!
移動式のいすの客席も床面積を測っておきましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則 第1条の3、消防法施行令 第1条の2・第24条(e-Gov法令検索)
- 鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準 第2章 第2 収容人員の算定(鈴鹿市消防本部)
- 埼玉県央広域消防本部消防用設備等に関する審査基準 第2章 第2 収容人員の算定(埼玉県央広域消防本部)
- 堺市消防同意・消防用設備等審査基準 第7 収容人員の算定(堺市消防局)
- 津市予防事務審査検査基準 1-2 収容人員の算定(津市消防本部)
- 四日市市消防同意事務審査基準 第1 収容人員算定の共通事項・第2 用途の判定及び収容人員の算定(四日市市消防本部)
- 昭和48年10月23日 消防予第140号・消防安第42号(消防庁予防課長・安全救急課長回答)
※本記事は各消防本部が公表している審査基準と消防法施行規則に基づく一般的な解説です。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防本部で確認してください。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





