収容人員は、どう数えるのか。
ナイトクラブの従業者、撞球台、ソファ、いつも同じ場所にあるいす、移動式のいす。
消防の実務書には、この数え方の言葉を読み分けた昭和48年の質疑応答が並んでいます。
この記事では、その中から5問を取り上げ、現行の条文に照らして読みます。従業者の数と、撞球台と、固定式のいすを、順に確かめます。
収容人員って、定員のことじゃないんですか。
いいえ。
規則の表で数え方が決まっています。
表の言葉を、どう読むかが問題なんですね。
一つずつ確かめます。
現行の条文に当たれるところは、当たって読みます。
- 「従業者の数」は、台帳の人数ではなく、その防火対象物の業務に従事している者の実員の数によると答えています
- 撞球台で遊技することのできる者の数は、1台につき2人として算定すると答えています
- ソファ式などの移動しにくいいすでも、通常一定の場所で固定的に使うものは固定式のいすとみなしてよいと答えています
- 同じ場所に置いていても、容易に移動できるいすは固定式のいすとはみなされないと答えています
- 遊技場で、折りたたみ以外の移動式のいすを、固定式のいすに準じて算定することはできないと答えています
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目次
収容人員は、どの条文で決まっているのか
収容人員は、防火対象物に出入し、勤務し、または居住する者の数です。消防法施行令第1条の2第3項が、防火管理者を定める防火対象物の基準として、この数を使っています。用途ごとに、10人以上、30人以上、50人以上と分かれています。数え方そのものは、同条第4項が総務省令に任せています。その総務省令が、消防法施行規則第1条の3です。第1項の表が、用途ごとに、従業者の数、固定式のいす席の数、床面積を何平方メートルで除すか、などを並べています。
表には、「従業者の数」や「固定式のいす席」といった言葉が出てきます。その言葉を実際の建物にどう当てはめるかが、以下の5問です。
従業者の数は、台帳の人数と実際の人数のどちらで数えるのか

小さな店では、人事台帳に載っている人数と、実際に働いている人数が食い違うことがあります。質疑応答は、そのときどちらで数えるかを聞いています。
(昭和48年10月23日消防予第140号・消防安第42号 消防庁予防課長・安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
ナイトクラブは、消防法施行令別表第一の(2)項イです。収容人員が30人以上になると、防火管理者を定める義務がかかります。
従業者の数は、書類の上の名簿ではなく、現に働いている人の数で見る、という読み方です。人数の数え方は、書類の整え方で変わるものではありません。
台帳の人数を少なく書いても、意味がないんですね。
はい。
実際に働く人を数えます。
撞球台は、1台につき何人と数えるのか

撞球台のように、一つの台に何人が付くのかが分かりにくい機械器具は、質疑応答で数が示されています。
(昭和48年10月23日消防予第140号・消防安第42号 消防庁予防課長・安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
現行の消防法施行規則第1条の3第1項の表は、遊技場について、従業者の数、遊技のための機械器具を使用して遊技を行うことができる者の数、観覧・飲食・休憩の用に供する固定式のいす席の数、の三つを合算すると定めています。
遊技場は、消防法施行令別表第一の(2)項ロです。この回答は、撞球台を「機械器具」と見て、台ごとに何人が同時に遊べるかを数える読み方を示したものです。他の機械器具は、その台で実際に何人が遊技できるかで考えます。
台の数に、2をかければいいんですね。
はい。
従業者と、いすの数も足します。
ソファのように動かしにくいいすは、固定式のいすと数えるのか

固定されていないが動かしにくいソファのようなものが、固定式のいすにあたるのかが、質疑応答に出てきます。
(昭和48年10月23日消防予第140号・消防安第42号 消防庁予防課長・安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
現行の消防法施行規則第1条の3第1項の表は、遊技場について、観覧、飲食または休憩の用に供する固定式のいす席を数える、と定めています。長いす式のいす席は、正面の幅を0.5メートルで除して数えます。
回答の考え方は、床や壁に留めてあるかどうかではなく、通常一定の場所で固定的に使われるかという使い方を見る、というものです。
留めてあるかどうかだけじゃ、ないんですね。
はい。
使い方の実態を見ます。
同じ場所にいつも置いてあれば、どのいすも固定式になるのか

質疑応答には、その読み方の限界を確かめた問答があります。
(昭和48年10月23日消防予第140号・消防安第42号 消防庁予防課長・安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
固定式とみなせるのは、常時同一場所に置かれ、かつ容易に移動できないものです。二つの条件が両方そろったときに限られます。
この解釈は、省令に書いてある言葉の意味を、使い方の実態から読み取ったものです。軽いいすを毎日同じ位置に並べていても、それだけでは固定式にはなりません。
置き場所が同じでも、動かせれば固定式じゃないんですね。
はい。
二つの条件が、そろったときだけです。
折りたたみ以外の移動式のいすは、固定式に準じて数えてよいのか

固定式でないいすは、どう数えるのかが、質疑応答に出てきます。
(昭和48年10月23日消防予第140号・消防安第42号 消防庁予防課長・安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
現行の消防法施行規則第1条の3第1項の表で、遊技場のいすの項目は固定式のいす席に限られています。この回答は、その言葉を文字どおりに読むものです。
前の問で見たとおり、固定式とみなせるのは、常時同一場所にあり、かつ容易に移動できないものです。移動式のいすを、便宜的に固定式と同じ数え方にはできません。
いすの言葉を、きっちり読むんですね。
はい。
表の言葉のとおりに読みます。
よくある質問
まとめ
人数の数え方にも、細かい決まりがあるんですね。
うちも、数える前に確認します!
数える前に確認するのが安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令第1条の2
- 消防法施行規則第1条の3
- 消防法施行令別表第一
- 昭和48年10月23日消防庁予防課長・安全救急課長の回答(消防予第140号・消防安第42号)
※本記事は公表されている法令および通知に基づく一般的な解説です。掲載した回答は発出当時のもので、条番号や表の書き方、単位等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





