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危険物施設の定期点検は常時監視の装置があると期限をなぜ別に定められるのか|消防危第223号の運用通知を解説

危険物施設の点検は常時監視の装置で期限が変わるのかを解説する記事のアイキャッチ画像。夕暮れのタンク施設の手前で監視カメラが柱の上に立つ写真

危険物施設の定期点検は、原則として年1回以上行う決まりです。
監視カメラなどの装置を付けていれば、その点検の期限は見直してもらえるのか、気になる担当者もいるでしょう。
消防庁は令和6年7月31日、常時監視の装置がある場合の運用の留意事項を、都道府県や消防長へ通知しました。
この記事では、消防危第223号が示す考え方と、施設側の備えを整理します。

うちの製造所は監視カメラを付けていますが、定期点検の期限は変わるのでしょうか。

規則には、常時監視する装置がある場合の特例があります。
まずは、通知が何を示しているのかを確認しましょう。

装置を付ければ、それだけで点検の期限を延ばしてもらえるのでしょうか。

期限を決めるのは市町村長等で、施設側の自己判断ではありません。
その中身を、順に見ていきます。

この記事の結論
  • 令和6年7月31日の通知(消防危第223号)は、規則第62条の4と第62条の5の4で市町村長等が点検期限を別に定められる場合の運用を示したものです。
  • 常時監視の装置の例として、通知は監視カメラや各種計測システム等を挙げています。
  • 装置の設置以外でも、点検と同等以上の効果を有する措置があれば、同等に取り扱って差し支えないとされています。
  • 措置が一部の点検項目だけに係り保安上支障がないと認められるときは、その項目だけ期限を別に定められます。
  • 期限は措置の内容に応じて市町村長等が判断し、手続は各市町村の実情によるため、まず所轄の消防本部に相談します。

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危険物施設で監視装置を設置し、市町村長等が判断して点検の期限を別に定める流れを示した図解

定期点検の期限に関する運用はなぜ通知で示されたのか

重ねた規則の冊子の上に通知の紙が置かれ、右側に柵で囲まれた丸い貯蔵タンクが立っているイラスト
この通知は、規則の改正に伴って出されたものです。
まず、通知がどのような場合の運用を示しているのかを原文で確認します。
(危険物の規制に関する規則の一部改正に伴う製造所等の定期点検の運用について 令和6年7月31日消防危第223号 消防庁危険物保安室長)危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(令和6年総務省令第78号)による改正後の危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号。以下「規則」という。)第62条の4及び規則第62条の5の4の規定により市町村長等が点検を行うべき期限を別に定めることができる場合の運用について、下記のとおり留意事項をまとめましたので通知します。(略)なお、本通知は、消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条の規定に基づく助言であることを申し添えます。
消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条 消防庁長官は、必要に応じ、消防に関する事項について都道府県又は市町村に対して助言を与え、勧告し、又は指導を行うことができる。
通知は、規則の改正に伴い、期限を別に定められる場合の運用を示したものです。
通知は、令和6年総務省令第78号による改正後の規則第62条の4と第62条の5の4について、市町村長等が期限を別に定められる場合の運用の留意事項をまとめたと書いています。
発出は令和6年7月31日で、消防庁危険物保安室長から各都道府県消防防災主管部長と、東京消防庁・各指定都市消防長に宛てた消防危第223号です。
通知は、消防組織法第37条の規定に基づく助言であると、本文に書かれています。
この通知には、特定の事故を受けて出したという記載はありません。

点検の期限を、市町村長等が別に定められる場合があるのですね。

はい、規則に定めがあり、通知はその運用を示しています。
次は、対象になる点検を確認しましょう。

通知が対象にしているのはどの点検か

丸い貯蔵タンクと白いポンプ小屋が左に並び、右に赤と白のタンクローリーが停まっているイラスト
通知が扱うのは、規則の2つの条文です。
どちらも、点検の期限を別に定められる場合を書いています。
危険物の規制に関する規則第六十二条の四第一項 法第十四条の三の二の規定による定期点検は、一年(告示で定める構造又は設備にあつては告示で定める期間)に一回以上行わなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合には、市町村長等が点検を行うべき期限を別に定めることができる。(略)二 法第十条第四項の技術上の基準に適合していることを常時監視するための装置の設置その他の必要な措置が講じられており、かつ、市町村長等が保安上支障がないと認めるとき。
危険物の規制に関する規則第六十二条の五の四 (略)ただし、次の各号のいずれかに該当する場合には、市町村長等が点検を行うべき期限を別に定めることができる。(略)二 当該移動タンク貯蔵所の漏れを常時監視するための装置の設置その他の必要な措置が講じられており、かつ、市町村長等が保安上支障がないと認めるとき。
通知が扱うのは、規則第62条の4と第62条の5の4の2つの規定です。
第62条の4は、法第14条の3の2の定期点検を、年1回以上行うことを定めています。
第62条の5の4は、移動タンク貯蔵所の漏れの点検を、完成検査済証の交付日などから5年を経過する日の属する月の末日までの間に1回以上行うことを定めています。
どちらの条文にも、常時監視する装置の設置その他の必要な措置が講じられ、市町村長等が保安上支障がないと認めるとき、期限を別に定められるという規定があります。
通知は、この規定を使う場合の運用上の留意事項をまとめたものです。

施設の点検と、移動タンク貯蔵所の漏れの点検の2つが対象なのですね。

はい、どちらも市町村長等が認めたときの特例です。
次は、常時監視の装置が何を指すのかを確認しましょう。

常時監視するための装置とは何を想定しているのか

高いポールの上の監視カメラが灰色のタンクに向き、右に丸いメーターのある計測箱とタンクローリーが並ぶイラスト
規則の条文には、装置の具体例が書かれていません。
通知は、想定している装置の例を示しています。
(危険物の規制に関する規則の一部改正に伴う製造所等の定期点検の運用について 令和6年7月31日消防危第223号 消防庁危険物保安室長)1 定期点検に関する事項(1)規則第62条の4第1項第2号の「法第10条第4項の技術上の基準に適合していることを常時監視するための装置の設置その他の必要な措置」(略)及び規則第62条の5の4第2号の「当該移動タンク貯蔵所の漏れを常時監視するための装置の設置その他の必要な措置」(略)は、例えば、監視カメラ、各種計測システム等の装置を設置することにより、それぞれ消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第10条第4項の技術上の基準に適合していること及び移動タンク貯蔵所の漏れを常時監視することが可能な場合を想定したものであること。(2)(1)に例示した装置の設置以外の措置として、(略)同等以上の効果を有する措置が講じられている場合は、常時監視するための装置の設置の場合と同等に取り扱って差し支えないこと。
危険物の規制に関する規則第六十二条の四第二項 法第十四条の三の二の規定による定期点検は、法第十条第四項の技術上の基準に適合しているかどうかについて行う。
通知は、常時監視する装置の例として、監視カメラや各種計測システム等を挙げています。
通知は、これらの装置で、法第10条第4項の技術上の基準への適合や、移動タンク貯蔵所の漏れを常時監視できる場合を想定していると書いています。
装置の設置以外の措置でも、点検と同等以上の効果があれば、装置を設置した場合と同等に扱って差し支えないとされています。
なお、規則第62条の4第2項のとおり、定期点検は、法第10条第4項の技術上の基準に適合しているかを確かめるものです。
通知が挙げているのはあくまで例示で、個々の措置が保安上支障がないかどうかは、市町村長等が認めるかどうかにかかっています。

監視カメラや計測システムが、例に挙がっているのですね。

はい、装置の設置以外でも、同等以上の効果があれば同じ扱いです。
次は、落とし穴になりやすい点を確認しましょう。

装置を付ければ点検の期限はすべて延びるのか

マンホールのふたが開いた灰色のタンクと大きなレンチが左にあり、右に低いポールの監視カメラが立つイラスト
装置を付ければ、すべての点検が一度に不要になるわけではありません。
通知は、一部の点検項目だけに係る場合の扱いを示しています。
(危険物の規制に関する規則の一部改正に伴う製造所等の定期点検の運用について 令和6年7月31日消防危第223号 消防庁危険物保安室長)(3)規則第62条の4第1項第2号の措置が技術基準の点検における一部の点検項目のみに係るもので、保安上支障がないと認められる場合にあっては、当該点検項目について、点検期限を別に定めることとして差し支えないこと。この場合、当該措置により点検を別に定めた項目以外の点検項目については、規則第62条の4第1項本文の点検期限により定期点検を行うこと。(4)規則第62条の4第1項第2号又は規則第62条の5の4第2号に該当する場合として、市町村長等が点検期限を別に定める場合の当該点検期限については、それぞれ規則第62条の4第1項第2号の措置又は規則第62条の5の4第2号の措置の内容に応じて、市町村長等の判断により、保安上支障がない期限を定めるものであること。
装置を付けても、すべての点検の期限が自動的に延びるわけではありません。
措置が点検項目の一部だけに係り、保安上支障がないと認められるときは、期限を別に定められるのはその点検項目に限られます。
それ以外の項目は、規則第62条の4第1項本文の期限、つまり原則年1回で定期点検を行うとされています。
期限の長さも一律ではなく、措置の内容に応じて市町村長等が保安上支障がない期限を判断して定めるものと書かれています。
装置がどの点検項目に係るのかによって、期限が変わる範囲も変わります。

うちの装置は、点検のうち一部にしか関係しないかもしれません。

その場合は、その項目だけが対象になり、残りは通常の期限で点検します。
最後に、手続と確認事項を整理しましょう。

明日から何を確認すればよいのか

赤いシャッターの消防署の建物が左にあり、右に空欄のチェック欄がある白紙のクリップボードと折りたたんだ平面図とファイルの束が並ぶイラスト
通知は、期限を別に定める手続について、市町村の実情に任せています。
あわせて、判断に第三者機関の評価を使えることも示しています。
(危険物の規制に関する規則の一部改正に伴う製造所等の定期点検の運用について 令和6年7月31日消防危第223号 消防庁危険物保安室長)2 手続に関する事項(1)規則第62条の4第1項第2号及び規則第62条の5の4第2号の「市町村長等が保安上支障がないと認めるとき」に係る手続の事務処理については、各市町村等の実情に応じて取り扱われたいこと。例えば、危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第23条に係る手続等の事務処理方法を定めている場合は、当該方法の例によることが考えられること。(2)(略)に係る適否や、1(4)の「保安上支障がない期限」の判断にあたっては、必要に応じて第三者機関の評価を活用することとして差し支えないこと。3 その他 当面の間、規則第62条の4第1項第2号又は規則第62条の5の4第2号の規定により、点検期限を別に定めた場合にあっては、危険物保安室へ情報提供されたいこと。
手続は市町村の実情に応じて決まるので、まず所轄の消防本部に確認します。
通知は、手続の事務処理を各市町村等の実情に応じて取り扱うとしており、申請様式などは示されていません。
例として、政令第23条に係る手続の事務処理方法を定めている市町村は、その方法の例によることが考えられるとされています。
適否や期限の判断では、必要に応じて第三者機関の評価を活用してよいとされています。
そのため施設側は、設置済みの装置と点検記録を整理して、所轄の消防本部へ相談する準備をしておくと安心です。この整理は通知が求めるものではなく、通知の内容から考えた実務上の備えです。

私は何から確かめればよいのでしょうか。

まずは、今ある装置がどの点検項目に関係するかを整理しましょう。
点検記録もあわせて見ておきます。

よくある質問

Qこの通知は、施設の所有者や管理者に義務を課していますか?
A通知は、消防組織法第37条に基づく助言として発出されたと書かれています。施設側に新たな義務を課す記載はありません。
Q監視カメラを付ければ、定期点検は不要になりますか?
A通知が示しているのは、市町村長等が保安上支障がないと認めるときに、点検を行うべき期限を別に定められる場合の運用です。点検そのものが不要になるとは書かれていません。
Q点検項目の一部だけ、期限を別に定めることはできますか?
A通知は、措置が一部の点検項目のみに係り、保安上支障がないと認められる場合は、その項目について別に定めて差し支えないとしています。他の項目は本文の期限で点検します。
Q別に定める期限は、何年と決まっていますか?
A通知は、措置の内容に応じて市町村長等の判断で、保安上支障がない期限を定めるとしています。一律の年数は書かれていません。

まとめ

✔消防危第223号は、規則第62条の4と第62条の5の4で期限を別に定める場合の運用を示した通知
✔通知は消防組織法第37条に基づく助言で、施設側に義務を課す記載はない
✔装置の例は監視カメラや各種計測システム等で、同等以上の効果がある措置も同様に扱える
✔措置が一部の点検項目だけに係るなら、その項目だけ期限を別に定められ、他は通常の期限で点検する
✔期限は措置の内容に応じて市町村長等が保安上支障がない期限を判断する
✔適否や期限の判断では、必要に応じて第三者機関の評価を活用できる
✔まずは所轄の消防本部に手続を確認し、装置と点検項目の対応を整理する

装置と点検項目の整理から始めます!

点検期限や監視装置の整理は、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する規則の一部改正に伴う製造所等の定期点検の運用について(令和6年7月31日 消防危第223号 消防庁危険物保安室長)
  • 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第62条の4・第62条の5の4
  • 消防法(昭和23年法律第186号)第10条第4項・第14条の3の2
  • 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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