点検に来てくれる資格者の免状には、更新のようなしくみがあります。
消防設備点検資格者などは、消防庁長官が定める期間ごとに再講習を修了しなければ資格を失います。
その期間を定めた告示には、令和2年に感染症を理由とする再延長の規定が加わりました。
この記事では、再講習の期間の数え方と、延長が認められる場面を解説します。
点検を頼んでいる業者の免状に、更新のようなしくみはあるのでしょうか。
あります。
期間ごとに再講習を修了して免状の交付を受けないと、資格を失います。
その期間は、どこで決まっているのですか。
消防庁の告示で決まっています。
感染症を理由にした延長も、この告示に入っています。
- 消防設備点検資格者・防火対象物点検資格者・防災管理点検資格者は、消防庁長官が定める期間ごとに再講習を修了して免状の交付を受けなかったときに資格を失います。
- 消防設備点検資格者の期間は、平成12年消防庁告示第14号で、免状の交付を受けた日以後における最初の4月1日から5年以内と定められています。
- 海外旅行、災害、病気やけがなどの事情で期間内の受講が困難と登録講習機関が認めるとき、期間は1年間延長されます。
- 感染症等の影響で講習が十分に実施されず、延長後の期間内の受講も著しく困難と認められるときは、更に1年間延長できます(令和2年10月1日の消防予第312号)。
- 延長を受けるには、期間が終了する日までに登録講習機関へ申し出る必要があり、失格事由の条文は現行の第31条の6第8項第6号です。
▼
目次
消防庁はなぜ令和2年に再講習の期間を再延長する通知を出したのか

感染症の影響で講習が十分に開けなくなり、期間内に受けられない人が出るおそれがありました。
消防設備点検資格者は、次の各号のいずれかに該当するときは、その資格を失うものとする。(略)
六 消防庁長官が定める期間ごとに登録講習機関の講習を修了し、当該登録講習機関が発行する免状の交付を受けなかったとき。
規則が挙げる失格事由は6つあり、六号だけが講習を受けなかったという理由です。
同じ趣旨の号が、防火対象物点検資格者(規則第4条の2の4第5項第6号)と防災管理点検資格者(規則第51条の12第4項第6号)にもあります。
期間そのものは規則には書かれておらず、消防庁長官が定める告示に委ねられています。
通知は、その告示に、講習が開けない場合の再延長を加えたものです。
講習が開けなかったのに、期間だけ進んでしまっては困りますね。
はい。
そのため、期間を再延長する規定が加えられました。
再延長の規定はどの資格者の再講習に関わるのか

通知には、資格者ごとの再講習と、関係する告示が表になっています。
| 資格者の再講習 | 通知の表が挙げる告示 | 失格事由の条(現行規則) |
|---|---|---|
| 消防設備点検資格者再講習 | 平成12年消防庁告示第14号 | 第31条の6第8項第6号 |
| 防火対象物点検資格者再講習 | 平成14年消防庁告示第9号 | 第4条の2の4第5項第6号 |
| 防災管理点検資格者再講習 | 平成20年消防庁告示第20号 | 第51条の12第4項第6号 |
通知の表は、消防設備点検資格者、防火対象物点検資格者、防災管理点検資格者の順に、それぞれ告示を対応させています。
告示の中身は、この記事で本文を確認できた消防設備点検資格者の告示を中心に解説します。
残る2つの告示の本文は今回確認していないため、期間や事情の細目は、それぞれの告示を消防庁のサイトで見てください。
失格事由の条は、e-Govの現行の消防法施行規則で確認したものです。
点検の資格者といっても、3種類の再講習があるのですね。
はい。
ご自身が頼んでいる資格者がどの資格者かを確認しましょう。
再講習の期間は告示でどう決まっているのか

起点と長さ、そして延長の2段階が書かれています。
たとえば免状の交付を受けた日が令和6年7月10日なら、その後の最初の4月1日は令和7年4月1日で、そこから5年以内が基本の期間です。
期間内に必要なのは、講習を受けることにとどまらず、免状の交付を受けることです。
延長は2段階で、事情による延長は1年、感染症等の影響による再延長は延長後の期間について、更に1年です。
再延長は、まず事情による延長を受けた人が対象で、いきなり2年延びるわけではありません。
つまり、4月1日を起点に5年で、事情があれば最長で2年延びるということですね。
ただし、延ばせるのは登録講習機関が認めたときだけです。
延長の前提は、まず1年の延長を受けていることです。
実務で見落としやすいのはどこか

どちらも、古い資料を見ていると気づきにくい点です。
告示の第四は、期間が終了する日までに登録講習機関へ申し出ることを求めています。
事情による延長では、事情を証する書類を添え、延長が認められると登録講習機関から書面が交付されます。
条文番号も動いています。令和2年10月の通知は「第三十一条の六第七項第六号」と書いていましたが、令和3年2月の通知と現行の告示は第八項第六号です。
告示の掲載ページには、制定時の「第六項第六号」に「現行=第八項第六号」と注記があり、間に規則の項が増えたことがうかがえます。
古い通知を見ていると、条文番号がずれてしまいそうですね。
はい。
現行の規則と告示で、番号を引き直すことが大事です。
明日からなにを確認すればよいのか

まず、次の確認を進めてみてください。
- 免状の交付を受けた日を確認し、その後の最初の4月1日から5年以内の期限を出す
- 期限までに、登録講習機関の再講習を修了して免状の交付を受けられるか見通しを立てる
- 災害、病気、海外滞在などで間に合わないときは、期間が終わる日までに申出をする
- 点検を依頼している場合は、資格者の免状の日付や再講習の状況を依頼先に確認する
- 社内の資料に「第7項第6号」などの古い番号があれば、現行の規則と告示で引き直す
期限は、免状の交付日から数えるのではなく、その後の最初の4月1日から数えます。
申出は期間が終了する日までなので、間に合わなくなってからでは遅いことになります。
依頼先の資格者の再講習の状況は、点検の信頼性にも関わるので、免状の日付を見せてもらうと安心です。
個別の事情による延長の可否は登録講習機関が判断するので、迷ったらその機関に確認してください。
期限の計算と番号の見直しなら、すぐに始められそうです。
はい。
まずは免状の日付から確認しましょう。
よくある質問
まとめ
免状の日付と再講習の期限を、まず確認します!
点検資格者の免状や再講習の確認も、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 「消防法施行規則第三十一条の六第七項第六号の期間を定める件の一部を改正する件」等の公布について(令和2年10月1日 消防予第312号 消防庁次長)
- 「消防法施行規則第三十一条の六第八項第六号の期間を定める件等の一部を改正する件」の公布について(令和3年2月17日 消防予第46号 消防庁次長)
- 消防法施行規則第三十一条の六第八項第六号の期間を定める件(平成12年12月22日消防庁告示第14号。令和3年2月17日消防庁告示第4号による改正まで)
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第31条の6第8項第6号・第4条の2の4第5項第6号・第51条の12第4項第6号
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





