防火対象物点検も防災管理点検も、点検資格者が来る日には防火管理者の立会いが原則でした。
そのため点検のたびに現地で半日以上つきっきりになる、という声も少なくありません。
令和5年10月、消防庁は3つの点検要領を改正し、この立会いと書類確認のやり方を見直しました。
立会いも書類の確認も、対面と紙だけに限らないという通知です。
点検の日はいつも予定を空けて立ち会っていますが、必ず現地にいないと駄目なのでしょうか。
令和5年10月の通知で、遠隔地からの立会いも認められるようになりました。
台帳の書類も、紙で揃えておかないといけないと思い込んでいました。
そこも変わった点です。
何が柔軟になって、何が変わっていないかを順番に見ていきましょう。
- 令和5年10月6日の消防予第568号は、設備点検要領・防対点検要領・防災点検要領の3つを改正しました
- 対象は消防用設備等点検・防火対象物点検・防災管理点検の立会いをする関係者です
- 点検の立会いは、コミュニケーションツールを使った遠隔地からの立会いも許容されました
- 台帳等の書類確認は、電磁的記録による確認も認められるようになりました
- ただし立会いを求める原則そのものは変わっておらず、方法が広がっただけです
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目次
設備点検要領はなぜ見直されることになったのか

政府全体で進むアナログ規制の見直しが、その出発点になっています。
令和4年6月の閣議決定で、紙や対面を前提にした規制を見直す方針が固まりました。
消防庁もこの方針を受け、予防行政のあり方に関する検討会で点検の現場に当てはめる検討を重ねました。
その結果が、令和5年10月6日付の消防予第568号という形で通知されています。
つまり今回の変更は、点検を甘くする話ではなく、方法の選択肢を増やす話だということです。
デジタル化の話が、うちの点検にもつながってくるとは思っていませんでした。
国全体の規制改革が、身近な点検の現場にも降りてきた形です。
この通知はどの点検を対象にしているのか

建物の種類や規模によって、関係する点検の組み合わせは変わります。
消防用設備等点検(消防法第17条の3の3)、防火対象物点検(消防法第8条の2の2)、そして防災管理対象物の点検(同法第36条第1項で準用する第8条の2の2)の3本です。
このうち防火対象物点検と防災管理対象物点検は、点検資格者が点検するあいだ、防火管理者や防災管理者などの関係者の立会いを前提に組み立てられています。
だから今回の改正で立会いの方法が広がったことは、この2つの点検に関わる建物すべてに関係してきます。
うちは防火対象物点検と防災管理点検の両方が要る建物です。
それなら両方の点検で今回の改正の対象になります。
次の章で中身を確認しましょう。
点検の立会いや確認方法は具体的に何が変わったのか

2つの項目で、これまでの前提が緩められました。
まず立会いは、これまでの現地臨場に加えて、ビデオ通話などのコミュニケーションツールを使った遠隔地からの立会いも認められることになりました。
次に書類確認は、届出書の写しや消防計画、防火管理維持台帳などについて、紙媒体でなくても電磁的記録による確認でよいとされました。
あわせて目視や聴取で確認する項目も、現地での目視や対面での聴取に限らず、同じことを適切に判定できる別の方法でよいとされています。
消防用設備等点検の要領にも、同等以上の効果があれば新たな技術による点検方法を使える旨が追記されました。
台帳をスキャンしたデータでも確認してもらえる、ということでしょうか。
そのとおりです。
紙とデータのどちらでも確認してもらえます。
柔軟になったからといって何でも省略してよいのか

読み違えると、点検業者との調整でつまずきます。
条文の書き出しは「原則として…立会いを求めること」のままで、遠隔地からの立会いはあくまで方法の選択肢が増えただけです。立会い自体を省略できるとは書かれていません。
また、点検中にその場で直した項目は判定を適にできますが、「状況及び措置内容」欄への記入が条件になっています。直したことを記録に残さなければ、この扱いは使えません。
消防用設備等点検の新技術についても、通知には「具体的な運用については別途通知する」とあるだけです。今回の通知だけを根拠に、点検業者が独自の新技術を持ち込むことはできません。
それなら、立会いをまるごと業者任せにするのはまだ早いのですね。
そうです。
立会いの方法を選べるだけだと考えてください。
明日から何を確認すればよいのか

建物側から点検業者に一言伝えることで、初めて使える制度になります。
まず、立会いを対面と遠隔のどちらで行うかを事前に決めておくこと。当日になって慌てないよう、日程調整の段階で伝えておくと安心です。
次に、防火管理維持台帳や消防計画を電磁的記録で確認してもらえるかを確認すること。紙のままでもよいので、無理に電子化する必要はありません。
最後に、点検票の「備考」欄には判定に関係のない所見も書かれることを知っておくこと。
ここに書かれた助言は、次の改善につながる材料になります。
つまり、次の点検の依頼で一言添えればいいんですね。
はい。
立会いの方法と書類の形式だけ、次回の依頼で伝えてみてください。
よくある質問
まとめ
立会いの方法を選べるだけと分かって安心しました。
次の点検で早速伝えてみます!
立会いの方法と書類の形式、この2つを確認するだけです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 設備点検要領、防対点検要領及び防災点検要領の一部改正について(通知)(令和5年10月6日 消防予第568号 消防庁予防課長)
- 消防法第17条の3の3(消防用設備等の点検及び報告)
- 消防法第8条の2の2(防火対象物点検資格者による点検及び報告)
- 消防法第36条第1項(防災管理対象物における準用)
- 消防法施行規則第4条の2の6(防火対象物の点検基準)
- 消防法施行規則第51条の14(防災管理点検の点検基準)
- 規制改革実施計画(令和4年6月7日閣議決定)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





