BLOG

特定小規模施設用自動火災報知設備の全館一斉鳴動はどう点検するのか|区分鳴動と混同しない確認手順

特定小規模施設用自動火災報知設備がある施設の廊下と受信機

小規模な福祉施設や宿泊施設に設ける特定小規模施設用自動火災報知設備は、点検のときに「どこまで鳴るのか」が分かりにくい設備です。
一般の自動火災報知設備で見かける区分鳴動と、同じ感覚で考えると確認する場所を取り違えます。
消防庁の点検要領は、感知器または発信機を作動させた場合の確認方法を具体的に示しています。
点検では全館の地区音響装置が一斉に鳴ることを確認します。

小さな施設なら、鳴る範囲も一部だけだと思っていました。

特定小規模施設用は、点検要領の鳴動確認をそのまま押さえましょう。

区分鳴動との違いを、点検の順番で知りたいです。

設備の種類と点検要領第33を先に照合すれば迷いません。

この記事の結論
  • 特定小規模施設用自動火災報知設備の音響装置は、感知器または発信機を作動させて確認します。
  • 判定は全館の地区音響装置が自動的に一斉鳴動することです。
  • 一般の区分鳴動の考え方を、そのまま当てはめません。
  • 点検前は放送設備や防排煙設備などとの連動回路を遮断して影響を防ぎます。
  • 点検後は遮断した連動回路と鳴動停止の状態を必ず復元します。

▼

特定小規模施設用自動火災報知設備の全館一斉鳴動を示す図解

特定小規模施設用自動火災報知設備とはどんな設備か

小規模な福祉施設と自動火災報知設備の受信機
特定小規模施設用自動火災報知設備は、必要な防火安全性能を確保するための設備として設けられるものです。
点検では、設備が設けられていることだけでなく、感知・表示・警報が所定どおり働くかを確認します。
消防法第17条の3の3第1項 消防用設備等の設置者は、総務省令で定めるところにより、消防用設備等を定期に点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。
まず設備の名称を点検票と受信機で一致させます。
似た名称の共同住宅用設備や一般の自動火災報知設備では、確認項目が同じとは限りません。
建物の用途や設備構成を勝手に読み替えず、点検要領第33の対象であることを確認します。
管理者は、委託先から受け取る点検票の設備名も現場表示と見比べると取り違えを減らせます。

名称が似ている設備ほど、点検表の表題から確認します。

設備名が合えば、参照する別表と点検要領も絞れます。

鳴動の確認はなぜ全館一斉になるのか

各階が自動火災報知設備の受信機につながる小規模施設
区分鳴動は、出火階などに限定して警報を鳴らし、後から全館へ切り替える仕組みです。
しかし特定小規模施設用自動火災報知設備の音響装置の「鳴動」は、別の判定方法で確認します。
消防用設備等の点検要領第33 音響装置の鳴動:感知器又は発信機を作動させて、地区音響装置の鳴動を確認する。自動的に全館の地区音響装置が一斉に鳴動すること。
この点検では全館一斉が合格の基準です。
一部の部屋や階だけを聞いて終えるのではなく、地区音響装置の全体が自動的に鳴るかを確認します。
建物の運用に合わせて勝手に警報範囲を狭めると、点検要領どおりの確認になりません。
鳴動範囲を変更したい事情がある場合は、施工・点検の専門業者と所轄消防署に確認します。

小さな建物でも、鳴った場所だけで判定しないのですね。

はい。
全館一斉まで確認して、初めて判定できます。

感知器と発信機のどちらで確認するのか

感知器の作動で全館の地区音響装置が鳴るイメージ
点検要領は、音響装置の鳴動確認について感知器又は発信機を作動させる方法を示しています。
どちらを操作するかではなく、操作の結果として地区音響装置がどう鳴るかが判定の中心です。
消防用設備等の点検要領第33 発信機の押しボタン又は送受話器を操作して確認する場合は、主音響装置及び地区音響装置が鳴動するか又は放送設備が正常に警報を発すること。
操作する機器と確認する警報の範囲を分けて考えます。
感知器での作動試験、発信機の操作、受信機の表示を、作業前に役割分担しておくと確認漏れを防げます。
発信機側の操作だけで終えず、音響装置と必要な表示を同時に見ます。
点検中の連動で他設備が動くおそれがあるため、次の準備も欠かせません。

鳴動だけでなく、操作した機器とのつながりも見ます。

記録には、操作した感知器又は発信機も残しましょう。

点検前後に見落としやすいのはどこか

点検中に一部回路を遮断し全館警報を確認する図
警報の確認では、放送設備や消火設備、防排煙設備との連動が意図せず働くおそれがあります。
警報を止めたまま、または連動を遮断したままにすると、点検後の安全性を損ねます。
消防用設備等の点検要領第33 点検に先立って、他の設備との連動回路を遮断し、点検終了後はこれらを復元すること。火災表示等の点検で鳴動停止にした場合も、点検終了後は復元すること。
遮断と停止は、復元確認までが点検です。
作業前には影響する設備を洗い出し、誰が遮断し、誰が復元を確認するかを決めます。
特に地区音響一時停止の状態は、受信機の表示と現場の双方で確認します。
復元完了を点検票や引継ぎ記録に残すことで、次の担当者にも状態が伝わります。

止めた回路と、戻した確認を別々に記録します。

復元担当者を決めると、停止状態の残りを防げます。

明日からどんな順番で確認すればよいか

自動火災報知設備の点検手順を確認する点検表
現場では、鳴動の前後に行う準備と復元までを一続きの手順として共有します。
委託点検であっても、施設側が連絡や立会いの範囲を理解しておくと安全です。
  • 設備名と点検要領第33の対象を確認する
  • 連動する設備と施設内への周知方法を確認する
  • 感知器又は発信機を操作し全館一斉鳴動を確認する
  • 遮断回路・鳴動停止を復元し記録する
点検日には、鳴動前の周知と復元後の確認を同じ表で管理します。
入居者や利用者の生活に影響する施設では、点検時刻と鳴動の可能性をあらかじめ伝えます。
全館一斉の確認を省略するのではなく、安全に実施できる段取りを整えることが大切です。
設備の変更や警報範囲への疑問があるときは、所轄消防署にも確認してください。

点検の日に、全館で鳴る前提を施設内で共有します。

周知から復元までを一つの点検手順にしましょう。

よくある質問

Q区分鳴動に切り替えて点検できますか?
A点検要領第33の音響装置の鳴動確認は、全館の地区音響装置が自動的に一斉鳴動することが判定です。個別の改修や運用は所轄消防署へ確認してください。
Q鳴動は感知器だけで確認しますか?
A音響装置の鳴動は、感知器又は発信機を作動させて確認します。操作した箇所と確認した範囲を記録します。
Q点検中に放送設備などが動くことはありますか?
A連動回路がある場合は影響するおそれがあります。点検前に遮断し、終了後に復元することが点検要領に示されています。
Q鳴動停止のまま点検を終えてもよいですか?
Aいいえ。鳴動停止にした場合も、点検終了後に復元します。復元の確認を担当者と記録で二重に残します。

まとめ

✔特定小規模施設用かを点検票と現場表示で確認する。
✔鳴動は全館の地区音響装置が一斉に鳴ることを確認する。
✔一般の区分鳴動の考え方を混ぜない。
✔感知器又は発信機を操作した場所を記録する。
✔連動回路への影響を点検前に整理する。
✔遮断した回路と鳴動停止を点検後に復元する。
✔判断に迷う変更は所轄消防署へ確認する。

次の点検では、全館一斉と復元を確認します!

㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および消防庁の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス 強欲な青木 協業プラン(YouTube出演・ショート動画制作)
無料1分概算見積
特定小規模施設用自動火災報知設備がある施設の廊下と受信機
小規模な福祉施設や宿泊施設に設ける特定小規模施設用自動火災報知設備は、点検のときに「どこまで鳴るのか」が分かりにくい設備です。一般の自動火災報知設備で見かける区分鳴動と、同じ感覚で考えると確認する場所を取り違えます。消防...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →