BLOG

特定小規模施設用自動火災報知設備はどんな建物が対象になるのか|警戒区域と非常電源の基準も解説

特定小規模施設用自動火災報知設備の対象になる建物を解説するアイキャッチ画像

延べ面積が300平方メートルに満たない小さな旅館や福祉施設を管理している防火管理者の方から、こんな相談を受けることがあります。
「うちみたいに小さい建物でも、配線だらけの自動火災報知設備を丸ごと付けないといけないのか」というものです。
実は延べ面積300平方メートル未満などの小さな建物には、簡易な設備に置き換えられる制度が用意されています。
対象になる建物の条件と、警戒区域や非常電源の基準を押さえれば、簡易な設備で済ませられます。

うちの旅館は延べ面積が300平方メートルもないんですが、それでも自動火災報知設備をフル装備しないといけませんか。

延べ面積300平方メートル未満などの特定小規模施設なら、簡易な設備に置き換えられる制度があります。

配線だらけの受信機を付けなくていいなら助かります。

はい、対象になる建物の条件と技術基準があるので、順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 特定小規模施設用自動火災報知設備は、通常の自動火災報知設備に代えて使える簡易な設備である
  • 対象になるのは延べ面積又は床面積が300平方メートル未満の建物などに限られる
  • 警戒区域の区切り方は通常の自動火災報知設備と同じ考え方を使う
  • 感知器の設置場所と非常電源の取り付けには決められた基準がある
  • 省令のほかに消防庁長官が定める基準にも適合させる必要がある

特定小規模施設用自動火災報知設備の対象確認から警戒区域感知器非常電源までの流れを示す図解

特定小規模施設用自動火災報知設備とはどんな設備なのか

小型の感知器と大型の自動火災報知設備受信機
特定小規模施設用自動火災報知設備は、通常の自動火災報知設備に代えて使える簡易な設備です。
延べ面積300平方メートル未満といった小さな建物にまで配線だらけの受信機を求めるのは、負担が重すぎるという事情があります。
(特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令 第1条) この省令は、消防法施行令(略)第二十九条の四第一項の規定に基づき、特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等(略)に関し必要な事項を定めるものとする。
(同省令 第2条第2号) 特定小規模施設用自動火災報知設備 特定小規模施設における火災が発生した場合において、当該火災の発生を感知し、及び報知するための設備をいう。
(同省令 第3条第1項) 特定小規模施設において、令第二十一条第一項及び第二項の規定により設置し、及び維持しなければならない自動火災報知設備に代えて用いることができる必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等は、特定小規模施設用自動火災報知設備とする。
つまりこの設備は、消防法施行令第29条の4が定める「必要とされる防火安全性能を有する設備等」の一種です。
無線式の感知器などで火災を感知・報知できれば足りるとする、代替の制度が設けられています。
ただし対象になるのは特定小規模施設という決められた建物に限られます。
次の章で、どんな建物がこの特定小規模施設に当たるのかを見ていきましょう。

特定小規模施設用自動火災報知設備って、普通の自動火災報知設備と何が違うんですか。

普通の自動火災報知設備に代えて使える簡易な設備という位置づけです。

どんな建物が特定小規模施設に当たるのか

小さな建物の外観と延べ面積の境界線を示す図面
特定小規模施設に当たるかどうかは、用途と面積の組み合わせで決まります。
まずは省令が定める区分を確認しましょう。
(同省令 第2条第1号) 特定小規模施設 次に掲げる防火対象物又はその部分をいう。
イ 令第二十一条第一項(第三号から第六号まで、第八号、第十一号、第十二号、第十四号及び第十五号を除く。)に掲げる防火対象物又はその部分のうち、延べ面積又は床面積が三百平方メートル未満のもの
ロ 令別表第一(十六)項イに掲げる防火対象物のうち(略)令別表第一(六)項ハに掲げる防火対象物(利用者を入居させ、又は宿泊させるものに限る。)その他一定の用途に供される部分が存するもの(略)
ハ ロに掲げる防火対象物以外の令別表第一(十六)項イに掲げる防火対象物(略)のうち、延べ面積が三百平方メートル以上五百平方メートル未満のもの
多くの建物では、本来なら自動火災報知設備が必要な用途のうち延べ面積又は床面積が300平方メートル未満のものが対象になります。
宿泊させる用途の福祉施設など一部の建物は、この面積を問わず対象に含まれる場合もあります。
これらに当てはまらない複合的な用途の建物でも、300平方メートル以上500平方メートル未満なら対象になることがあります。
自分の建物がどの区分に当たるかは、用途と延べ面積を照らし合わせて確認しましょう。

うちの旅館は宿泊客もいますが、それでも対象になりますか。

宿泊させる用途の建物は要件が異なるので、用途と面積の両方を確認しましょう。

警戒区域と非常電源はどう定められているのか

天井の感知器と壁の非常電源の蓄電池ボックス
警戒区域の区切り方は通常の自動火災報知設備と同じ考え方を使います。
条文を確認しましょう。
(同省令 第3条第2項) 前項に定める特定小規模施設用自動火災報知設備の設置及び維持に関する技術上の基準は、次のとおりとする。
一 特定小規模施設用自動火災報知設備の警戒区域(略)は、令第二十一条第二項第一号及び第二号の規定の例によること。
二 警戒区域が二以上で、全ての感知器を(略)連動型警報機能付感知器とする場合にあっては、当該感知器を(略)火災の発生した警戒区域を特定することができるものとすること。
四 特定小規模施設用自動火災報知設備には、非常電源を附置すること。
警戒区域は火災が発生した区域を他と区別できる最小単位のことで、通常の自動火災報知設備と同じ基準で区切ります。
警戒区域が2つ以上になり、全ての感知器を連動型警報機能付感知器にする場合は、火災の発生した区域を特定できるものにする必要があります。
そして非常電源の取り付けは、特定小規模施設用自動火災報知設備でも省略できません。
停電時でも火災を感知・報知できるようにしておくことが求められています。

つまり警戒区域の区切り方は、普通の自動火災報知設備と同じ考え方でいいんですね。

はい、考え方は同じですが、非常電源の取り付けを忘れないようにしてください。

実務で見落としやすいのはどこか

小部屋に正しく設置された感知器と壁のない通路
感知器を設置できる場所は、あらかじめ決められた場所に限られます。
条文で確認しましょう。
(同省令 第3条第2項第3号) 特定小規模施設用自動火災報知設備の感知器は、次のイからハまでに掲げる場所の天井(略)又は壁(略)の屋内に面する部分に、有効に火災の発生を感知することができるように設けること。
イ 建築基準法第二条第四号に規定する居室及び床面積が二平方メートル以上の収納室
ロ 倉庫、機械室その他これらに類する室
ハ 階段及び傾斜路、廊下及び通路並びにエレベーターの昇降路、リネンシュート及びパイプダクトその他これらに類するもの(略)
(同省令 第3条第3項) 前項に定めるもののほか、特定小規模施設用自動火災報知設備は、消防庁長官が定める設置及び維持に関する技術上の基準に適合するものでなければならない。
居室や2平方メートル以上の収納室、倉庫や機械室、階段や廊下・通路・エレベーターの昇降路などが感知器を設置できる場所です。
つまりこれら以外の場所に感知器を置いても、設置基準を満たしたことにはなりません。
さらにこの省令だけでなく、消防庁長官が別途定める技術上の基準にも適合させる必要があります
省令の条文を読んだだけで手続きが終わったと思い込まないようにしましょう。

感知器はどこにでも自由に付けていいわけじゃないんですね。

はい、設置できる場所が居室や階段など決まっているので注意が必要です。

明日からなにを確認すればよいか

チェックリストと図面と非常電源の点検
ここまでの基準を、実際の確認作業に落とし込んでみましょう。
チェックすべき点は次の4つです。
  • 自分の建物の用途と延べ面積が特定小規模施設の条件に当てはまるかを確認する
  • 警戒区域の区切り方と非常電源の取り付けが基準どおりになっているかを見る
  • 感知器が居室・収納室・倉庫・階段・廊下など決められた場所に設置されているかを確かめる
  • 消防庁長官が定める技術上の基準にも適合しているかを、工事業者や所轄消防署に確認する
今日からできることは意外と少なくありません。
まずは建物の用途と延べ面積を確認し、特定小規模施設に当たるかどうかを整理しましょう。
当てはまる場合は、警戒区域の区切り方や感知器の設置場所を図面で確認します。
わからない点は、工事を依頼する消防設備士や所轄消防署に相談すると確実です。
小さな建物だからと後回しにせず、早めに現状を把握することが大切です。

何から手をつければいいのか、順番を整理したいです。

まずは自分の建物が対象になるかを確認するところから始めましょう。

よくある質問

Q延べ面積が300平方メートルちょうどの建物は対象になりますか?
Aいいえ、省令は300平方メートル未満と定めているため、ちょうど300平方メートルの建物は原則として対象になりません。通常の自動火災報知設備の基準に従う必要があります。
Q特定小規模施設用自動火災報知設備を設置すれば、非常電源は省略できますか?
Aいいえ、非常電源の取り付けは省略できません。停電時でも火災を感知・報知できるように、通常の自動火災報知設備と同様に付置する必要があります。
Q感知器を廊下やエレベーターの昇降路にも設置できますか?
Aはい、階段や傾斜路、廊下や通路、エレベーターの昇降路なども感知器を設置できる場所として定められています。ただし建物の種類によって設置できる範囲が異なる場合があります。
Q省令の基準さえ満たしていれば、それだけで設置は完了しますか?
Aいいえ、省令に定める基準のほかに消防庁長官が別途定める技術上の基準にも適合させる必要があります。工事を依頼する消防設備士や所轄消防署に確認しておきましょう。

まとめ

特定小規模施設用自動火災報知設備は令第29条の4に基づく代替設備制度である
対象になるのは延べ面積又は床面積が300平方メートル未満の建物などに限られる
旅館や宿泊系の福祉施設は面積を問わず対象に含まれる場合がある
警戒区域の区切り方は通常の自動火災報知設備と同じ規定を使う
警戒区域が2以上で全感知器を連動型にする場合は火災発生区域を特定できるものにする必要がある
感知器は居室や階段など決められた場所にしか設置できない
省令だけでなく消防庁長官が定める基準にも適合させなければならない

今週中に建物の面積と用途を確認して、消防署にも相談してきます!

それが一番確実です。
設置や点検でお困りでしたらお気軽に㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成20年総務省令第156号)
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)
  • 消防法(昭和23年法律第186号)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
特定小規模施設用自動火災報知設備の対象になる建物を解説するアイキャッチ画像
延べ面積が300平方メートルに満たない小さな旅館や福祉施設を管理している防火管理者の方から、こんな相談を受けることがあります。 「うちみたいに小さい建物でも、配線だらけの自動火災報知設備を丸ごと付けないといけないのか」と...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →