大きな災害が起きたとき、国が対策本部を置くのは、特に大規模な災害に限られると思われがちです。
しかし令和3年の災害対策基本法改正で、非常災害に至らない規模の災害でも国が本部を置ける仕組みが新設されました。
それが特定災害対策本部です。
実はこの本部の長は、地方公共団体の長や指定公共機関に対して必要な指示ができる権限まで持っています。
国の対策本部は、大規模な災害のときだけだと思っていました。
実は規模が小さめの災害でも国が本部を置ける制度があるんです。
自治体の動きは、そのとき変わるんでしょうか。
本部長が自治体や事業者に指示を出せる立場になります。
順番に見ていきましょう。
- 令和3年の災害対策基本法改正で、非常災害に至らない規模の災害でも国が対策本部を置ける特定災害対策本部(法第23条の3)が新設されました。
- 設置できるのは、人の生命又は身体に急迫した危険を生じさせ、災害応急対策を推進するため特別の必要があると認める災害で、設置するのは内閣総理大臣です(法第23条の3第1項)。
- 本部長には防災担当大臣その他の国務大臣が充てられ、副本部長や本部員は内閣総理大臣が任命します(法第23条の4)。
- 本部長は、地方公共団体の長その他の執行機関、指定公共機関及び指定地方公共機関に必要な指示ができます(法第23条の7第2項)。
- 本部長の指示に基づき地方公共団体の長が実施した応急措置の費用は、政令で定めるものについて国が補助できます(法第95条)。
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目次
非常災害に至らない災害でもなぜ国が本部を置けるようになったのか

国の対策本部を置く基準に届かない災害でも、被害が大きくなることがあります。
まずは通知が示す、新設の背景を確認します。
国の関係機関が連携する必要は、非常災害の規模に届かない災害でも生じます。
特定災害対策本部は、政府が本部を置いてこなかった規模の災害にも国が機動的に対応できるようにするため新設されました。
その仕組みが、災害対策基本法の第23条の3から第23条の7までの規定です。
次は、どんな災害が対象になるのかを見ていきます。
国の本部は、大きな災害にしか置けないと思っていました。
対象は非常災害に至らない規模の災害にも広がりました。
どんな災害なら特定災害として本部を置けるのか

特定災害は、条文が要件を定めています。
第1項を確認していきます。
・島しょ部において土砂災害や崖崩れ等による被害が生じ、被災地方公共団体の限られたリソースだけでは対応が困難な中、政府における調整の下で、迅速に災害応急対策に当たる必要が生じる災害
特定災害に当たるのは、非常災害に該当するに至らない規模の災害だけです。
要件は人の生命又は身体に急迫した危険があることと、災害応急対策を推進するため特別の必要があると認めることです。
設置するのは内閣総理大臣で、設置したときは名称・所管区域・設置の場所及び期間を直ちに告示しなければなりません(第2項)。
次は、本部がだれによってどう組織されるのかを見ていきます。
規模が小さければ、どんな災害でも置けるのですか。
急迫した危険と特別の必要の両方が要件です。
特定災害対策本部はだれがどう組織するのか

本部の顔ぶれは、条文が国の側の役職で定めています。
第23条の4の組織規定を確認します。
(略)
第5項 特定災害対策副本部長、特定災害対策本部員その他の職員は、内閣官房若しくは内閣府その他の指定行政機関の職員又は指定地方行政機関の長若しくはその職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。
本部長は防災担当大臣その他の国務大臣で、副本部長や本部員は内閣総理大臣が任命します。
通知は、自然災害では防災担当大臣、事故災害では安全規制等担当省庁の大臣が本部長に当たると整理しています。
被災地には特定災害現地対策本部を置くことができ、置いたときは内閣総理大臣が国会に報告します(第6項・第7項)。
次は、本部長が持つ指示の権限を見ていきます。
本部長は、自治体の人ではないのですね。
国の側の職員が被災地の現地本部とも連絡を取ります。
本部長は自治体や指定公共機関にどんな指示ができるのか

本部の長には、関係機関に対する権限が条文で与えられています。
第23条の7第2項を確認します。
指示ができるのは、特に必要があると認めるときに、その必要な限度でだけです。
相手は地方公共団体の長その他の執行機関と指定公共機関及び指定地方公共機関などで、指示以外にも第3項で資料や情報の提供、意見の表明などの協力を求められます。
指示に基づいて自治体が実施した応急措置の費用は、政令で定めるものについて国が補助できます。
次は、これらを踏まえて明日から確認すべきことを整理します。
国が指示したら、自治体は全部自分で費用を出すんですか。
一定の費用は国が補助できると定められています。
明日から何を確認しておけばよいのか

最後に、自治体と事業者が平常時に確認しておきたい点を整理します。
国の本部との連携は、事前の備えが重要です。
国の本部が置かれても、自治体には自らの災害対策本部との一層の連携が求められます。
まずは都道府県災害対策本部・市町村災害対策本部の体制と、国との連絡の窓口を確認しておきます。
電気・ガス・輸送・通信などの事業者は、指定公共機関・指定地方公共機関に該当するかを確認しておくと安心です。
該当する場合は、国の本部長から指示や協力の要請を受ける立場になりうることを、社内で共有しておきます。
自治体との連絡窓口を、さっそく確認してみます。
事前の確認が備えになります。
よくある質問もあわせてご確認ください。
よくある質問
まとめ
自治体との連絡窓口、さっそく確認してみます!
それが一番の備えになります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 災害対策基本法等の一部を改正する法律による改正後の災害対策基本法等の運用について(令和3年5月10日 府政防第601号・消防災第60号)
- 災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第23条の3から第23条の7まで、第95条
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





