火災通報装置を更新するとき、電話回線につながればよいと考えると接続箇所を見落とします。
消防法施行規則は、装置が電話回線を適切に使え、他の機器等の通信で支障が出ない部分へ接続することを求めています。
電話機・ファクシミリ・構内交換機・回線終端装置のどこを経由するかは、契約内容と配線図を合わせて判断する必要があります。
今回は、火災通報装置の接続箇所を確認するときの根拠と実務の見方を解説します。
電話回線につながっていれば、接続先はどこでも同じなのでしょうか。
通信の影響を受けない部分かを、回線と接続機器の並びで確かめます。
工事前に、設備図だけでなく電話の契約内容も見たほうがよさそうです。
はい。
まず回線の種類と接続経路を整理してから、施工者と所轄へ確認します。
- 火災通報装置は、機能に支障を生じない電話回線を使います。
- 接続箇所は、他の機器等の通信の影響を受けない部分でなければなりません。
- 火災通報装置の電源を、電話回線の条件と混同しないことが大切です。
- 信号回路を扱う消防機関へ通報する火災報知設備は、自動火災報知設備の配線例によります。
- 改修前後は、系統図・回線契約・試験方法を同じ日に照合します。
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目次
火災通報装置は何を電話回線へ接続するのか

消防法施行規則第25条第3項は、電話回線を使う火災通報装置について基準を定めています。
ここでいう火災通報装置は、手動起動装置の操作又は自動火災報知設備の感知器との連動により、電話回線を使って消防機関を呼び出す装置です。
回線名だけで適否を決めず、通報から消防機関への伝送に支障がないかを確認します。電話機がつながる回線でも、途中の機器や設定によっては通報装置の条件を満たすとは限りません。電話回線の契約書と装置の仕様書を、施工図と一緒にそろえます。
電話が使えるかだけでは、通報装置の確認にならないのですね。
そのとおりです。
通報に使う経路を先に図面へ書き出します。
接続箇所はなぜ他の通信の影響を避けるのか

同項第3号は、火災通報装置を電話回線のうち適切に使用でき、他の機器等が行う通信の影響で機能に支障を生ずるおそれのない部分へ接続すると定めます。
つまり、回線が建物へ来ているだけでなく、装置から消防機関へ通報信号を伝える経路を確保する考え方です。
「同じ契約回線だから可」とは決めつけず、接続点から外線側までの機器を確認します。消防庁の平成28年消防予第240号は、電話機やファクシミリ等を経由して通報信号を伝送する部分への接続について、影響がないことを確認する趣旨を示しています。構内交換機の内線側などを含め、機器構成が変わる改修では特に注意が必要です。
回線の途中に機器が増えたときは、接続位置も見直すのですね。
はい。
回線終端から装置までの経路を施工者と確認します。
信号回路の共用と同じ管路の扱いはどう違うのか

火災通報装置を除く消防機関へ通報する火災報知設備は、同条第4項第1号により自動火災報知設備の配線の例で設けます。
このため、消防法施行規則第24条第1号ハ・ニの回路方式と収容方法も確認対象になります。
同一配線の共用と、同じ管・ダクト等へ収めることは別々に確認します。同号ニは原則として他の電線と同一の管、ダクト、線ぴ又はプルボックス等に設けないとし、60V以下の弱電流回路には例外を置いています。例外があるからといって、信号伝達への影響まで省略できるわけではありません。
配線そのものと、収める管路を分けて見るのがポイントですね。
はい。
配線図と施工写真の両方で確認すると漏れを減らせます。
改修で電話回線や機器を替えるときは何を確認するのか

回線種別の変更、構内交換機の更新、回線終端装置の入替えは、通報装置が設置されたままでも接続条件を変えることがあります。
消防庁通知が示すIP電話回線の取扱いも、電話回線を適切に使用できることと、他の機器等の通信の影響を受けないことを確認する考え方に立っています。
通信事業者の工事予定と消防設備の改修予定を別々に進めないことが重要です。仕様書だけで判断せず、通報試験の方法や消防機関への事前連絡の要否まで施工者へ確認します。変更前の系統図を残しておけば、接続箇所が変わったかを比較できます。
電話の工事と消防設備の確認を、同じ予定表に載せておきます。
よい進め方です。
通報試験の連絡先も先に決めておきましょう。
工事前後にどの順番で照合すればよいのか

接続箇所の確認は、工事前だけで終わりません。
回線の契約内容、設置図、機器の仕様、試験の手順をそろえ、施工後に実際の配線経路と照合します。
点検票だけを見ず、接続点から消防機関へ通報するまでの経路を追います。工事の内容や管轄で扱いが変わることがあるため、所轄消防署と施工者に確認してから着工・試験へ進みます。通信回線の仕様や通報試験の実施方法は、施設ごとに事前調整が必要です。
回線、図面、試験の順に照合すれば、確認する担当も決めやすいです。
記録を残せば、次の回線変更でも比較の基準になります。
よくある質問
まとめ
次の回線変更では、接続経路も一緒に確認します。
接続箇所の確認は㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
※本記事は2026年11月4日時点の法令・通知を基にした一般的な解説です。工事・点検・通報試験の取扱いは、必ず所轄消防署と有資格の施工者へ確認してください。






