冷凍室や冷蔵室に二酸化炭素消火設備を設けるとき、必要な消火剤量は通常の算定だけで決まるとは限りません。
大阪市消防局の運用基準には、一定の条件を満たす場合に限り、体積1立方メートル当たり0.536kgで算定できる取扱いがあります。
ただし、これは数字だけを選べる特例ではなく、放射時間、凍結防止、区画の耐圧措置を一組で確認するものです。
0.536kg/m³の前に、三つの条件をそろえて確認します。
冷凍室なら、0.536kg/m³で計算してよいのですか。
大阪市の運用基準では、三つの条件を満たす場合だけに使える取扱いです。
必要量だけでなく、ヘッドや区画の状態も見るのですね。
はい。設計図書と現場を照合して、所管に確認します。
- 0.536kg/m³は大阪市の冷凍室又は冷蔵室向け運用基準にある算定値です。
- 使えるのは、消火剤を15分で放射できる場合です。
- 噴射ヘッドをアルミはく等で凍結防止することも条件です。
- 完全密閉となる区画では、リークバルブ等の耐圧措置が必要です。
- 数値だけで判断せず、設備方式と区画の実態を所轄消防署へ確認します。
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目次
冷凍室の二酸化炭素消火設備で0.536kg/m³を使えるのはなぜか

大阪市消防局の運用基準は、冷凍室又は冷蔵室に全域放出方式の二酸化炭素消火設備を設ける場合、一定の条件に適合するものについて、貯蔵量を防護区画の体積1立方メートル当たり0.536kgとして算定できるとしています。
冷凍室という用途名だけでは足りません。
対象は全域放出方式で、消火剤は二酸化炭素に限られます。
設計計算書に0.536kg/m³があるときは、次の三条件まで一緒に確認します。
貯蔵量の数字と設備条件を切り離さないことが大切です。
冷凍室なら同じ数字が使えると思っていました。
数字の根拠は、適用条件まで含めて確認します。
防護区画の体積はどこまでを計算に入れるのか

算定の対象は、防護区画の体積です。
冷凍設備のための前室、天井内、配管スペースなどを含めるかは、実際に二酸化炭素が放出される区画と、開口部・密閉状態で決まります。
間仕切り変更、貫通部の追加、扉の仕様変更があると、当初の体積計算と現場がずれることがあります。
防護区画の範囲を誤ると、必要な消火剤量の前提も崩れます。
区画の範囲と容積を設計資料で確認します。
冷蔵室の面積だけを見てはいけないのですね。
はい。防護区画の実寸まで確認します。
15分で放射できることは何を確認する条件か

同基準で0.536kg/m³を用いる一つ目の条件は、消火剤を15分で放射できることです。
これは必要量だけでなく、貯蔵容器、選択弁、配管、噴射ヘッドを通じて、設計された放射時間で放出できるかを確認する条件です。
設計図書の放射時間、容器本数、配管系統、点検記録の整合を確認します。
選択弁や配管の改修がある場合は、放射時間への影響を再確認します。
15分で放射できる設計かを確認します。
量だけでなく、放出にかかる時間も条件なのですね。
そのとおりです。放射時間の根拠も残します。
噴射ヘッドの凍結防止はどこまで必要か

二つ目の条件は、噴射ヘッドを凍結防止のためアルミはく等で防護することです。
低温の環境では、放射口が凍結の影響を受けるおそれがあるため、運用基準はヘッドの防護を条件に掲げています。
被覆があるだけで安心せず、ヘッドの周囲に破れ、外れ、結露や霜の影響がないかを確認します。
被覆を外した後に復旧されていないと、条件を満たさないおそれがあります。
凍結防止として機能する状態を現場で確かめます。
アルミはくなら、巻いてあればよいのでしょうか。
目的は材料名ではなく、凍結防止の機能です。
完全密閉の冷凍室では区画の破壊をどう防ぐのか

三つ目の条件は、防護区画が完全密閉の状態になるものでは、放出されたガス圧により区画が破壊しないよう、リークバルブの設置その他の措置を講じることです。
二酸化炭素を放出すると区画内の圧力に影響するため、扉や壁が閉じていることだけでなく、圧力の逃がし方も確認します。
リークバルブの有無、設置位置、作動を妨げる改修や荷物の有無を確認します。
区画の仕様が変われば、圧力逃がしの前提も変わります。
区画を壊さない措置までが条件です。
密閉性が高いほど、別の確認が要るのですね。
はい。耐圧措置の状態まで確認します。
よくある質問
まとめ
条件を一組で確認して、設計資料をそろえます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 大阪市消防局 消防用設備等の設置に係る運用基準 第8節 不活性ガス消火設備(二酸化炭素を放射するもの)第3
- 消防法施行規則第19条(e-Gov法令検索)
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検基準、点検要領、点検票
※本記事は大阪市消防局の公表資料に基づく一般的な解説です。適用可否は設備方式、区画、管轄の運用で異なるため、所轄消防署へ確認してください。






