八尾市で立体駐車場を計画するとき、「階」と「床面積」をどう数えるかは、消防設備の要否を考える入口になります。
機械式の駐車場には、壁も床もない装置があります。八尾市消防本部の行政指導指針は、立体駐車場を形態1から8までに分け、形態ごとに床面積と階数の数え方を決めています。
この記事では、国の条文と八尾市の指針を分けて、どの形態がどの形態を借りて読むのかを番号つきの手順でたどります。堺市・大阪市・東大阪市の公開資料とも照らします。
八尾市で機械式駐車場を計画しています。
階数や床面積は、どう数えればよいのでしょうか?
八尾市の指針は、形態ごとに数え方を決めています。
順にたどっていきましょう。
形態によって、数え方が違うのですか?
違う形態と、別の形態を借りる形態があります。
根拠と一緒に見ていきましょう。
- 八尾市消防本部の行政指導指針は、立体駐車場を形態1から8までに分け、床面積と階数の数え方を形態ごとに定めています
- 国の令第13条の表は、駐車の用に供される部分を階ごとの床面積か、機械装置による収容台数が10台以上かで捉えています
- 自走式の形態1と2は、床面積を壁(壁がなければ手すり等)の中心線で囲まれた部分の水平投影面積とし、階は各層を階として最上部の層は算入しません
- 垂直循環式の形態3、ラック式の形態4、二段式と三段式の形態5から8は、いずれも階数を1の階とします
- 大阪市・東大阪市の公開資料と堺市の審査基準の床面積・階数の項には、八尾市のような形態別の数え方は見当たりませんでした
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目次
八尾市の立体駐車場の指針は、国の基準のどこにつながるのか

ページの名前のとおり、行政指導として示されたものと読めます。法令が直接課す義務とは別に、設計の段階で消防署と確かめる事項と考えるとよさそうです。 指針の冒頭は、立体駐車場を形態1から8までに区分すると書いています。
なぜ数え方が大事なのかは、国の令第13条の表にあります。駐車の用に供される部分には、水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備のうちのいずれかが要る場合があります。
床面積の数え方は、堺市の審査基準が次のように書いています。建築基準法施行令を根拠にした一般的な数え方です。
- 令第13条の表は、駐車の用に供される部分に水噴霧消火設備など5種類のいずれかを求める場合を定めている
- 1つ目の条件は、階ごとの床面積が地階・2階以上で200平方メートル以上、1階で500平方メートル以上、屋上部分で300平方メートル以上であること
- 2つ目の条件は、昇降機等の機械装置で駐車させる構造で、収容台数が10以上であること
- 床面積は壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積、階数は塔屋や地階の倉庫などを一定の条件で除いて数える(建築基準法施行令第2条第1項第3号・第8号)
駐車場が消防法上どの項目になるかは、駐車場や車庫の区分を解説した記事で、昇降ピット式の三段駐車装置の項目は特殊な工作物の記事で解説しています。
国の条文には、階と床面積の数え方まで書いていないのですね。
はい、数え方の細目は書かれていません。
八尾市の指針を順に見ましょう。
八尾市の自走式の形態1と形態2は階数と床面積をどう数えるのか

(1)床面積の算定は、壁の中心線で囲まれた部分の水平投影面積とする。ただし、壁が設けられていないものにあっては、手すり等の中心線で囲まれた部分の水平投影面積とする。
- 床面積は、壁の中心線で囲まれた部分の水平投影面積
- 壁がなければ、手すり等の中心線で囲まれた部分の水平投影面積
- 階数は、各層を1つの階として数える
- ただし、最上部の層は階に算入しない
令第13条の表には「屋上部分」という別の枠もあり、300平方メートルの基準があります。最上部の層をその屋上部分として扱うのか、屋根のない層に限るのかは、指針の文言だけでは読み取れません。図面を見ながら消防署に確認します。 形態2は、車両を昇降機で所定の層まで運び、そこから自走して駐車する形態です。
(1)床面積の算定は、形態1によること。
(2)階数の算定は、形態1によること。
形態2は、形態1と同じ数え方なのですね。
はい、床面積も階数も形態1のとおりです。
次は、垂直に動く装置です。
八尾市の垂直循環式の形態3とラック式の形態4は階数をどう数えるのか

(1)床面積の算定は、壁の中心線で囲まれた部分の水平投影面積とする。ただし、壁が設けられていないものにあっては、柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積とする。
(2)階数の算定は、1の階とする。
- 壁がないときの基準が、手すり等ではなく柱の中心線になる
- 階数は、各層を数えるのではなく、1の階とする
(1)床面積の算定は、形態3によること。
(2)階数の算定は、形態3によること。
なお、令第13条の2つ目の条件は、機械装置で駐車させる構造で収容台数が10以上かどうかで決まります。こうした装置では、床面積や階数の数え方とは別に、収容台数で設備の要否が決まると読めます。
階数が1の階になるのは、タワー型でもですか?
はい、指針の文言は1の階です。
理由までは書かれていません。
八尾市の二段式と三段式の形態5から形態8は何を借りて数えるのか

(1)床面積の算定は、柱及びパレット等で囲まれた部分の水平投影面積とする。ただし、柱が設けられていないものにあっては、パレット等で囲まれた部分の水平投影面積とする。
(2)階数の算定は、1の階とする。
形態6から8は、形態5を借りています。
(1)床面積の算定は、形態5によること。
(2)階数の算定は、5によること。
(1)床面積の算定は、形態5によること。
(2)階数の算定は、形態5によること。
(1)床面積の算定は、形態5によること。
(2)階数の算定は、形態5によること。
| 形態 | 駐車のしかた | 床面積の数え方 | 階数の数え方 |
|---|---|---|---|
| 形態1 | 自走して階の位置まで上がる | 壁(なければ手すり等)の中心線で囲まれた部分 | 各層を階とし、最上部の層は除く |
| 形態2 | 昇降機で層まで運び、自走する | 形態1による | 形態1による |
| 形態3 | 垂直に循環するパレット等 | 壁(なければ柱)の中心線で囲まれた部分 | 1の階 |
| 形態4 | 昇降機でラックまで運ぶ | 形態3による | 形態3による |
| 形態5 | 二段式・上段は昇降、下段は自走 | 柱及びパレット等で囲まれた部分 | 1の階 |
| 形態6 | 二段式・上段は昇降、下段は左右に移動 | 形態5による | 形態5による |
| 形態7 | 三段式・上下左右に移動 | 形態5による | 形態5による |
| 形態8 | 二段式・上段は油圧等で上下、下段は自走 | 形態5による | 形態5による |
- 形態2は、床面積も階数も形態1を借りる
- 形態4は、床面積も階数も形態3を借りる
- 形態6・7・8は、床面積も階数も形態5を借りる(形態6の階数は「5による」と書かれている)
- 自分の装置がどの形態に当たるかは、別添の図例1から8と見比べて決める
実際の装置が、どの図例に当たるかは、メーカーの図面を持って消防署に確認します。
二段式でも三段式でも、階数は1の階なのですね。
はい、指針の文言では1の階です。
最後は他の市との比較です。
堺市・大阪市・東大阪市では機械式駐車場の床面積と階数をどう扱うのか

堺市の階数の算定(第4 2)にも、機械式駐車装置の階を形態別に数える項は見当たりませんでした。大阪市の運用基準(45のPDF)と東大阪市の公開資料(6つのPDF)も、「パレット」「機械式駐車」「立体駐車」などの言葉で調べました。 機械式駐車装置が出てくるのは、大阪市では水噴霧消火設備・泡消火設備・二酸化炭素消火設備などの設置方法の項、東大阪市では自動火災報知設備の項(外気に開放された機械式駐車装置)でした。床面積と階数の数え方を定めた項は見当たりませんでした。
東大阪市と堺市の自動火災報知設備の特例は、東大阪市と堺市の記事で解説しています。
| 項目 | 八尾市 | 堺市 | 大阪市・東大阪市 |
|---|---|---|---|
| 機械式の床面積 | 形態ごとに定める(形態3は壁か柱の中心線) | 壁(なければ柱等)の中心線で囲まれた部分 | 数え方の項は見当たらない |
| 床として認めにくい部分 | 1台の面積の定めは第1に書かれていない | 1台につき15平方メートル(収録された通知) | 見当たらない |
| 機械式の階数 | 形態ごとに定める(形態3から8は1の階) | 機械式駐車装置の階の数え方は見当たらない | 見当たらない |
- 装置が、別添の図例1から8のどの形態に当たるか、メーカーの図面で確認したか
- 形態が別の形態を借りていないか(2は1、4は3、6・7・8は5)
- 床面積の基準が、壁・柱・パレット等のどれで囲まれた部分になるか
- 階数が、1の階になるか、各層を数えて最上部の層を除くか
- 令第13条の階ごとの床面積の条件と、10台以上の条件のどちらに当たるか
- 設計の段階で管轄の消防署(八尾市消防本部 予防課)に事前相談したか
八尾市は、機械式の数え方を形態別にはっきり書いているのですね。
はい、八尾市の指針は形態別の数え方です。
他市の物件は、その市の基準で確かめましょう。
よくある質問
まとめ
まず装置の形態を図例と見比べます。
そのうえで消防署に相談します!
八尾市の指針は形態別の数え方です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 八尾市消防本部 予防課「行政指導指針(消防用設備等)立体駐車場に係る床面積及び階数の算定並びに消防用設備等の設置基準」(PDF・18ページ・第1 立体駐車場の取扱い区分、別添図例1から8) https://www.city.yao.osaka.jp/kurashi_tetsuzuki/anzen_bousai_shoubou/1014727/1002194/1013591/1002433/1002357.html
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第2章 第1節 第4 床面積、階及び高さの取扱い(1 床面積の算定・2 階数の算定) https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」(機械式駐車装置の床面積・階数の数え方を定めた項は見当たらない) https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 東大阪市消防局 消防用設備等の運用基準(機械式駐車装置の床面積・階数の数え方を定めた項は見当たらない) https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第13条第1項、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第2条第1項第3号・第8号(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および八尾市・堺市・大阪市・東大阪市の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準や指導指針は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。各資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。八尾市の指針のPDFには、確認した範囲で発出年月日が見当たりませんでした。





